2021年3月期決算説明会

竹原教博氏:みなさま、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。インフォコム株式会社代表取締役の竹原でございます。この1年間は新型コロナウイルスで非常に大変な年でした。医療関係者、介護事業者、その他エッセンシャルワーカーの方々に感謝申し上げます。

それでは、2021年3月期の決算説明を始めます。

目次

目次の順番で、2021年3月期の決算結果、2022年3月期の業績予想、それから私どもの重点事業である、電子コミック事業・ヘルスケア事業についてご説明いたします。

2021年3月期 決算ハイライト (連結)

2021年3月期の決算です。電子コミックが伸長したこともあり、売上高・利益ともに過去最高を更新しました。売上高・利益ともに2桁成長となっています。当期純利益も13.2パーセント増です。

経営成績(連結)

これは4ページのグラフを表にしたものです。ROEが16.2パーセントと前年横ばいですが、基本的にはよい決算だと思っています。

事業領域及びセグメントの構成

例年どおり「ネットビジネスセグメント」と「ITサービスセグメント」の事業領域別にご説明します。

ネットビジネス・セグメントの業績(連結)

ネットビジネスセグメントです。新型コロナウイルスによる外出自粛の影響がかなり大きかったと思うのですが、特に上期を中心にかなり売上が伸びました。電子コミックで34.5パーセント増、営業利益も大きく伸びまして、59.7パーセント増です。営業利益に関しては、広告の最適化としてもずっと行ってきたのですが、それが寄与していると思っています。

売上の部分で第4四半期は、若干成長が止まっているように見えるのですが、これは海賊版サイトの影響が大きいと考えています。

電子コミック配信サービスの業績(四半期売上高)

7ページのグラフについては2017年も「漫画村」という海賊版サイトの影響を大きく受けたと思うのですが、その年とグラフが類似しています。第4四半期の伸びが少し抑えられている状態です。

よい点としては、四半期で100億円が取れるレベルまで成長しており、このコロナ禍で全体的に大きく押しあがったという印象があります。

ITサービス・セグメントの業績(連結)

ITサービスセグメントです。ITサービスのうち、特にヘルスケアについてですが、今回の前年対比の増減率ではマイナスになっています。これは2019年度の改元対応や、消費税増税による駆け込み需要などの特需があったのですが、昨年度はその反動があったということです。それから、新型コロナウイルスの影響を大きく受け、ダブルパンチのような状態となりました。

病院がかなり大変な状況でしたので、私どもも長い間、なかなか病院を訪問すること自体が難しい状況にありました。ただ、下期から少しずつ需要も回復し、病院にも行けるようになり、期末に向けて業績が少し回復したということです。

営業利益に関しては減収ですので、結果として減益になってしまいました。

投資実績

投資実績です。2019年は、19億9,000万円、およそ20億円の資本投資がありましたので、2020年度の投資が少し低く見えていますが、ほとんどが資本投資の部分で、それが差異になっています。研究開発投資、事業開発は少し積み上げている状況です。

貸借対照表(連結)

B/Sで特筆すべきところは、子会社の減損が、およそ10億円あったということです。ただ、利益剰余金45億7,000万円が積み上がっており、全体としては、経営状況は自己資本比率のように健全な状況が続いています。

キャッシュ・フロー(連結)

キャッシュ・フローです。営業CFは98億7,000万円でした。それから既報のとおり移転を予定していますので、その差入保証金、配当金で、上がりで300億円弱の現金を積み上げている状況です。

経営指標(連結)

2022年3月期の業績予想に移ります。売上は770億円で、前年対比で13.1パーセント増と予想しています。営業利益は110億円で、1.7パーセント増です。これは現在、本社移転コストが10億円くらいと見通しており、この本社移転コストを除けば営業利益120億円で、前年対比で11.0パーセント増になります。

本社移転コストは特殊要因ですので、それを除いた場合に会社としてはどのような状況であるかをお示しするために、あえてここに入れています。

基本的にROEも前年を少し上回り、16.6パーセントとなる予定です。

ネットビジネス・セグメントの業績予想(連結)

ネットビジネスは520億円で、前年対比で18.1パーセント増です。通常、私どもは最低20パーセントを予想としておくのですが、上期はある程度海賊版サイトの影響を受けてしまうのではないかということで、少し抑えた売上を設定しています。

営業利益は90億円で、前年対比13.8パーセント増です。

ITサービス・セグメントの業績予想(連結)

ITサービスです。ITサービスにも新型コロナウイルスの影響はまだあります。しかしお客さまと同じように、コロナ禍で「どのように事業を進めていったらよいか」をかなり学びましたので、前年よりも増収増益を狙えると予想しています。

投資計画

投資計画ですが、今年度は、設備投資を増やそうと考えています。特に、私どもサービス化を標榜していますが、それに合わせてクラウドシステムなどいろいろなサービスの構築等が入っていますので、17億円弱と増えています。

研究開発は毎年少しずつ増やしているのですが、このあたりが少し上がると考えています。資本投資に関しては、例年どおり予定の中には入れていません。

株主還元

株主還元です。2022年3月期の中間配当は13円、それから期末配当27円で、40円を予想しており、配当性向30.0パーセントを堅持したいと考えています。例年と違うのは、ここ数年は10円ですが、中間期に毎年配当金をシフトしていることです。

株主優待に関しては、例年どおり実行したいと思っています。

本社移転

本社移転に関して簡単にご説明します。コロナ禍でさらに強烈に押された部分もあるのですが、私どもはここ数年ワークスタイル変革を推進しています。3年くらい前、大阪のオフィスで「Activity Based Working」、「ABW」と呼んでいる実験を行いました。普通の企業は固定席があって、そこで仕事をするかと思います。

しかし仕事は「集中して進める時」「人と話をしながら進める時」「会議」のようなものもあれば「アイディア出し」のようなものもあります。そのような「いろいろな働き方を、場所を変えて行う」という考え方です。

大阪で実際に行ったところ、やはり生産性も上がりましたし、非常に社員の方も働きやすいということでした。そこで「新型コロナウイルスをきっかけに、『ABW』を東京でもやろう」となったことが移転の大きなきっかけです。移転先は港区で、今年の11月、もしくは12月の近辺に引っ越しを予定しています。

これによって、現在コロナ禍ということもありますが、出社している方が20パーセントを切っており、基本的にフロアがガラガラの状態です。「それを、ある程度集約したい」ということで、フロア面積も40パーセント縮小したいと考えています。これによって、本社移転コストが10億円ほどかかりますが、5年前後で回収できると試算しています。

私どもが現在いる原宿のオフィスが、1フロアの面積がないため、、10フロアほどある状態です。これはコミュニケーションを取るのにはあまりよくないと考えており、1フロアに集約させることで解決するということです。

また、コロナ禍に出社しないで済むようにIT環境をかなり整えましたが、それをさらに推し進めたいということです。

基本的に社員は自宅でも仕事ができるということで、働き方が柔軟になっています。いろいろなアンケート調査や事象で、社員のQOLが上がっていることを認識していますので、さらなる向上につながると考えています。

2020年度の取り組み

それでは、重点事業の定性的なご説明をします。電子コミックです。2020年度の取り組みは例年どおりですが、特にオリジナルコミックのところにはさらに力を入れています。『青島くんはいじわる』というオリジナルコミックが、単行本にしますと100万部超のヒット作になっています。

それから、オリジナルコミックでヒットした『年の差婚』や『RISKY』をドラマ化しました。これは、2021年3月期に初めて行ったことですが、IP化を少し意識しているということです。

それから、「毎日無料連載」は2019年11月からスタートしているのですが、これが業績引き上げに大きく寄与していることは私どもも実感しており、ここをさらに強化したということです。

「めちゃコミックアプリ」は去年第1四半期にフルリニューアルしました。アプリに関しては後発ですので、先行している方々にはまだだいぶ及ばないのですが、ダウンロード数は450万人超まで上がり、順調に成長していると思っています。

電子コミック売上高推移

コミックの売上推移ですが、棒グラフが売上、折れ線グラフのところが総会員数です。2019年から2020年にかけ、総会員数は急増していまして、約1,500万人おります。それに伴い売上も2019年度に比べますと、34パーセント増と大きな伸びを得られました。ちなみに、「めちゃコミック」のローは若干変わりました。

2021年度の取り組み

2021年度の取り組みとして、基本的に私どものコンセプトとしても、潜在顧客をたくさん集め、無料会員化し、有料会員化することを考えています。直接有料会員になるルートもありますが、無料会員から有料会員へ、という流れを意識しながら、全体のいろいろなマーケティングを進めています。

1つはコンテンツを充実させることです。この中で例年と違うのは、韓国の「Webtoon」作品の輸入・販売を行いたいと考えている点です。韓国にも、非常に日本で受けのよい作品がだいぶ増えていますので、それを輸入していきたいということです。

それから、マーケティング部分に関しても、テレビも行いつつ、従来どおりオリジナルコミックのドラマ化や、ネット系を中心としたマーケティングを強化することを目標としています。

加えて、成長事業の強化のため、アプリをもっと増やしていきたいと考えています。それから海外、韓国のPeautoon社のプロモーションをさらに強化したいと思っています。

また、システム基盤の部分では、システムをクラウド化したり、ビューワを変更したりすることを計画しています。

コンテンツ拡充&マーケティング強化

大きく図示すると24ページの表になるのですが、製作分野ではオリジナルコミックの体制を強化して、作る量を増やしたいと考えています。

販売に関しては従来どおり出版社さまと連携を強化して独占先行、それから「毎日無料連載」をどんどん強化していきたいところです。それに加え、「Webtoon」作品の輸入をして、日本で販売していきます。

さらに、IP化を意識したドラマ化は、今年も行っていきたいと思っています。

データ活用・AI

私どもの1つの特徴であるデータ分析、AIの部分です。大きく言いますと、いろいろな顧客さまの行動データ・閲覧・購入・行動履歴・滞在時間、このようないろいろなデータがあります。これを使って機械学習して分析し、データモデルを抽出していきます。そのデータモデルをベースに、いろいろな分析を行います。

ヘルスケア 今期の取り組み

ヘルスケア事業です。若干、ビジーですが、これは中期計画で発表している全体の絵です。基本的に、1つ目は健康領域、健康事業を立ち上げたということです。それから、2つ目のアジアヘルスケアにおいては、東南アジアで、私どもが日本で販売している製品の展開をしたいと考えています。3つ目が、介護領域です。介護向けの就業管理システムを「CWS」と呼んでいますが、「介護CWS」から人材紹介事業を拡大したいということです。

総じて、このあたりは新型コロナウイルスの影響を強く受けました。特にアジアヘルスケアの部分に関しても、東南アジアの国々、インドネシアでも当然新型コロナウイルスが発生していますので、進捗が思わしくない部分がありました。介護領域でも、介護施設がかなり大変な状況でした。このように新型コロナウイルスの影響を強く受けてしまったと思いますが、今年は回復してくるだろうと思っています。

アジアヘルスケア・プロジェクトの推進

アジアヘルスケアですが、先ほど申し上げたとおり、私どもの主力である放射線や薬剤や診療所、介護向けの就業管理、健康関係の「WELSA」あたりを東南アジアに展開していきたいということです。

医療画像の、CTスキャン・MRIで撮った画像を、撮る機械からコンピューター側で受け取るシステムがあります。これを「PACS」と呼んでいますが、これをインドネシアの病院向けのシステムでは大手のTeracorp社と業務提携していますので、この販売を展開していきます。

薬剤情報に関してはフィリピンを検討しています。さらに人材マッチングのプラットフォームを持つHomage社と、シンガポールで協業しているということです。

世界的にも少しずつ、新型コロナウイルスの影響を受けていたものが回復してくるでしょうから、このあたりを徐々に進めていきたいと思っています。

介護領域:介護CWSのクラウド版発売と人材紹介事業の拡大

介護領域です。介護向けの就業管理のところです。病院向けの就業管理もかなり引き合いをいただいて、病院は実績もかなり積み上がっているのですが、介護も引き合いが強くなっています。新型コロナウイルスの影響で、なかなか導入までが難しかったのですが、今年はかなり進む予定です。

それから、人材紹介も新型コロナウイルスの影響をだいぶ受けています。ただ、少しずつ回復傾向にありますので、このあたりも今後成長すると思っています。

健康事業

健康関係です。これも大きくいいますと、一般の企業さまは、当然社員の健康診断を行い、そのデータを持っています。それからストレスチェックも義務化されていますので、そちらもとっているかと思いますが、そのままの状態になっているケースが非常に多くなっています。

この結果を見て、会社として社員の健康がどのような状況であるかというところを数値化して見せ、社員にどんな疾病が起きやすいのかを予測するサービスを始めています。

将来的には、そのような疾病予測からの健康リスクをもとに「どんなことをすれば社員の健康は改善していくのか」というサービスをいろいろと展開したいと思っています。私どもでも、一部ゲーム化したアプリのようなものを、社内で実験的に扱っている状況です。

以上で、私どもの決算説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。