業績の概況

小池敏弘氏:本日はお忙しい中、当社の2025年12月期第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。株式会社サイバーセキュリティクラウド代表取締役社長兼CEOの小池です。2025年12月期第2四半期の決算概要とトピックスについてご説明します。

業績の概況です。第2四半期累計で、売上高は24億1,800万円、営業利益は4億7,600万円で着地しています。

第2四半期累計を前期と比較すると、売上高はプラス31.2パーセントと順調に成長しています。一方で、営業利益はマイナス2.6パーセントと、見た目上は減益となっています。

これはスライド上部に記載しているとおり、昨年の第1四半期にスポットの大きな案件があったため、第1四半期と第2四半期累計では減益となっています。ただし、第2四半期会計期間を比較すると、営業利益はプラス35.4パーセントと順調に成長しています。

経常利益については、前年同期比で減益となっていますが、主な要因は為替の影響によるものです。本業の成長には一切影響はありません。

通期に対する達成率は、売上高が48.4パーセント、営業利益が47.7パーセントとなっており、順調に進捗しています。

ARRの推移

ARRの推移です。第2四半期は、前年同期比でプラス30.8パーセントとなり、最終的には45億円を超える結果となりました。

内訳を見ると、「WafCharm(ワフチャーム)」および「CloudFastener(クラウドファスナー)」のクラウド関連セキュリティサービスが、四半期ベースでも過去最高の受注金額となり、非常に力強い成長を続けています。

「Managed Rules(マネージドルール)」は、米ドルベースで全世界に販売しているため、為替の影響で円に換算すると減少しているように見えますが、実際には米ドルベースで増加を続けています。

攻撃遮断くんとWafCharmの解約率

「攻撃遮断くん」のARRがわずかに減少しましたが、これはあくまでも一過性のものと捉えており、後ほど詳しくご説明します。

次に解約率についてです。「攻撃遮断くん」の解約率がわずかに上昇しています。また、「攻撃遮断くん」「WafCharm」ともに、解約のほとんどの理由が、私たちが保守運営しているWebサイト自体のサービス終了によるものであり、これは昔から現在に至るまで変わらない主要な要因となっています。

最近では、特に「攻撃遮断くん」を長期間ご利用いただいており、比較的大きな単価でご契約されているお客さまが、インフラをオンプレミスからクラウド環境へ移行する動きが、徐々に増えてきています。それに伴い、「攻撃遮断くん」の解約率がやや増加している事実があります。

一方で、その一部のお客さまは、「AWS」をはじめとするクラウド環境への移行に合わせて「WafCharm」をご契約いただくケースもあり、会社全体で見ると契約の切り替えとして捉えることができます。そのため、今後この解約率が急激に上昇するとは考えていません。

売上高の推移

四半期の売上高の推移についてです。こちらは前年同期比でプラス31.2パーセントと、順調に成長しています。

今年の2月には、DataSign社という「webtru(ウェブトゥルー)」という製品を持つ会社がグループに加わり、その「webtru」のストック収益が今回の売上に含まれています。

また、「その他収益」については、全体で見ればさほど大きな割合ではありませんが、主に脆弱性診断というサービスが含まれています。

さらに、「CloudFastener」をお客さまにご提案する中で、「他にあんなことやこんなこともしてほしい」というご相談を非常に多くいただくようになっています。そのようなお客さまからの要望は、基本的にすべて私たちにとって新しいサービスを作るためのヒントになります。

当然、私たちのケイパビリティの範囲内でできることやできないことがあります。しかしながら、私たちにとっての「学び」という意味も含めて、現在、「CloudFastener」のお客さまからの要望を、スポット的に、あるいはPoCといったかたちでご提供する際もありますが、できるだけ多く受け始めています。これらは「その他収益」に含まれています。

過去の「その他収益」は、本当にスポット的な意味合いでの「その他収益」でした。しかし、最近の「その他収益」は、次の事業成長につながるプロダクト開発のヒントとなるような、私たちのチャレンジとしての意味合いが大きいと考えています。今後の展開をぜひ楽しみにしていただければと思います。

営業費用(売上原価・販売費及び一般管理費)の推移

営業費用です。スライドに記載のとおり、今年4月に新卒社員が入社したこと、DataSign社の人件費も取り込んだことから、全体として人件費が増加しています。ただし、それ以外の部分で特段突発的に増加した費用はありません。

サイバーセキュリティクラウドの成長を支える従業員

従業員の推移についてです。今年4月に新卒社員が10名入社したことで、順調に人員数は増加しています。

導入企業の約7割が上場企業で占める『CloudFastener』

第2四半期のトピックスをご紹介します。まず、「CloudFastener」に関して、お客さまへの導入が非常に順調に進んでいます。

スライドに記載のとおり、現在、導入企業の約7割が上場企業のお客さまです。実は、この「CloudFastener」は約2年前に市場に投入し始めたもので、当初はこのような顔ぶれになるとはあまり想像していませんでした。

どちらかといえばよりモダンで、創業当初から「AWS」や「Microsoft Azure」を活用し、いわゆるクラウドネイティブといわれる、クラウドを当たり前に使いこなしている企業を対象に「合理的に考えると、自分たちでセキュリティの面倒を見るよりも『CloudFastener』に一任したほうが良い」ということを想定して作っていました。

もちろん、そのような点を評価いただきご利用されているお客さまもいらっしゃいますが、最近では上場企業のお客さまからの引き合いが非常に強くなっています。この背景について、少しご説明します。

スライドに記載のあるお客さまは、数十年にわたり各業界でリードしてこられた企業ばかりです。いわゆるテック企業やITに特化した企業という印象は薄いかもしれませんが、実際には、数十年前からWebを活用してお客さまを集客したり、会員システムや販売システムを利用したりして事業を拡大してきたように、ITが事業の中に自然に組み込まれている企業が非常に多いのです。

そのようなお客さまは、何十年も前からオンプレミス環境で、自社でインフラからWebサービスまで一生懸命構築されてきました。そして、ここ数年で、例えばお客さま側のインフラが更新時期を迎えた、いわゆる寿命が来たことや、より新しいことに取り組むためにクラウドへ移行し、新しくクラウドでシステムを構築しようとチャレンジされているケースが増えています。

ただし、オンプレミス時代から培ってきたセキュリティのノウハウやスキルと、クラウド上でシステムを構築する際に必要なそれらは、やはり少し異なります。

現在では事業がITを活用して運営されるのは当然のこととなり、これからもITインフラを活用してWebサービスを利用していかなければなりません。しかしながら、クラウドのセキュリティについては、社内でまだ十分な強みとは言えないケースが多い状況です。このような課題は、財務や事業基盤が盤石な上場企業においても多く見られる共通の課題といえます。

そこに、私たちの「CloudFastener」は非常にフィットしています。私たちはクラウドセキュリティの専門家としてみなさまにご紹介しており、実際に「CloudFastener」を開発しているプロダクトチームやサポートチームが、お客さまとお話しすることで、非常に高い信頼を得るケースが多いです。

一見すると、上場企業のみなさまは非常に目線が厳しいという印象がありますが、そうした厳しい目線をクリアし、現在導入が順調に増えているところです。

日本のAWSユーザーに対する当社サービスの認知を拡大

今年6月、千葉県の幕張で開催された「AWS Summit Japan 2025」というイベントに出展しました。現在、私たちのサービスの多くは「AWS」のユーザー向けとなっています。そのため、AWSユーザーにどれだけ認知していただけるかを目指し、活動しています。

これはマーケティング活動の一環です。Web広告や雑誌掲載などさまざまな選択肢がある中で、この「AWS Summit Japan」は、AWS社が主催する日本で唯一、かつ年に1回開催される「AWS」に関わるユーザーやサードパーティが一堂に会する非常に大規模なイベントです。

このイベントは千葉県の幕張メッセで2日間にわたり開催され、私たちも大きなブースを設置しました。今年は過去最高のリードを獲得しています。

また、例年、この「AWS Summit Japan」で獲得したお客さまから多くの引き合いをいただいています。そのため、分母がこれだけ増え、リードが多く獲得できたことは、今後の受注に非常にポジティブにつながっていくと考えています。

また、スライド右下にあるとおり、当社として初めて「Japan AWS Top Engineers」に当社のエンジニアが選出されました。

当社のお客さまから見たサイバーセキュリティクラウドに対する印象が、確実に少しずつ変わってきていると感じています。

これまで私たちは、技術力に自信を持ち、品質の高い製品を提供し、セキュリティ事故のないよう努めてきました。ただし、技術やセキュリティのブランディングについては、意図的に強く意識してこなかったのが実情です。

また、これまでは信頼されるものをしっかりと作ることに重きを置いていましたが、これからは「CloudFastener」を中心に、さらに多くのセキュリティ関連サービスを提供していきたいと考えています。

その中で、当社に所属するメンバー一人ひとりのスキルやノウハウをアピールし、より多くの仲間を集めていきたいと思っています。

当社として初めて選ばれたことは、一見小さなことのように思えますが、今後の当社を形づくるイメージとして非常に重要な一歩であると捉えています。

サービスラインナップの拡大に伴いクロスセルを本格的に強化

クロスセルの本格的な強化についてです。スライド右側に記載のとおり、「CloudFastener」のお客さまの64パーセントが、当社の「WafCharm」や脆弱性診断など、その他のサービスも利用されています。

また、「SIDfm」のお客さまの半数以上が、なんらかの他のサービスを利用されているという事実もあります。

当社は、祖業であったWAF(Web Application Firewall)の領域から、非常に幅広い領域へと拡大しつつあります。

しかしながら、クロスセルの事実として一定の成果があるものの、各ブランドやプロダクトがお客さまに購入されても、数年後に解約されるケースがまだ見受けられます。

今後は、そうした状況を改善し、サイバーセキュリティクラウド全体が持つ価値を提供していくことが重要であると考えています。

ノウハウやプロダクトをできるだけ多くのお客さまに提供していくことを、あらためて社内で決定し、そのための体制作りや各製品のチューニングを進めています。

当社には世界中に約7,000のユーザーさまと200以上の販売パートナーさまがいます。そのため、より多く販売できるよう戦略を強化し、お客さまの顧客単価の向上を目指していきたいと考えています。

最後にスライド右下をご覧ください。直近では、誰もが聞いたことのある非常に大きな日本に本社があるグローバル企業に対して、「WafCharm」と「CloudFastener」を同時にご利用いただく事例がありました。

この受注のイニシャル規模においては、過去最大級であり、まさにこうした取り組みを目指して領域を広げてきました。このようにすばらしい兆しも少しずつ表れてきているため、今後もさらなる強化に努めていきます。

決算概要のご説明とトピックスのご紹介は以上です。

質疑応答:第2四半期の受注状況と課金開始時期について

「『WafCharm』と『CloudFastener』が過去最高の新規受注を記録とありますが、こちらは第2四半期決算に反映済みですか? それとも、第3四半期以降に課金開始で、次回以降の決算の数値に反映されるのでしょうか?」というご質問です。

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