会社概要

蓬田健二氏(以下、蓬田):本日は、サクサホールディングスの説明会をご視聴いただき、ありがとうございます。サクサホールディングス株式会社コーポレートコミュニケーション室長の蓬田でございます。

本日は、弊社がどのような会社なのかを投資家のみなさま方にまずは知っていただきたいと思っており、企業の概要および事業の概要をご説明したいと考えています。弊社にさらに興味を持っていただけるよう、今後は定期的にこのような説明会を実施していきますので、その際にもご視聴よろしくお願いいたします。

まずは会社概要です。弊社は、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。従業員数は2023年9月30日現在、グループ全体で1,103名です。

企業間取引(BtoB)の企業ですので、弊社のことをあまり知らない方も多いと認識しています。もともとは田村電機製作所と大興電機製作所という、通信技術に強みを持つメーカー2社が2004年に統合してできた会社です。

統合前から数えれば80年を超える歴史を持った会社ですが、サクサになってからも2024年で20周年を迎えます。サクサホールディングスは知らなくても田村電機、大興電機という名前なら知っている方もいるのではと思います。

サクサホールディングスのビジネスモデル

蓬田:サクサホールディングスの主なビジネスモデルです。弊社の事業は、モノづくりをベースとしたプロダクト事業と、システム提案等がベースのソリューション事業の大きく2つに分かれます。

1つ目のプロダクト事業は、モノづくり・モノ売り中心のビジネスです。この事業はさらに、自社ブランドとOEMの2つに分類されます。自社ブランドでは、プロダクト事業を展開する中核会社であるサクサ株式会社の製品を、主に中小企業向けに設計・製造・販売しています。

OEMではパートナー企業のブランドで、パートナー企業が販売する製品の製造を請け負っています。弊社ではOEMを少し広い意味で使っており、弊社で設計も行う「ODM」も含んだ事業だとご理解ください。メーカーとして強みであるモノづくりを活用した事業です。

2つ目のソリューション事業では、モノづくりとは違って、お客さまの課題解決や要望に対する提案を行っています。

札幌市にある、ソリューション事業を展開する中核会社の株式会社システム・ケイが、主に映像機器と映像・AI・IoT技術を組み合わせてシステム提案等を行っています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):ここまで、会社概要とビジネスモデルについてお話しいただきました。田村電機製作所と大興電機製作所が統合した、古い歴史を持つ会社だとのお話でした。

今回、プライム市場からスタンダード市場へと市場変更を行いましたが、スタンダード市場を選んだ理由を教えてください。

蓬田:弊社は、2023年8月4日にプライム市場からスタンダード市場への選択申請を公表し、そのあと10月20日から正式に移行しました。その理由は大きく2つ挙げられます。1つ目に、事業の成長を加速させるために、しっかりと経営資源を集中して、企業価値を向上させることが重要だと判断したためです。

2つ目に、プライム上場維持基準が充足したとしても、それを安定的・継続的に保つのは、少しリスクがあるだろうと考えました。

投資家や株主のみなさま方が安心して弊社の株を売買して保有できる環境を整えることも重要だと判断しました。大きくはこの2つの理由によって、弊社はスタンダード市場への移行を判断しました。

売上高および営業利益の推移

蓬田:事業の詳細については、事例を交えてこの後お話ししますが、ここでは弊社の売上高および営業利益の推移について簡単にご説明します。

スライドの棒グラフが売上高、実線の折れ線グラフが営業利益です。また、やや見づらくて恐縮ですが、点線の折れ線グラフが中期の計画値です。

現中期経営計画の初年度にあたる2022年3月期は、スライドのとおり、売上高・営業利益どちらも落ち込んでいます。実はこの年、収益基準の見直しを行っていることも影響し、前年度と比べて売上高が40億円ほど落ち込んでいます。

それ以外にも、新型コロナウイルス感染症の影響を始めとして、さまざまな環境変化がありました。いろいろなメーカーも苦労していると思いますが、半導体などの部品調達難や、それに伴う部品等の価格の高騰が事業活動に大きく影響を与え、計画を下回る結果となりました。

しかしながら、そのあと弊社の中で部品調達の体制の強化施策を打ち出したこともあり、改善傾向になっています。中期経営計画値と比較しても、2024年3月期は増収増益予想となりました。

坂本:2024年3月期は売上・利益ともに伸びていて、増収増益予想になっています。先ほど、部品調達難の影響とのお話がありました。努力でカバーした部分もあると思いますが、市況もかなり改善しつつありますか? 御社が使う部品を中心に、供給の状況を教えてください。

蓬田:市況も含めて改善傾向ではありますが、弊社の見立てではまだ100パーセントの回復には至っていません。正規の部品メーカーの代理店等ではないところからの調達を、我々は「2次流通業者」と表現しています。そのようなところから、高価な部品を購入することはさすがになくなってきてはいます。

ただし、実は正規のメーカー代理店からの部品調達の価格が高騰していますので、まだまだ100パーセントの回復には至っていないと判断しています。

坂本:御社が使う部品で、何が一番足りないですか? やはり半導体ですか?

蓬田:おっしゃるとおり、半導体です。ピーク時には、モールドの成形材料やPCBと呼ばれる基材などあらゆる部品が足らず、完全にモノが作れない状況でした。

サクサの強みは【モノづくり】

蓬田:ここから、弊社が具体的にどのような事業に取り組んでいるのかをご説明します。本日は代表的な3つの事業についてご紹介します。

1つ目はプロダクト事業のボタン電話装置についてです。弊社の強みは、通信技術とモノづくりです。その強みを活かして、統合前からボタン電話装置の製造・販売を手がけています。主に中小企業向けに、全国の販売店経由で販売しているビジネス形態です。

2つ目は同じくプロダクト事業のネットワークアプライアンスです。ボタン電話装置と同じく中小企業向けで、なおかつ同じ商流で販売しています。

主に、企業のネットワークの入口に付けて、昨今の留まるところを知らないさまざまなサイバー攻撃を検出・防御する装置を扱っており、「UTM」と呼ばれる製品を主に提供しています。

3つ目がソリューション事業の映像・AI・IoTソリューションです。今ご説明した2つとは少し違い、モノづくりの強みを活かした事業ではありません。映像・AI、画像解析や画像認識技術、それと連動するIoTを組み合わせてシステムにして、例えば、受託開発をしたり実証実験(PoC)を手伝ったりと、お客さまの課題解決のための提案をしていくビジネス形態です。

坂本:3つのセグメントについてご説明いただきました。全体の売上・利益は伸びているとのことですが、この3つのプロダクトの売上と利益の割合を大体でよいので教えてください。

蓬田:実は、この3つの事業の区分けでは、特に利益は公表していませんので、それぞれのトレンド的な説明をしたいと思います。

1つ目の自社ブランドは、弊社の中では収益性の高い事業を担っています。ただし、ボタン電話装置自体は成長市場ではなく漸減市場と言われており、少しずつ減少してきています。ただし、ネットワークアプライアンスは収益性が高く、弊社としては重要な継続事業としています。

2つ目のOEMについては、収益性はやや厳しい面がありますが、自社で開発した事業ではないという側面もあり、パートナー企業の事業ですので、我々は見込み情報をいただきながら生産しています。自社でコントロールするのがなかなか難しい事業ですが、一定の規模感はあり収入は見込めますので、我々の生産の強みを活かしながら対応しています。

3つ目のシステム提案については、Webマーケティングを駆使することで、多くの問い合わせをいただいています。そのような問い合わせの中から、提案して、実証実験を行い、検証する流れになっていますので、正式な受注までは時間を要しています。規模はまだ小さいのですが、これからの成長を期待している事業です。

自社ブランド ボタン電話装置

蓬田:今ご紹介した3つの事業について、もう少し具体的にご説明したいと思います。まずボタン電話装置についてですが、あらためてボタン電話装置と聞いて、どんなものかイメージがつきますか?

坂本:会社によくある短縮ダイヤルなどを押すようなイメージです。意外と間違えて電話してしまうことがあるので、僕もサラリーマン時代によく電話番号を登録して電話していました。

蓬田:以前、投資家さまとの個別ミーティングの時にボタン電池と間違われたことがありましたが、おっしゃるとおり、写真を見ればわかるように電話機です。ビジネスフォンとも呼ばれている製品ですが、主に企業、会社等で使われる電話機の総称で、ボタン電話という言い方をしています。

昨今の働き方改革で、テレワークやリモートワークが進み、ボタン電話に変わるスマートフォンも出てきていますので、「今後このようなボタン電話はなくなるのではないか?」というご質問を投資家さまからよくいただきます。

結論から言うと、決してすぐになくなるものではありません。確かに先ほどのご説明のとおり、成長市場ではなく漸減傾向ではありますが、日本では、例えば東京の市外局番03から始まるいわゆる企業の代表番号は、なかなか変えられないところもあります。

その代表番号の回線を収容し、その回線ごとに着信を振り分けたりできるこのボタン電話装置は、まだまだ一定の需要があると我々は感じています。

一方で、今後市場が漸減する中、弊社としてもそのまま収益減少とならないように、いろいろな特徴を出しています。例えば、先ほどもスマートフォンの話が少し出ましたが、外にいても、内線電話機と同じように使えるスマートフォンと連携した機能や、弊社独自のもので、卓上の電話機に人感センサーを埋め込んだものもあります。これにより、簡易的な防犯対策をボタン電話で実現するなど、付加価値もつけながら、顧客の獲得を図っています。

坂本:ボタン電話をずっと使い続ける方もいますが、最近のスマホ世代に合わせてアップデートしたようなシステムも作られているということですね?

蓬田:おっしゃるとおりです。

坂本:シェアとしてはやはり、従来のボタン電話のほうがまだずっと多いですよね。

蓬田:そうですね。ただしボタン電話の追加機能として、会社では卓上電話機を使いながら、外に出た時にはスマートフォンも同じように使えるという機能があります。

弊社は「MLiner」というブランドで、スマートフォンと弊社のボタン電話を連携させるアプリケーションを提供しています。忙しいビジネスマンにとって、時間や場所の制約を受けない自由度の高いコミュニケーションを確保することが、非常に重要であると考えていますのでそのような取り組みをしています。

ネットワークアプライアンス

蓬田:プロダクト事業からもう1つ、ネットワークアプライアンス事業についてご説明します。先ほど、主に外部からのサイバー攻撃などに対して、それを検出・防御する装置の話を少ししました。

サイバー攻撃というとスパムメールやウイルス侵入がありますが、今日はその専門的な話は割愛し、このネットワークアプライアンス事業に関して、投資家さまからよく、「競合企業に対する優位性はあるのでしょうか? それは何でしょうか?」というご質問を受けますので、その回答を通じて、弊社の特徴についてご説明を加えたいと思っています。

ネットワークアプライアンスは、サイバー攻撃などを検出する製品ですが、競合企業としては主に大企業から中堅企業までをターゲットにビジネスをしている外資系企業が多く、製品自体も大型のものが多いです。

他社ではその大型のものを、ダウンサイジングして中小企業向けに展開しているというかたちが多いと認識していますが、それに対して弊社は、はじめから中小企業をターゲットとしてそれにマッチした製品にしています。機能や設定のしやすさ、価格なども含め、はじめから最適なものにチューニングしているということが優位性の1つとしてあります。

また、競合は外資系と言いましたが、弊社の製品が国産であるという点も、お客さまへの安心感、信頼感となり、優位性になると感じています。

中小企業は、大企業のようにセキュリティ対策に大規模投資を行うことがなかなかできないというのが現状で、そもそもそのような中小企業には情報セキュリティのための専任者などもいないというパターンが非常に多いです。

そのようなところに対して、弊社はボタン電話装置で長年培った中小企業向けの迅速丁寧なサポートについても評価いただいている点であると認識しています。

映像・AI・IoTソリューション

蓬田:3つ目の映像・AI・IoTソリューション事業についてご説明します。この事業は、AIを使った画像解析・画像認識と、IoT技術を組み合わせたシステム提案を行っている事業です。物を売るのとは少し違いますが、映像ですのでカメラは必要になります。映像用のカメラについては自社開発していません。

ただし、カメラについては、マルチベンダーを強みにしており、お客さまの要望に対して最適な機器を複数のメーカーから選択して、そこに自社開発のソフトウェアなども組み合わせ、システム構築まで行っているというのがこのビジネスです。これだけでは少しわかりにくいと思いますので、本日はその一部を3件の事例を交えてご紹介します。

映像・AI・IoTソリューション 事例紹介

蓬田:1つ目は「駐車場でのお困りごと」と表記していますが、駐車場ビジネスをしている企業の課題を解決した事例です。土地の空きスペースの有効活用や、商業施設、公園や駐車場を設置して運営する場合など、いろいろな課題があると相談を受けています。

例えば平面駐車場では、駐車スペースの数だけ車を固定するフラップと呼ばれる設置工事が必要になるのですが、それが多くなればなるほど当然、初期費用が膨らみます。運営時においても、そのフラップや出入り口のゲートバーのようなメカ部分が壊れやすい、あるいは壊されるという問題もあります。

坂本:最近、この設備がない駐車場が少しずつ増えていますね。

蓬田:そうですね。また雪国、北国での屋外駐車場では積雪や凍結による停止や故障などが問題になります。

それに対して弊社は、画像認識技術を長年扱っていますので、車両検知や車両ナンバー認識、さらにリアルタイムの映像と組み合わせて、情報管理までをシステム化しています。

先ほどおっしゃったとおり、最近いろいろなところで見るようになってきたフラップやゲートバーが不要となる駐車場をシステム化し、設備投資や運営費用を最小限に抑えるということを実現しています。

映像・AI・IoTソリューション 事例紹介

蓬田:2つ目は、少し変わった事例を持ってきました。中古のトレーディングカード等を販売されている企業のご相談事例です。トレーディングカードをご存じですか?

坂本:最近流行りの『ポケモンカード』や『遊☆戯☆王』など、いろいろありますね。

蓬田:昨今のトレーディングカードは、1枚数十万円や、物によっては1,000万円を超えるものまであるのです。1枚のカードでそのようなものもあるということで人気化しています。

そのようなトレンドとともに、売買の取引が頻繁に行われており、例えば大量に持ち込まれた時は、その真贋判定を含む査定をします。その査定にやはり多く時間を費やすため、カードをお預かりしてから結果案内までお客さまを待たせてしまうということになり、お店としてもその業務の効率化や店舗間のオペレーションの平準化、また人為ミスの低減などが課題であるというご相談を受けました。

弊社は画像データ、AI解析を組み合わせて、カードをスキャンするだけで自動的に撮影判定をサポートするような読み取りシステムのAI部分の開発に携わり、その結果、そのお店比較ですが、作業時間はこれまでの約10分の1に短縮し、さらに判定精度の向上について、たいへん喜ばれたという事例です。

映像・AI・IoTソリューション 事例紹介

蓬田:3つ目は、運送現場でのお困りごとの解決事例で、お客さまと弊社が一緒に実証実験を行って、最終的にシステム提供に至った事例になります。

これまで運送業を営んでいる企業は、トラックの駐車施設内に複数の作業者を配置し、車両の把握や荷物の積み下ろしの管理を人力で行っていました。空いている駐車スペースの確認や、どこにどのトラックが停まっているかというような停車車両の位置情報の確認を人が確認していたのですが、そのための要員の問題だけではなくて、滞留が増えるとどうしても出入りが混雑し、なによりも貴重なドライバーの拘束時間が増えてしまうという問題等についてご相談を受けていました。

この事例では、カメラで撮った映像をAIで解析することで、混雑状況を把握したり、空きスペースを自動で見つけたりでき、さらにはそれをわかりやすくしたタブレット等のアプリケーションも開発し、少人数でリアルタイムに施設内の状況を把握できるようにしました。

その結果、先ほどの課題解決だけではなく、アイドリングの騒音や排ガス問題など、地域住民への配慮などにもつながったという事例です。これらのようなさまざまなシステム提案により、お客さまの課題解決を支援しているのが映像・AI・IoTソリューションとなります。

以上、弊社が取り組んでいる主な3つの事業、ボタン電話装置、ネットワークアプライアンス、映像・AI・IoTソリューションについて、事例を交えてご説明しました。

配当方針

蓬田:最後に弊社の配当方針についてご説明します。弊社は安定的かつ継続的な株主還元を目指しており、配当性向30パーセントを目処に配当を実施しています。

30パーセントは決して高い数字ではないと認識していますが、メーカーの特性上、事業拡大のための開発投資のほか、保有している生産工場への設備投資のための原資を確保した上で株主のみなさまへ継続して安定的に配当を実施するために、事業成長による利益確保に努めています。

配当実績

蓬田:直近3年の配当実績です。売上高および営業利益推移のご説明でも少し触れましたが、弊社は部品調達難などの影響による収益減から早期に立ち直った結果、中期経営計画の収益目標を上回る業績となっています。

そのため、期初の配当予想から増配を実施しています。昨年度は配当予想30円から5円増配した35円、今年度は配当予想60円から35円増配した95円に修正しています。

ただし現在の弊社の株価は2,500円、PBRは0.6倍程度と、資産価値を下回る評価となっています。今後は期待値のある事業への成長と転換を図るとともに、株主還元も重要な経営課題であると考えています。

坂本:PBRが1倍を大きく割った0.6倍程度ですが、1倍に向けて継続的に取り組まれている施策があれば教えてください。

蓬田:2024年度を初年度とする新たな中期経営計画を策定中であり、PBR1倍割れの施策についても検討している最中です。詳細は次期中期経営計画の中で公表していくため、もう少しお待ちいただきたいと思っています。また、あらためて次期中期経営計画の中で配当政策などについてもご説明する予定ですので、ぜひご期待いただければと思っています。

質疑応答:土地活用の取り組みと進捗状況について

坂本:前回登壇された際のアップデートをいただきたい点がいくつかあります。1つ目は、御社の土地活用についてです。

相模原の移転のほか、売却や賃貸などによる原資を配当に回すというお話もあったと思いますが、そのあたりの取り組みと現状について教えてください。

蓬田:弊社が事業で使用していた神奈川県相模原市の不動産を賃貸する件は、順調に進捗しています。すでに公表していますが、2024年11月頃の賃貸開始に向け、現在は順調に更地化を進めている最中です。

質疑応答:アミューズメント分野に関する最近の動向について

坂本:「アミューズメント分野の事業について、最近の動向を教えてください」というご質問です。

蓬田:弊社内ではアミューズメントをOEMに位置づけているため、今回のご説明では割愛しましたが、せっかくなので簡単にご説明します。

弊社が「アミューズメント」と呼んでいるのは、パチンコおよびパチスロ向けにカードリーダーモジュールを製造し、パートナーに提供している事業です。

直近では、新カードリーダーユニットの入れ替え需要が高水準に進みました。しかし弊社では、下期以降にはそれも一巡するだろうと見込んでいます。

坂本:入れ替え需要に関係があるかわかりませんが、来年の新札の対応なども関係していますか? カードリーダーユニットにお金は入らないのでしょうか?

蓬田:弊社では、カードリーダーの部分を担っているため、お金を入れるユニットとは別となります。

質疑応答:ボタン電話事業におけるM&Aの可能性について

坂本:「ボタン電話のマーケット全体の規模は縮小傾向であり、事業を諦める会社もあるだろうと思います。まだ残っている同業他社があれば、M&Aの可能性もあるのでしょうか?」というご質問です。

蓬田:おっしゃるとおり、ボタン電話のプレイヤーはそう多くはない状況ですが、当然ながら、各企業ががんばって事業に取り組まれています。業界再編のようなお話は我々もよく耳にしますが、はっきりはわからないという段階です。

実はボタン電話には、競合でありながら協業している部分もあります。互いの得意分野が異なる場合は、協業するといった関係性で進めています。

質疑応答:AI技術に関するノウハウの蓄積方法について

坂本:「画像認識の領域が非常に御社の強みということで、AIを用いた事例をご説明いただきましたが、このノウハウはどのようにして蓄積したのでしょうか?」というご質問です。

蓬田:当然ながら、最初はAIには取り組んでおらず、録画監視のようなビジネスから始めていましたが、さまざまなお問い合わせやご要望をいただく中で技術を習得していきました。

坂本:法人需要によって培ったということでしょうか?

蓬田:おっしゃるとおりです。

質疑応答:新規に対する営業や拡販の手法および販売チャネルについて

坂本:「中小企業に対しても非常にきめ細やかな営業をされてきたというお話をいただきましたが、新規の営業や拡販はどのように行われていますか? どのようなチャネルを使っているのか教えてください」というご質問です。

蓬田:お話の中でも少し触れましたが、弊社の中心は、全国の販売店さまに販売していただく間接販売ビジネスです。そのような意味では、エンドユーザーさまを直接開拓することは非常に少なく、弊社の製品を扱っていただく販売店さまの開拓が、弊社にとっての新規開拓のようなものです。

坂本:この社歴から考えれば、すでに開拓し尽くしている部分もあると思いますが、異なる隣接業界も開拓されるのでしょうか?

蓬田:先ほどのプレイヤーが限られているというお話とも関連しますが、ボタン電話に関して言えば、国内市場も漸減傾向にあり、決して市場自体が成長するものではないため、なかなか難しいところではあります。弊社としては同じチャネルに異なる商材を組み合わせながら販売店さまに販売していただくことで拡大を図っています。

質疑応答:ボタン電話装置を海外に拡販する可能性について

坂本:「ボタン電話装置の基本となる営業手法は代理店営業ですが、海外の市場はどうなっているのでしょうか? 海外に代理店を使って拡販することはあり得るのでしょうか? ビジネスの文化などを含めて分かる範囲で教えてください」というご質問です。

蓬田:現在、弊社は少なくとも海外展開をしていないため、詳しいとは言いがたいです。

海外でも類似したサービスが使われていますが、ボタン電話という文化ではなく、どちらかと言えば「IPPBX」という、クラウドを使ったIP電話サービスにいち早く移行しつつあると思っています。

通話中の電話を保留して転送したりするボタン電話は、日本独特の文化だと思います。欧米などは基本的に個別に着信が来るため、保留や転送などはあまりしないと聞いています。

坂本:海外の状況についても非常によくわかりました。

質疑応答:今後のネットワークアプライアンスの市場シェアについて

増井麻里子氏(以下、増井):ネットワークアプライアンスでは、御社は最初から中小企業にフィットしたセキュリティ対策の製品を供給されているとのことですが、一部の競合は海外メーカーであり、大手向けの製品を少し変えているとご説明いただきました。

現在のシェアや状況は今後も変わらず、御社の中小企業の部分は崩さず維持できそうでしょうか?

蓬田:そこは決して楽観視していません。現在は「UTM」というアプライアンスボックスを展開していますが、いずれこの業界もクラウドのような話になってくると思っています。

さらに、現在は一定の中小企業のシェアを占めていますが、次の展開についても考えていかなければいけないだろうという課題認識をもっています。

質疑応答:種子島宇宙センターの更新設備に関する公募を落札できた理由について

坂本:「JAXAの種子島宇宙センターにある、車両識別システムの更新設備に関する公募を落札できた理由は何でしょうか? おそらく技術的なものと価格を含めた理由だと思いますが、そのあたりについて教えてください」というご質問です。

蓬田:大きな理由には価格が挙げられますが、先ほどもさまざまな事例を交えてご説明したとおり、弊社は車両のナンバー認識などに古くから取り組んでいるため、車関係のノウハウを膨大に蓄積している点も、信頼された理由ではないかと考えています。

坂本:こちらは自社開発で技術も蓄積されたものですか?

蓬田:そのとおりです。

質疑応答:株価水準およびPBRを上げるための鍵について

増井:株価の水準についての質問です。PBRに関して、成長事業をもう少し成長させなければいけないとお話がありましたが、そこが鍵になるのでしょうか?

蓬田:先ほど次期中期経営計画についてお話ししましたが、その中ではポートフォリオの見直しも含めた成長事業戦略がポイントの1つだと考えています。

蓬田氏からのご挨拶

蓬田:本日はありがとうございました。冒頭でもお話ししたとおり、サクサホールディングスおよびサクサ株式会社は未だに投資家さまに知られていないと認識しているため、引き続きこのような説明会を開催します。

今後は、知っていただくフェーズから興味を持っていただける内容に変えていきたいとも考えているため、ぜひ次回以降もご視聴いただければと思います。本日はありがとうございました。