経営成績
塚野英博氏:スライドの3ページ、2018年度第1四半期の連結業績概要です。
売上収益8,676億円。前年から549億円の減収です。ユビキタス事業再編による減収影響が約480億円。この再編影響を除きますと、前年から約70億円の減収となりました。国内のSIビジネスが伸長したものの、ネットワーク・LSIの所要減少影響が大きく、前年を若干下回りました。
営業利益795億円。前年からは746億円の増益です。前年比の内訳につきましては、後ほど補足をいたします。第1四半期に、2つの大きな一時利益を計上しています。1つ目、退職給付制度変更に関する利益919億円。詳細につきましては、説明の最後に補足をさせていただきます。2つ目、PC事業の譲渡に関する利益115億円です。
PCの事業譲渡に関する利益は、営業利益と金融損益等に分かれています。事業譲渡に関連する利益の合計は230億円。Lenovo社、日本政策投資銀行に譲渡した株式持分に対応する利益115億円は、営業利益。継続保有する株式持分に対して、譲渡価格ベースで再評価を行った影響は、金融損益等に計上しています。
金融損益等174億円。先ほどコメントしました、PCの事業譲渡による株式再評価に関する利益115億円に加えて、為替の影響を中心に前年から増益です。
当期利益727億円。前年からは706億円の増益です。
営業利益の変動要因(2017年度1Q→2018年度1Q)
スライドの5ページ。営業利益の前年比について、2017年度第1四半期の利益49億円を起点に、主な変動要因をコメントしていきます。
まず、退職給付制度変更に関する利益919億円が、(スライドの)上向きの矢印。
次に、事業再編に関する影響が3つ。1つ目、前年に計上したニフティ、コンシューマー事業譲渡益170億円がなくなった影響が、下向きの矢印。2つ目、今年のPC事業譲渡益115億円が、上向きの矢印。3つ目、ユビキタス事業再編により、連結対象外となった営業利益約70億円が、下向きの矢印です。
最後に、マイナス48億円。ネットワーク・LSIが低調に推移しました。
事業別セグメント情報①
スライドの6ページ。セグメント別の一覧です。
営業利益をご覧ください。セグメントごとの内訳は後ほど説明しますので、ここでは1点だけ。「その他/消去または全社」について、補足をします。当年度の実績は746億円のプラス。前年から839億円の好転。先ほどの増減表でコメントいたしました、退職給付制度変更に関する利益と、事業譲渡益がここに入っています。
事業別セグメント情報②
スライドの7ページ。セグメント別の内訳です。
テクノロジーソリューションは売上6,643億円。前年から1.2パーセントの減収。営業利益40億円。前年から11億円の減益。要因につきましては、サブセグメント別に説明していきます。
事業別セグメント情報③
スライドの8ページ。サービスです。
売上は5,745億円で、ほぼ前年並みです。
ソリューション/SIの売上は2,289億円、前年から4.6パーセントの増収です。
前年好調に推移した製造・流通分野が引き続き伸長したことに加え、公共分野も増加しました。第1四半期の受注も前年を上回るペースで獲得できており、第2四半期以降も前年までの高水準の売上から、さらに上積みができると期待しています。
インフラサービスの売上は3,456億円。前年からは2.7パーセントの減収です。国内は実態ベースではほぼ前年並みの水準ですが、ソリューション/SIへ一部プロジェクトを移管した影響による減収がありました。
海外は欧州・北米が期待に届かず、減収です。
営業利益は110億円、前年から27億円の増益です。国内の増収効果を主因として、増益です。海外につきましては、効率化という点では進展があるものの、新規領域の売上拡大については、まだまだ期待値に届いていない状況です。
事業別セグメント情報④
スライドの9ページ。システムプラットフォームです。
売上は898億円。前年から8.7パーセントの減収です。
システムプロダクトの売上は518億円。前年から3.5パーセントの増収です。IAサーバが国内・海外ともに増加しました。
ネットワークプロダクトの売上は379億円。前年から21.4パーセントの減収です。国内向け携帯電話基地局を中心に大きく減収です。キャリアの投資抑制については、5Gへの投資が立ち上がるまでは、厳しい状況が継続すると見ています。
営業利益、マイナス70億円、前年から39億円の悪化です。ネットワークの減収影響を中心に、前年から悪化です。
事業別セグメント情報⑤
スライドの10ページ。ユビキタスソリューションの売上は1,153億円。前年から25.1パーセントの減収です。
事業再編による減収影響は、480億円のマイナス。携帯端末事業の再編と個人向けPCが、連結売上の対象外となった影響です。再編影響を除きますと、約8パーセントの増収。法人向けPCが伸長しました。
営業利益1億円で前年からは53億円の減益です。再編による減益影響は約70億円。それ以外につきましては、国内・海外ともに法人向けPCの増加もあり、増益です。
事業別セグメント情報⑥
スライドの11ページ。デバイスソリューションの売上は1,313億円。前年から3パーセントの減収です。
LSIの売上は615億円。前年からは11.7パーセントの減収です。スマートフォン向けLSIの需要が、低調に推移しました。
電子部品の売上は701億円です。PCや製造装置向けの物量が増加し、前年からは6.3パーセントの増収です。
営業利益7億円。前年から27億円の減益です。LSIの減収影響に加えまして、為替が前年から円高に推移した影響もあり、減益です。
第1四半期については、各セグメントともほぼ社内計画どおりの進捗です。
キャッシュ・フローの状況
スライドの12ページ。キャッシュ・フローです。
営業キャッシュ・フローは1,046億円のプラス、前年からは229億円の収入増です。退職給付制度の変更影響を中心に好転しました。
投資キャッシュ・フローは188億円のプラスです。PC事業の売却に加えまして、昨年まで関係会社であった中国の一般株式を売却した影響により、収入が支出を上回りました。
フリー・キャッシュ・フローは1,235億円のプラスです。
資産、負債、資本の状況
スライドの13ページ。資産、負債、資本の状況です。
純資産は1兆2,532億円。前年度末からは483億円の増加。自己資本は1兆1,349億円。自己資本比率、37.1パーセント。前年度末からは2.3ポイント好転です。
業績見通し
スライドの14ページ。2018年度の年間の業績見通しです。
まず、予想の前提となる為替レートです。米ドル105円、ユーロ130円、英ポンド145円、ユーロ/米ドル、クロス・レートは1.10。いずれも年初での設定レートを変更いたしません。足元のレートは円安傾向にありますが、先行き不透明な要素も多く、しばらく推移を見極めたいと思っています。
通期の業績見通しです。売上収益3兆9,000億円、営業利益1,400億円、当期利益は1,100億円。いずれも変更いたしません。業績見通しは、あくまで本業による利益の予想となります。
なお、第1四半期にはワンショットの特殊要因として、退職給付制度変更・PC事業譲渡に関する利益計上がありましたが、ビジネスモデル変革を含めさまざまな施策を検討している段階であり、現状では特殊要因を含め、通期の業績予想を変更いたしません。
退職給付制度変更による影響
最後に、退職給付制度について、補足をいたします。27ページになります。
本年(2018年)6月21日に、国内における主要な年金制度であります、富士通企業年金基金の一部制度変更を実施し、確定給付型年金制度いわゆるDB制度から、第3の企業年金制度と言われるリスク分担型年金制度へ移行いたしました。
低金利の継続など、年金の運用環境が変化する中、将来的な年金財政の悪化に伴う特別掛金の拠出など、不測のキャッシュアウトが発生するリスクを抑制し、安定的な年金制度を持続的に継続することが移行の目的です。従来のDB制度は、従業員に対する給付型があらかじめ確定しており、年金資産の運用リスクをすべて会社が負うものでしたが、リスク分担型年金制度は会社と従業員でリスクを分担いたします。
会社は将来、積立不足が発生するリスクに備え、そのリスクに対応できる掛金をあらかじめ上乗せして拠出し、年金資産を積み増します。一方、従業員側は、一定の限度額を超えて年金資産の変動が生じた場合には、給付額が調整されます。リスク分担型年金制度は、会計処理においては確定拠出型年金制度、いわゆるDC制度に分類されます。制度移行に併せて、リスク評価など年金債務の評価方法の見直しなどにより、一時の損益として第1四半期に919億円の利益を計上しました。
なお、2018年度通期の営業利益の影響は、リスク対応掛金の増加などもあり、869億円となる見込みです。また制度移行に伴い、年金債務・年金資産の清算も行い、これにより2018年3月末に2,152億円あった積立不足が、1,141億円の水準まで改善しました。
今回の制度移行により、従業員の給付減額リスクを抑えながら、企業年金制度の安定的・持続的運営を実現すると同時に、長年の経営課題でありました、退職給付の積立不足を縮小することができました。
ご説明は以上です。