当社のミッション

田中耕平氏(以下、田中):グロービング株式会社代表取締役社長の田中です。当社の東証グロース市場上場に伴う会社説明会を行います。私から、事業計画及び成長可能性に関する事項についてご説明します。よろしくお願いします。

まずは、当社のミッションです。我々グロービングは、成長のインフラとしてなくてはならない存在になることを目指しています。昨今、コンサルティングサービスがコンサルティング企業基点になり過ぎていると感じています。

我々は、戦略コンサルティングサービスのあり方を顧客基点で再定義し、クライアントの価値になることにしっかりとフォーカスして実施することに取り組んでいます。

その中で徹底的に勝ちにこだわるサービスを提供し、顧客企業を勝てる集団に変えていきます。日本の企業を勝てる状態に持っていくことと、日本の企業と社会の両方を再び成長軌道に乗せていくことを支援する企業です。

創業の理念

そもそもコンサルティングサービスは、「グレーヘアコンサルタント」と呼ばれる経験豊富な限られた人数のコンサルタントが、限られた企業のトップに対してアドバイスを行うサービスでした。

その中で、次第に大手のコンサルティング企業がフレームワークやメソドロジーを導入し、ノウハウの形式知化を実施してきました。それにより、若手のコンサルタントでも対応できるビジネスに変わってきたことで、人の頭数で儲けるビジネスモデルに変化してきたと思っています。

このノウハウの形式知化の歴史において、頭数でお金儲けをする今の状況は「寄り道」なのではないかと我々は考えています。形式知化されたノウハウを人に乗せるのではなく、AIやデジタルなどを活用しながら提供することで、コンサルティング業界に変革を起こすことを目指しています。

一人当たりの生産性を向上させ、コンサルティング業界に変革を起こす

業界変革の考え方についてです。「Netflix」や「Uber」「Google」といったサービスは、何を提供するかという「What」の部分は基軸に残しつつ、どのように提供するかという「How」を変革することで、業界を変革してきたのだと思っています。

我々は、コンサルティングの中でノウハウ自体を基軸に置きつつ、コンサルタントに紐づいていたノウハウをAIやデジタルを活用しながら提供します。

それにより、他のコンサルティングファームが人の頭数ベースの人工ビジネスを実施しているところから、我々はAIやデジタルを活用して1人当たりの生産性を大きく向上させ、人の頭数によらない高い生産性を実現するコンサルティングの変革を目指しています。

コンサルティングノウハウ×AIで課題先進国である日本が抱える “低い生産性” と “労働人口減少” にメスを入れ、再び企業や社会を「成長軌道」に乗せる

コンサルティング事業にAIなどを活用するだけではなく、クライアント企業にもAIを活用した同様のサービスを提供することにより、日本が抱えている「低い生産性」や「労働人口減少」などの社会課題にもメスを入れていきます。

そして、クライアント企業だけではなく、日本の社会全体を再び成長軌道に乗せることを目指しています。その次に、このようなモデルを活用して世界的な労働力不足の解決まで目指していきたいと考えています。

企業概要

本格的な事業開始は3年半前の2021年3月です。事業領域は、コンサルティング事業とクラウドプロダクト事業の大きく2つに分かれますが、そのうちコンサルティング事業は、戦略コンサルティングを基点として大きく2つに分かれます。

従来型の戦略コンサルティングについては、我々の造語では「内なる外」と呼んでいるのですが、CxOクラスの伴走者として、他のコンサルファームよりも中にしっかりと入り込むかたちのサポートを実施し、価値を出すことを実施してきました。

そこからもう一歩踏み込んだのが、JI(Joint Initiative)型コンサルティングです。弊社のコンサルタントが、クライアントの事業の責任者やプロジェクトの責任者というかたちでしっかりと入ることで、ハンズオンで改革を推進することも実施しています。

3つ目のクラウドプロダクト事業については、現在MVPの開発中です。コンサルティングノウハウを型化したSaaSプロダクトとして提供することで、クライアント企業の経営プロセスに組み込まれていくことも狙っています。

これら3つの事業は、全体的にAIやデジタルを活用しながら高い生産性を上げていきます。そのための専門組織として「GLB Intelligence」を立ち上げ、そのチームが独自開発したツールも導入しながらサービス提供を行っています。

連結ベースの四半期ごとの売上/営業利益

四半期ごとの売上と営業利益の推移です。2025年5月期第1四半期の売上高は17億2,000万円で、前年同期比ではプラス120パーセントの売上成長、3年前と比べると10倍の売上成長です。

2024年5月期はワンタイムで投資しており、営業マネジメント方法論の開発や採用関連に投資しました。そのため営業利益はいったん下がっていますが、その投資効果も生まれ、2025年5月期第1四半期においては元の水準に戻ってきています。

ネットキャッシュは創業以来常にプラスで、売上は右肩上がりに推移してきしています。

KPIハイライト

KPIのハイライトです。2024年5月期の通期売上高は42億円弱で、年間成長率はプラス60パーセント、営業利益率は9パーセントでした。

前述の人材採用と長期大型案件獲得に向けた営業方法論の確立へ投資をしたため、営業利益率はいったん下がっていますが、今期はその効果も生まれており、2025年5月期第1四半期の売上高はプラス120パーセント成長、営業利益率は35パーセントを達成しています。

主要KPIは、調整後コンサルタント数、コンサルタント平均年収ともに順調に推移しています。また、Joint Initiative型の売上高比率が高まってきています。AI関連売上比率は、クライアント企業にAI活用やAI戦略のサポートを行うコンサルプロジェクトの比率も、27パーセントと高まってきています。

弊社のコンサルティングモデルのユニークネス

当社のビジネスモデルと優位性についてご説明します。他のコンサルティングファームは、外部から知恵やアドバイスを提供し、「何人アサインするので幾ら」というかたちで人の頭数ベースの成果を図るモデルとなっています。

それに対して弊社のモデルは、事業経営のプロフェッショナルがクライアント内部に入り込んで事業責任者やプロジェクト責任者を任せていただき、クライアントのメンバーと一緒に変革を推進していきます。加えて、AIやデジタルを活用しながら効率的に自動化・省力化されたサービスを提供し、人の頭数に頼らない生産性の向上も狙っています。

コンサルティングノウハウの型化においては、クラウドプロダクトを用いてクライアントの経営プロセスにSaaSモデルとして組み込まれ、それにより、低コスト化・スケール化でのクライアント基盤の拡大も狙っています。

顧客企業の長期的成長を支える3つの事業

各事業の特徴についてご説明します。1つ目の従来型コンサルティングは、コンサルティングフィーをいただいて、数ヶ月単位でプロジェクトを実施するものです。

2つ目のJoint Initiative型コンサルティングも、同様にコンサルティングフィーをいただきますが、基本的には長期でコミットいただいて大型の変革を共同で実施します。従来型コンサルティングに比べるとプロジェクト継続期間が長期化し、プロジェクトの切れ目なく実施できる点が強みになっており、このあたりが大きな違いとなります。

3つ目のクラウドプロダクトは、SaaSのサービスを提供します。SaaS型モデルで提供するライセンスフィーに、プロフェッショナルサービスをあわせて提供することで、コンサルティングフィーもプラスされるモデルになります。こちらは、より長期の契約を狙っていくビジネスモデルとなっています。

コンサルティングワークにおけるAIツールの活用

コンサルティングワークにおけるAIツールの活用についてです。「GLB Intelligence」という弊社内のチームが独自開発したツールを用いて、コンサルティング業務を実施しています。

スライドには代表的なツールを2つ記載しました。議事録作成ツールと企業情報・記事検索ツールは段階的にリリースしており、議事録作成は41パーセント、リサーチ業務は31パーセントという業務削減効果も生まれてきています。

これらのツールは、それぞれの領域でも、まだまだ業務効率化の効果を上げられると思っています。また、パワーポイント作成など他領域においてもツールを作っていますので、今後もより効率的なサービス提供が進んでいくと考えています。

AI関連プロジェクトの成長とX-AI Labo社の立ち上がり

クライアントに向けたAI関連プロジェクトの売上比率は、直近で27パーセントまで上がってきています。Laboro.AIとのジョイントベンチャーとしてX-AI Labo社を設立しており、こちらはグロービングがマジョリティーを持つかたちとなっています。

X-AI Laboを通して、AIの戦略立案から実装支援までのAIコンサルティングをお手伝いします。日本企業の中で、データやAI活用を核に据えた、企業の在り方を見直すAIトランスフォーメーションをサポートしています。

加えて、先端AIエンジニアやAIコンサルタントの採用などもX-AI Laboで担うかたちとなっています。このようなジョイントベンチャーを含め、AI関連のコンサルティング売上比率は直近で27パーセントまで伸びてきています。

Joint Initiative(JI)型コンサルティングモデルの考え方

Joint Initiative型コンサルティングモデルの考え方についてご説明します。日本企業においては、事業推進の中核となるような経営人材やリーダー層が不足しているというお悩みをいただくことが多いと感じています。

弊社のアプローチとしては、弊社のメンバーがプロジェクト責任者や事業責任者として中に入り込み、クライアントメンバーと一緒に変革を推進していきます。加えて、弊社のメンバーとコンサルティング契約を結び、さらに変革を加速させるドライブを担っています。

これにより、クライアント企業は事業価値のアップを早期に図ることができ、弊社は長期契約による報酬保証を得られます。さらに、このようなイニシアチブの中で構築したツールのIPを確保し、クラウドプロダクト事業に活かすことも狙えるビジネスモデルとなっています。

JI型コンサルティングの取り組み事例 – パーソルクロステクノロジー様

Joint Initiative型コンサルティングモデルの実例をご紹介します。パーソルクロステクノロジーさまに弊社パートナーの小寺という人間が出向し、事業部長の肩書で新規事業の立ち上げ責任者として推進しています。

今は2年ほど経っていますが、順調に立ち上がってきたため事業自体が事業本部格に上がり、そこで事業本部長として弊社パートナーの小寺が出向しながら、さらなる拡大にコミットして動いています。

JI型コンサルティングの現状

Joint Initiative型コンサルティングモデルの売上比率は直近で42パーセントと、徐々に高まってきている状態です。

コンサルティング事業の主要顧客および目指す顧客ポートフォリオ

コンサルティング事業の主要顧客および目指す顧客ポートフォリオについてです。弊社は、幅広い業界でリーディングプレイヤーとなるような大企業をクライアントとして、サービス提供を行っています。

社内では目標売上ラインを10億円以上、5億円、3億円と引き、そのようなクライアントをいくつ作っていけるのか、どのようなタイミングでどのように動くのかをマネージしながら進めています。

このようなマネジメントの方法論は、外資のコンサルファームなどで実施している方法論を参考にして、前期に投資を行い、作りこんだものとなります。

クラウドプロダクト事業の全体像

クラウドプロダクト事業についてです。コンサルティングノウハウが型化しやすいことと、経営にインパクトを及ぼせる領域として、現在は8つの領域を識別しています。将来的には、8つの領域に対して8つのプロダクトを作ることを狙っていますが、現在は支出最適化と営業効率化の2領域でMVPを開発している状態です。

支出最適化の「スペンドインテリジェンススイート」については、クライアント企業との共同開発プロジェクトのお話がいくつか出てきています。営業効率化の「セールススイート」については、まだミニマムな機能ではあるものの、いくつかのクライアントに月額料金をいただきながらサービスを提供しており、同時に機能強化を進め始めている状況です。

ビジネスモデルの発展イメージ

ビジネスモデルの発展イメージについてご説明します。今までは、戦略コンサルティングの中でJoint Initiative型コンサルティングモデルの比率を増やしていました。今後は、従来型コンサルティングをすべてJoint Initiative型コンサルティングモデルに移行するぐらい、Joint Initiative型コンサルティングモデルの比率を高めていくことを目指しています。

その上にクラウドプロダクト事業を乗せることで、より非労働集約的な変革を実現していくことを目指しています。

コンサルティング、SI、クラウド事業(SaaS)のTAM/SAM/SOM

弊社はこのような事業を通じて、コンサルティング市場、SI市場、SaaS市場を合わせて10兆円という大きなTAMに相対していると思っています。加えて、長期的には海外展開も目指しており、より大きなTAMやSAM、SOMも狙っていけると考えています。

PLサマリー

PLサマリーです。先ほどもお伝えしたとおり、2024年5月期の売上高は42億円弱、年間成長率はプラス60パーセント、営業利益率は9パーセント弱です。

2024年5月期は、ワンタイムでの人材採用、マネジメント手法の開発、AI/DXを活用した管理職の管理業務負荷軽減などに投資を行って整備しました。その効果も生まれ、2025年5月期第1四半期の売上成長はプラス120パーセント、営業利益率は35.5パーセントまで戻しています。

競合に比して生産性の高い売上成長と高利益率を実現

弊社の効率的な成長性の高さについてご説明します。スライド左側の図は、横軸が人員数成長率、縦軸が売上高成長率を示しています。この図のうち、弊社は左上にプロットされるかたちで、人員数の成長よりも売上の成長のほうが高いところに位置しています。

他のファームは、人員数の成長と売上の成長がリニアになるラインにいることが多いのですが、弊社は人員数に依らない売上成長を達成できていると考えています。また、1人当たりの年間売上高も5,300万円となり、他企業と比べると倍以上になります。

スライド右側の図に記載しているように、高い売上高成長率を達成しながら非常に高い営業利益率をキープできています。

中長期的な売上・利益ターゲット

中長期的な売上・利益ターゲットについてご説明します。現在はJoint Initiative型コンサルティングモデルの売上比率向上を目指しており、2025年5月期第1四半期は42パーセントまで上がってきています。また、2023年度に行った投資により、ある程度の基盤ができました。

そのため、次のPhase2においては、Joint Initiative型コンサルティングモデルをさらに強化しながら比率を高めていきます。加えて、クラウドプロダクトの売上割合の増大も目指しています。

最終的には、Joint Initiative型コンサルティングとクラウドプロダクトの組み合わせで40パーセントから45パーセントの営業利益率を確保しながら、高い成長を維持していくところを狙っています。

質疑応答:Joint Initiative型コンサルティングの競合について

質問者:貴社の特徴であるJoint Initiative型コンサルティングは、競合にも似たようなサービスがあるのでしょうか? 参入障壁などがあるのでしょうか? 

ここから先は無料会員登録で続きをお読み頂けます

既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。

登録することで、本サービスにおける利用規約プライバシーポリシーに同意するものとします。

※本登録案内のメールが確認できない場合、迷惑メールフォルダやゴミ箱に自動的に振り分けられている可能性がありますので、今一度ご確認いただきますようお願いいたします。