主要決算数値①

清水喬雄氏(以下、清水):清水でございます。資料の業績ハイライトに細かい記述はありますけども、ポイントだけご説明いたします。

2017年度ですけれども、対前年度、増収増益でございました。ガイダンスも上回ったかたちで、最終的に17年度の数字が出ております。売上収益で4,219億円。営業利益で435億円強でございます。

業績ハイライト

石化(石油化学)は非常に良かったと思います。エラストマーは価格効果もあってJBE(JSR BST Elastomer Co., Ltd)、タイの工場の稼働が順調で利益が押し上がっています。

合成樹脂、プラスチックについては、ご存知の通り(2018年)4月1日にはUMGとの合併がございましたが、17年度はテクノポリマー1社の数値でございます。まだ合併をしていない段階の合成樹脂の数字になりますが、数量、価格ともに上昇しまして、高い伸びの売上、利益を達成しております。

多角化事業でございますが、対前年度では増収、若干の減益で、ほぼ前年並みという利益水準でございました。この中では、半導体は非常に良かったと思います。市場環境も良かったですし、私どものお客さまも非常に良い状況でした。ディスプレイ材料は、大きく伸びている中国市場での展開を進めたということで、パネル面積は安定して伸びていきましたが、その中で堅調に推移したと思います。ライフサイエンス事業は、どうしても能力増投資のお金が先行するということでございましたが、下期から事業が大幅に拡大してまいりました。ある程度のかたちは見えてきたと思います。この背景には、M&Aで第1四半期にSelexisというスイスの会社を買った効果も入っております。年末にアナウンスしたCrown Bioscienceについては、まだこの中に入っておりませんので、念のため申し添えておきます。

こういった比較的良い17年度の環境をベースに、18年度の数字も今回お見せしておりますが、売上で4,900億円、営業利益は480億円ということで、対前年度、2017年度比で増収増益を見込むと考えているところでございます。この中には、4月から合併をスタートしましたテクノUMGも入っていることを申し添えておきます。

ざっくりとは以上の通りでございまして、詳細については藤本経理財務部長からご説明申し上げます。

主要決算数値②

藤本隆氏(以下、藤本):主要決算数値でございます。

国際財務報告基準IFRSベースでの数字となっております。前年度の数字もIFRSベースに修正した数字でございます。2017年度は対前期で増収増益でございました。2017年の12月に上方修正しました年度ガイダンス値に対しましても、若干上回る着地となっております。

エラストマー事業は、第1四半期に売買スプレッドの改善による増益、第3四半期に販売数量増加による増益がございまして、利益を前期から大きく増やしております。

合成樹脂事事業も販売好調でございまして、増収増益でございました。多角化事業は、増収ではございましたが、営業利益は前期並みでございました。

半導体材料事業は、好調な市場環境に支えられまして、加えて主要な顧客で販売を増やしたこともあり増収でした。

ディスプレイ材料事業は、液晶パネル生産が拡大している中国を中心に販売拡大を進めましたが、売上収益はやや減少いたしました。

その他では、ライフサイエンス事業がKBI Biopharmaの販売数量拡大や、診断試薬材料の伸長により売上収益を伸ばしております。

連結損益計算書

スライド4をご覧ください。連結損益(計算書)でございます。

全社で売上収益は4,219億円。対前期9パーセントの増収でございました。3事業とも売上が増えております。

売上原価は販売増加や原料価格の上昇などによりまして増加しておりますが、対前期プラス7パーセントと、売上収益よりも低い増加率にとどまっております。

売上原価率は前期の70パーセントから69パーセント。1パーセントですが、低下しております。売上総利益は1,301億円です。プラス12パーセントの増加でした。

販売費・一般管理費は約870億円で6パーセント増加しております。人件費や試験研究費が増加しております。

営業利益は、その他の営業収益費用等、持分法投資損益を差し引きしまして約436億円となっており対前期プラス76億円、プラス21パーセントの増益でございました。

売上高営業利益率は、前期の9.3パーセントから10.3パーセントに上昇いたしました。

金融収益費用は利益側に26億円となりまして、前期から少し改善いたしました。そこから法人税所得を引いた当期利益は約350億円となっております。

さらに非支配持分の利益を引きました親会社株主の当期利益は332億円となりまして、対前期プラス約30億円、プラス10パーセントの増益でございました。

連結財政状態計算書

スライド5をご覧ください。貸借対照表でございます。

2018年3月末、2017年3月末ともIFRSベースの数字でございます。

資産合計は6,477億円でございまして、前期末から692億円増加しております。2018年の3月末が金融機関休日であった影響で、約100億円の資産負債が膨らんでいますが、増加のなかにはその影響も含まれております。

区分別で流動資産は前期末から138億円の増加でございます。金融機関休日の影響が100億円ほどございまして、そのほか棚卸資産の増加がありまして、増えております。

その下、非流動資産は前期末から554億円増加しております。有形固定資産はハンガリーのSSBR工場の建設や、ライフサイエンス事業での投資、JSRの研究施設の建設などによって増加しております。のれんは、細胞株構築受託会社Selexisの買収などにより増加しております。またその他は、保有株式の評価額上昇により増加しております。

負債は2,361億円となりまして、前期末から340億円ほど増加しております。

流動負債は149億円増加しておりますが、主に金融機関休日の影響などでございます。借入金は長短合計で173億円増加しております。海外子会社での借入の増でございます。

その下、資本は4,116億円で353億円の増加でございました。親会社の所有者に帰属する持分は純利益による増加、有価証券評価差額金の増加に、配当による減少を差し引きしまして、316億円の増加でございました。期末の自己資本比率は60.8パーセントになっております。

連結キャッシュフロー計算書

スライド6はキャッシュフロー計算書です。

営業活動によるキャッシュフローは税前利益と減価償却が増加しましたが、税金支払いのタイミング等がございまして、その他の支出が前期に比べて増えております。全体ではほぼ前期並みとなっております。

投資活動によるキャッシュフローでは、設備投資額373億円と、前期に比べて42億円増加しております。ハンガリーのSSBR工場や、ライフサイエンス事業への投資の部分になります。その他は、M&Aによる支出がありまして、133億円の支出となっております。

手元資金運用のところも、大きく変動しております。財務活動によるキャッシュフローは、主なものが配当金による111億円の支出でございます。その他は借入による増加でございます。

セグメント別損益:石化系事業

スライド7は、セグメント別(損益)でございます。

エラストマー事業でございます。

主要業界の状況といたしまして、タイヤ市場の状況は国内で前年比プラス1パーセント。世界では前年比プラス3パーセントの伸びとなっております。

エラストマー事業の前年同期比ですが、エラストマー事業の販売数量は、SSBRはプラス6パーセントと伸ばしていますが、事業全体では67万8,000トンとなりまして、対前期1万8,000トンの減少でございました。国内向けは前期並みでしたが、輸出が減少しまして、全体で減少となっております。売上収益は1,974億円でございました。販売数量は減少しましたが、販売価格が上昇いたしまして120億円。プラス6パーセントの増収となっております。

営業利益は149億円となりまして、対前期プラス69パーセントの大幅増益でございました。とくに第1四半期におきまして、前年の第4四半期の原料価格を反映した販売価格改定が想定以上に進みまして、一方原料コストも下がりまして、利益を大きく押し上げています。第3四半期も好調な利益水準でございました。

エラストマーの前年同期比は、販売数量は販売数量はここもS‐SBRは順調に増加しているんですが、全体の販売数量は減少でございました。売上収益はやや増加になっております。営業利益は原料価格上昇による利益スプレッドの縮小や、定期修繕による製品在庫の取崩や、持分法会社の不振などがございまして、大きく減少しております。

続いて合成樹脂事業の主要事業業界の状況としまして、自動車の生産は国内で前年比プラス5パーセント、世界では前年比プラス4パーセントの伸びとなっております。

合成樹脂事業の対前年比です。売上収益は約522億円でございます。販売数量が伸びまして、対前期比約プラス61億円、プラス13パーセントの増収でございました。国外で車輌向けが好調で、国内向けでも堅調でございました。

営業利益は約56億円となっております。販売数量増と価格効果によりまして約プラス17億円、プラス45パーセントの大幅増益となっております。

合成樹脂事業の対前四半期比でございますが、ここは販売数量が国内外ともにやや減少しまして、売上収益もやや減少しております。

営業利益は販売数量減に加えまして、原材料価格の上昇が利益を圧迫し、加えて定期修繕による製品在庫の取崩の影響もありまして、大きく減少しております。

セグメント別損益:多角化事業

スライドの8をご覧ください。多角化事業でございます。

多角化事業の全体の売上収益ですが、約1,724億円と前期比約プラス153億円、プラス10パーセントの増収でございました。とくに半導体材料が大きく伸びております。

半導体材料ですが、シリコンウェハーの面積成長は2017年で約7パーセントだったもようです。当社グループの製品も、ユーザー業界の好調に加えまして、主要顧客で販売を拡大しまして、売上収益は対前期比プラス132億円、プラス21パーセントと大きく伸びまして、約754億円となりました。主要製品はすべてプラスで好調でございました。

次にディスプレイ材料です。

液晶パネルメーカーの稼働率は年平均して90パーセント前後でございます。大型液晶パネルの面積は、年プラス5パーセント増加したもようでございます。

当社製品は、パネル生産拡大が続く中国市場向けで販売を伸ばしておりますが、販売価格の下落の影響がございまして、売上収益は約541億円、対前期比マイナス5パーセントとなっております。品種別では、絶縁膜等のその他LCD材料というところはプラス10パーセントになっておりますが、配向膜材料は横ばい、着色レジストは減少ということになっております。

その他については、売上収益は約429億円で対前期比プラス48億円、プラス13パーセントの成長でした。ライフサイエンス事業のバイオ医薬品の受託事業が伸びまして、売上収益を大きく増やしております。

営業利益ですが、多角化事業全体の営業利益は前期比マイナス2億円、微減でございますが、実質的には増益というかたちかと思います。前期にはその他の営業収益・費用に出資金の評価益や事業売却益があり、当期にはそれらはありませんでしたので、影響を受けまして営業利益が微減となっております。そういったところを除くと、営業利益は増えております。

事業別では、半導体材料は数量効果より大幅増益でございました。ディスプレイ材料は、利益を維持したかっこうです。その他については、ライフサイエンス事業での先行投資によるコスト増がありまして、減益となっております。

営業利益の対前四半期の売上収益はマイナス24億円、マイナス5パーセントでした。ここは円高の影響と春節によるユーザー稼働率の低下といった季節的要因がありまして減収となっております。

営業利益もマイナス33億円の大幅減益でございます。売上収益の減収の影響のほか、円高が効いているということ、期末に向けての費用増や棚卸資産の損失の計上等もありまして、大幅な減益となっております。

多角化事業のハイライトでした。

新セグメント区分

スライド9をご覧ください。今年度より開示セグメントを変更することにいたしまして、その解説でございます。

多角化事業を分けるということで、ライフサイエンス事業を拡大してまいりましたので、これまでの多角化事業をデジタルソリューション事業、ライフサイエンス事業、その他事業の3つに分けて開示することにいたしました。

デジタルソリューション事業はここにありますように、従来の多角化事業のうち半導体材料、ディスプレイ材料、その他ですが、エッジコンピューティング材料と呼んでいるARTON材料や光ファイバー材料などをまとめたものでございます。

それとライフサイエンス事業、その他の事業はリチウムイオンキャパシタなどの事業や、費用としましては将来に向けての次世代研究費等が入ってくる区分でございます。

通期業績予想

スライドの10をご覧いただきまして、2018年度、2019年3月期の業績予想です。

(2018年)4月のテクノUMGの合併効果や、5月、6月に買収完了予定のクラウン・バイオの買収効果を織り込んだ数値としております。

売上収益は4,900億円で対前期プラス16パーセント増、営業利益は480億円でプラス10パーセント増、親会社純利益は335億円で7パーセント増を想定しております。

なお、想定の為替レートは105円の前提でございます。

エラストマー事業が売上収益1,950億円、営業利益は100億円ということで、減益の予想でございます。グローバルな自動車タイヤの生産は緩やかに伸びる見込みで、その中で当社のS‐SBRは販売量を伸ばす計画でございます。ですが、営業利益はS‐SBRの拡販効果はあるものの、終わった年の2017年度の第1四半期の高い利益スプレッドがその後解消してしまったことや、当年度後半からハンガリーのS‐SBR工場が稼働いたしまして、最初は固定費等の費用負担が出てくるということで、減益を予想して100億円でございます。

合成樹脂事業は、テクノUMGが4月に発足しております。合併前の両社とも好調でしたが、18年度も引き続き市場が堅調に推移する見込みで、高収益を維持する計画でございます。売上収益は1,000億円、営業利益は95億円ということで、合併効果による大幅な増収増益を見込んでおります。なお、ここには出てきませんが、純利益はUMG側の持分がございますので、純利益についてはあまり大きく変わりません。売上収益、営業利益は大幅増になります。

デジタルソリューション事業は増収増益を見込んでおります。半導体材料は好調な市場環境に加えまして、先端デバイス向け材料の成長により増収になる見込みでございます。

ディスプレイ材料は、LCD材料の中国での販売拡大、エッジコンピューティング材料はカメラモジュールやセンサー用途での拡大の計画でございまして、増収増益を計画しております。

ライフサイエンス事業は、KBI、Selexisに続きまして、2018年度にはクラウン・バイオを買収して連結子会社化する予定でございます。創薬プロセスを支援する事業を推進しまして増収の計画です。損益は年度を通じて黒字になる見込みでございます。

なお、2018年度の1株当たり配当金は、10円増配しまして年間60円としております。

【参考】セグメント別損益:四半期推移

スライドの11はクォーターの数字を並べたものです。

【参考】営業利益 日本基準からIFRSの偏差説明

スライドの12は2016年度の国際会計基準の組替の状況です。

以上でございます。