目次

中西聖氏(以下、中西):代表の中西です。どうぞよろしくお願いします。

それでは、2024年3月期第2四半期の決算説明を開始します。新たにミガロホールディングスとなりましたので、あらためて会社概要、事業の内容と将来の展望、そして2024年3月期第2四半期連結決算の概要、2024年3月期業績予想、2024年3月期第2四半期トピックスについてご説明します。

ホールディングス化のお知らせ

まずは会社概要です。

2023年10月2日よりプロパティエージェント株式会社は、ミガロホールディングス株式会社となり、証券コードも含め、生まれ変わりました。

経営理念として、「デジタルとリアルの融合で新たな価値を創造し、社会の課題解決に貢献する」ことを掲げています。

グループ会社体制

グループの体制は、DX推進事業とDX不動産事業にセグメントを分けています。

DX推進事業では、システム開発を含む顔認証サービス事業を、DX不動産事業では、都心に特化した投資用不動産の開発・販売・賃貸管理・不動産クラウドファンディング事業を展開しています。

会社概要

設立は2023年10月2日ですが、基本的にはプロパティエージェントのBSをそのままミガロホールディングスが受け継いでいるかたちです。

沿革・売上推移

沿革はスライドに記載のとおりです。2015年にJASDAQ、2018年に東証一部に上場しました。2020年8月に顔認証技術のDXYZ株式会社を設立し、2021年7月にシステム開発事業の走りとなるアヴァント株式会社を子会社化しました。その後は、システム開発に関わる会社をM&Aしています。

また、今期の売上は420億円を予想しています。

当社グループの展開する事業

事業内容と将来の展望です。あらためて、当社グループの展開する事業についてご説明します。

当社グループは、もともと「DX不動産事業」からスタートしました。DX不動産事業におけるマンションを作るノウハウを活用し、マンションから拡大する顔認証プラットフォームの「スマートシティ顔認証事業」と、2018年から注力してきた、プロパティエージェントにおけるDX化のノウハウを他社に展開する「クラウドインテグレーション事業」の3つを手がけています。いずれの事業もDXを基本としており、エッセンスとして生産性の向上、事業変革を掲げています。

スライドに記載しているスマートシティ顔認証事業とクラウドインテグレーション事業が、私たちのセグメントで言うところのDX推進事業です。DX推進事業を成長の柱、DX不動産事業を収益の柱とし、お互いのシナジーをノウハウとして渡し合いながら、成長していくかたちです。

顔認証プラットフォームの概要

スマートシティ顔認証事業について簡単にご説明します。「新しい働き方、暮らし方を創造し これまでにない体験を」をコンセプトに、顔認証の導入ソリューションを提供しています。

国内における顔認証サービス事例

現在は、国内でも顔認証サービスの導入はかなり広がっています。2020年東京オリンピックのゲートをはじめ、富士急ハイランド、東京ディズニーランド、東京ドーム、羽田空港にも導入されています。さらに、2025年にはJR西日本の全駅に顔認証デバイスが設置され、顔認証でゲートを通過できるようになります。

顔認証サービスの主な提供実績

私たちは、現在さまざまなところに顔認証を導入していますが、最初はプロパティエージェントのマンションから始めました。土地の購入、建物の設計段階から、すべてを知り尽くしていますので、マンションにどのように顔認証を導入すれば顧客に一番喜ばれるのか、コストを極力抑えられるのかを考えるところから出発しました。

まずはプロパティエージェントのマンションに導入し、その後は無人店舗、保育園、オフィス、ゴルフ場、さらに行政機関へと導入を進めています。

国内初のオール顔認証マンションを全国各地へ拡大中、サービスは広がり始めている

マンションに導入する顔認証ソリューションについては、国内において圧倒的なアドバンテージがあります。導入マンション棟数は累計で49棟、戸数は2,000戸を超えています。1年半前から、当社グループのマンションに導入してきましたが、マンションにおける顔認証の回数は、約300万回です。

私たちはデベロップ機能、設計機能、賃貸管理機能、建物管理機能を持っていますので、マンション業者に対して導入用のプロダクトを作ることができる点、そしてなるべくクレームが出ないように対策できる点において、確実にアドバンテージがあります。

「Google」で「マンション 顔認証」と検索すると、DXYZが多数出てきます。1ページ目については、ほとんど当社グループが占めています。「ChatGPT」に「マンションに顔認証を導入したいので業者を教えて」と言うと、NECの次に、当社グループのDXYZが出てくる状態です。

現在、三菱地所、新日本建物、ムゲンエステート、伊藤忠の「CREVIA(クレヴィア)」、東急コミュニティー、マリモ、第一住建グループに顔認証を導入していただいています。問い合わせをいただいてから、マンションに顔認証を導入するソリューションは、広がりを見せているところです。

マンションへの導入は、社会的には始まったばかりですが、私たちは最も多くの導入実績を持っています。先日も、私たちのデータを参考にした不動産鑑定士が、「顔認証を導入すると資産価値が上昇する傾向にある」と『全国賃貸住宅新聞』で語っていました。このことは、私たちが顔認証の導入を推進する上で、大きなアドバンテージになっていくと思います。

リリースにも出していますが、先日、大田区にある既存のマンション管理組合から「資産価値を向上させたい、そして利便性を高めたい」と連絡があり、エントランスに顔認証を導入するオーダーをいただきました。

顔認証プラットフォーム「FreeiD」

マンションだけではなく、工事現場にも導入しています。この現場に出入りをされる方、例えばマンションのエントランスやオフィスのゲートを利用される関係者の方は、事前に「FreeiD」に登録しなくてはなりません。顔認証をすればするほど、こちらのユーザー数も増えていきます。

スライド右側のソリューション数とは、顔認証デバイス数だと思ってください。私たちはこの導入ソリューションによって、売上と粗利をいただいています。そのため、ユーザーを囲い込んでいることが肝であり、将来的に化けるビジネスに成長させることができると思っています。

顔認証サービスについて

顔認証は、マンション・電車・オフィス・テーマパークといろいろなところに導入されています。しかし、それぞれの事業者がそれぞれの顔認証導入会社を使ってユーザーを登録しているため、例えば私がテーマパークに行った場合、新たにテーマパーク用の顔登録と属性登録をしなくてはなりません。

顔認証サービスについて

私たちが目指しているのは、1つのアプリでさまざまな顔認証を利用できる世界を作ることです。つまり、ユーザーは1つの顔画像を登録するだけでよくなるのです。

したがって、私たちのユーザーが増えれば増えるほど、リアルタイムでのアクティビティが可能となり、「Usage Log」を使ってポイントを貯めたり、レコメンデーションやクーポンを送ったりするマーケティングプラットフォームができていくことになります。

私たちは今、このマーケティングプラットフォームを作っていくに当たって、マンション、オフィス、工事現場等に、いろいろな「点」を作っている状態です。その「点」にも、導入時の費用、そしてSaaSの費用が発生しています。

DX市場規模(顔認証の市場規模)

顔認証の市場規模についてです。昨年度の当社の売上は3億円でしたが、実際にアプローチできる顧客の市場規模で考えたら、約500億円という計算になります。日本におけるサービスの市場規模で考えると、約1.4兆円との試算もあります。

顔認証について、構想を始めたのは4年前、会社を作ったのは2年半前です。4年前までは顔認証に対して賛否両論があり、公的機関等がどんどん導入していく段階にありつつも、このマーケットにおいて、アドバンテージを取ることのできる椅子はまだ空いている状態でした。現在マンション業界に関しては、当社がその椅子に座っているとお伝えしても過言ではないと思っています。

当社グループの展開する事業

スライド中央のクラウドインテグレーションでは、システムエンジニアを200名擁しています。

DX実現の強み

私たちが、なぜ「Salesforce」「AWS」の導入・運用・定着化支援やシステム開発などのクラウドインテグレーションサービスを始めたのかと言いますと、もともとプロパティエージェントが生産性向上、工数削減のために、2018年からDX推進室を設け、徹底的にそのノウハウを積み重ねてきたからです。

一般的なシステム開発会社は、お客さまからいただいた要望に対して設計し、その設計図を基にシステムを作っていきます。しかし私たちには、プロパティエージェントで培った営業組織における生産性向上のノウハウと、バックオフィスにおける工数削減のノウハウが蓄積されています。

これを私たちのシステム開発とクラウドインテグレーションに乗せていくことでアドバンテージが生まれます。お客さまには非常に喜ばれており、受注については申し分ない状態です。今は、エンジニアをいかに確保していくかが重要です。

工数削減のノウハウについて例を挙げます。DX不動産事業では毎月約70件の中古物件を購入し、販売しています。この70件の物件を購入するためには、「マイソク」と言われる不動産の案内ペーパーを4,000枚から4,500枚見る必要があります。そこの工数をAIで削減し、本来であれば12名から13名必要なところを3名で行えるようにしました。

そのようなノウハウは、例えば金融機関が担保評価をする際に、中古物件を1件ずつ確認するのに労力がかかるということで、私たちのシステムを購入し、カスタマイズして使っていただくなど、広く活用されています。

稼働実績推移

稼働実績の推移です。SI稼働案件数は前年同月比で約1.2倍となります。

クラウドインテグレーション提供実績

スライドに記載のとおり、不動産事業のみならず、金融・保険も含めていろいろな業種の企業にクラウドインテグレーションを導入していただいています。

DX市場規模(システム開発の市場規模)

DX市場の規模についてです。このことに関しては、釈迦に説法になってしまいますが、2030年にはエンジニアが約80万人不足するという試算が経済産業省から出されています。この市場規模でいけば、私たちが実際にアプローチできる顧客の市場規模では約3.4兆円となり、現在の当社の事業展開の約2,000倍となります。

引き続きプロパティエージェントとのシナジー、いわゆる事業会社におけるDX推進のノウハウを乗せて、システム開発を売っていきたいと考えています。

例えば、今で言うと「ChatGPT」を活用して、生成AIで何ができるかということをプロパティエージェントでもいろいろ挑戦していきます。そのノウハウがシステム開発に乗ることになりますので、コンサルタントの色を持ったシステム開発となり、結果的に粗利を高めていくことになると、私たちは考えています。

当社グループの展開する事業

DX不動産事業についてです。私たちは不動産販売事業からスタートし、デベロップ事業、賃貸管理事業、建物管理事業と幅を広げてきました。

また、当社は一都三県の都心エリアにおいて、土地を仕入れ、アパートを作っています。さらに、大手不動産会社が行っていない、1LDKの約35平方メートルから40平方メートルの居住用タイプのマンションまで事業を広げています。

ストック型循環エコシステム

私たちの目的は、単に土地を買い、建物を建てて売るというフローのビジネスをすることではなく、DX不動産経済圏を拡大していくことにあります。

スライド右側をご覧ください。中央に当社のDX不動産会員が存在しています。現在は、DX不動産会員というストックデータの拡大により、クラウドファンディングでの資金調達、管理手数料の受け取り、お客さまの購入物件の売却支援、私たちが開発したものの分譲、買い取りといったサイクルをどんどん広げていくフェーズに来ています。

事業コア(DX不動産会員数)

DX不動産会員数は、Webでどんどん増やしています。私たちは、不動産投資のアドバイスやコツを掲載するオウンドメディア、また、1口1万円からできる不動産クラウドファンディングなど、顧客ニーズに合わせたサービスを運用しています。このようなことが、ウェブ上で集客をするポイントになっています。

また、当社の不動産クラウドファンディングには1つの特徴があります。セゾンカードの永久不滅ポイントでも投資ができますので、セゾンカードの会員にもアプローチをかけることができ、結果的に会員数の増加につながっています。

ストック型循環エコシステム

DX不動産会員を増やせば増やすほど、手数料収入、売却収入や物件再販時の利益をどんどん増やしていくことができると考えています。

スライドの図に戻りますが、ここに記載されている会員の中には、まだ購入されてない、オウンドメディアに登録しただけの会員や、私たちからすでに購入された会員なども含まれています。例えば、会員の中には、すでにお持ちの物件についてや、お母さま、お父さまがお持ちの資産相続に対する相談などがあり、そのようなところにもサービスを増やすことによって、私たちの不動産経済圏を拡大することができています。

各種KPI

当社の経済圏の会員が増えれば増えるほど、販売契約数も増えていくこととなります。

高い資産性を持つコンパクトマンションの開発・販売&物件管理のスペシャリスト

スライドに掲載しているマンションには、私たちが開発したオリジナルプロダクトがあります。その内容は、「都心×駅近=高い資産性の投資不動産、居住用の不動産」です。

国内初の鍵が一切いらない“オール顔認証マンション”

先ほどご紹介したマンションには、DXYZの顔認証を導入しており、共用部から共用部連動設備、専有部まで「オール顔認証マンション」となっています。

オール顔認証マンションによる顧客満足度の向上

顔認証の評判は、非常に良いです。「便利」と回答したユーザーが97パーセント以上、そして「次回も顔認証があるマンションに住みたい」と回答したユーザーが95パーセントとなり、これに関しては新たなマーケットの開拓に非常に寄与していると思っています。

東京23区・都心エリアに特化して展開

私たちは、東京23区・都心エリアに特化しています。この不動産経済圏におけるプロダクトは、投資用不動産が183億円、居住用不動産が40億円と、まだまだ伸ばす余地があると思っています。

市場規模

現在の当社の事業展開における市場規模では、前年度売上高は356億円となります。しかし、首都圏の投資不動産の市場規模では約2.1兆円ありますので、まだまだここからパイを広げていくことができると考えています。

不動産経済圏を広げれば広げるほど、TAMである国内の不動産投資市場の規模に近づけられるような商材を、どんどん織り込んでいきたいと思っています。

当社グループの事業間シナジーについて

当社グループの事業間シナジーに関しては、事業内容のご説明の際にお伝えしていますので、割愛させていただきます。

基本的には、不動産業におけるデベロップ機能から顔認証のビジネスを生み、そしてその顔認証はいろいろなところに広がりを見せています。

不動産事業のあらゆるシステムをプロパティエージェントで開発し、そのDXのノウハウで、クラウドインテグレーションが他のシステム開発会社でも活躍するというようなシナジーとなっています。

私たちは、クラウドインテグレーションに関して、システム開発機能とテクノロジーの受信アンテナという役割を持たせています。「Salesforce」を例にあげると、生成AIを使った商品をあらゆる企業に導入していき、その中で役に立つものをプロパティエージェントにノウハウとして提供し、開発につなげています。

また、DXYZの顔認証プロダクトを、徹底的にプロパティエージェントに入れて、商品の差別化を図るといったシナジーを生んでいます。

幸い、DXと不動産を掛け合わせることで売上につなげるビジネスをしている会社は、まだ国内には多くなく、席は空いています。

どちらかというと不動産業に関しては、DXと掛け合わせた発想は遅れていると言われています。したがって、私たちミガロホールディングスは、リアルとDXを掛け合わせて価値を創造していく企業に成長していきたいと思っています。

中長期の成長目標

中長期の成長目標です。売上高1,000億円を目指して、DX不動産事業、DX推進事業を展開し、DX推進における新価値創造のパイオニアになっていきたいと思っています。

2024年3月期Q2 連結損益計算書

連結決算の概要です。第2四半期の売上高は、前年同期比34.1パーセント増の243億3,000万円、営業利益は前年同期比16.8パーセント増の22億9,200万円となっています。

2024年3月期Q2セグメント別業績

セグメント別の業績です。DX推進事業の売上高は前年同期比56.1パーセント増、DX不動産事業の売上高は前年同期比32.7パーセント増となっています。

2024年3月期Q2 BSハイライト

BSについてです。総資産の増減率はプラスマイナスゼロ、現預金の増減率は16.1パーセント増、有利子負債の増減率はマイナス4.8パーセント、純資産の増減率は12.0パーセント増となっています。

DX推進事業

DX推進事業です。四半期別売上高が1.4倍となりました。リードをすべて受けていれば、3倍ほどの売上高になりますが、現在のエンジニア数では受けられない状況です。

テック人員構成 > DXを支えるIT人員

私たちはM&Aを進めていますので、DXを支えるIT人員も1.2倍増えています。M&Aによる人員の確保は、メインストラテジーとして今後も推進していきます。

DX不動産事業

DX不動産事業です。売上高は前年同期比で32.7パーセント増、セグメント利益は前年同期比で20.7パーセント増となっています。

スライド右側の四半期別売上・セグメント利益推移のグラフは、中古物件の売却、とくに新築物件の売却時期のずれが四半期ごとに発生することから、少しでこぼこしているように見えますが、私たちの経済圏の中においては、売上は増加しています。

DX不動産事業 セグメント売上高の内訳

セグメント別売上高の内訳です。私たちの経済圏における主な販売プロダクトは、新築、中古、居住用、アパートなどがありますが、それぞれ売上高を伸ばしています。

新築に関しては、第1四半期に多く寄ってしまいましたので、第2四半期の新築の値も大きく出ています。

2024年3月期 業績予想に対する進捗状況

業績予想に対する進捗状況です。売上高420億円に対して進捗率は57.9パーセント、営業利益25億円に対して進捗率は91.7パーセント、経常利益21億2,000万円に対して進捗率は97.5パーセントになっています。

基本的に、営業利益等は大幅に進捗しています。そのため、DX推進事業の成長の柱となるシステム開発や、人員投資を先行して行っていきたいと思っています。

したがって、営業利益25億円を確実に達成することを今期の目標として、がんばっていきたいと思います。

株主還元

配当に関しては、創業20周年連続で増収増益を達成したということで、記念配当5円を含み、1株当たり年間配当金45円の増配を予定しています。

方針としては、しっかりとプライム市場に残ることを考えています。したがって、配当や自己株式の取得等も私たちのオプションに入れ、また、進捗に合わせて、いろいろ考えていきたいと思っています。

中西氏からのご挨拶

ミガロホールディングスに変わってから、考え方等の変わった部分もあったため、あらためて会社概要、顔認証ビジネス、それからクラウドインテグレーション、プロパティエージェント、DX不動産事業の経済圏の話や概要についてご説明しました。

また、どのようにしてシナジーを活かして、私たちのマーケットや経済圏を作っていくのかにも触れ、業績と配当についてもご報告しました。ご清聴いただき、ありがとうございました。