1. キャピタルゲインとは?基本の理解

1-1. キャピタルゲインの定義と特徴

キャピタルゲインとは、資産を売却することで得られる利益のことを指します。例えば、1,000円で購入した株式を1,500円で売却した場合、その差額の500円がキャピタルゲインです。つまり、購入価格と売却価格の差額がキャピタルゲインになります。特徴としては、キャピタルゲインは資産の価値が上昇することで得られるため、短期間で大きな利益を得やすい点があります。しかし、その反面、資産の価値が下がることもあるため、高リスクが伴います。

1-2. キャピタルゲインが得られる投資商品の例

キャピタルゲインを得るためには、主に株式や不動産などの投資商品が利用されます。具体的には、株式投資では株価が上昇した際に売却することでキャピタルゲインが得られます。また、不動産投資の場合、購入した不動産を売却価格が購入価格を上回った際に利益としてキャピタルゲインが発生します。そのほかにも、投資信託や暗号資産(仮想通貨)などもキャピタルゲインを得るために利用されることがあります。

1-3. キャピタルゲインのメリットとデメリット

キャピタルゲインのメリットとしては、短期間で大きな利益を得やすい点が挙げられます。これは、特に高リターンを狙いたい投資家にとって魅力的です。一方、デメリットとしては、高リスクが伴うことやキャピタルロスの可能性があることが挙げられます。

2. インカムゲインとは?基本の理解

2-1. インカムゲインの定義と特徴

インカムゲインとは、資産を保有していることで得られる利益のことです。具体的には、株式の配当金や不動産の家賃収入がこの範疇に入ります。インカムゲインの大きな特徴は、継続的に収入を得られることです。資産を売却することなく、その保有期間中に安定的な収益を得られるため、一般にリスクが低めです。

2-2. インカムゲインが得られる投資商品の例

インカムゲインを得られる代表的な投資商品には、以下のようなものがあります。

株式投資:株式の多くは配当を支払っており、企業が利益を上げると、その一部を株主に還元します。

不動産投資:マンションやアパートを所有している場合、賃借人からの家賃収入がインカムゲインとなります。

債券:債券もインカムゲインを得られる商品で、定期的な利息を受け取ることができます。

2-3. インカムゲインのメリットとデメリット

インカムゲインの主なメリットは、安定した収入を得られる点です。例えば、株式の配当金や不動産の家賃収入は定期的に得られるため、長期的な資産形成を目指す投資家にとって魅力的です。また、リスクを抑えた運用が可能であることも大きなメリットです。

一方、デメリットとしては、利回りが比較的低いことが挙げられます。高リターンを狙う場合、キャピタルゲインを目的とした投資を選ぶことが一般的です。また、資産の価格変動リスクは依然として存在し、経済状況が悪化すると配当金や家賃収入が減少する可能性もあります。

結果として、インカムゲインはリスクを抑えつつ収益を上げたいと考える投資家に適していますが、高リターンを求める場合はキャピタルゲインを狙った投資と組み合わせることが推奨されます。

3. キャピタルゲインとインカムゲインの比較

3-1. 収益性の違い

キャピタルゲインとインカムゲインの収益性には大きな違いがあります。キャピタルゲインは、株式や不動産などの資産を売却する際に得られる利益のことを指します。例えば、1,000円で購入した株式を1,500円で売却すれば、その差額の500円がキャピタルゲインとなります。このように、キャピタルゲインは非常に高い収益を得る可能性がありますが、その反面、高リスクである点も見逃せません。

一方、インカムゲインは、保有する資産から定期的に得られる収益です。たとえば、株式の配当金や不動産の家賃収入がこれにあたります。インカムゲインは一般的に安定的で、定期的に収益を得られるのが特徴です。ただし、利回りは数パーセント程度にとどまり、高リターンを求めることは難しいです。例えば、2024年9月時点で、東証の市場別で平均利回りを見てみると、東証プライム市場上場企業で2.29パーセント、東証スタンダード市場上場企業で2.45パーセント、東証グロース市場上場企業で0.62パーセントとなっています。

出典:日本取引所グループ「マーケット情報 その他統計資料:株式平均利回り」

3-2. リスクの違い

キャピタルゲインとインカムゲインのリスクには特徴的な違いがあります。キャピタルゲインを狙う投資は、基本的に市場の価格変動によるリスクが高いです。たとえば、購入価格よりも売却価格が低くなった場合はキャピタルロスが発生し、元本割れのリスクが生じます。具体例として、1,000円で購入した株式が売却時に800円になってしまった場合、200円のキャピタルロスとなります。

一方で、インカムゲインを狙う投資は、相対的にリスクが低いとされますが、元本割れのリスクが全くないわけではありません。配当金や家賃収入は比較的安定的に得られるため、マーケットの短期的な変動にはあまり影響されませんが、経済状況の悪化により配当の減少や不動産価値の下落が起こる可能性があります。例えば、不動産投資で物件価値が下落したり、株式投資で配当が減少または停止したりする場合があります。

しかし、インカムゲイン重視の投資は、一般的に長期的な視点で行われるため、短期的な価格変動の影響を受けにくい傾向があります。また、定期的な収入が得られることで、投資元本の回収にかかる時間を短縮できる可能性があります。

3-3. 投資期間の違い

キャピタルゲインとインカムゲインを追求する際には、投資期間の違いも考慮しなければなりません。キャピタルゲインを狙う投資は、一般的に短期的な売却を目的とすることが多いです。市場の動向を見極め、短期間での利益確定を目指すため、頻繁に売買を行います。これにより、短期間で大きな利益を得ることができる一方、リスクも高くなります。

インカムゲインを目指す投資は、長期的な視点で資産を保有し続けることが多く、配当金や家賃収入といった定期的な収益を得ながら、資産価値の増加をじっくり待つ戦略が中心となります。長期的に安定した収益を得たい場合には、インカムゲインを重視した投資が適しているでしょう。

以上のように、キャピタルゲインとインカムゲインにはそれぞれ異なる収益性、リスク、そして投資期間の特性があります。自身の投資目標やリスク許容度に合わせて、どちらの戦略がより適しているかを検討しましょう。

4. 投資戦略の立て方

4-1. 自身の投資目標とリスク許容度を考える

投資を始める前に、まず自身の投資目標とリスク許容度を明確にしましょう。投資目標とは、例えば将来的なマイホーム購入や老後資金のためにいくら必要かを具体的に設定することです。リスク許容度は、自分がどれだけのリスクを取れるか、つまり投資額の一部や全部を失う可能性にどれだけ耐えられるかを指します。

例えば、高リターンを狙うキャピタルゲインは短期間で大きな利益を得る可能性がありますが、投資額が大きく減少するリスクも伴います。一方、安定的な収益を得るインカムゲインは低リスクですが、利回りは数%程度と低めです。自身の投資目標とリスク許容度を考慮し、どちらが自分に適しているかを判断することが必要です。

4-2. 資産ポートフォリオのバランスを取る

効果的な投資戦略の一環として、資産ポートフォリオのバランスを取ることも大切です。資産ポートフォリオとは、異なる投資商品(株式、不動産、債券等)を組み合わせてリスクを分散させる方法です。例えば、一部の資金をインカムゲインを狙った配当株に投資し、他の部分をキャピタルゲインを狙った成長株に投資することで、全体のリスクを抑えつつ収益を最大化することができます。

特に、日本国内でも注目されている株式投資や不動産投資では、インカムゲインとキャピタルゲインの両方を目指すことが可能です。バランスの取れたポートフォリオを構築することで、各種投資商品の違いを理解し、それぞれのメリットを最大限に活用できます。

4-3. 市場の状況を分析して投資先を調整する

市場の状況を定期的に分析し、それに応じて投資先を調整することも大切です。市場のトレンドや経済指標、企業の業績などを注視することで、投資のタイミングや商品を見直す材料となります。例えば、景気が好調で株価が上昇傾向にある時期には、キャピタルゲインを狙った投資を強化するのが効果的かもしれません。

また、景気が安定していない時期には、安定的なインカムゲインを重視した投資商品にシフトすることも一つの戦略です。市場の状況を見極めることで、保有する資産の配分を適切に調整し、リスクと利益のバランスを取ることができます。

定期的な情報収集と分析を行い、投資戦略を柔軟に対応させることが、長期的な成功への鍵となります。

5. まとめと初心者へのアドバイス

5-1. キャピタルゲインとインカムゲインの両立を目指す

投資において、キャピタルゲインとインカムゲインの両立を目指すことが理想とも言えます。キャピタルゲインは株や不動産などの資産を購入してから高く売却することで得られる利益です。一方、インカムゲインは株式の配当や不動産の家賃収入など、資産を保有していることで得られる利益です。どちらも異なる特徴とリスクがあるため、両方をバランスよく取り入れることで安定した収益を狙うことができます。

5-2. 長期的な視点で投資を考える

投資は短期間で成果を上げるのも魅力の一つですが、長期的な視点で取り組むことが成功のカギとなります。キャピタルゲインを狙う場合、高リスク・高リターンが伴うため、一時的な市場の変動に惑わされない忍耐が必要です。一方、インカムゲインは安定した収益を得やすいですが、利回りが低いため長期的な視点でリターンを期待することが求められます。持続的に利益を上げるためにも、長期的な戦略を立てていきましょう。

5-3. 情報収集と学習の重要性

投資を成功させるためには、情報収集と学習が欠かせません。キャピタルゲインやインカムゲインに関する基本的な知識だけでなく、最新の市場情報や投資商品の動向を常に把握しておくことが大切です。また、信頼できる情報源を見つけ、継続的に学習することで、自分自身の投資判断力を高めることができます。リスクを抑え、より高いリターンを狙うためにも、情報収集と学習を怠らないよう心掛けましょう。

6. 企業におけるキャピタルゲインとインカムゲインの獲得戦略

企業も個人投資家と同様に、キャピタルゲインとインカムゲインを獲得する機会があります。企業の視点から、これらの利益を得るための戦略を見ていきましょう。

6-1. キャピタルゲインの獲得方法

投資有価証券の売却:他社の株式や債券を保有し、価格上昇時に売却することでキャピタルゲインを得ることができます。

子会社・関連会社の売却:成長した子会社や関連会社を高値で売却することで、大きなキャピタルゲインを実現できます。

不動産投資:企業が保有する不動産の価値が上昇した際に売却することで、キャピタルゲインを獲得できます。

M&A(合併・買収):他社を買収し、その価値を高めた後に売却することで利益を得る戦略も有効です。

6-2. インカムゲインの獲得方法

受取配当金:他社の株式を保有することで、定期的に配当金を受け取ることができます。

受取利息:社債や定期預金などから利息収入を得ることができます。

不動産賃貸収入:企業が保有する不動産を賃貸することで、安定的な収入を得られます。

ロイヤリティ収入:特許や商標などの知的財産権を他社にライセンス供与することで、継続的な収入を確保できます。

6-3. 企業の財務戦略とキャピタルゲイン・インカムゲイン

企業の財務戦略において、多くの企業はキャピタルゲインとインカムゲインの両者を組み合わせた戦略を採用しています。例えば、本業からの安定的な収益(インカムゲイン的性質)を確保しつつ、新規事業への投資や M&A などでキャピタルゲインを狙うといった具合です。

また、企業は自社の株主に対してもキャピタルゲインとインカムゲインの機会を提供する責任があります。株価の上昇(キャピタルゲイン)と安定的な配当(インカムゲイン)のバランスを取ることで、幅広い投資家の期待に応えていこうとするのでた、これらの戦略は、企業の財務健全性や成長性に大きな影響を与えるため、慎重に検討し実行することが求められます。

7. キャピタルゲインとインカムゲインに言及している決算説明会書き起こしを読んでみよう

ログミーFinanceに書き起こしを掲載している上場企業も、その株主に還元する利益の説明と、企業自身の利益を上げる方法の説明でキャピタルゲインとインカムゲインに言及しています。それでは、決算説明会やIRセミナーでキャピタルゲインとインカムゲインについて説明している事例を見ていきましょう。詳しくは書き起こし記事も読んでみてください。

7-1. 事例:株式会社エコム (6225)

エコム(名証メイン・機械)は、工業炉、いわゆる加熱プロセスなどの機械設備の設計・製造及びメンテナンス事業を展開していますが、キャピタルゲインと配当の両方で株主還元をしていきたいと説明しています。

▼IRセミナー書き起こし▼
【QAあり】エコム、各種産業に必須の加熱プロセスでカーボンニュートラル化を促進 2024年営業利益YoY+27.8%の躍進|ログミーFinance 第85回 個人投資家向けIRセミナーより

最後に、株主還元の考え方についてです。我々は、一定の利益基盤を持ちつつ、成長もしていきます。当社は成長性と社会性、事業性を兼ね備えていると思っています。配当だけでなく、成長性も含めたキャピタルゲインと配当の両立をめざしていきたいと考えていますので、そのあたりを見てみていただければと思います。


7-2. 事例:株式会社アイキューブドシステムズ (4495)

アイキューブドシステムズ(東証グロース・情報・通信業)は、モバイル端末管理サービス「CLOMO MDM」を主軸としたSaaS事業を展開しています。成長戦略の一つとして投資事業を挙げ、キャピタルゲインを得て行くことを説明しています。

▼決算説明会書き起こし▼
アイキューブドシステムズ、通期は増収増益 顧客基盤が堅調に拡大し、導入法人数は前期末比+36.1%と過去最多|2024年6月期決算説明より

最後に、投資事業についても引き続きスタートアップ投資を推進し、キャピタルゲインはもちろん、投資先企業との事業シナジーの創出も目指していきます。


7-2. 事例:株式会社kubell (4448)

株式会社kubell (東証グロース・情報・通信業)は、ビジネスチャット「Chatwork」を提供するChatwork株式会社が2024年7月に社名変更した企業です。BPaaSのケイパビリティ領域の獲得、ならびに新たな事業創出を目的として、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を軸にキャピタルゲインも得ようとしていることを説明しています。

▼決算説明会書き起こし▼
【QAあり】kubell、2Qの営業利益は20年4Q以来の黒字転換を達成 Chatworkセグメントで前年比+38.8%の売上拡大が牽引|2024年12月期第2四半期決算説明より

ただ出資をするだけではなく、当社から送客してお客さまを紹介し、送客フィーをいただきます。それによって、出資した分の投資資金は早期に回収ができます。また、投資先は当社が送客したことによって事業を成長させることができます。事業グロースの部分は、将来的にキャピタルゲインとして当社も取り込むことができるという、非常に効率が良いCVCの展開をしています。



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