MVNOに対する流出は看過できないところがある
堀井啓太氏(以下、堀井):質疑応答に入らせていただきます。ご質問の方ははじめに会社名とお名前をお申し出ください。
質問者1:野村証券のマツノと申します。3点ありまして、1点目はauの通信ARPAについて。第1四半期は、5,810円と前年同期比3.8パーセント増と上昇になってまして、会社の計画は5,730円と第4四半期と横ばいと……まあそんなはずはないと思うんですが、普通に考えるとクオーターごとにあがっていきますので、今後第2クオーター、第3クオーターと5,810円をベースとして、どれくらいあがっていくかという要素、数字は別として要因があるのかというところをご解説いただければと思います。
田中孝司氏(以下、田中):私から説明します。この前のときもコンサバティブだと申し上げたので、かなりコンサバティブだったという結果になるんですけど。
理由は、先ほど1人あたりのデバイス数というのをご説明しましたけど、モバイルデバイスの進捗をはじめ、いわゆるティアード(段階制)プランによる、音声ARPUのほうの減少トレンドの改善の兆しがかなり見えたことや、今回とくに大きく出ていますのは、データチャージの利用額がかなり大きくなりまして、前年同期比で2倍超で増加したことで、結果として3.8パーセントの伸長になったということでございます。
内容を見ますと、今後も大きな変化をあたえるような理由になっておりませんので、それなりにあがっていくんだろうと思っておりますけれども、とはいえまだ1クオーターなので、次の予定を見直すことまでは考えていないという内容でございます。
質問者1:わかりました。まあデータのところは業界全体でそういうことなので、そういうことなのかなと思うんですが。2点目は、MVNOもふくめた解約率ですけども、1,980円という料金もふくめて、少し顧客が流動することもあるんですが、ただ御社の場合、今月からSTARとかを入れたり、UQモバイルの店舗も約1,000店舗に広がっていくということなので、7~9月期と10~12月期と去年の解約率が高かったので、去年は7~9月は0.83、10~12月は0.91パーセントということでしたので、今後はこれよりどれだけ下げていけるかということで、今やっている施策が今月から、一部は先月からということですけど、第2クオーターと第3クオーター、1年前と比べてどのくらい解約率を下げられるのか。そういったところはいかがでしょうか。
田中:1クオーターの解約率ですけど、イヤーオンイヤーでまだ若干プラスになっているんですね。ところが、ここから後はあまり開示されていないんですけど、月々で見ますとこの前の期、4~6月ですけど解約率は右肩下がりに下がっておりまして、我々としても2クオーター以降もイヤーオンイヤーで下がるということが実現できればいいのかなとは思っています。
とはいえMVNOに対する流出というのは、今非常に盛り上がっていますので、あまり看過できないところがございますので、IDという面ではUQモバイルが非常にがんばっていますので、UQもふくめたトータルIDの確保ができていければいいのかなというのがあります。ちょっと解約率は先は見通せないですけど、まあまあ……という感じでは進捗はしております。
この3ヵ月の手応えについて
質問者1:わかりました。最後になりますが、ライフデザインのところなんですけど、4月から(au)でんき、(au)保険とかが始まりまして、ショップチャンネルのほうも連結、フル連結を開始して、3ヵ月をやってみて、このあたりの手応えというか進捗はいかがでしょうか。
田中:サマリーとしてはいい感じできてるんですけど、金融系については高橋から、(au)でんきについては石川から3ヵ月の概況でもお話ししていただければと思います。
高橋誠氏(以下、高橋):金融系なんですけど、一応おおむね順調にきているのかなと思っています。住宅ローンの関係、それから損保の関係も順調なんですけど、あと生命保険の関係はご存知のとおりいろいろとご意見をいただいたこともあって、還付つきの保険に切り替えたことがあって、これについては12月スタートになりますので、これから勢いをつけてやっていかなければいけないなと思います。
ショップチャンネルのほうもご存知のとおり、非常に利用者の年齢層が高いですから、一段ネットに近いほうに下げていかなければいけないというのが強くあって、この間我々のほうからもショップチャンネルに、ネットのほうへ送客するということを家電を使ってやってみたんですけど、効果があるので、このあたりはシナジーがあるんじゃないかなと思います。
もともとのシナジーとして、ネットあるいはモバイルを使った番組との連動、このあたりについても順調に進んでいますので、今回ショップチャンネルが連結してよかったかなと思っています。
田中:じゃあ、石川のほうから。
石川雄三氏(以下、石川):(au)でんきなんですが、これ、自由化になって、あまり市場全体がすごく膨らんでるわけではないんですが、我々でいうと毎月毎月だんだん上がってきています。これはショップのスタッフが売り慣れてきたということと、まあそれが一番大きいのだと思うんですが。
だいたいもうオントラックに計画どおりになってますので、これはショップにお客様がお見えになったときに、適切な提案ができるようになってますので、安定的に今後も推移するのではないかと思っています。
田中:(au)でんきのほうは副次的な効果として、WALLETカードがセット率上がるとか、メインカード化というんですかね、そういうことも期待できるような兆候が出てますので、我々自身としては非常に満足しているトラックになっているのかなと思います。
質問者1:ありがとうございました。
auとUQで合わせてお客様の数を確保していく
堀井:それではほかにご質問のある方、それでは、向かって一番左側、お願いします。
質問者2:大和証券のアンドウと申します。まず、タスクフォースの端末販売のガイドラインの、今クオーターにおける影響を知りたいんですが。その額およびどういう会計的な部分で影響が出ているのかをご解説いただければと思うんですが。
田中:じゃあ、いきますか。両角のほうから。
両角寛文氏:端末補助金、いわゆる機種別コミッションの会計処理から、まずご回答申し上げたいと思います。IFRSにおきましては、端末補助金については、端末販売、売上高からの控除というかたちになりまして、売上高を減少する方向でPLにヒットするというかたちになります。
当然、タスクフォースで補助金の縮小ということになりましたので、前年度の第1クオーターに対しまして、今年度の第1クオーターはコミッションの額が減っている。
これはつまり前期に対して、端末売上高が逆に増えているという見え方になりますので、PL上は粗利益が増えるというようなかたちで、影響がプラスで出るということになります。
その影響額についてですけれども。もともと期初の段階で560億円くらいの、コミッションの削減、粗利の増の影響があるんじゃないかなと見ておりましたけれども、だいたいその計画見通しのとおりの第1クオーターの実績の影響になっていると理解しております。以上です。
質問者2:ありがとうございました。それから2つ目なんですが。UQモバイルでイチキュッパ、ワンキュッパじゃなくて、イチキュッパを始めたということで(笑)。
その、急遽始めたのかどうか知りませんが(笑)、対応策を出してきた背景みたいなものをもう1回整理したいんですが。
解約率とか少し上がってますが、またはMNPなのかもしれませんが、そちらのほうに対してどういう思いがあって、こういうふうにしてきたのかというのと、それから、将来的に全体のARPUというか収入とかに悪影響があるようなことがありえるのか、それともそういうものは寸止めでなんとかがんばれるというご自信があるのかとか、そういったあたりのことをちょっとまとめてお話いただければと思います。
田中:じゃあ、親元の石川のほうから。
石川:まず大きな考え方としては、さっきも田中が申し上げましたけど、auとUQで合わせてお客様の数を確保していこうという考え方にあります。
ご存知のように、もうMVNO市場と呼んでもいいんじゃないかと思うんですが、そういう、非常にランニングコストが安い方向を志向されるお客様の数も増えているというのが事実でございますので。そのお客さんのニーズにしっかり対応していくという考え方です。
で、ちょっとご質問で解約率ってありましたけど。私どもからUQにいっても解約になるので、そこの解約率というのはそんなに下がらないとは……。UQが取ることによって下がるというわけではないんですが、全体のお客様の数を確保するということには効果がもちろんあるというか、それを狙っていきたいということです。
そのARPUについては、これはUQと別のARPUですので、auのARPUというのは直接関係しないんですが。
ただ、考え方として、このイチキュッパと、それから二キュッパというのがあるんですね。データの容量が3G、今キャンペーンやって倍になってますけど。結局、そのようなプランに入っていただくと、ARPUってそんなに悪くはないんですよね、実は。
まあ、これはY!mobileさんもそうだと思うんですが、それなりのARPUが確保できますので、いわゆるMVNOで単純にSIMを販売するというだけではなくて、音声の内包の通信を込みにして販売するとか、そういうことによって、UQのなかでのARPUを上げることができて、グループとしての収入を増やすことができると。
まあこういうことで、魅力的な金額ではもちろんあるんですが、それほどARPUが悪いというわけでないと。
マルチユースを広げて経済圏を大きくしていく
質問者2:ごめんなさい。確認なんですけど、ARPUが悪くないというのは、UQ対比という意味ですか?
石川:UQのARPUが、それなりのARPUが確保できるということです。
質問者2:あとすみません。ジュピターショップチャンネル買収の今回の利益浮揚効果というか買収効果っていうのはどのぐらいだったんですか?
田中:じゃあ、髙橋のほうから。
髙橋:ジュピターショップチャンネルの内訳の数字は開示できていないんです。それについてはご了承いただきたいなと思いますけれども、ジュピターチャンネルのほうもおかげさまでちゃんと増益は確保できているので、順調に推移しているとお考えいただいてけっこうだと思います。
質問者2:すみません、しつこいようで。買収がなかりせば、の利益の拡大というのも順調だったということですか。
髙橋:前回のこの会でもオーガニックの成長の話を気にされてると思うんですけど、オーガニックの成長については10パーセント以上確保できています。ショップチャンネルのほうも増益ということですので、今回ショップチャンネルを連結するにあたって、無形固定資産の償却であるとか、シナジー部分をいくつか織り込んであるので、若干数字見にくくなってますけど、そのようにご理解いただければよいかと思います。
田中:10パーセントから逆算していただければ。
堀井:それではほかにご質問のある方お願いいたします。
質問者3:メリルリンチのキノシタです。質問2点あります。1つ目はIDはUQでということなんですけれども、ちょっとまだうかがうのは早いかもしれませんし、お客さんが違うのかもしれないんですが、UQでとったお客さんに対して、今auでやっているような付加サービスを売っていくっていうような……ある意味ではauのサービスをそのまま売るという考え方もあるかもしれませんし、ちょっと調整してスモールな感じのパッケージを作って売るという感じもあるかもしれないんですけれども、そこらへんのお考えをお聞かせくださいというのが1つ目です。
田中:私のほうからご説明しますと、最近ライフデザインと言ってますけれども、3M戦略のなかに実は組み込まれていまして、マルチデバイスがあってバンドルが1つ山を越えましたと。先ほどARPAの話がありましたけれども、マルチデバイスでARPA増を延長しているというのが今の現状です。
このあとマルチユースということで経済圏を大きくしていくという大きなシナリオがあるんですけれども、まあそういったIDという意味で、UQのIDも含めてauのIDも両方足してそのうえでマルチユースを広げていくっていうことが大きな……。
どうするかっていう話なんですけれども、現時点においては、今スマートパスを中心にauの上に付加価値ARPUをのせてますけれども、まだまだUQのIDの上にのせるっていうような時期にはまだ来てないんじゃないかなと思っています。
現時点では今考えてないっていうのが回答ですけれども、将来においてどうかと言われると、それは可能性としてはあるという理解でいます。
現時点ではauのユーザーのためのauスマートパスであって、それ以降についてはちょっと現時点では、決めたものはなにもありませんと。
イギリスのEU離脱の影響はあるか
質問者3:ありがとうございます。ちょっと小さい部分の質問になってしまって申し訳ないんですけれども、イギリスのEU離脱の話が出てきて、御社は英国にもデータセンターを持ってると思うんですけれども、EUの規制で例えばデータはEU内で持たなきゃいけないとかそういうのもあろうかと思うんですけれども、ここの影響の考え方ですとか、今後の戦略とかに少しなんらかの変化が出てくるのか。
田中:本件はグローバルを担当してます田島のほうから。
田島:今の時点では具体的な影響は出ておりません。それじゃあどういうことが想定されるかということですけれども、ご存じのように個人情報保護法が、影響が出るとすれば一番出てくるわけですね。
で、2つ考えられまして、1つはイギリスあるいはフランスに置いている、それをお互いにイギリスの本社の会社、フランスの本社の会社はそっちのほうに引き上げますよということがありうるんですけれども。
もう一方で議論されておりますのは、大体、私どものテレハウスはとくに大きいのがロンドンと、パリと、フランクフルトにございますけれども、そこに入っていただいているお客様は多国籍でマルチナショナルに企業活動をしておられるんですね。
そうしますと、マーケットがそれぞれの国にあるものですから、その国のマーケットを諦めて引っ込むというわけではないので、むしろ、ロンドンだけに集約してあるものをパリやドイツに分散する。あるいはその逆。そういうことの可能性もあるんですね。まだどちらに振れていくのかはわかりません。わかりませんけれども、必ずしもリスクだけじゃなくて、オポチュニティになる可能性もあるなと思っています。
むしろそれよりも今はポンド安でそっちのほうの為替益は出ています。正直なところ。
司会者:ほかにご質問のある方。
質問者4:三菱UFJモルガン・スタンレー証券のタナカです。3点ありますので1つずつお願いします。
1人あたりのモバイルデバイス数なんですけれども、将来的に収斂する値っていうのはどれぐらいのイメージになるのかというのを。私なんかがハンドセットとタブレットを持ってもうそろそろ限界に来るんじゃないかなとか頭の体操をしてるんですけれども、御社はどんなふうに思ってらっしゃるか教えてください。
田中:1つ目なんですけれども、確かに1人というのもありますけれども、同一名義人みたいなものも区別できずに入ってますんで、そういったものがございますからまだ上にいくんじゃないかなと。というのは、なだらかになる傾向がないんで、まだしばらく上がっていくんじゃないですかね。
すみませんこんないい加減な回答で(笑)。
コネクティッドカーの長期的なビジネスモデル
質問者4:逆に専門家からのアドバイスというか、そのなかで家族とか核家族化とかあまり関係なしで、1人と区切ったときにどんなところで収束するのかなという考え方のヒントと、今後の開示、0コンマ2つだとたぶん厳しくなってくる局面がいろいろありますんで、ちょっと桁数をもうちょっと出していただくように、これもお願いしたいなと。
田中:じゃあちょっとIRのほうに、桁数は貴重なご意見として承ればいいかなと思います。
あと我々タブレット以外にもルーターもけっこう寄与していまして、今東京の核家族は固定回線引かずにルーターで代替される方。まあ「ポケモンGO」とかありますとそっち側にオフロードするっていうのもありますけれども、そういうのも顕著に伸びてますので、またご紹介できることがあるかと思います。すみません。
質問者4:ありがとうございます。2点目なんですけれども、コネクティッドカーのところの長期的なビジネスモデルをどういうふうに捉えればいいのか教えていただけますでしょうか。
田中:本件は東海林のほうから回答いたします。
東海林:ソリューション事業本部の東海林でございます。今まではIoTというかM2Mの世界は、普通のスマートデバイスに比べるとARPUは低かったんですけれども、そこそこの数をご利用いただいていたんですけれども、今後さらに数が出てきますと、ひょっとするとARPUは落ちてくるかもしれませんし、またそういうようなネットワークもつくっていかなきゃいけないと思ってるんですが、1つはやはり単純に今までの通信料型だけではなくて、私どもはプラットフォームとか回線監視機能とかむしろそういったところをきちっとつくっていって、そういったような運用部分も含めてビジネスのモデルをつくっていきたいというふうに思っております。
そんな感じでよろしゅうございますか?
質問者4:ありがとうございます。市場規模ってどれぐらいを考えていますか?
東海林:莫大な市場規模はあると思っております。今日の田中のプレゼンでありましたのは、まず例えば車の世界で言いますと、今までトヨタ様は日本国内で、トヨタ様だけではないんですが、ご利用いただいてますが、これがグローバルになりますので、グローバルの車に全部搭載されるみたいなことになると、相当な市場規模になるというのはご想像の通りでございます。
それとこれも1つの事例でございますが、電力会社さんのスマートメーターみたいなもの、ただこれは携帯網だけじゃなくて、PLCとかマルチホックとか全部入った数字でございますけども、それでもこれだけの数がございます。
これ以外にも今後いろんなデバイスと言いましょうか、いろんなIoT商品が出てくると思っておりますので、何台とは言いませんけども莫大な数でございます。
質問者4:ちなみにスマートメーター1台でおいくらっていうのは……。
東海林:ご容赦くださいませ。
質問者4:あと3点目なんですけど、スマートバリューのau契約数とか世帯数のところ、ちょっと増加のペースが鈍くなったかなという印象があるんですけども、この背景とか今後の見通しについて教えてください。
田中:じゃあスマートバリューの見通しは石川のほうから。
石川:ご指摘の通り、ペネトレーションは6割ぐらいになってますので、従来のようなペースではなかなかいかないっていうことは事実だと思います。
しかし、我々としてはそれでも順調に増えているなと思っておりますし、1世帯あたり2台っていうのはもう超えてますので、今まではある意味急成長してまいりましたので、今後はステディに伸ばせるんじゃないかと思っています。
質問者4:ありがとうございます。