2025年3月期 決算補足説明

辻川高寛氏:こんにちは。ポラリス・ホールディングス株式会社代表取締役社長の辻川です。このたびは、当社の2025年3月期決算補足説明動画をご視聴いただき、誠にありがとうございます。

本日は、2025年3月期の実行施策と決算概要、2026年3月期の業績見通しについてご説明します。

なお、当連結会計年度から、セグメントの名称を事業実態により即した名称とするため、従前の「ホテル事業」を「ホテル運営事業」に、「不動産事業」を「ホテル投資事業」に、それぞれ変更しています。本日においても、変更後の名称にてご説明します。

2025年3月期 主な実行施策ハイライト

2025年3月期の主な実行施策をハイライトとしてご説明します。

「ミナシアとの経営統合」についてです。2024年12月に、当社グループと同じく主としてリミテッドサービスホテルの運営を行う株式会社ミナシアの全株式を取得し、経営統合を完了しました。この経営統合の結果、当社グループの運営ホテル数および運営客室数は非常に拡大し、中期経営計画で掲げた目標値を大幅な前倒しで達成しました。

「運営プラットフォーム拡大」についてです。当社グループでは、新たに計16ホテル・1,673室の新規運営ホテル案件を2025年3月期中に獲得し、想定以上のペースで運営プラットフォームの拡大を推進しています。

「スポンサーグループとのリレーションの活用」についてです。当社のスポンサーであるスターアジアグループ企業との間で、両社のリレーションをより強固にするための包括的サポート契約を締結しました。

当社は、スターアジアグループとのエコシステムを活用し、2024年8月にはスターアジアグループと共同出資していた「KOKO HOTEL 築地銀座」のホテル物件の売却を通じ、匿名組合出資に係る分配益を約7億円計上しました。

加えて、スターアジアグループからの借入を活用し、海外事業における金融機関からの借入の返済を行いました。これにより、年額5,300万円の支払利息の削減による利益の向上を見込んでいます。

「戦略的な運営ストラクチャー変更」についてです。運営中のホテルにおける長期的な運営機会の確保と収益性の向上を実現するため、2025年3月期は計10ホテルで、固定賃料と変動賃料を組み合わせた賃借型への運営形態の変更を行いました。

「株主還元の強化」についてです。当社は、2025年3月31日を基準日として、16期ぶりの復配を行うことを予定しています。株主優待制度についても、当社グループホテルの割引宿泊券を配布する新たな株主優待制度を導入し、株主のみなさまへの還元施策の強化を図りました。

「成長戦略及び中期目標の策定」についてです。当社グループは、2024年5月に定量目標を含む2024年度から2026年度の中期経営計画を公表しました。中期経営計画の目標値は、ミナシアとの経営統合により大幅な前倒しで達成したため、2025年1月に新たな目標を設定した改訂版中期経営計画を策定・公表しています。

改訂版中期経営計画についてのご説明動画は本年1月30日に配信していますので、まだ視聴していない方は、お時間のある際にぜひご覧ください。

2025年3月期 決算ハイライト

2025年3月期の決算概要についてご説明します。当期の連結売上高は278億8,100万円、連結営業利益は28億400万円、連結経常利益は18億9,300万円、連結純利益は26億1,100万円となりました。第4四半期は、経営統合を果たしたミナシアの3ヶ月間の業績を取り込んでいます。

インバウンドを中心としたホテル需要が想定以上に推移する中、増加する需要を着実に取り込んでホテル売上を増加させることで、売上高および各利益ともに予算を上回る結果となりました。

当期純利益については、当社グループにおける近年の好調な業績動向等を反映して繰延税金資産を計上したことなどにより、大幅に増加する結果となりました。

2025年3月期 営業利益増減分析

営業利益の増減内容についてご説明します。2024年3月期は「ベストウェスタンプラス福岡天神南」および「フィーノホテル札幌大通」の販売用不動産2物件の売却により、一時的な不動産売却益約20億円を計上しています。その売却益を除いた営業利益は13億3,500万円で、そこから今期にかけては約2.1倍の増加となりました。

増加要因は、ホテル運営事業の増加6億7,100万円、ミナシアとの経営統合による3ヶ月間の業績の取り込み8億9,100万円、ホテル投資事業における当社運営ホテル「KOKO HOTEL 築地銀座」への匿名組合出資の分配益7億2,700万円などです。

減少要因は、ミナシアとの経営統合に伴い生じたのれんの償却額や、関連する外部アドバイザーへのワンタイム報酬等の経費合計6億4,400万円の計上などがあります。

2025年3月期 財政状態

当期末における当社グループの財政状態についてご説明します。総資産は671億7,500万円となりました。これは、主としてミナシアとの経営統合に伴うものです。

有利子負債は189億2,100万円となりました。これは、主としてミナシアの株式取得のために実行したシンジケートローン100億円の調達によるものです。

純資産は283億2,900万円となりました。これは主として、ミナシアの株式取得のために行った株式交換による増加です。

この結果、自己資本比率は29.7パーセントから42.2パーセントとなり、さらに改善しました。

ミナシアとの経営統合 - 統合の狙い

2024年12月に経営統合を果たしたミナシアとの統合後の当社施策についてご説明します。当社では、ミナシアとの経営統合の効果を早急に最大化するため、迅速な統合プロセスを積極的に推進しています。

具体的には、両社の本社機能を集約・統合するための組織変更を行い、人財の最適化を図り、本部長・部長クラスの責任者を両社で兼務する体制へ移行しています。

また、ブランド認知度の向上とセールスマーケティングの強化を図るため、両社の運営ホテルブランドの戦略的な統合や、ホテルブランドの統合に伴うロイヤルティプログラムの整備についての検討もスタートしています。

加えて、事業規模の拡大に伴うスケールメリットを実現するため、コスト面では、アメニティや各種仕入れ単価、運営関連の契約金額の比較・分析による条件交渉を実施しました。販売面では、同一エリアにおけるマーケット情報、販売戦略・施策の共有、人財共有、送客協力などを積極的に実施しています。

運営プラットフォームの拡大

当社グループの運営プラットフォームの拡大状況についてご説明します。2024年5月に公表した中期経営計画においては、当社グループの成長ドライバーとして「運営ホテル数および運営客室数の増大」「運営ホテルの収益力の向上」を掲げています。

当初の中期経営計画における定量目標値は「60ホテル・1万室」と掲げていましたが、ミナシアとの経営統合により、当社の運営ホテルは従前の約1.8倍、運営客室数は約1.6倍の規模にまで拡大し、中期経営計画に掲げた目標値を大幅な前倒しで達成しました。

また、新規案件の獲得も想定以上のペースで推移しており、2025年3月期は合計で16ホテル・1,673室の新規案件を獲得することができています。

このような状況を踏まえ、当社グループのさらなる成長に向けて、2025年1月に改定版の中期経営計画を発表しました。新たに、2027年3月期までに運営ホテル100ホテル、運営客室数1万5,000室とする目標を制定し、取り組んでいます。

運営プラットフォームの拡大 - 国内運営ホテル

ミナシアとの統合により、これまで当社グループが強みとしていたインバウンド需要が増加している都市圏でのホテルのさらなる増加に加えて、地域分散が進展しました。今後は、地方部でのインバウンドの宿泊需要の拡大も予想されており、その需要の増加を取り込むことが可能なポートフォリオへの成長を継続しています。

運営プラットフォームの拡大 - 開業予定ホテル

当社グループでは今後もさまざまなホテルタイプの出店を予定しており、さらなる新規案件の獲得に向けて企業努力を継続しています。

スライドには、すでに開示している開業予定のホテルを記載しています。今期以降も多様なエリア・ホテルタイプでの出店を予定しており、売上・利益のさらなる増大を見込んでいます。

運営プラットフォームの拡大 - 新たなホテルタイプの取り組み

当社グループのホテル運営能力の向上に伴い、これまでメインで展開していたリミテッドサービス型のホテルに加えて、中期経営計画で目標として掲げた「新たなホテルタイプへの出店」を着実に実現しています。

すでに、宿泊単価が5万円以上をターゲットとするスモールラグジュアリーホテルや、ハイグレードな客室を有するアップスケールクラスホテルの開業を予定しています。

また、インバウンド需要の取り込みに適したアパートメントホテルタイプの展開も、順調に強化できています。今期以降も東京を中心に出店を拡大し、ブランド認知度と収益のさらなる向上を図っていきます。

戦略的な運営ストラクチャーの変更

当社グループでは、コロナ禍における運営リスクを低減させるため、ローリスク・ローリターンの運営受託型ホテル案件の獲得を進めていましたが、昨今のマーケット環境の大きな改善に伴い、既存ホテルの運営ストラクチャーを見直しました。

2025年3月期は、10ホテルの運営ストラクチャーを、運営受託型から長期的で安定した収益を確保できる「固定賃料+変動賃料」の賃借型へ変更しました。これにより、2025年3月期末時点の運営形態は、賃借型ホテルの客室数が50パーセントを超えています。

今後もマーケット環境の分析やリスクとリターンの精査を通じて、新規ホテルと既存ホテルの両方で収益を最大化できる運営ストラクチャーの構築を継続していきます。

主要指標の月次推移(国内ホテル)

2025年3月期における、当社グループの国内ホテルの主要指標の推移についてご説明します。

ホテルの客室稼働率はグループ全体で80パーセント程度と、安定的に高い水準を維持しています。客室単価は、都市部を中心としたインバウンドの増加を着実に取り込むことで上昇しており、前年度と比べて17パーセントを超える伸びとなりました。

その結果、RevPAR平均は前年度の8,220円から9,939円へ上昇しています。

主要指標の月次推移(海外ホテル)

当社グループにおける海外ホテルの主要指標の推移についてご説明します。フィリピンは国内と比べてコロナ禍からの回復が引き続き緩やかとなっていますが、回復傾向は継続しています。

その結果、前年度比で客室単価は19パーセント超の上昇、RevPARは25パーセント超の上昇となりました。国内・海外ホテルともに、今後も的確なレベニューマネジメントの実践やセールスマーケティングの強化を通してRevPARの最大化を図っていきます。

宿泊市場の動向:月別延宿泊者数

宿泊市場の動向についてご説明します。2024年度の延宿泊者数はすべての月で2023年度を上回っており、マーケットの拡大が継続しています。

日本人の宿泊者数は、コロナ禍前の2019年度と同程度まで回復しました。外国人の宿泊者数は2019年度を大きく上回っており、マーケットの成長を牽引しています。

宿泊市場の動向:国籍別外国人延宿泊者数

国籍別の外国人宿泊者数についてです。1位の中国が2019年の水準にまだ届いていない一方で、伸びが顕著な韓国やアメリカを中心に、いずれの国籍も上昇しています。

中国については、2024年末から中国人に対するビザの発給条件が緩和されていますので、コロナ禍前の2019年の水準を超えて進捗することが見込まれます。

宿泊市場の動向:都道府県別 延宿泊者数

都道府県別の宿泊者数を見ると、都市部や主要観光地での増加が顕著です。地方部においても、2019年との比較で宿泊者が増加している地域も増えており、インバウンドの宿泊需要が全国に拡大している状況が見てとれます。

ミナシアとの経営統合により地方部への店舗網も大きく拡大し、今後の増加が期待される都市部以外のインバウンド需要も着実に取り込み、売上の底上げを図っていきます。

株主還元施策

株主還元の状況についてご説明します。着実な企業業績の回復を反映し、16期ぶりに配当を行うこととしました。

当社においては、配当を公平かつ有効な株主還元策と位置付け、業績に応じた利益還元を配当政策としており、中期経営計画では連結配当性向30パーセントを目標値として掲げています。引き続き、着実な企業業績の成長と安定した利益配当を実現していきたいと考えています。

また、株主優待制度の見直しを行い、当社グループホテルを割引料金で宿泊いただける機会を増やすことを目的とした、新たな株主優待制度を創設しました。株主のみなさまには保有株式数に応じた宿泊割引券を配布し、ミナシアの運営ホテルを含む全国のホテルに割引料金で宿泊いただけます。

株主優待サイトについてはスライド右下にQRコードおよびURLを掲載していますので、ぜひご確認いただき、ご利用を検討いただけますと幸いです。

2026年3月期 業績予想

2026年3月期の連結業績予想です。2026年3月期は、売上高が457億円、営業利益が31億9,000万円、経常利益が21億円、親会社株主に帰属する当期純利益が20億円の見込みです。

ミナシアとの経営統合による成長や、引き続き好調なインバウンド需要を背景としたホテルマーケットの需要増加による成長、新規店舗の開業による収益の増加により、売上高・各利益ともに着実に増加すると予想しています。

当期純利益については、2025年3月期実績で繰延税金資産を計上したことにより、単純比較では減益の予想となっていますが、ミナシアとの経営統合により生じたのれんの償却額を除外した調整後数値との比較では、2026年3月期も継続的な利益の伸長を見込んでいます。

2026年3月期 営業利益増減分析

営業利益は、改定版中期経営計画において2026年3月期のターゲットとして掲げた、当該のれん償却額除外前の目標値26億円、のれん償却額除外後の目標値38億円のいずれも上回る見通しとなっています。のれんの償却額控除後の営業利益成長率は40パーセント超と、大きな成長を予想しています。

以上、2025年3月期の実行施策と決算概要についてご説明しました。株主のみなさまをはじめ、ステークホルダーのみなさまにおかれましては引き続きのご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願いします。ご視聴いただき、ありがとうございました。