会社概要
田中隼人氏:みなさま、こんにちは。トレンダーズ株式会社取締役CFOの田中です。本日はお忙しい中、当社の2025年3月期の決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、まず私から決算概要及び2026年3月期の業績予想と、中期経営計画についてお話しします。その後、代表取締役社長の黒川より事業戦略についてご説明します。
会社概要です。すべては読み上げませんが、従業員数は前回まで単体で開示していましたが、M&Aによって社員数も大幅に増加しましたので、今回は連結ベースで記載しています。
経営方針
経営方針はこれまでと変わっていません。
トレンダーズグループの概要
トレンダーズグループの概要です。これまでとの大きな変更点としては、2025年3月に総合的なイベントプロデュースを手がけるzenplus社の全株式を取得し、完全子会社化しました。
それにより、現在トレンダーズを含め連結7社でグループが構成されています。事業としてはマーケティングとインベストメントがありますが、売上と利益の大半はマーケティング事業で稼いでいます。
なお、zenplus社に関しては2025年3月下旬に株式を取得したこともあり、今回の連結決算上、損益はまったく取り込んでいません。B/S部分だけ取り込んでいます。
マーケティング事業の事業領域
当社の事業領域についてです。これまでと変わらず、中核事業である美容マーケティング領域と、新規事業であるメディカルマーケティング領域を行っています。
決算サマリー(通期)
通期の決算概要です。グループ連結の売上高は61.9億円でYonY9.1パーセント増、営業利益は9億8,800万円でYonY25.3パーセント増と、増収増益となっています。業績予想に対しても、ほぼ想定どおりの着地となっています。
中核であるマーケティング事業の売上高は59.9億円でYonY8パーセント増、営業利益は9.6億円でYonY13.6パーセント増となりました。成長の大きな要因は、インフルエンサーマーケティング領域の売上高がYonY22パーセント増と、大幅に成長したことです。
インベストメント事業は、第1四半期及び第3四半期において、営業投資有価証券の売却が発生したため、増収増益となっています。
業績概要
業績概要はスライドのとおりです。
売上高推移(通期)
5ヶ年の売上高は、スライドのとおり、毎年増収で推移しています。
売上総利益推移(通期)
売上総利益も、売上高と同様に毎年増益しています。
販売費及び一般管理費推移(通期)
販管費については、2024年3月期に急増しましたが、2025年3月期は昨年とほぼ同じ水準となっています。
2025年3月期には、zenplus社のM&Aの関連費用として7,000万円ほど、業務委託費に計上しています。一方で、2024年3月期にあった大きな広告宣伝費がなくなったことや人員生産性の改善によって、昨年とほぼ同じ水準で着地しました。
営業利益推移(通期)
販管費は変わらない中で売上総利益が増えたため、営業利益はYonY25パーセント増の9億8,800万円で着地しています。
親会社株主に帰属する当期純利益・ROE推移(通期)
当期純利益とROE推移です。当期純利益は6億円、ROEは14パーセントとなりました。こちらはゴールがあるものではもちろんありませんので、資本コスト・資本効率を常に意識しながら、継続的なROEの上昇を目指していきます。
サービス別粗利(美容マーケティング領域・通期)
美容マーケティング領域のサービス別粗利です。美容カテゴリに注力した結果、インフルエンサーマーケティングの美容カテゴリは約21パーセント、「Mimi Beauty」は約3パーセントの成長になっています。美容カテゴリ全体では約10パーセントの成長となり、順調に進捗しています。
「Mimi Beauty」に関しては、2024年3月期に大型のTVCMを放映しましたが、その反動もあり、少し成長率が低くなっています。後ほど詳しくお話しします。
美容カテゴリの粗利構成比
美容カテゴリの粗利構成比は、2024年3月期とほぼ変わりません。スライドに「美容カテゴリへの特化戦略により、美容領域の業界別粗利構成比が8割を超える」と記載していますが、すでに9割に迫っているところです。
従業員数推移/一人当たり粗利推移(美容カテゴリ)
生産性は順調に改善、向上しています。従業員1人当たりのマーケティング事業の粗利は、YonY8パーセント増加しています。美容カテゴリに絞ると、従業員1人当たりの粗利はYonY10パーセント増と、順調に生産性向上しています。
「成長企業にもかかわらず、従業員数が減少しているのはなぜか?」と、ご質問いただくことがあります。
当社は女性社員が多いこともあり、産休・育休に入られる方も一定数います。今回は産休・育休に入る方が多かったこともあり、表記上の従業員数が減少しています。ただし、実際の従業員数全体は、特に減少はしていませんのでご安心ください。
また、スライド2ページの会社概要には従業員数243名とあります。この差分は、zenplus社の社員をこの生産性の計算上は含んでいないことによるものです。P/Lを合算しておらず、社員数だけ合算すると、生産性の計算が合わなくなるため、今回は含んでいません。
貸借対照表
貸借対照表は、基本的には健全な状態を保っています。大きな変化としては、総資産が増えて固定負債も増えています。この背景には、zenplus社の子会社株式取得資金をいろいろと検討した結果、外部借入で賄ったことがあります。
売上高推移(四半期)
第4四半期の決算概要についてご説明します。売上高は15.2億円でYonY4パーセント増となりました。インフルエンサーマーケティングの美容カテゴリはYonY21パーセント増、「Mimi Beauty」はYonY15パーセント増と、それぞれ順調に成長しています。
売上総利益推移(四半期)
売上総利益は7億9,400万円でYonY4パーセント増、インフルエンサーマーケティングの美容カテゴリがYonY16パーセント増と、順調に成長しています。
Mimi Beautyの業績推移(四半期)
「Mimi Beauty」の業績推移です。第4四半期は、売上高がYonY15パーセント増に対して、粗利は1.3パーセント増にとどまりました。
この要因は、2025年2月に広告宣伝目的で実施した大型イベントにおいて、クライアント企業からの協賛を多数いただきました。この協賛金は売上に計上しているものの、開催費用を広告宣伝費用で計上するのか、売上原価で計上するのかは会社によって違うと思いますが、当社の場合は売上原価に計上している関係で、粗利が少なくなっています。
ただし、案件で獲得した利益といえば利益のため、実際にこれが乗っていると、粗利の成長率も売上高の成長率に近くなっていたかと思われます。
また、今後は売上高・粗利ともに10パーセントから20パーセントの成長率を見込んでいます。2025年3月期の成長率が鈍化して不安になった投資家も多数いらっしゃるかとは思いますが、我々としては、今後は一定程度の成長フェーズに入っていけると考えていますので、ご安心ください。
販売費及び一般管理費推移(四半期)
販管費は6億1,500万円です。zenplus社の株式取得関連費用として、通期では7,000万円、そのうち第4四半期に5,500万円を計上しています。
この計上がない場合、第3四半期にほぼ近い水準になります。昨対も下回っていますので、販管費が膨張しているというよりも、一過性の費用が発生したとご認識ください。
営業利益推移(四半期)
営業利益は昨対を若干上回る1億7,800万円となりました。M&A関連費用を計上しつつも、営業増益を実現できています。
第4四半期の決算概要については以上です。
2026年3月期 通期連結業績予想
ここからは進行中の2026年3月期の業績予想と、中期経営計画の変更についてご説明します。
2026年3月期の業績予想は、売上高が87億円、営業利益と経常利益がそれぞれ13億円、親会社株主に帰属する当期純利益が8億円としています。売上高の増減率はYonY40パーセントで、増益に関してはそれぞれYonY31パーセント強としています。
その理由は、中核であるインフルエンサーマーケティングと「Mimi Beauty」の継続成長に加え、3月に連結子会社化したzenplus社の効果によるものです。
インベストメント事業に関しては、現時点で特段売却を見込んでいませんので、減収減益で想定しています。
業績予想の想定進捗率
業績予想の想定進捗率です。基本的には開示していませんが、2026年3月期は売上と利益の出方に特色がありますので、先んじてみなさまへ共有します。スライドのグラフのとおり、特に第1四半期は利益の進捗率が低く、第2四半期以降に急激に上がってくると想定しています。
その要因としては、zenplus社のイベント案件が季節要因によって下半期にかなり偏重することに加え、中核であるインフルエンサーマーケティングと「Mimi Beauty」に関しても、足元の状況等から、第2四半期以降に案件や売上計上が偏重することが見えているためです。
第1四半期決算発表時には、進捗率が若干低く見えて不安になるかと思いますが、想定の範囲内ですのでご安心ください。
株主還元
株主還元です。2025年3月期は、配当予想で出していたとおり、27円で確定しました。9年連続の増配となっています。
2026年3月期の予想は35円となり、一気に8円上げています。8円増加は、27円と比較すると30パーセントほどの増加になりますが、これは当期純利益や営業利益の増益率と合わせています。
基本方針として、「1株当たり配当額の継続的な増加」をメインに考えています。今後、なんらかの要因によって一時的に利益が減った場合も、配当額を減らさず維持する、もしくは増やすという観点で「DOEの4パーセント以上」も基本方針として出しています。
我々は、1株当たり配当額を継続的に増やすことを特に重視しています。
中期経営目標の変更
とても重要な中期経営計画目標の変更についてお話しします。2021年3月期からの中期経営目標である営業利益10億円を、1年前倒しである2023年5月に実現することができました。それも踏まえて「2026年3月期までに営業利益20億円」という3ヶ年の計画を開示しました。
それから2年ほど経過して、正直に言うと美容以外の取引が想定よりもかなり落ち込んだことと、新規で取り組んでいるメディカルマーケティング領域の収益化が遅れてしまっているところを踏まえて、見直しを行いました。
見直しに際しては、さまざまな業績指標やKPIの検討を行いました。今後、当社として着実かつ持続的に企業価値を向上させていくにあたり、何が最も適切かと考えた時に、営業利益の平均成長率を目標として開示することが一番良いのではないかと考えました。
実際の我々としての成長ポテンシャルと、実際にどのくらいの水準を追い求めるべきかも検討した結果、CAGRとして25パーセントから30パーセントを置いています。
期間としては、あまり短期にしてしまうと、利益追求目線ばかりになってしまうところもありますので、2026年3月期から2029年3月期の4年間としました。4年間をいったん期間として置き、営業利益に関してはきちんと伸ばしていくという思いを込めて開示しています。
一方で、この期間において、M&Aや事業投資も柔軟かつ積極的に行い、企業として成長していきたいという思いがあるため、営業利益目標は設定しないことにしました。
美容マーケティング領域の成長戦略
目標に向けて、我々がどのように成長していくかについてです。後ほど代表取締役の黒川から詳細をお伝えしますので、私からは簡単にお話しします。
スライドに記載のとおり、我々の売上・利益は、取引ブランド数と、ブランド当たり受注額と分けられますので、この2つをそれぞれ向上させていくことを考えています。
今後のM&A戦略と株主還元方針
今後のM&A戦略と株主還元方針についてです。先ほどM&Aを積極的に行っていくとお話ししました。中核である美容マーケティング領域はオーガニックでも成長していくと想定していますが、その成長を補う目的でM&Aを実施したいと考えています。
必要な資金に関しては、実際に今のデットサイドとエクイティサイドの調達コストや、マーケット環境を踏まえ、手元資金に加えて、必要に応じてデットファイナンスを基本とする方針です。
株主還元の方針に関しても、基本的には1株当たり配当額を増やしていきます。その増やし方に関しては、基本的にEPSの増加に応じるものが適切かと考えています。万が一なんらかの理由で一時的に減益となっても、1株当たり配当額は維持、もしくは増加させることを基本方針としています。
その他の株主還元という観点では、自己株式の取得もあります。こちらに関しては、マーケット環境や株価水準も総合的に勘案して、随時、柔軟に検討して実施していく方針です。
ここまでお話ししたような継続的な業績拡大により、時価総額のさらなる向上を目指していきます。我々は上場企業の経営陣として、時価総額・株価に関しては真摯に向き合う必要があると考えています。
短期的になにか株価を上げるような施策を打つことよりも、きちんと中長期的に業績を拡大させていくことで、みなさまの期待に応えていくことが基本方針です。私からのご説明は以上です。
マーケティング事業の事業領域
黒川涼子氏:みなさま、こんにちは。代表取締役社長の黒川です。私より、マーケティング事業の成長戦略についてご説明します。
まず、マーケティング事業の事業領域です。スライドは再掲となりますが、マーケティング事業においては、既存事業である美容マーケティングと、新規事業であるメディカルマーケティングの2つの領域で展開しています。
メディカルマーケティング領域のビジネスモデル
まず、メディカルマーケティングの概要と取り組みからご説明します。メディカルマーケティング領域のビジネスモデルについてです。
メディカルマーケティング領域では、いわゆる自由診療クリニックに向けてマーケティング及び運営DXの支援と、自由診療クリニックにおけるクリニック専売品の開発・販売といった事業を行っています。
マーケティング・運営DX支援の取り組み実績
具体的な取り組みについてですが、現在2つのクリニックとの取り組みを実施しています。1つは毛髪再生に特化した「銀座ステムファインクリニック」で、もう1つがアートメイクに特化した「ars clinic TOKYO/GINZAMaison」です。
この2つのクリニックに向けて、スライドの図のとおり、マーケティングや運営の支援を行い、売上に対してレベニューシェアで分配いただいています。
メディカルマーケティング領域の成長戦略
メディカルマーケティング領域の成長戦略です。先ほど中期経営目標の修正の中でもお話ししましたが、メディカルマーケティング領域は当初の見立てよりも収益化が遅れています。
要因としては、クリニックの運営上の問題と、スタッフの採用や定着の問題が挙げられます。また、収益化の部分では集客コストが、我々の想定以上に、広告単価が非常に高騰しています。そのため、売上は順調に伸びてはいるものの、収益化、利益という面では想定よりも遅れが発生しています。
対策として、リピート率の向上や、集客に向けての広告クリエイティブの改善などのコスト改善、よりアーティストを増やしていくことにより、患者の受け入れ人数をさらに増やしていくなど、鋭意さまざまな取り組みを行っています。
それにより、2027年3月期の収益化を狙っています。メディカルマーケティングについては以上です。
美容マーケティング領域のビジネスモデル
既存の美容マーケティング領域についてご説明します。美容マーケティング領域については、我々がクライアント企業、化粧品メーカー、化粧品ブランドに対して、主にデジタル領域、SNS領域に特化して、マーケティングを支援しています。
「SNS領域に特化して」と言いましたが、このたびzenplus社というイベントの総合プロデュースを手がける企業をM&Aしましたので、これからは領域を拡大していきたいと考えています。
市場環境:美容情報の収集メディア
美容マーケティング領域の市場環境についてです。スライドの図は、定期的に開示しているものですが、10代から30代の女性がどのようなメディアで美容情報を収集しているかを示した我々の調査データです。
ここ数年、「Instagram」「YouTube」「X(Twitter)」という上位の3メディアは変わっておらず、半数以上を占めています。特筆すべきところとしては、「TikTok」の影響力が年々非常に高まってきています。2025年1月の調査では、30パーセントを超えてきています。
市場環境サマリー
美容マーケティング領域の市場環境サマリーです。ご周知のとおり、SNSの利用者数及び利用頻度は、引き続き増加傾向にあります。先ほどの調査データでご覧いただいたように、美容情報の収集において、SNSの影響力が年々大きく強まっています。
加えて、インターネットの広告市場及びインフルエンサーマーケティング市場も大きくなっています。我々がターゲットとしている化粧品業界の広告費において、デジタルシフト及びSNSシフトが加速しています。
広告費のデジタルシフト・SNSシフト
スライドは、美容マーケティングの広告費をより具体的に図解したものです。全体の予算が変わらない中でも、化粧品の1ブランド当たりの広告費の配分が、市場環境の変化によって、大きく変わってきています。
具体的には、これまではテレビCMや雑誌広告といったいわゆるマス広告の予算配分が大半でしたが、ここ約5年でデジタルシフト、SNSシフトをするかたちで大きく変化しました。我々が展開をしているインフルエンサーマーケティングやSNS広告の予算が、非常に大きくなっています。
もちろん、マス広告もゼロになったわけではありません。化粧品メーカーの新商品発表会や顧客向けの発表会、店頭でのポップアップなどのイベント施策は、従前から一定のニーズがあります。
このようなイベントやポップアップの施策では、インフルエンサーを派遣したり、そのイベント自体をSNSで拡散したりします。その点は、我々が行っているデジタル・SNSの広告領域と非常に近しいものがあり、我々が今回、イベントのプロデュースを手がけるzenplus社をM&Aをした背景でもあります。
美容マーケティング領域のターゲット市場
ここまでお伝えした背景を踏まえて、我々が美容マーケティング領域のターゲット市場で目指せるターゲットは、グロス売上で500億円と考えています。
美容メディア「Mimi Beauty」
美容マーケティング領域における我々のソリューションをご紹介します。1つ目は美容メディア「Mimi Beauty」です。「Mimi Beauty」は、SNSに特化して美容情報を発信しているメディアです。SNSのフォロワー数の多さが特徴です。
2025年4月時点での総フォロワー数は587万人です。こちらのフォロワーを活用したオンラインイベントや、フォロワーが作成したUGCを活用したSNS広告など、さまざまなソリューションを提供しているメディアです。
「Mimi Beauty」SNSフォロワー数推移
「Mimi Beauty」のSNSフォロワー数の推移です。注力プラットフォームである「X(Twitter)」と「Instagram」では、フォロワー数が順調に増加しています。
インフルエンサーネットワーク「LIN」
「LIN」は、我々が独自に保有しているインフルエンサーネットワークです。会員数は約1万3,000名です。こちらのネットワークは特定のプラットフォームに偏るのではなく、さまざまなプラットフォームに対応していることが特徴です。
インフルエンサー施策の領域では、マイクロインフルエンサーである自社会員のみではなく、著名人やタレントクラスの方も提供しています。芸能事務所やプロダクションと提携しながら、幅広く対応しています。
SNSプラットフォーム別売上比率
我々が提供しているSNSのプラットフォーム別の売上比率です。スライド左側の円グラフが2024年3月期の通期、右側の円グラフが2025年3月期の通期を表しています。比較すると、グレーで示した「X(Twitter)」と、オレンジで示した「Instagram」に関しては、それほど大きな変化はありません。
先ほど、「TikTok」の影響力が非常に高まっているとお伝えしました。我々もここ数年、「TikTok」に注力してきました。その結果、プラットフォーム別の売上比率で「TikTok」が2025年3月期には10パーセントまで高まってきています。
美容マーケティング領域の成長戦略
美容マーケティング領域の成長戦略としては、スライドの左側に記載した「1ブランド当たりの受注額の向上」に「取引ブランド数の拡大」を掛け合わせていきます。そこに向けてさまざまな施策に取り組んでいます。
アイスタイル社との連携進捗
アイスタイル社との連携進捗についてです。ご周知のとおり、アイスタイル社と我々は資本業務提携を行っています。
2025年3月期通期においては、アイスタイル社の韓国子会社であるGlowdayz社との連携が非常に順調に進捗しています。韓国のコスメブランドとの取引が大きく拡大し、累計受注額が約7,900万円となりました。
また、我々の取引ブランドに対してアイスタイル社の「@cosme」の広告メニューのアップセルを行う取り組みに関しては、広告メニューの販売額がグロスで3.3億円という実績になりました。
zenplus(ゼンプラス)社の完全子会社化
zenplus社の完全子会社化についてです。イベントの総合プロデュースを手掛けるzenplus社の全株式を取得し、完全子会社化しました。
なぜイベント会社なのかについては、すでにご説明したとおりです。化粧品メーカーが行うマーケティング施策の中でも、イベントは我々の提供領域であるSNSと非常に相性が良く、近しいです。そのため、これまでにクライアントからも多くの相談を受けていました。
イベントというソリューションを外注するのではなく自社で実施したいと考え、かねてから検討していました。ようやく実現に至りました。
zenplus社は、スライドの画像にもあるように、自動車や化粧品といった多種多様な業種でのイベント実績を保有しているのが特徴です。美容以外の取引実績も当然ありますが、美容領域に強くて取引も多くあるイベント会社が、我々と相性が良いと考えています。
取引先の中でもイベントのクオリティが非常に高いこと、外資系ブランドやラグジュアリーブランドとの取引実績が多いことも特徴です。
ECモールのマーケティング・運営支援事業を開始
新たな取り組みとして、しるし社と業務提携することで、「Amazon」を始めとするECモールのマーケティング運営支援という事業を開始しました。しるし社は日本で初めて「Amazon プラチナム・パートナー・エージェンシー」というバッジを取得した企業であり、「Amazon」の運営に深い知見を持っています。
しるし社は美容領域に特化せず、すべてのカテゴリの支援を行っていますが、我々は美容領域に特化してECモールのマーケティング支援を行っていく想定です。
しるし社の運営ノウハウを提供いただくことで、「Amazon」などのECモールでの美容ブランドのさらなる売上拡大を支援します。さらには、SNSからどのように「Amazon」に送客するかについてもソリューションとして提供し、そのノウハウも確立していきたいと考えています。
TikTok Shop運営支援サービスを開始
新たな取り組みである「TikTok Shop」の運営支援サービスについてです。こちらは業界でも今大きな話題になっており、海外ではすでに展開している国もありますが、日本国内でも、この夏から秋に向けて「TikTok Shop」というEC機能がローンチされます。
我々もこの運営支援サービスの提供を開始します。提供領域は我々の強みであるインフルエンサーの起用です。
特に我々は美容領域に特化した運営、事業展開を行っています。美容領域の中で、このような商材であればこのようなインフルエンサーとの相性が良い、といった商品とクリエイターの最適な組み合わせを提供できるところが、最大の強みだと考えています。
今後の美容マーケティングの事業領域
今後の美容マーケティングの事業領域についてです。zenplus社の子会社化やECモールの運営支援事業、また前回の決算でご説明したJ-Beautyのアメリカでの展開支援を行っているCosme Hunt社の子会社化などにより、海外の拡販支援事業も今期から開始しています。
従来の国内向けのSNSマーケティングのみではなく、これからは新たな領域として、イベントのプロデュースやECモールの運営支援、それから海外拡販支援を考えています。海外については、まずはアメリカと韓国への日本ブランドの拡販支援を事業領域として、新たに拡大していきたいと考えています。
Mimi Beautyの取組み
「Mimi Beauty」の取り組みについてです。昨年度と同様、ユーザー向けの大型のリアルイベント「Beauty Meets」を開催しました。
2,000名を超える方に参加いただいた大規模なイベントです。「Mimi Beauty」というメディアが2025年5月に誕生から10周年となります。10周年を記念するさまざまな企画や取り組みも予定しています。
以前からフリーペーパーも発刊しています。有名タレントのももいろクローバーZの百田夏菜子さまを表紙に起用し、SNSで非常に話題となっています。
インフルエンサーのAIマッピング技術で特許出願
インフルエンサー領域の取り組みについてです。インフルエンサーのAIマッピング技術について、特許を出願しています。こちらに限らず、AIへの取り組みは非常に重要だと捉えて注力しています。
「インフルエンサーMAP」では、10年間で延べ10万人を超えるインフルエンサーを起用しました。インフルエンサーマーケティングの実績に最新のAI技術を掛け合わせることで、どのようなインフルエンサーを起用するのが最適かを、よりデータドリブンに提供、提案できるシステムです。
こちら以外に関しても、SNSとAIは相性が非常に良いと我々は捉えています。さまざまなシステムや選定ロジックを開発していきたいと考えています。
(参考)トレンダーズのAI活用
トレンダーズのAI活用事例です。特にSNS領域とAIの相性が非常に良いため、AIの推進を強化しています。
スライドに記載したとおり、さまざまなシステムを導入済み、もしくは開発中です。直近の1ヶ月間では、全社員の70パーセント以上が、日常的にこのようなシステムやAIを活用しているという実績が出ています。
美容マーケティング領域の成長戦略
スライドは、中期経営計画の目標のご説明で触れた資料の再掲です。美容マーケティング領域の成長戦略は、取引ブランド数を拡大していくことと、提供ソリューションを増やしていくことで、1ブランド当たりの受注額を増やしていきます。この2軸によって、引き続き継続的な成長を目指していきます。
取引ブランド数の拡大に関して、今後の大きな取り組みは、アイスタイル社との連携による海外ブランドの取引拡大です。韓国ブランドでは昨年度期に大きな実績を出せましたが、韓国のブランド、K-Beautyの勢いはこれからも続くと考えています。
韓国ブランドとの取引を引き続き拡大することに加えて、中国の化粧品メーカーが日本国内でのマーケティングを今後強化していくという相談もすでにいただいています。韓国以外の海外ブランドとの取引拡大も目指していきたいです。
美容マーケティング、美容領域といった軸は基本的にぶれません。一方で、美容のためにユーザーが何を取り入れるか、という視点では美容の領域が昨今、大きく拡大してきていると感じています。また、最近は、ドライヤーや美顔器のような美容家電のニーズが非常に高まってきています。
このような背景を踏まえて、化粧品だけではなく、美容家電、健康食品、もしくは消費財といった化粧品の周辺領域にも取引ブランドや美容カテゴリを拡大し、取引ブランド数の拡大を図っていきたいと考えています。
新規のソリューション領域としては、イベントの総合プロデュース、ECモール運営、「TikTok Shop」の運営支援があります。海外の拡販支援はすでに着手しています。
それに加えて今後の展開としては、新しい美容メディアの立ち上げや、化粧品業界においてインバウンドが順調に伸びていることを受けてインバウンドマーケティングの支援を行います。また、美容領域におけるM&Aによって、新規ソリューションを拡充していきたいと考えています。
これらの取り組みによって、先ほど掲げたCAGR25パーセントから30パーセントといった継続的な成長を図っていきます。引き続き、みなさまにはご支援のほど、何卒よろしくお願いします。私からのご説明は以上です。
質疑応答:zenplus社の子会社化後の営業活動について
「zenplus社を子会社化して約2ヶ月が経過しました。すでにトレンダーズの顧客企業への営業活動は始まっていますか? 始まっている場合は、どのような反応がありますか?」というご質問です。
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