平成29年3月期決算説明会資料

田尾祐一氏:今日はみなさま、大変お忙しい中、また多少雨がしとしとしている中ご来場いただきまして、ありがとうございます。

また日頃よりご指導ご鞭撻、いろいろいただいておりまして、あらためてここで感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

本日は28年度決算および新中経2、3ヶ年の中経についてご説明させていただければと思う次第でございます。

はじめに今後のグループ全体の進むべき方向、この骨格。あるいは私どもの思いみたいなものも少し話させていただければと思う次第であります。

新中経のスローガンは「コンサルティングアンドイノベーション」ということにいたしました。

この趣旨は、お客様に次々とコンサルテーション、ソリューションを差し上げる。それから我々自信、あるいはお客さまと一緒に革新していきたい。イノベーションを起こしていきたいと思っております。

まだページに入る前に1つだけ申し上げますけれども、私なりにこの「コンサルティングアンドイノベーション」という英語を和訳する、あるいは意訳させていただきますと、3つの袋ということになります。

何を言ってるのかとお思いかもしれませんけれども、みなさん結婚式でときどき話される、「結婚したら大切な3つの袋」というお話をご存知でしょうか。

1つは胃袋。毎日の食事がすごく大事だなと。2つ目は堪忍袋。怒ってはいけない。3つ目はお袋。この3つが大事だよと。給料袋の方が大事っていう方もいるかもしれませんけれども、よくそういう話が結婚式で話されたりします。

私も新中経コンサルティングイノベーション。大事なのは3つの袋と。

1つはお客さまの知恵袋に近いなと。お客さまにいろいろご相談の相手にしっかりなれると。2つ目はお客さまがお困りになったときに処方箋。薬を出せる薬袋となる。3つ目はお客さまに次々と新しい情報を提供できる福袋のような存在になると。

この3つが私の思うコンサルティングイノベーションを意訳したものでございます。

ちょうど北都銀行で、1万先を訪問しようという運動をここずっとやっておりまして、その1万先にいろいろなニーズ、シーズをお聞きするとともに、アンケートを取っております。

そのアンケートで、お客さまが銀行に何を本当にのぞんでいるのか、これを複数回答で選んでもらいました。

そのうちの上位3つが突出して多いんですけども、それを申し上げると、1つ目が事業内容を理解して、相談にのってほしい。これはまさに申し上げた知恵袋がほしいという話。

2つ目は、業績不振時に相談にのってほしいと。これはまさに薬袋の話。それから最後は、いろいろ事業の情報を提供してほしい。これはまさに福袋の話だと思っています。

ということで我々、コンサルティングイノベーション。これを抽象的に言いますと、3つの袋の2銀行。

あるいは行員養成をしっかりして、お客さまの期待に答えていきたいと。そういうふうに私は解釈しております。

営業戦略の革新

さて、それではページに入っていただきますけれども、じゃあそれをどうやって実現していくのか。それが2ページ目にあります。

テーマ1、営業戦略の革新と書いておりますが、これが第1のテーマであります。この営業戦略については2つのアプローチの方を分けて考えたいと。

1つはプロジェクト型。1つは事業制評価型ということになります。プロジェクト型というのは、言い換えればトップダウン型。銀行牽引型。

銀行がのろしを上げ、アドバルーンを上げて企画し、お客さまを巻き込んでいく。あるいは参加を促していくと。そういうかたちの営業革新。

キーワードで言いますと、ここに書いてありますように、地域の構造的課題を解決に資するプロジェクトを提案、コーディネートする。得意分野を生かす。例えばPPP/PFI。再生可能エネルギーなど。

それから地域課題を逆手に取って、成長分野として事業発掘していきたいと。例えば、観光・アグリ・CCRC・産官学金の連携。あるいはクラウドファンディングやマイクロ投資等でございます。銀行が引っ張っていくぞと。

それから、これに相対するのが事業制評価型ということで、これは先ほどのトップダウン型に対して、ボトムアップ型のかたちということでございます。

これはその名の通り、お客さまの潜在・健在ニーズにすっかり寄り沿い、一緒に知恵を出して案件を進め、課題を解決していくかたちということでございます。

事業制評価を主体としたコンサルティング営業へしっかり転換する。法人・個人一体営業によって、お客さまのニーズをしっかり一緒に実現していくと。事業制評価の実施先は 両行合計3年間の累計で、最低約3,000先ということに決めております。

営業店、本部、役員、外部連携先による、しっかり議論して、お客さまのところに何かをお持ちするというチーム営業を展開したいということでございます。

そのために人材を強化し、本部トレーニング、外部派遣などを積極的に行う。あるいは両行共同の研修を実施し始めているところでございます。

「プロジェクト型」地方創生への取り組み

次のページにいろいろ写真が出ておりますが、ここはまさに最初に申し上げたプロジェクト型のアプローチ。これの事例でございます。このへんにつきましては、あとで両行からもお話があると思いますので、ここでは飛ばさせていただきます。

「事業性評価型」地方創生への取り組み(1)

それから4ページ目。ここは逆にボトムアップ型。事業制評価型の地方創生の取り組みということでございます。見ていただければわかる通り、これは事業承継の例を書いておりますが、譲渡人から譲受人に。それにアドバイザーを含めてさまざまなところで銀行が関与していく。

下のほうに書いてございますが、例えば連携先や地元の公認会計士・税理士等とのビジネスマッチング、あるいはニーズに沿うように全体をコーディネートする役割、譲渡人の資産運用や相続のアドバイスを行いたい。

あるいは資金調達の支援、譲受後のビジネスを支援していきたいと。例えばそういうことに多彩な局面で関与したいということでございます。

「事業性評価型」地方創生への取り組み(2)

5ページ目に釈迦に説法ではございますが、簡単な今の「事業性評価型」地方創生の事例が書いてございます。

右側の秋田県の実例をお話しします。少しわからないように加工してありますけれども、秋田県で会社オーナーB氏の株式譲渡の話が出ました。他行メインの無借金先でございました。

支店長が継続訪問をしていた。このB氏から息子がゼネコンに勤めていて、後継者がいないと聞きまして、他の金融機関に先がけて事業承継の関与をいたしました。

何をしたか? 譲受人の紹介を北都銀行が本部から別の支店のお客さまにノミネートして対応しました。それから税務・法務両面からアドバイザリーとして提携先の税理士法人を紹介しました。

北都銀行はマッチングフィーを貰っております。さらに譲受人の資金調達支援ということで融資を4億と。それからB氏の資産運用を最終的にご提案中です。

年間3万社が日本全体で廃業する、それから事業会社のうち3分の2が後継者がいないということで、そういうお客さまのニーズにしっかり対応していきたいと思っている次第でございます。

業務効率化の普及

6ページお願いします。今まで営業戦略の革新について1本目の柱としてお話ししてきましたけども、Consulting&Innovation中計の2本目の大きな柱、2つあるうちの2つ目の柱はこの業務効率化の追及でございます。

あとで多少詳しく述べますけれども、前期の利益の我々の減少要因を考えてみますと、大きく分けて2つあると。1つ目は28年3月期、1年前の期に有価証券関係利益を公的資金返済原資確保のためにかなり強めに積み上げたこと。

アベノミクスの追い風もございました。その分が前期のマイナスに減少幅が大きくなっている1つの大きな要因。

それからもう1つはご存じの通り、マイナス金利の影響でございます。とくに他行よりマイナス金利による減少幅が多少厳しいのも、低金利時代が始まって以来の効率化への対応が後手に回っていること、遅れていることと認識しております。

こういう認識のもと、業務効率化の追及を徹底的にやらなくてはいけないということで、下のグラフを見ていただけますでしょうか。

我々が統合したのが平成21年10月でございますので、その統合前から経費がどう変化していくかを矢印に合わせています。

29年3月期で東北の地銀は93.8パーセントの経費水準にまで落としてきているのに、フィデアの場合は一度統合後、25年3月期に向けて落としましたけども、その後経費がまた増えて98.8パーセントということで、経費がほとんど落ちていないということでございます。

この経費について、先ほど申し上げたように中計の2本目の大きな柱として、第3次中計この3年間で約92パーセントにもっていくと。

さらに第4次中計、その後の3年間に86パーセント、合計で6年間で40億経費を落とすと、そういう計画を立てております。

今、6年間のことを申し上げましたけれども、今3年の中計は、平成29年度から平成31年度までの3年でこのペーパー作っておりますが、いわゆる収益シミュレーション、見通し、あるいは業務計画全体は内部では6年計画をしっかり作って、その手前の3年を公開しているというかたちにさせていただいております。

それではどうやっているのかということでございますが、ここに書いてあります通り、コストマネジメントの徹底と統合シナジーのさらなる追及ということでございまして、企画部門や管理部門の一本化を推進するプロジェクトチームを立ち上げております。

周辺システムやコールセンター、事務センターの統合。事務統合や後方事務の見直し、チャネルシフトによる営業店事務の効率化。店舗再配置・店舗見直し等を絡めて先ほど申し上げた数字をなんとか実現していくつもりでございます。

平成28年度決算の概要

では次にいきます。今度は平成28年度業績と平成29年度の計画についてもう一度復習してみたいと思います。

28年度決算の概要ということで、計画比・前年比がここに書いてございます。

だいたいここのコメントに書いてある通りでございますが、計画比についてはマイナス金利、それから市場動向等を勘案してもともと保守的な計画としていましたが、資金利益の上振れがプラス7億円、経費の下振れが4億円ありまして、経常利益は計画比ではプラス3億円、純利益が計画比でプラス5億円ということでありました。

ただその下、前期比を見ていただきますと、やはり市場金利の低下、金融市場の変動等を背景に、経常収益は前期比38億円減少しまして、経常利益は前期比69億減少した59億円。

親会社株主に帰属するいわゆる当期純利益は前期比42億減少し、46億円という数値でございました。OHRについては82.02パーセントということで72.53パーセントから9.49パーセント上がったという数値でございます。

平成29年度 計画

ここは今期の計画絡みのところでございます。ここも右に書いてあるところがだいたいの内容でございますが、緩和的な政策スタンスがしばらく継続する。

これは先ほど申し上げた収益シミュレーションでも金利はほとんど上がらないというふうに見てシミュレーションしております。

従って、引き続き貸出金利息や有価証券関係の損益が減少していると。経費も増加すると。これは一時的なものが大きいというふうに認識しております。

それから経常利益が36億円、前期比マイナス23億円。純利益は27億円で前期比マイナス19億円を見込んでいるということです。

それから一番下段にございますが、預金等平残は比較的金利が高い定期預金の商品性を見直すと、これによって多少減少すると。

また、貸出金は住宅ローンも含めまして、地方公共団体の資金率等、あるいは予算が縮まっていることも含めまして、全体的に減少を見込んでいると。

有価証券平残についての530億の前期比のマイナスを今期は計画しているということでございます。

主な要因(平成28年度決算、平成29年度計画)

ここは今申し上げた数値について細かく見ておりますが、あとでご覧いただければと思います。

ポイントだけ申しますと、左側のとこが青になって囲んでありますけども、前期比。それから右のとこ赤の丸で囲んであるここが今年度計画ということで、貸出金利回りは前期比11ベーシスポイント落ちていると。預金等利回りは3ベーシスポイントの落ちということです。

それから右上のほうにいきまして、預貸金利息差は預金等利回りのコントロールによりマイナス6億円だったものが今期はマイナス5億円になると。

とくに貸出金については書いてございませんがマイナス6ベーシスポイントさらに今期落ちると。預金はマイナス3ベーシスポイント落ちるというシミュレーションのもと計算しております。

それから有価証券利息配当金が国債残高の減少や市場動向を踏まえ、前期比マイナス16億円を見込むということです。あとはここは読んでいただければ大丈夫かと思います。

このページに書いてないところを多少わたしの私見も交えて申しますと、市場部門と営業部門に分けた時、どのぐらいの数字がマイナスにきいてしまったのかということをちょっと申し上げます。

まず市場部門につきましては、(5)有価証券利息配当金これがマイナス13億、それから(13)国債等債券損益これがマイナス9億、それから株式等関係損益(19)、これがマイナス12億ということで、市場部門のマイナスがマイナス34億ということです。これで経常利益がマイナス69億になっております。

前期比ですね。で、マイナス69億の内の半分は、この市場部門の影響が強かったということでございます。一方、営業部門はどのくらいかと申しますと、(3)の貸し出し金利息マイナス11億前期比。(4)の預金等利息マイナス6億の戻し。

それから(11)の預かり資産。これがマイナス11億ということで、平成29年3月期は合わせると、マイナス17億。市場部門マイナス34億に対して、営業部門マイナス17億の影響が、あったということでございます。

有価証券

有価証券の残高が書いてございます。

ここに書いてあります通り、国債や社債を中心に、有価証券全体の残高が減少する中で、その他有価証券、すなわち外国証券、投信、REIT、この辺が横ばいで推移しているということでございます。

その他証券の中で申し上げれば、外債が150億ぐらいこの1年間で減らしまして、その分約150億同じ額、投信・REITを買っていると。

ということで残高は、変わっていないということでございます。

配当方針

これは年の配当ですけども、配当は変わらず6円。中間配当、期末配当3円ずつということでございます。配当性向につきましては、13ページ下から2番目にございますが、29年3月には23.8パーセント。

来期は利益が落ちますので、42パーセントという数字になっております。それから今あの中計の全体の概要、コンセプト、それから決算について申し上げましたけども、最後にもう一度中計のところ、お話していなかったところを、振り返りたいと思います。

計画期間

計画期間と書いてございますが、先ほど申し上げたように、34年度までの6年間を見込んで、手前の3年の計画を立てているということです。

柱は右下の箱に書いてあります通り、コンサルティング営業、それから効率性を求める。効率性を図ることによって、筋肉質な経営体質を構築するということでございます。

目指す姿、スローガン、基本方針

基本方針として、もう少し細かい柱を立ててあります。事業性評価を増やすとした、コンサルティング機能の発揮。高効率なリテール営業体制の確立。お客様のニーズにお応えするための、人材育成の強化。業務効率化の追求。マーケット変化に応じた、市場体制の格付け。

この辺をしっかり基本方針として、やっていきたいと思っています。

営業体制の見直し

ちょっと急ぎですみません。この図はお客様の営業体制、お客様のニーズに合ったサービス、ソリューションを提供しよう。

法人個人の区分けで考えるのではなくて、個別なソリューションが必要な個別対応先と、マス商品でニーズが満たされるリテール先と、しっかり分けてそれぞれ、最適なアプローチをしようということでございます。

このコンサルティング営業が必要な、個別先にはソリューション提案型をしっかりやりますし、それからリテール営業の方については、効率性の追求をしっかりやりたい。

個別先・対応先にはこの図で見る通り、オーナー、役員層等も、個人も含むということです。法個人一体営業をしっかりやっていきたいな、ということであります。

概要(コンサルティング営業、リテール営業、人材戦略)

ではもう少し細かく、何をやるかってことが書いてございます。簡単に申し上げます。まず対面・非対面に分けてますけども、対面のコンサルティング営業。

本部渉外機能の強化をします。両行でコンサルティングのための、組織を強化しております。あるいはフィデアホールディングスでも、事業証券の専門家を2人雇っております。

対応訪問、営業店のミーティング、お客様のところに対応を強化したいと。

それから事業性評価ミーティングの活発化っていうことで、先ほど申し上げました、1万先訪問活動。それから荘内銀行のお客様を知る運動というのを、6選先選んでやっております。それを事業性評価ミーティングに繋げていきたいと。

やる項目ですけども、事業再生、事業承継、М&A、あるいはですね廃業ビジネスであるとか、婚活ビジネス、そういうものにも、対応していければと思っています。

右側リテール営業。ここにつきましては、とにかく営業店事務は効率化する。抜本的に見直す。ICTを使うということでございます。

それから店舗については、最適配置をもう一度よく考える。中長期的な課題でもあると思っています。それからクロスセリングの徹底。今まで住宅ローンの利用者に対する、クロスセリングが中心でしたけども、法人オーナーに対するクロスセリング、法人保険、預かり資産、事業承継、その辺もしっかりやっていくと。

それから非対面の方では、見ていただければわかりますけれども、非対面チャネルを強化するということで、コンタクトセンターの使い方、スマホ、Web、あるいはターゲットマーケティングをしっかりやる。フィンテックについてもここに入ると思っております。

それから人材戦略。人材ポートフォリオをよく見まして、作りまして、分析しまして、人材配置を有望マーケットに行う。

それから人材教育をしっかりやると。支店長にはソリューションを使いこなせるように、支店長全員コンサルタント化ということを、お願いしたいと思っております。

それからダイバーシティ、働き方、この辺は両行とも大変進んでると思いますのでご安心を。

オープンプラットフォーム戦略の進化(業務効率化の追及)

ここは営業とはまた別で、オープンプラットフォーム。我々の持ち株会社と両行が、それの下にあるという形のプラットフォームを、ガバナンス面それから業務効率化面、両方から徹底していきたいと。

ここにあのいわゆる丸い全図がありますけれども、今までが左でござます。重なってた部分が効率化されてきたわけですけども、まだ一部であると。

ところがこれからは右を目指すと、完全に一体化していく、共通化していく。ここによって効率化の、あるいは筋肉質な体制を作ろうということであります。

具体的には右下の最後に申します。地域特性を踏まえつつ、営業企画関連業務を一体化しよう。競争力ある商品やサービスを共有する。企画部門、管理部門など、本部の一本化を一層推進する。周辺システム、コールセンター、事務・システムセンターいろいろございます。

この辺を中計として、3年間ないし6年間で対応していきたいと、思っているところでございます。

目標とする指標

目標とする指標が書いてございます。ご参照いただければと思います。収益性、経営戦略、健全性、それぞれ3つの項目をプランで、仕上げていきたいと思います。

お付き合いいただき、ありがとうございました。では続きまして両行から、両行の取組みについて、ご説明差し上げたいと思います。

<荘内銀行>中期経営計画の骨子

上野雅史氏:荘内銀行の上野でございます。私の方からは荘内銀行の、第3次中期経営計画について、ご説明を申し上げたいと思います。

荘内銀行の第3次中期経営計画のスローガンを、「行動を改革し、『地域への浸透』『取引の深耕』を目指し、真に役立つ金融情報サービスを提供する」というのにいたしました。

一過性ではなく真に安定した、収益体質を構築するためには、やはり相応の時間が必要であるということでございます。まずはこの第3次中期経営計画の期間中に、貸出金利息や有価証券利息配当金など、基本となる収益が減少しているという問題に対しまして、

しっかりとした策を施し、次のステージへの飛躍に備える、3年間にしたいというふうに考えております。

<荘内銀行>基本戦略について

スローガンで掲げました、姿を実現するためには、3つの営業戦略と2つの経営戦略を進めてまいりたいと思います。地域産業への貢献や地方創生といった、本業への取組みを強化。

お客様の課題解決にしするコンサルティング機能の強化と、結果として貸出金利息それから金利収入の増強、それと効率化や働き方改革による、従業員1人当たりの生産性向上が、骨子であるということでございます。

本日はこのうち、地方銀行にもっとも求められております、地域産業への貢献について、地域産業への貢献について、そして、地方創生、それから、働き方改革について最近の取り組みを交えながら、ご説明をいたしたいと思います。

<荘内銀行>地域産業への貢献

まず第1に、地域産業への貢献ということであります。お取引先の成長に貢献するためには、事業性評価活動を推進してまいるということであります。

地方銀行は地域とともに存在する地域企業であります。その地方銀行にとりまして、地域企業の成長性にコミットする事業性評価、これはある意味本業であり、地域のニーズへの対応だけに終わらない、本質的な課題解決策を提案していくということが重要であると考えております。

こうした認識を踏まえまして、お取引先の現状と将来ビジョンをより深く理解することを目的といたしまして、平成25年度から、お客様を知る運動というものを展開しております。

現在では、名称を新たに、事業性評価活動というふうに変えまして、お取引先1社1社につきまして、担当者だけではなく、本部の担当セクションも組み込みながら、ソリューションの提案活動の活性化に取り組んでおります。

平成23年2月より、お取引先の課題解決に向けました支援、それから、外部との連携窓口を担当いたします、企業推進室を新設いたしまして、人員の拡充や体制の整備に努めてまいったということであります。

海外ビジネス支援に関します事例を1つご紹介させていただきたいと思います。東亜メッキ株式会社様でございますけれども、こちらは、山形市に本社を置きます、自動車部品等を中心とするメッキ処理加工を営んでいる企業であります。

当社からインドネシアのほうに進出する計画に関するご相談をいただきまして、営業店と本部が連携いたし、2年間に渡ります協議を経て、事業化可能との判断に至った案件であります。

その間、中小企業基盤整備機構の制度を利用した、事業化の可能性調査を提案を実施いたし、現地市場調査にも当行担当者が同行したというものでございます。

また、フィデアグループが提携をしておりますバンクネガラインドネシアと連携した上で、現地のコンサルタント会社等の紹介も行ったというような事例になります。

現地工場を設立した現在では、これまで国内で取引がなかった先からもお問い合わせがあり、また、注文・試作品の受注にもつながっているという例でございます。

お取引先の成長に貢献するということは、荘内銀行によりましても、取引の拡大、評価の向上、結果として、我々の収益力の強化にも結びついていくというふうに考えております。

この好循環を加速するために、営業店と本部が連携をいたしまして、こうした手続きの提案活動を活性化してまいりたいというふうに考えております。

<荘内銀行>地方創生への取り組み・働き方改革

2つ目は、地方創生ということであります。当行では、平成26年2月に、海外ビジネスを所管いたします、海外業務部、また、平成27年の7月には、地域活性化支援をさらに強化するために、ふるさと振興部を本部内に設置いたしました。

とくに、当時15名で立ち上げましたふるさと振興部は、現在29名まで拡充をされているということであります。こうした体制の強化は、着実に成果に結びついてきているということであります。

山形大学法学部との連携について申し上げれば、平成18年3月、連携協定を締結いたしまして、それ以降、現在まで5名の出向者を派遣しているということであります。

出向者は、山形大学国際事業化研究センターで、3学連携に関するコーディネート業務に従事しておりまして、金融機関の職員が大学に常駐するということで、県内企業と大学との連携がスムーズに進むなど、実績につながっておるという例でございます。

平成28年10月に行いました、山形大学発ベンチャー企業であります、株式会社フューチャーインク様、こちらへの出資はその一例ということであります。

貼って使えるバイオセンサー、それから大面積のセンサシートなど、新しい電子デバイスの実現に向け取り組むベンチャー企業であります。

平成27年2月のプロジェクト立ち上げ当初から関与してまいりまして、特許庁の知財ビジネス評価書、それから知財ビジネス評価書作成支援事業も活用いたしまして、当社の事業内容、それから知的財産を適切に把握した上で、荘銀地域協奏ファンドからの出資を行なったというところであります。

鶴岡市にございます、慶應大学先端生命化学研究所、こちらを基点といたしますベンチャー企業への支援も継続をしております。

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズという株式会社様、それから、スパイバー株式会社様に対しまして、出資を含む支援に取り組んでいるほか、同研究所発、第3号のベンチャー企業であります、株式会社サイバーテック様に対しても、フィデアキャピタルからの出資を行ったということでございます。

鶴岡市にあります、サイエンスパークにおきまして、街づくり事業を進めております、ヤマガタデザイン株式会社様、こちらに対する協調融資にも参加をしております。

また、平成28年9月には、山形大学医学部ほか関係機関とともに設立をいたしました、山形大学医学部先端医療国際交流推進協議会、こちらにおきましては、荘内銀行が当初より事務局を務めているということであります。

山形大学が平成31年に診療開始を目指しております、重粒子線がん治療施設、こちらは、北海道、東北地域では唯一の施設でありまして、地域医療の向上のみならず、医療インバウンドの推進を含む、地域振興にも貢献することが期待されているプロジェクトであります。

本協議会は、そうした効果を最大化するために設立したものであります。

設立以降、専門部会の立ち上げや、新たな会員の参画、関係機関が連携した海外ミッションや、セミナーの開催など、さまざまな取り組みが行われており、現在も、今後の活動活性化に向けて検討を重ねているということであります。

引き続き、こうした、地域におけます産業の創出、雇用の創出を支援していまいりたいと考えております。

3つ目といたしまして、クラウドファンディングサービスの拡大のサービス提供についてでございます。

昨年の12月に、山形新聞社、それから、山形県内の地銀、山形県、そして、レディーフォーとともに、オール山形でのクラウドファンディングに関する枠組みを構築いたしております。

今年の1月には、サービス展開の土台となります、山形サポートのホームページも立ち上がってございまして、6月9日現在で、11件が募集開始し、10件がすでに目標額を超える資金の調達に成功しておるという例でございます。

また、公益信託荘内銀行ふるさと創造基金でございますけれども、こちらは、山形県内におきます学校教育、それから、社会教育、文化活動を支援する基金でありまして、地域社会を形成する普遍的な要素に焦点を当てた、当行独自の地方創生に向けた取り組みであります。

年々、応募者も増加をしておりまして、平成29年度は、過去最高とる165件の応募をいただきまして、82件の活動に助成を決定いたしたということであります。

戦略の最後になりますが、働き方改革についてご説明をいたします。荘内銀行では、今年の3月に経済産業省より、東北の金融機関としては初めての新ダイバーシティ企業100選に選定をされました。

20年来継続しております、性別や学歴、雇用形態によらない従業員全員が活躍できる職場作りが高く評価されたものということであります。

銀行減少やグローバル化が進展している中、競争が激化しておりますが、生産性の向上は大きな課題ということであります。働き方改革の推進によりまして、従業員のモチベーション向上と、キャリア実現を支援し、地域に主体的に関与いたす意欲ある従業員の育成に努めてまいりたいというふうに考えております。

新中期経営計画の内容については、以上であります。

スローガンに掲げました通り、我々が自らの行動を変革し、これまで以上に質の高い提案活動に取り組むことで、荘内銀行に相談してよかったと、こう思っていただけるような機会を地道に積み上げていく3年間にしていきたいというふうに考えています。

厳しい環境にあることは事実でありますが、前向きに変化していく良いチャンスであると捉えております。

地域のお客様も身近に存在する地域金融機関といたしまして、お客様との接点を大切にし、顧客基盤、収益基盤の強化を進め、地域とともに発展する銀行を目指してまいりたいと思います。

私からの説明は以上であります。ありがとうございました。

<北都銀行>新中期経営計画の考え方

斉藤永吉氏:北都銀行の斉藤でございます。私のほうからは、北都銀行の第3次中期計画の基本的な考え方についてお話をさせていただきたいと思います。

まずスローガンは、もちろんフィデアのコンサルティング&イノベーションというのを根幹に据えて進めていくわけですけれども、我々のスローガンを「新しいこと、つぎつぎと。」ということにしております。

これは、人口減少、そして高齢化という大きな課題を秋田県は抱えております。この課題に真正面から取り組んで、そしてそれを乗り越えていくこと。そのためにはぜひスピードがチャレンジが必要ということで、「新しいこと、つぎつぎと。」というスローガンにしております。

そして、我々の経営戦略の根幹は、なんといっても地方創生でございます。これまでも進めてまいりましたが、この地方創生を一層強化していきたいということでございます。

そして、そこから資金ニーズを自ら作り出して、それを事業者に貸出し、収益機会につなげていきたいということでございます。その戦略、地方創生戦略の切り口を8つのイノベーションとしております。

まず1つが、自然エネルギー。風力とか、あるいはバイオマス・太陽光、そういうものを軸とした新しい産業を作り出すということが第1点。しかるに、秋田をエネルギー県に成長させようということでございます。

2つ目の戦略が、中小企業の新しい価値創造。いわゆる地元の中小零細企業の方々が強い企業になってもらいたい。つまり、事業性評価活動を徹底していこうということでございます。

3つ目が、農業の高付加価値化であります。いわゆる6次産業化。秋田県の課題は、農業生産高が他県に比べて極端に落ちていると。米依存の農業でございます。これを高付加価値化に持っていこうというのが3つ目。

そして4つ目が、シニアが輝く地域づくりであります。秋田県は高齢化という大きな課題がありますが、この課題をチャンスに捉えていけないかということでございます。

5つ目が、女性の活躍フィールドの創出。これは北都のいわゆるいろんなノウハウを地域に還元して、女性の起業家を育成する、あるいは経営者を育成していきたいと思っております。

6つ目が、県外・海外からの移住促進であります。いわゆるCCRC構想、これもあとで説明をさせていただきたいと思います。

7つ目が、グローバル戦略による秋田ブランドの確立であります。これはインバウンドに的を絞っております。

とくに東南アジア。北都銀行ではバドミントン部女子が活躍しておりますが、これを活用して、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿地として東南アジアのチームを呼ぼうということを、今、構想中であります。

8つ目が、観光資源を活用した地域づくりです。秋田県には多くの観光資源があります。まだこれは眠っている状況ですので、なんとかこれを呼び起こしたいということで。

具体的には、1つ申し上げますと、政府で進めております古民家プロジェクト200、この1つに今、手を挙げておりまして、秋田の県南の町田という町の蔵、これを活用した活性化に向けて動いていくということでございます。

我々としては、秋田の地域のリスクを取って、秋田を発展させて、当行の発展につなげていきたいと考えております。

<北都銀行>地方創生イノベーション①

具体的な例をお話をさせていただきたいと思います。

まず再生可能エネルギー事業でありますが。左のほうは、今、進めておりますが、秋田県の海岸、男鹿半島から秋田市に来る約10キロのところに今、風力発電を行っております。

この事業体は我々の作りました風力発電会社「ウェンティ・ジャパン」、それと三菱商事さん、シーテックさんとSPCを作って、これが運営することになっております。

3,000キロワットの風車が22基、総出力が6万5,000キロワット、約4万世帯分であります。日本でも有数のウィンドファーム、風の地域となります。

総事業費が約91億。北都銀行が中心となってプロジェクトファイナンスを組成いたしました。発電の開始は平成32年を予定しております。この会社の年間の売上高は30億以上ということが期待されております。

その下の図表の1に、プロジェクトファイナンスの組成額、各5年の分を書いております。これが当行が組成した分でありますが、5年間で約500億であります。

そしてこの3次中期計画では、200億から300億のプロジェクトファイナンスを組成しようという計画であります。

過去5年間では、3.5億円の手数料収入がありました。この3次中期計画では300億をプロファイやりますと、約5億円の手数料が入ってくるということになります。

秋田県はたいへん風況がよくて、風のメッカであります。すでに200本の風車が立っておりますが、陸上に今後あともう200本立つ計画、そのほかに洋上風力の開発も計画されております。

図表の2に、これまでの再エネ関係分の融資残高が書いておりますが、かなり伸びがあります。

右側が木質バイオマス発電事業への取り組みであります。秋田は森林の県であります。東北最大規模のプロジェクトが秋田で始動しております。

27年の4月であります。この総事業費が125億円。我々、北都銀行が中心となってプロジェクトファイナンスを組成しております。

28年の4月から発電所が稼働しておりまして、経済波及効果は、フィデア総研の調査でありますが、500億。それから雇用効果が4,700人というたいへん大きな効果になっております。これは20年間の分であります。

<北都銀行>地方創生イノベーション②

それから28ページ目をご覧いただきたいと思いますが。ここはCCRC構想を今進めております。

秋田の駅前に18階建てのビルを建てまして。1階が我々の店舗、それから信用金庫さんの店舗。それから2階がカフェテラス、託児所。3階が医療クリニックと。そして4階からは、18階まで分譲と賃貸のマンションであります。

この目的は、中心市街地の活性化、そしてその住まいを提供する。それから首都圏からアクティブシニアの方を呼び込んで、移住・定住につなげるという構想であります。

これも2020年のオリンピックイヤーに開業いたしますが、我々のパートナー会社である、秋田不動産サービス、それと北都銀行、それから秋田商工会議所などの連携で、秋田の駅前を活性化しようというプランであります。

これが成功すれば、ほかの地域のほうにも波及をさせて、このミニ版を作っていきたいというふうに考えております。

<北都銀行>新しいビジネスモデルの構築へ

マイナス金利の対応として、新しいビジネスモデルを構築したいと考えております。コンサルティング営業の強化であります。

まず、事業性評価活動を主体とした法人コンサルティングの強化であります。事業性評価推進委員会を立ち上げておりますが、その下で、リスト先、1,500先を徹底して事業性評価を行うと。その推進チームを本部に12名配置しております。

それから1万先運動というものを行っております。去年の下期から行っておりますが、約8,000先強回りました。そしてそこから、6,000先からアンケート調査をいただきまして、この分析結果が出まして、この4月からその分析結果への対応として取り組んでおります。

それは銀行に対する要望が、先ほど田尾社長のほうからありましたが、課題はなにかということを聞きますと、「販路の開拓」、それから「事業承継」、「人材の確保」という3つの大きな課題が出てきておりますので、この課題に真摯に取り組んでいくと。

そして、効率的な、効果的な事業性評価活動を推進していきたいということでございます。

それから、先ほども言いましたが、プロジェクトファイナンスの推進。これも事業性評価活動につながりますので、ぜひこちらも推進していきたい。

それからフィデューシャリー・デューティにもとづく、個人コンサルティング営業の実践ということも進めていきたいと思ってございます。

そして収益構造の改革ということで、貸出利息、あるいは有価証券利息だけではなくて、フィービジネスを強化していく。今現在、14パーセントのフィービジネスの割合でありますが、これを20パーセントまでもっていきたいということでございます。

20パーセントまでもっていくためには、約8億の増強策が必要でありますが、ここは預かり資産営業の強化、それからプロジェクトファイナンスの強化、事業承継の強化、M&Aの強化等々で手数料ビジネスを確立させて、新しいビジネスモデルを構築したいというのが狙いでございます。

私のほうからは以上でございます。