① 2017年度 通期連結業績の概要

牧瀬篤正氏:大塚ホールディングスで財務・経理を担当しています、牧瀬でございます。よろしくお願いします。

まず、2017年度通期の連結業績を説明いたします。連結業績の総括としましては、売上高・営業利益および純利益は、第2次中期計画達成に向けた取り組みが着実に進展した結果、2015年度以来、2期ぶりに増収増益となりました。医療関連事業のグローバル&国内の新製品群は、引き続き力強く成長し、期首の売上計画を上回るなど、中期計画で目指した収益構造の多様化の実現に向けて、確実に成果を上げました。

さらにNC事業は、海外事業拡大による持続的成長により、セグメント利益10パーセント以上を達成できる事業となりました。この両輪の事業を中心に減損前営業利益は、期首計画を達成しました。

それでは、ここからは前期実績との(比較による)説明に移ります。

売上高は、前期比444億円増加の1兆2,400億円となりました。医療関連事業の成長ドライバーであるグローバル&国内新製品群は、売上高が3,424億円、連結売上比率が約28パーセントとなり、「エビリファイ」の特許切れの影響を克服し、収益構造の多様性の確立に向け、確実に成果が上がってきています。

営業収益は、各事業の収益の改善等に加えて、持分法投資利益が増加したことなどにより、非経常的な要因である減損の影響を除いた本来のビジネス実態で表す営業利益は、1,330億円となりました。

研究開発費は、成長軌道を確実なものにするための継続的な投資により67億円増加し、1,756億円です。当期は「オンゼトラ・エクセル」の販売権に対する減損を含め、連結全体で288億円の減損損失を処理しました。

当期純利益は、前期比199億円増加の1,125億円となりました。なお、当期は法人所得税費用をマイナス約100億円計上し、実効税率はマイナス約10パーセントと、前期に比べて大幅に下がりました。

これは主に、2017年12月に制定された、米国の連邦法人税率の35パーセントから21パーセントへの引き下げを含む、税制改革法の影響額を計上したことによるものです。米国の税制改革法は2018年から適用されますが、税効果会計は改定後の税率を用いて繰延税金資産・および負債を算出することを求めており、再算定の結果、2017年度に税金費用の戻入れを約300億円計上しました。

当期における為替相場の変動による影響につきましては、新興国通貨による影響も含め、売上高で約160億円、営業利益で約5億円のプラスとなりました。

② 2017年度 通期営業利益(2017年11月見込 vs 実績)

当スライドは、前のスライドにて説明した2017年度の通期連結営業利益について、(2017年)11月時点の見込みと実績の増減要因を示しています。

ご覧のとおり、通期見込み1,200億円に対して、実績は1,042億円となりました。これは第4四半期において、2018年度以降の持続的成長の実現のため、取り組みをさらに進めたことや、通期売上高が11月時点の見込みに若干届かなかった影響などが、主な要因です。

営業利益に対する影響を増減要因別に見ますと、プラス要因としては、研究開発投資のコスト最適化の取り組みによる効果が、プラス44億円。一方でマイナス要因としては、2017年11月に米国で承認を受けた「エビリファイ マイサイト」や、2018年に新たに米国で上市を予定している「トルバプタン」、ADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)準備のための投資。

また、中長期的な成長ドライバーである「レキサルティ」および「エビリファイ メンテナ」の持続的成長のための追加投資などで経費が増加した影響で、マイナス104億円。

売上高が、11月時点の見込みに対して200億円届かなかったことによる、粗利減少の影響がマイナス75億円。さらに追加の減損を23億円計上した影響などにより、11月時点の営業利益見込みから減少という結果になりました。

③ 事業別の売上高・営業利益

続いて、事業セグメント別の売上高・営業利益について説明いたします。

まず、連結売上高は前期比444億円増加し、1兆2,400億円となりました。セグメント別の売上高は、すべてのセグメントで増加となりました。医療関連事業は新製品群の伸長により218億円増加し、7,748億円。NC関連事業はサプリメントなどの増加により、147億円増加の3,262億円。消費者関連事業は1億円増加し、356億円。その他の事業も99億円増加し、1,511億円でした。

次に、連結営業利益は前期比30億円増加し、1,042億円となりました。セグメント別の営業利益については、医療関連事業は93億円減少の827億円となりました。主な減少要因は研究開発投資が増加したことや、減損処理額が58億円増加した影響です。NC関連事業は、67億円増加の392億円。この増益は主に、業績が好調なファーマバイト社の増収の影響によるものです。消費者関連事業は111億円、その他の事業は97億円でした。

各セグメントの営業利益に含めている持分法投資利益と減損処理額は、スライドにお示ししている金額です。

④ 医療関連事業の状況

それではここから、医療関連事業およびNC関連事業の概要説明に移ります。

まずは、医療関連事業の業績について説明いたします。当スライドでは、売上高は「エビリファイ」および特殊要因である契約一時金、マイルストーンを除いた売上高について説明いたします。

売上高は前期比528億円増加し、6,920億円となりました。売上を製品群別に見ますと、「エビリファイメンテナ」「サムスカ/ジンアーク」および「レキサルティ」のグローバル3製品は、すべての製品が伸長し、合計で前期比34.4パーセント増の1,825億円。

国内新薬は主に抗てんかん薬の「イーケプラ」や「タケキャブ」などの貢献により、20.9パーセント増の1,274億円。「ロンサーフ」は、米国・日本・欧州で販売され、前期比8.1パーセント増加の326億円。アバニア社の「ニューデクスタ」も、引き続き情動調節障害の治療薬として処方が拡大しました。

一方、その他の主な減少要因は、長期収載品の「プレタール」「ムコスタ」が38億円減少したことや、前期にテバ社と米国「エビリファイ」に関する特許係争の、和解に関連する収益が入っていることです。

売上を市場別に見ますと、日本市場に長期収載品の影響があったものの、「サムスカ」や国内新薬の伸長により、198億円増加の3,726億円。北米市場は「レキサルティ」「エビリファイメンテナ」などの新製品の貢献により、128億円増加の1,967億円。

その他の市場も「エビリファイメンテナ」「サムスカ/ジンアーク」および「ロンサーフ」などの貢献により、202億円増加の1,227億円となりました。当期の「エビリファイ」・一時金等を含むセグメント利益は、前期比93億円減少の827億円となりました。

減損処理によるマイナス影響を、成長ドライバーであるグローバルおよび国内新製品群などの順調な売上増加でカバーしたものの、成長軌道を確実なものとするための研究開発投資を積極的にした影響により、前年度から減少という結果となりました。

⑤ 新製品群の通期売上推移

次に8ページをご覧ください。当グラフは、中長期的な成長ドライバーであるグローバル3製品に「ロンサーフ」と国内新薬を加えた、新製品群合計の売上推移を示しています。

当期の通期売上高は3,424億円。前年実績と比較すると、700億円以上の増加となりました。7月に米国で双極性障害Ⅰ型の効能追加が承認された「エビリファイメンテナ」を始めとする、グローバル3製品が大きく貢献し、新製品群の医療事業売上に占める比率は約44パーセントと、医療事業の柱に成長しました。

第2次中期経営計画の目標として掲げている、収益構造の多様化の実現に向けた成果は、当グラフでお示ししている業績に表れているものと思います。2018年度は、国内の薬価制度の見直しなど、経営環境は厳しさを増しています。このような環境のもと、第2次中期計画、そして2018年度以降の持続的成長の実現のため、販売国の拡大や適用拡大など、これまで進めてきた新製品群への価値最大化を積極的に推進し、安定的かつ持続的な収益の創出に取り組んでまいります。

⑥ NC関連事業の状況

続いて、NC関連事業について説明いたします。NC関連事業の売上高は、前期比で147億円増加の3,262億円となりました。

売上高を製品群別に見ますと、機能性飲料等は「ポカリスエット」が減少し、前期比で微減。日本の「ポカリスエット」の主な減少は、夏場の長雨と低温など、全国的な天候不順の影響によるものです。機能性食品等は、グルテンフリー食品の市場が拡大している欧州を中心に、世界40ヶ国以上で事業を展開しているN&S社の製品が増加しました。

サプリメントも、米国店頭販売No.1の「ネイチャーメイド」やFood State社の製品が、前期比で増加しています。NC関連事業の売上高を市場別売に見ると、日本市場は女性の健康をサポートする「エクエル」や「インナーシグナル」などの貢献はありましたが、前期比で微減。北米市場はサプリメントの売上増加と、デイヤフーズ社の買収効果により、112億円の増加。

その他の市場は欧州のN&S社製品や、中国の「ポカリスエット」の売上増加などにより、50億円増加しました。セグメント利益は前期比67億円増加し、392億円となりました。業績が好調なファーマバイト社がNCセグメントを牽引し、収益力の強化・向上が図れたことが主な増加要因です。

⑦ 2018年度 連結業績の見通し

最後に、2018年度の連結業績の見通しをお示しします。売上高は薬価引き下げによる影響はあるものの、新製品群の価値最大化などを積極的に推進し、5パーセント増加の1兆3,000億円。営業利益は、売上高の増加に加えて、各事業でのコストの効率化・最適化を進め、約360億円増加の1,400億円となる見通しです。

なお、2017年2月発表の際に、2018年度の営業利益を1,550億円と予想していましたが、主に日本における新たな薬価改定と、日欧での想定以上の後発品の浸透により、1,400億円となる見通しです。

純利益は2017年度において、米国連邦法人税率引き下げに伴う約300億円の税金費用戻入れなど、一時的な税金費用の縮小があった影響で、ほぼ横ばいの1,050億円となる見通しです。

為替レートの前提は、対米ドルを110円、対ユーロは130円としています。なお2018年度の配当は、2017年度と同額の1株あたり100円を予定しています。2018年度は、第2次中期経営計画の最終年度であるとともに、次の中期経営計画でさらなる成長への第一歩を踏み出す、大事な1年と考えています。