自己紹介

佐藤亮氏:みなさま、こんにちは。アマテイ株式会社代表取締役社長の佐藤です。

はじめに自己紹介をします。私は1985年丸紅株式会社に入社し、以降、商社という立場で鉄鋼製品に携わってきました。海外駐在経験は米国と中国で合計11年、加えて鋼材加工センターの代表者経験が合計9年あります。その後、2021年に当社代表取締役社長に就任しました。

​​1.事業内容

それでは、当社の事業内容についてご説明します。

会社概要についてご説明します。当社の創業は明治34年(1901年)で、今年で創業124年となります。設立は昭和24年(1949年)、資本金は約6億1,500万円です。現在は東京証券取引所スタンダード市場、及び名古屋証券取引所メイン市場に上場しています。証券コードは5952です。

当社の従業員数は、2025年3月31日現在、連結で161名、当社単体で90名です。事業内容は、普通釘、特殊釘、連結釘、ねじの製造・販売、その他建築用資材、釘打機などの販売を行っています。

当社の売上高は、昨年度第84期(2025年3月期)においては連結で55億円、当社単体では39億円です。

次に事業所ですが、本社は兵庫県尼崎市にあります。事業所は販売拠点として、東京と名古屋に営業所を構えています。また、関係会社として、主に自動車用・電気機器用特殊ねじの製造を行っているナテックがあります。

1.事業内容(経営理念)

当社の経営理念は、「1本の釘・ねじで、ものともの、人と人とを繋ぎ、豊かな社会づくりに貢献します。」というものです。

1.事業内容(建設・梱包向)

ここからは当社事業内容について、「建設・梱包向」と「電気・輸送機器向」の2つのセグメントに分けてご説明します。

まず、建設・梱包向に関してですが、こちらの円グラフをご覧ください。釘に関する当社の国産シェアは40パーセント以上を占めており、生産量日本一の釘メーカーです。

1.事業内容(建設・梱包向)

当社の釘は、主に住宅建設・梱包業界向けに販売しています。

1.事業内容(建設・梱包向)強み①

当社の強みについてご説明します。1つ目の強みは、「独自の技術力・開発力を基盤とする付加価値提供」です。

お客さまのニーズに応じた柔軟な製品開発、特許製品など高付加価値製品の豊富な開発実績を強みとして、今後も新しいニーズに柔軟に対応し、付加価値のある商品を生み出していきます。

1.事業内容(建設・梱包向)強み②

2つ目の強みは、「幅広い販路、多数の優良取引先」です。

当社製品は、大手住宅メーカー、2X4パネルメーカー、商社・問屋、屋根メーカー、パレットメーカーなど、幅広い販売先があります。

1.事業内容(建設・梱包向)強み③

3つ目の強みは、「新技術で未来を捉える」です。

木造中高層建築物の需要が拡大しています。積極的な製品開発と販路開拓を行い、新技術の発展による新しい需要を捉えていきます。

1.事業内容(電気・輸送機器向)

続いて、電気・輸送機器向の事業内容についてご説明します。

この分野は、関係会社のナテックの事業になります。ナテックでは、主に自動車用・電気機器用ねじやボルトなどを製造しています。

1.事業内容(電気・輸送機器向)強み①

ナテックの1つ目の強みは、「最適な締結を提案・実現する設計開発力」です。ナテックは、お客さまの多種多様なニーズに応じるために、微細・微小なものから複雑な形状のものまで加工できる技術をもっています。

1.事業内容(電気・輸送機器向)強み②

2つ目の強みとして、モビリティのEV化で課題となる軽量化に対応し、ナテックのインサートレス製品が部品の樹脂化・アルミ化に大きく貢献しています。

また、部品・加工数の削減でCO2排出量の削減に貢献しています。ナテック保有の7段パーツフォーマーにより、7工程を1つの設備で対応でき、大幅な工数削減が可能です。

2.業績 連結売上高

当社業績についてご説明します。昨年度第84期(2025年3月期)の連結売上高は55億8,300万円と、第83期(2024年3月期)と比べ0.9パーセント増となりました。ご覧のグラフのとおり、第80期以降、右肩上がりに推移しています。

2.業績 セグメント別売上高

次に、昨年度第84期(2025年3月期)のセグメント別売上高の内訳は、建設・梱包向が全体の約70パーセント、電気・輸送機器向が約30パーセントとなっています。

​​2.業績 連結営業利益

次に連結営業利益です。昨年度第84期(2025年3月期)の連結営業利益は、2億3,900万円と、第83期(2024年3月期)と比べて5,100万円増となりました。ご覧のように、第81期以降、順調に右肩上がりに推移しています。

2.業績 総資産及び自己資本比率

次に総資産及び自己資本比率です。昨年度第84期(2025年3月期)の総資産は、52億3,100万円、自己資本比率は28.4パーセントで、第83期(2024年3月期)と比べ総資産は1億2,600万円減、自己資本比率は2.8ポイント増となりました。

2.業績 ROE

最後にROEについてご説明します。昨年度第84期(2025年3月期)のROEは9.9パーセントと、第83期(2024年3月期)と比べて0.2ポイント減少しました。

2.業績 今後の見通し

建設・梱包向に関しては、資材価格高騰による住宅価格上昇、金利上昇等の影響を受けて、持家を中心に新設住宅着工戸数の減少傾向が続くと見込んでいます。しかし、カーボンニュートラルへの社会的な取組みが本格化するなか、非住宅中高層建築物への木材活用が促進されており、当社オリジナル製品の需要、特に高機能が求められる特殊釘への需要は伸びていくものと期待しています。

また、住宅価格高騰を背景に代替選択肢として賃貸住宅が見直されており、工法別では、人手不足と建設現場における働き方改革への対応として作業効率の良いツーバイフォー工法による住宅建設が増加傾向にあります。この様な流れに沿って、高品質の当社製品に対する需要は安定的に推移するものと考えています。

一方、電気・輸送機器向は、環境問題を背景にハイブリッド車を含む電動自動車など環境対策車への需要は益々増加傾向にあり、電動自動車用のバッテリーやモーター関連等、車体軽量化に必要となる樹脂・アルミ部品用の特殊締結品の需要が見込まれます。今後さらに、国内での設計に強みがある自動運転技術や事故防止アシスト・センサー関連の需要にも特殊な部品やねじ締結ニーズの増加が見込まれています。

特に品質が重視される電気自動車やハイブリッド車用バッテリーやセンサー類等の需要に対応し、自動車を始め輸送機器関連部品や産業機器、制御機器、精密部品向け等を主なターゲットとして、高付加価値機能部品への製造・販売に取り組んでいきます。

2.業績 2026年3月期連結業績予想

先ほどご説明しました「今後の見通し」を踏まえた2026年3月期の連結業績予想(通期)は、売上高が57億円、営業利益が2億4,000万円、経常利益が2億2,000万円、純利益が1億4,500万円としています。

3.成長戦略 前中期経営計画総括 数値実績

続きまして成長戦略についてご説明します。まずは、前中期経営計画の振返りからですが、ご覧のとおり、売上高、営業利益、純利益、ROEの全てにおいて目標を達成しました。

3.成長戦略 新中期経営計画

ここからは、2025年度から2027年度を対象とする新中期経営計画をご紹介します。

新中期経営計画のコンセプトは、「新しい時代に向けたつなぐ技術で環境問題へのソリューションを提供し、サステナブル社会の実現に貢献することにより、全てのステークホルダーからの評価を高め持続的な企業価値向上を目指す。」というものです。

3.成長戦略 新中期経営計画 基本方針

新中期経営計画の基本方針についてご説明します。

「成長分野への経営資源重点配分、強靭な企業体質の完成」を基本方針とし、さらなる成長へ向けて収益性向上・生産性向上・成長投資・財務強化の4項目を実践していきます。

3.成長戦略 新中期経営計画 重点施策(くぎ事業)

くぎ事業の事業環境についてご説明します。

人口減少により、新設住宅着工の低迷は続く見込みですが、人手不足を背景に2X4工法住宅の比率は上昇傾向にあり、コンポーネントメーカーでの釘使用量が増加しています。また、環境ニーズの高まりから木材を活用した非住宅、中大規模木造建築等(公共施設・商業施設等)は急速に増加しており、2030年度の非住宅木造市場は2024年度に比べて30パーセント拡大する予測があり、主要ハウスメーカーも非住宅市場に注力しています。

3.成長戦略 新中期経営計画 重点施策(くぎ事業)

くぎ事業の現状認識と課題についてご説明します。

「高い技術開発力」「高機能・高品質製品」「大手ハウスメーカーとの強固な関係」という現状認識に対して、課題として「収益基盤の強化」と「新規ビジネスの創出」「廉価輸入品との差別化」があります。

3.成長戦略 新中期経営計画 重点施策(くぎ事業)

くぎ事業の重点施策についてご説明します。

まず、生産施策は、「無人稼働と多能工化の強化」「歩留ロス(検査・調整・不良くず)改善」「非住宅、中大規模木造建築のニーズに合わせた新製品・新技術の開発」の3点です。

次に営業施策は、「高機能品種の拡販(木割れ最強釘Ⅱ杉対応、コンクリート釘など)」「木造非住宅分野(公共施設・商業施設・オフィスなど)への販売強化」「木造非住宅分野向け商材(ビス、ピン、金物など)の商流開拓」「競争力あるOEM先の開拓」の4点です。

3.成長戦略 新中期経営計画 重点施策(ねじ・ファスナー事業)

続きまして、ねじ・ファスナー事業の事業環境についてご説明します。

環境問題を背景にEV・HEVなど電動自動車の需要は益々増加傾向にあり、2035年の世界電動自動車普及は、2024年と比べて8.5倍の5億2,000万台以上となる市場予測があります。また、自動運転技術は今後も進化が著しく、センサーなどの需要は増加傾向にあります。

また、電動自動車以外の分野については、アミューズメント関連需要は当面堅調に推移し、電気・OA機器需要も安定推移しています。

3.成長戦略 新中期経営計画 重点施策(ねじ・ファスナー事業)

ねじ・ファスナー事業の現状認識と課題についてご説明します。

「部品軽量化のソリューションとしてフォーミングスクリューの販売好調」と「複雑形状の加工が可能な4段/7段パーツフォーマーの稼働率上昇」という現状認識に対して、「生産性向上」や「生産能力増強」、「新分野へのビジネス拡大」という課題を認識しています。

3.成長戦略 新中期経営計画 重点施策(ねじ・ファスナー事業)

ねじ・ファスナー事業の重点施策についてご説明します。

まず、生産施策は、「生産能力向上のため無人稼働時間延長」「自動計量・半自動梱包機を導入し、省人化及び迅速な出荷体制を確立」「パーツフォーマー等技能者の育成、人材の多能工化推進」の3点です。

次に営業施策は、「EV・HEV車向け電池関連やCASE関連の部品メーカーへの積極的提案活動を強化」「産業機器・医療機器・農機具・アミューズメント関連への拡販」「ユーザーへの締結コスト改善提案として、海外ライセンス製品・パーツフォーマー製品を中心に拡販強化」の3点です。

3.成長戦略 新中期経営計画 資本・財務方針

続きまして、資本・財務方針についてご説明します。

方針として「株主還元を重要責務として認識し、業績に応じた配当を継続的・安定的に行うことを基本方針とする。一方、株主の中長期的な利益確保を図るため財務体質のさらなる改善や成長投資に備えた自己資本の充実も重要と位置付ける。」を掲げています。

これを踏まえまして株主還元は、本中期経営計画期間中(2025年度から2027年度)において、配当性向40パーセント以上を維持します。また、成長投資として、建設・梱包向(くぎ事業)では、新規優良顧客獲得のための設備投資をし、電気・輸送機器向(ねじ・ファスナー事業)では、CASE関連需要増加に対応するための生産能力拡大投資を実行していきます。

3.成長戦略 新中期経営計画 数値目標

最後に中期経営計画の数値目標をご紹介します。

2027年度を最終年度とする新中期経営計画では、さらに目線を高め、「売上高60億円、営業利益2億4,500万円、純利益1億5,500万円、ROE9.1パーセント以上」を設定します。

4.サステナビリティ カーボンニュートラル社会の実現への取組み

次に、サステナビリティについてご説明します。

カーボンニュートラル社会の実現への取組みとして、国産杉の活用活性化が推奨されています。日本の国土の70パーセントは森林です。輸入木材の台頭により、長年、日本の森林資源は十分に活用されてきませんでした。

木というものは、成長過程で大量のCO2を吸い込み、酸素を排出します。いわゆる光合成です。しかし、成長しきった木はほとんどCO2を吸わなくなってしまいます。よって、成長した木を切って使う、また植えて育てる、という「森林資源循環サイクル」を回していくことが、カーボンニュートラル社会の実現には必要なことです。

4.サステナビリティ カーボンニュートラル社会の実現への取組み

現在、林野庁が中心となり国産木材の活用活性化が推奨されています。そこで、当社は国産杉の活用を活性化させるため、「木割れ最強釘Ⅱ杉対応」を開発しました。

杉にも使いやすい「木割れ最強釘Ⅱ杉対応」は、木を切って使い、また植えて育てるという森林資源循環サイクルが、効果的に回り出すことをサポートします。それにより、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。

4.サステナビリティ カーボンニュートラル社会の実現への取組み

また、ナテックではクリーン車の普及に寄与します。

環境問題への対応として、各国でガソリン車販売への規制が進んでいます。ガソリン車に代わって、電動自動車の普及が益々加速することが予測されます。

ナテックは、樹脂製部品やアルミ製部品の締結に最適なねじを提供し、世界における電動自動車の普及に貢献していきます。

4.サステナビリティ SDGs

次に当社のSDGs宣言をご紹介します。

アマテイ株式会社は、経営理念・企業行動基準のもと国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」を私たちの企業行動につなげ、お客さまや地域のみなさまから信頼され、持続可能な地域社会の創造に貢献できる企業を目指します。

4.サステナビリティ SDGs

SDGsの取組みをご紹介します。当社は日頃より、ご覧のような取組みを行っています。

まず、「多様な人材の採用・起用」として、外国人や障がい者の雇用、障がい者施設への発注、女性管理職登用を積極的に行っています。

「働きやすい環境」として、多様な働き方の実践や有給休暇取得率の向上などに取組んでいます。

また、「兵庫県立尼崎の森中央緑地」での森づくり活動に定期的に参加し、環境への貢献も行っています。

他にも、「安心・安全な製品の提供」として、品質管理の徹底も行っています。

4.サステナビリティ 「ストリングアーティスト」美崎久美子さんを応援

また、当社は「ストリングアーティスト」の美崎久美子さんを応援しています。

ストリングアートとは、廃材などの板に打ち付けた釘の間に、糸を巻きつけてデザインするアートです。当社は釘の提供を通じて、美崎さんの創作活動を応援しています。

イメージキャラクターの紹介

その他として、当社イメージキャラクターの「アーティー・マーティー」をご紹介します。木割れ防止が特技で、打たれ強い性格のキャラクターです。クリアファイルやステッカーなどのノベルティグッズなどで、活躍の場を広げています。また、昨年には、新しくキーホルダーも作成しました。

株主還元 株主優待制度導入

続きまして、株主還元についてご説明します。

当社は、株主のみなさまの日頃からのご支援に感謝するとともに、当社株式への投資魅力を高め、より多くのみなさまに中長期的に保有していただき、当社グループの事業をさらにご理解いただくことを目的として本制度を導入することとしました。

株主優待制度の内容は、QUOカード3,000円分です。条件は、毎年3月末日(基準日)時点の株主名簿に記載または記録された1,000株(10単元)以上の当社株式を1年以上継続保有されている株主さまになります。ただし、本制度導入にあたり、2025年3月末日(基準日)時点の株主名簿に記載または記録された1,000株(10単元)以上を保有する株主さまには、初回に限り、保有期間にかかわらず株主優待を実施します。

​​株主還元 配当方針/2025年3月末 配当について

続きまして、配当についてご説明します。

まず、配当方針についてです。経営環境、業績、財務状態などを総合的に勘案し、継続的かつ安定的な配当を実施することを基本方針としています。

2025年3月末の配当については、1株当たり5.0円の配当を予定しています。配当性向は約41.7パーセントです。

株主還元 配当実績及び2025年3月期配当

昨年度第84期(2025年3月期)末の1株当たり配当金額は5.0円を予定しています。

株主還元 DOE推移

昨年度第84期(2025年3月期)末のDOEは、3.99パーセントを予定しています。

佐藤氏からのご挨拶

今後も投資家のみなさまにご関心・ご期待いただけるよう、企業価値向上に尽力していきます。どうぞご愛顧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。