2018年12月期第2四半期決算説明会

櫻井治久氏(以下、櫻井):櫻井でございます。よろしくお願いいたします。

ようやく、夏の暑さが一段落したかなと思っています。私どもの会社の業績について、すでにみなさまはご覧になっているかと思いますが、まだ厳しい現実に直面しております。そのあたりを少しご説明差し上げたいと思います。

本日は、いつもの通りに行いますけれども、会社の状況、概要、事業の内容のご説明をさせていただきます。

(その次に)2番目として事業環境。そして3番目として今年(2018年)上期の取り組みの成果と、今後の取り組みの予定(についてお話しいたします)。

最後に、決算の概要および業績予想についてのお話を差し上げます。

会社概要

まず最初に、会社概要と事業の内容についてお話しいたします。繰り返しになるかと思いますが、復習と思って耳に入れてください。

社名は、コスモ・バイオ株式会社。場所は(東京都江東区)東陽町にあり、私が社長をしております。設立が1983年8月ですので、35年が経ちました。資本金は9億1,800万円です。

事業内容といたしましては、ライフサイエンスに関する研究用の試薬、機器、そして臨床検査薬の仕入および国内・海外販売でございます。

従業員数は連結で130名。単体では101名になります。連結子会社が、ビーエム機器株式会社とCOSMO BIO USA, INC.になります。COSMO BIO USA, INC.は今年(2018年)から連結対象とさせていただきます。非連結子会社といたしまして、株式会社プロテインテック・ジャパンという会社もございます。

事業の内容 -商流-

事業の内容につきまして、商流と言いましょうか……私どもの主な仕事の流れについてお話しいたします。

卸販売になりますので、まず私どもが仕入先さまから仕入れて、それを代理店さまに納めさせていただきます。さらに、代理店さまから大学の先生方や企業の研究者のみなさまにお届けするという商流が中心となります。

事業の内容 -取扱い商品-

取扱いの商品でございますが、主に3種類になります。グリーンで示してございますのは、研究用試薬。年間でだいたい50億円弱ぐらいですが、こちらが7~8割ぐらいの売上シェアを示しております。

それから、機器が(取扱い商品の)28パーセント程度を占めます。そしてほんの一部、2パーセントほどになりますが、検査薬があり、臨床検査薬も取り扱っております。

主な商材である試薬ですが、抗体やケミカルのものを含めまして、小さい容量、小さい重さで、比較的付加価値の高いものになっています。

(付加価値が高いということは)つまり、研究用途が限られており、それを製造する過程も(高度な)ノウハウが必要とされるということで、1つ1つの商品が微量でも高付加価値になってございます。

ここ(スライド右側)に小さく写真が載っておりますけれども、指の先程度の容器に入った粉末で、例えば50ミリグラム、あるいはナノグラムといった想像もつかないような軽い、小さなものが主な商材となっています。35期で70億円強の売上になっております。

事業の内容 -試薬とは-

今申し上げました研究用の試薬について、もう少しご説明いたします。

おそらくみなさんも学校におられた(学生だった)頃に、理科や化学、生物学の実験などで試薬を使われた経験があるかと思います。食塩や砂糖といったものも、もしかすると試薬の中に含まれるかもしれません。

ケミカル以外にも、生物の体内から取り出した微量の成分……タンパク質や細胞、あるいは核酸といったもの。そのものであったり、それらを2つ、3つ合わせて反応させるための溶液など、非常に多種類の試薬がございます。

この試薬の中でも、ライフサイエンス用……つまり生物化学、生命科学を研究するための試薬につきましては、生物から抽出したもの、あるいはその物質を合成したものになります。

(それらの試薬は)数十マイクログラムなど、目に見えないくらい少量で提供されるものです。体の中(にある物質)を体の外に出して、(例えばどういう反応があるのかといった)実験をするためのもので、非常にわずかな量で使われるものです。

逆に言いますと、体の中では、極めて少ない量の成分が、何かしらの働きをしているということになります。みなさまも、胃薬や風邪薬、錠剤をお飲みになることがあると思いますが、その中に含まれる成分1つ1つを考えてみてください。

タブレット1つは非常に小さいものです。体重70キロ(の人間)に対して、それこそ1グラムにも満たないようなタブレット、あるいはカプセル(が作用します)。その中に含まれる(1つ1つの)成分は、さらにそれ(タブレットやカプセル)よりも小さいわけです。

このわずかな成分が体の中で反応を起こして病気を治したり、あるいは生活の改善といった効果をもたらすわけですが、試薬というのは、その反応を起こすために、試しに使うお薬ということでございます。

化学用の試薬は、実は非常に大きいシェアを占めております。塩酸や硫酸など、そういったものも試薬でございますが、私どもが取り扱っておりますライフサイエンス用の試薬というのは、先ほども申し上げましたように、非常に少量ながら、研究に重要な役割を果たすのです。

事業の内容 -機器・器材・消耗品とは-

それから、もう1つの核、消耗品・機器です。

今日は持ち合わせておりませんが、例えば、今申し上げました少量の液体を、ピペットで取って別の容器に移すとき、そのピペットの先につくような使い捨てのチップというものがあります。そうした使い捨てのプラスチックの器具なども取り扱っております。

それから、こちら(スライド上段の中央)にありますのは、プレートと言います。大きさはスマートフォンくらいでしょうか。

そのプレートの中に穴がありまして、その穴1つ1つに少量の試薬を入れたり、あるいは少量の細胞を加えて培養したりといった用途で使う容器になります。こちらを消耗品として提供させていただいております。

それから、こちら(スライド下段の中央)は電気泳動装置です。大きさはパソコンぐらいでしょうか。これはプラスチックでできているものなのですが、タンパク質、あるいはDNAといったものに電気を通すことで、ゲルの中で物質を動かして、どちらの方向に動くのか(といったことを調べます)。

分子の荷電の状態によって動き方が変わってくるため、その変わってくるものを指標にして、どこに何があるのかを調べる道具です。これは大学や企業の研究室ではポピュラーで、比較的使われています。こうした細かい商材も取り扱っております。

こちら(スライド下段の右側)の機械は、超音波破砕機になります。大きさは大型の電子レンジぐらいでしょうか。超音波ですので、音を当てることでものを変える作業に使います。

具体的にどういうことかと言いますと、細胞を培養して、その細胞を液体にしてしまう……つまり、細胞膜を破壊します。あるいはタンパク質の長い分子を細かく切ってしまいます。

その細かく切った分子の状況を、こういった機械で調べていくという、前処理のための機械のようなものです。こちらも大学等では比較的ポピュラーで、使われている機械です。

そういった大きな装置……何千万円もするような装置ではなく、何十万円程度ですが、どの研究室にもあるような商材も取り扱っています。

事業の内容 -商社機能・メーカー機能-

一番最初のスライドにもございましたが、メーカーとコミュニケーションを取って、こちらからお客さまに届けるわけですが、私どもの取引先のメーカーが、世界中で約600社ほどになります。

この(取引先企業)数は、上下しながらも、トータルの数はあまり変わっておりません。

また地理的に申し上げますと、(取引先は)ヨーロッパとアメリカが中心になりますが、中国やオーストラリアのメーカーともお付き合いをさせていただいています。

(当社には)そうした世界中のメーカーから商材を調達して、国内の研究者さまにお届けするという部署と、あとで詳しくご説明いたしますが、私ども独自の事業部といたしまして、札幌に、自社品の開発と製造を行う部署を持っております。そちらで、自分たちの持つ技術を投じた自社ブランド製品を製造し、少しずつ販売するようになってきております。

事業の特徴 -役割-

私どもの売りと申しましょうか……私どもにとって必要不可欠なビジネススタイルについてご説明します。何をやっているかと言いますと、(当社が扱う)商品自体は、世界中に、非常に膨大な量、膨大な種類がございます。

そして、大学やユーザーさま自体も、同じように膨大な(量や種類の)リクエストをお持ちになっております。その膨大なシーズと膨大なニーズを、私どもが間に入って、ご紹介するという役割を果たしているところです。

私どもの長所……アドバンテージといたしましては、非常に多くの商品を持って(扱って)いるというところです。それから物流に関しても、専門知識を持って対応している点。さらに、技術的な対応も進めているという点。そして、製品に関わる情報がニッチであるという点が、私どものアドバンテージであろうと考えています。

ここ(スライド右側)に掲載されている写真は、私どもの倉庫で保管している状況(を撮影したもの)です。試薬、とくにタンパク質や核酸、細胞も含め、生物由来の物質になります。

これらはいわゆる「ナマモノ」になりますので、仕入れから保管、お届けまで、極めて厳重な温度管理をしなければなりません。途中で凍ってしまってはいけないですし、途中で解凍してしまってもいけないなど、いろいろ(な制約が)ございます。それを輸入からお客さまへのお届けまで、一貫して管理するというサポートを行っております。

もう1つ大事なことが、関係法令・規制です。検疫が始まり、国内の非常に多くの法令が(関わってくるため)がんじがらめの状態で、商材の管理を厳しくしています。

一番身近なものが検疫なのですが……みなさま(ご存知のとおり)数年前にBSE(牛海綿状脳症)問題が起きたかと思います。BSE問題が起きたときには、私どもの商材も、輸入にあたってだいぶストレスがありました。(具体的には)牛由来の製品の輸入に際して、非常に厳しいチェックを受けました。

私どもが研究用の試薬としてお届けしましたのは、牛の血清や組織です。研究用ですので、口の中には入れないものですが、それでも日本国内に輸入するということで、動物検疫所で非常に厳しいチェックを受けました。ドキュメントをきちんと揃えて、問題ないものですということを証明して通関できるよう、手続きを行いました。

他には、毒物・劇物や薬物・危険物、あるいは遺伝子組み換え物質など、いわゆる「ハイテクな物」に対して、さまざまなレギュレーションがあります。

それらに対して、適切な法対応をするということも、私どもの使命でございます。

2018年事業環境について①

2つ目(の項目)になります。2018年の当社グループを取り巻く事業環境について、お話しいたします。

環境要因といたしまして、私どもは4つのポイントを考えております。

大学あるいは公的研究機関の研究費の動向。企業研究費の動向。競合会社の動向。そして、為替相場の4つでございます。

2018年事業環境について②

まず、大学・公的研究機関の研究費の動向についてです。グラフをご覧になれば一目瞭然だと思いますが、この数年、決して右肩上がりではございません。

国立大学法人に対する給付金についても、決して増加傾向とは言えないだろうと思います。背景として、こうした予算執行の状況があることは、間違いありません。

2018年事業環境について③

次に、企業の研究費の動向です。近年、大手製薬企業のM&Aなどによる経営合理化(が進んでいます)。これは非常に大きなファクターでございまして、合理化を進めるということは、それだけコストを削減するということで、お客さまの懐具合がかなり厳しい状況になってくる、それが現実でございます。

また、日本国内にあります研究施設をアメリカ、中国などの国外に移転するということも、私どもにとってはユーザーさまの流出・喪失につながることです。

その意味では、背景として厳しい環境ではありますが、この基礎研究の分野について言いますと、資金投資は、微増あるいは横ばいの傾向が継続していると解釈しています。残念なことに、急激な成長は見えておりません。これが、企業研究費の動向です。

そして、3つ目が競合会社の状況です。

こちらは、今申し上げましたマーケットの状況として、アカデミアの状況もよろしくない、民間の状況もあまりよろしくないという中で、事業環境は、非常に厳しいものになっています。シェア獲得のための価格競争が継続しているのが現実でございます。

今、私どもの競合の会社といたしまして、ここ(スライド)に主な企業を記載してございます。グリーンが、海外ブランド、外資でございます。ピンクのところが、製造部門を持っている国内の大きな会社さんです。純粋な輸入・卸業(を手がける会社)といたしましては、私ども(コスモ・バイオ)とフナコシさまという2社が大きな会社になります。

こうした構図の中、とくに外資の圧力によって、価格の維持がなかなか難しいというのが現状でございます。

2018年事業環境について④

最後のポイント、為替相場についてです。

みなさまもよくご存知のとおり、昨年(2017年)は、平均で112円。今年(2018年)は、上半期のアベレージとして、109円くらいでございます。

私どもの年間の見通しとして、115円という若干保守的な数字を立てて、それを予算に使っております。為替相場の動きにつきましては、私どもの利益にそれなりに寄与しているものでございます。

ただ、(昨年もそうでしたが)近年、USドルでの取引が減ってきています。全体的に減っているため、為替の影響をなるべく少なくしていく作業は、順調に進んでいるかなと思います。

2017年からの取り組み(3ヶ年計画)①

3つ目、(2018年)上半期の取り組みの成果と、今後の取り組みについてお話しいたします。

経営ビジョンといたしましては、「生命科学の研究者に信頼される事業価値を高める」ということで、研究者からの信頼をいただくことを、私どもの目的としております。

やはり、大学の先生方や研究所の研究者の方から信頼をいただくということが、なにより大切なことで、また、それがあってこそ企業の成長があると考えています。

どうやってその信頼をいただいていくのかということについて、3つのポイントを挙げました。

1つ目が「既存事業基盤の強化」。2つ目が「新たな事業基盤の創出」。そして3つ目が、それらも含めた上での「企業価値の向上」でございます。

2017年からの取り組み(3ヶ年計画)②

「既存事業基盤の強化」といたしましては、ここに記載のとおり、情報力・製品力・提案力(と考えています)。今、この事業の8割~9割方の売上を形成しておりますカタログ品の販売に必要な力をさらに強めていくということです。

2つ目の「新たな事業基盤の創出」についてですが、従来とは異なる成長分野を積極的に開拓していく(ということです)。これについては、次にご説明いたします。それから、資本・業務提携も着実に進めていき、競争力の維持・強化、事業拡大、コスト削減を進めていきたいと考えています。

そうした表向きの作業に加えまして、社内では、「企業価値の向上」として、こういった積極的なアプローチを支えるための業務の効率化……(具体的には)社内の人事評価制度の改革、リスク管理、CSR活動などを着実に進めております。

札幌事業所の状況(2017年10⽉稼働)

先のスライドでも申し上げましたが、新しい事業の創出といたしまして、昨年(2017年)、札幌に作りました事業所の状況をご説明したいと思います。厳密に申し上げますと、住所は小樽市となります。

培養細胞を動物の身体から切り出して、それを実験用あるいは試験用に研究者の方々にお届けするという初代培養細胞の製造事業を十数年前からスタートさせておりますけれども、その事業を札幌事業所で行います。それに一昨年(2016年)から新たに加わったペプチド事業、抗体事業なども対応します。

さらに、昨年(2017年)から始めた、ニワトリの卵を用いたゲノム編集技術によるタンパク質の製造についてもこの設備で進めております。

この設備ができるまで、札幌に点在しておりました2つの事業所をここに集合させました。恥ずかしながら、最初の自社ビルになります。

ここでの人員は25名ほどになりますが、事業を集約することで、人材を効率的に運用することができるようになっております。

今申し上げましたペプチド事業は業務提携により事業を拡大しています。また、鶏卵をバイオリアクターとしたタンパク質の製造は、産総研(産業技術総合研究所)や農研機構との共同研究成果になりますが、そういったことをこちら(の事業所)で行っております。

ペプチド事業の拡⼤

もうちょっと詳しくお話しします。ペプチド事業でございますが、2016年12月から事業を開始しております。ペプチド合成装置を新たに導入いたしまして、それを使って事業を展開しています。(従業員の)スキルといたしましては、従来ペプチド製造事業を行っていたメンバーを集めてスタートしました。

ペプチドは、アミノ酸をいくつかつなげたものです。タンパク質は、そのペプチドをさらにいくつもつなげたものです。つまり、ペプチドはタンパク質よりは小さく、アミノ酸よりは大きいというもので、想像もできないようなものになります。アミノ酸が10個くらい集まった鎖、それがさらにいくつも重なって、何万から何十万というアミノ酸が集まったものがタンパク質になります。

10個くらいのアミノ酸のつながりであるペプチドでも、十分に機能性、生体に対してのファクターを持っています。

私どもは、それを合成することでペプチドを作り出し、その作り出したペプチドに対する抗体を作ります。そのペプチドと抗体を使って、身体の中で起きている反応を身体の外で試験的に起こしてみる材料を提供する仕事を手がけています。

このペプチドの仕事については、非常に広い可能性が含まれています。

(スライド右側の)2つ目に記載がございますけれども、プレスリリースにも出しましたProteomedix Frontiersという会社は、東北大学のベンチャーです。

こちらは、ペプチドのデザインをする会社です。つまり「機能性のあるペプチドはこういう形ですよ、こういうつながりですよ」というような(配列デザインから合成までの)仕事をされているのが、Proteomedix Frontiersさんです。

そのペプチドのなかでもポイントとなるのが、(アミノ酸の一部の原子を安定同位体に置き換えた)AQUAペプチドです。放射性ではないのですが、同位体として……アミノ酸には「N」「H」「O」などがあるわけですが、ある種の機械を使うと、(例えば)そのHを追いかけることができるんです。

「H(水素)」のところにマーカーを付けて、マーカーを追いかけることができます。身体の中は無理ですが、例えば研究で培養細胞と何かの物質とを反応させるというときに、その反応において、Hがどこに行ったのかということを見ることができるます。

そのペプチドがどこで何をしているのかが見えるという特殊な技術なのですが、この特殊な技術を使ったAQUAペプチドというものを、私どもは提供しています。

昨年(2017年)12月から販売をスタートしておりますが、周知徹底と言いましょうか、露出度がまだまだ上がってきていないので、みなさまに一生懸命ご紹介しているところです。

それから、今年(2018年)の春に、メスキュージェナシスという会社さんと業務提携をいたしております。

こちらは、間葉系幹細胞という細胞に対して、ある特別なペプチドを作用させることで創薬に使うという技術です。詳しいことは、私もあまりよく理解していないのですが、つまり製薬のお客さまが使うサービスになります。

そういったサービスを提供するのがペプチド事業になりますので、今後、こちらの事業が成長していくことを期待しています。

遺伝⼦改変ニワトリを⽤いたタンパク質製造

もう1つ、ニワトリの卵の件についてです。

こちらは、NHK、あるいは新聞などに掲載されているため、みなさまも目にされているかと思うのですが、簡単に申し上げますと、ニワトリの卵の白身の部分に、貴重なタンパク質を作らせるという技術です。

簡単な操作で貴重なものができるというふうに考えたいところなのですが、養鶏場でどんどん卵が産まれてくる環境の中で、その卵の白身の中に重要なタンパク質を出すと。

一番最初に事業化を目指しておりますのは「インターフェロンβ」というタンパク質になります。「インターフェロンβ」は、感染症に対する防御に非常に大きな効果を示すタンパク質です。こちらは試薬レベルで販売しているのですが、年間の地球上での需要のすべてを卵1個でまかなえるのです。

今は、バイアルの中に数ナノグラムというレベルで、タンパク質を5万円や10万円で販売しています。その重さの何倍という形で計算していくと、50グラムの卵1個で、その成分を試薬で販売した場合、数億円の単位になります。

ただし、そういう売り方はしませんし、そういう売り方ではお客さまは当然買わないわけです。市場性を持たせる商品を作るためには、また別のアプローチの仕方があるだろうと思います。

少なくとも私どもは、試薬としてご提供できる「インターフェロンβ」を、2019年になりますが、なんとか市場に出していきたいと考えております。

技術的なお話を申し上げますと、ある意味では遺伝子改変技術でございます。遺伝子組み換えとはあまり表現いたしません。「CRISPR-Cas9」または「zinc finger」という技術を使ってこういった製品ができてくるのですが、そういう特別な技術で遺伝子を改変することで、ものを生産していくということを実現しようとしています。

先ほどの札幌事業所の駐車場のわきに鶏舎がございまして、そこに50羽ほどのニワトリがいて、毎朝のように「1個、数億円」というような卵を産んでいます。今のところは売り物になりませんので、数億円を捨てている感じがしますけれども、市場性のある製品を作っていくことが、これからの私どもの課題だと考えています。

今後は「インターフェロンβ」のほか、量産することがメリットとなるタンパク質を作ることを計画しているということで、ご理解いただければと思います。

⾃社ブランド製品・受託サービスの開発

もう1つ、これは3つの柱の中の1つになるのですが、エクソソーム研究分野での試薬の製造を行っております。

エクソソームにつきましても、すでにNHKなどで紹介されておりますが、目に見えない小さい脂質の二重膜です。

その中にRNA、DNA、ペプチド、タンパクといったいろいろな成分が入っています。その成分を見ることで、体の状況を知ることができるのではないかという研究が進んでいます。

とくに、がんの発症や、エクソソームの中に入っているものが細胞から細胞へどういう情報を伝えていくのか(を解明する)というような基礎研究の分野に使われようとしています。

脂質の二重膜と申し上げましたけれども、テニスボールをイメージしていただければと思います。テニスボールは、黄色いボールが使われていることが多いと思います。黄色い色が塗られているから、テニスボールだとわかるんです。

それと同じように、エクソソームがわかるようなマーカー……ある特殊な物質が表に出てきていて、その特殊な物質を検出するための抗体を私どもが取り扱っています。

こちらは塩野義製薬さまとの契約関係のもと、「CD9」として取り扱っており、国内では私どもが独占的に提供しています。いろんなものに含まれている粒子のため、それがどういう働きをしているのかということで注目され、研究されています。しかし、どこにどのくらいあるのかを調べるということができていないんです。

そのため私どもは、スタンダード、標品として、こういうものがエクソソームであるということを調べるために、牛乳から採ったエクソソームを試薬として販売しています。これは高品質な牛のミルクがなければ採れないもので、北海道のある農場の特別なミルクを使っています。

その中に含まれているエクソソームをどうやって調べるかというと、ELISAというキットを用いて調べます。もしくは、先ほど申し上げた「CD9」の抗体を使って調べる(こともできます)。そうした一連の商品をシリーズ化して販売しています。もちろん、ヒトのエクソソームの測定キットもすでに販売を開始していますし、現在エクソソーム測定のための特別な装置の開発を進めているところです。

試薬の主な部分については今申し上げましたが、それ以外でも機器として「HIENAIマット」というものがあります。これは、実験中に培養液が冷えて、培養細胞がうまく育たないといったことを防ぐ、冷えないマットです。またサービスといたしまして「遺伝子強制発現細胞株作製サービス」(も提供しています)。こちらは福島県立医科大学との共同研究になります。

その他「AQUAペプチド設計&作製サービス」や、先ほど申し上げました「ペプチド創薬サービス」といったことを、札幌の事業所で着々と(進め)、上市していく方向で進めています。

今後の取り組み

つまり、私どもは商社であり、かつメーカーとして研究者をサポートしていきたいのです。(そのためにも)3ヶ年計画を継続いたしまして、将来に向けた取り組みを展開していきます。

将来のためにやるべきことは、商社としての充実、利益率を高くすること。さらに、自分たちでサービスを提供すること。または、自分たちのサービスを導入してもらう割合を高めたり、私どもの製品の売上を高めていくことです。

それらを含めて、今3ヶ年計画を進めているところです。もちろん、このたび連結対象になりましたCOSMO BIO USA, INC.を通じた米国への商材提供も、着々と進めているところでございます。

連結決算対象会社について

最後になりますが、決算の概要および業績予想についてご説明いたします。連結決算対象の会社についてですが、ビーエム機器株式会社は2010年から連結を開始しています。事業内容は、ライフサイエンス研究用の機器類・消耗品の輸入と販売です。コスモ・バイオが研究用の試薬を、ビーエム機器が研究用の機器・器材・消耗品を扱うことで、試薬と器材の両面から研究をサポートしていきたいと考えています。

それから、COSMO BIO USA, INC.ですが、こちらは今年(2018年)から連結開始でございます。事業内容は、北米を中心とした新規商品・仕入先の探索、および仕入販売・販売促進です。自社で仕入れて、それを販売することも強化しています。コスモ・バイオの仕入先の探索の他に、コスモ・バイオの輸出品、COSMO BIO USA, INC.独自の仕入先の商品を、米国内のユーザーに販売しています。

連結業績ハイライト

業績のハイライトになります。売上高について申し上げますと、前年同期比では増収になります。ただ、当初の予想と比べますと、若干減収になっております。こちらにつきましては、2016年に大手の仕入先との契約が終了したことで、2017年の売上が大きく減少いたしました。その減少をなんとか取り戻すということで、今は一生懸命努力しているところです。

利益について申し上げますと、前年同期比では経常利益で減益、予想比で若干増益となっております。前期につきましては、昨年(2017年)に計画外で投資事業組合からの出資金分配益が計上されました。このため、昨年(2017年)経常利益が跳ね上がっておりますが、それに対してという意味で、前年同期比で減益になってございます。しかしながら、予想に反しまして利益は大きくなっておりまして、予想比といたしましては増益になります。

増益の原因は、販管費の節減、あるいは後ろ倒しといったことです。為替差益・差損につきましては、ほとんど発生しておりません。

連結損益計算書

連結損益計算書になります。

売上高は、2018年上半期の当初予想は39億円でしたが、実績といたしましては37億9,800万円になります。営業利益といたしましては、当初予想が1億5,500万円でございましたが、実績といたしましては2億3,300万円。経常利益は、2億円の予想でございましたが、こちらが2億8,500万円。親会社株主に帰属する四半期純利益は、1億2,500万円と予想しておりましたが、1億8,300万円になってございます。利益という面では、当初予想比の上で、経常利益も含めまして大幅な増益になりました。

四半期別動向(売上⾼、経常利益)

売上動向につきましては、先ほどご紹介したとおりのものをグラフにいたしました。

商品分類別連結売上⾼

商品別の売上高構成比は、スライドに記載のとおりの数字になっています。研究用の試薬の分野では4.8パーセント増、機器は(2.7パーセント)減です。臨床検査薬につきましては、ほぼ横ばいの状況でございます。

連結貸借対照表

連結貸借対照表につきましては、スライドに記載のとおりでございます。自己資本比率が若干増えました。

連結キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フローの計算書になります。2018年第2四半期で、20億8,300万円。若干減っていますが、大きな数字の変動ではございません。

2018年12⽉期の連結業績⾒通し

これらを踏まえまして、通期見通しでございます。通期で申し上げますと、当初予想通りに着地するのではないかと期待しております。売上高は75億円、営業利益が1億9,500万円、経常利益が2億4,500万円、当期純利益が1億5,000万円。当初予想のままで変更いたしません。

配当について

配当についてですが、中間配当といたしまして6円、期末の配当といたしましては、予定では8円と考えています。この場合の配当性向は55.3パーセントになるかと考えております。

以上になります。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:新規事業が、数字にどのように貢献してくるのか

質問者1:社長から丁寧にご説明いただきました札幌事業所の状況です。ペプチド、それから遺伝子改変ニワトリを用いたタンパク質製造について、今期の予想で試薬の伸びの中にかなり入ってくるのか、あるいは来期以降なのか(を教えていただきたいです)。

まだちょっと早いのですが、やっぱり新規の事業のところが、どういうふうに数字に貢献してくるのか。今期の状況、あるいは数字の反映について、もうちょっと補足をお願いします。

櫻井:ペプチドにつきましては、当初予想はもう少し売上に寄与してくる部分で、予算でも組んでございます。ただ、実はナショナルプロジェクトとの絡みなどもございまして、お客さまのほうの都合で若干スケジュールが押しています。

この影響で、売上が立ってきますのは、当初予想よりも若干遅れると踏んでおります。その分なんとか取り持とうとしているところですが、そういう意味では、ペプチドに関わる事業の数字に関しましては、若干後ろにずれるということです。

ただ今期の数字の見通しのベースには含まれておりません。それから、ニワトリ(を用いたタンパク質製造)につきましては、まだ数字の予測も立てられない状況でございますので、予算にも含まれておりませんし、スケジュール(の目処)もございません。

質問者1:ありがとうございました。

質疑応答:商社機能とメーカー機能の売上比率について

質問者2:御社の事業別の売上構成というのは示されていますが、商社機能とメーカー機能の売上比率はどんな感じになっているんでしょうか?

櫻井:ざっくり申し上げますが、9割5分が商社(機能)です。メーカー機能部分は、まだ弱いです。

質問者2:わかりました。マーケットがそれほど伸びていないので、既存の事業の延長線でいくと、やっぱり売上70~80億円のレベルですと大きく飛躍はできません。そこで、新しい事業の柱を作っていかないと100億円を目指せませんよということがあったと思いますが、100億円を目指す中で柱になるのが、札幌でのメーカー機能ということでしょうか?

櫻井:はい、そのように考えております。

質問者2:こちらの方が軌道に乗ってくると、仕入れ販売に非常に付加価値が付くと思うので、利益率も改善していくというような考えで間違いないでしょうか?

櫻井:間違いないです。

質問者2:それにあたって、メーカー機能の収益が本格化してくる時期というのは、だいたいどのようなイメージでお考えでしょうか?

櫻井:難しいところなのですが、今ご紹介いたしましたペプチド事業につきましては、来年(2019年)くらいから明らかな数字が出てきてくれなければ困るなと思っているところです。

それと、ニワトリの方ですね。こちらは、事業のやり方にもよるかと思うんですけれども、自分たちが製造まで100パーセントやるのか、そうではなくて、どなたかのリクエストに応じて、製造のためのニワトリを作っていくところに特化していくのか。

このあたりのことも含めて、まだまだ不透明な部分がありますので、スケジュール感につきましては、今のところ申し上げる内容はございません。

質問者2:わかりました。ありがとうございます。