ご説明内容

大和田能史氏(以下、大和田):トーヨーカネツ株式会社代表取締役社長の大和田です。本日はお忙しい中、当社の決算および中期経営計画の説明会にご出席いただき、誠にありがとうございます。さっそく決算説明会を始めます。

本日ご説明する内容は、まず2025年3月期の決算概要、次に新しい中期経営計画です。

連結業績サマリー

決算概要です。連結業績は前年度実績から増収増益、昨年8月に上方修正した業績見通しも上回る結果となりました。売上高は過去最高となる604億7,400万円を達成し、営業利益は41億3,100万円です。経常利益は、受取配当金などが営業外収益として計上され、44億300万円となりました。

また、特別利益として政策保有株式売却益7億1,500万円などを計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は36億3,800万円となりました。その結果、1株あたりの年間配当金は236円で5期連続の増配、ROEは本中期経営計画の目標である8パーセントを超える9.5パーセントとなっています。

次のページより、各事業の概況をご説明します。

物流ソリューション事業の概況

主力の物流ソリューション事業は、売上高、営業利益ともに過去最高を達成しました。売上高は378億円、営業利益は37億2,200万円で増収増益となっています。お客さまとの早期の仕様決定による生産工程の効率化や、その後の徹底したプロジェクト管理により、大型案件のスムーズな業務進行が図れていることが要因だと考えています。

受注高は2億9,500万円増加の343億3,800万円、受注残高は335億4,400万円となりました。受注に関しては、EC、卸業、生協に加え、製造業への進出も徐々に増えてきました。

案件の内訳を見ると、規模が少し小さいものも増えており、人手不足による自動化・省人化設備投資の需要は堅調だと感じています。

プラント事業の概況

プラント事業です。売上高は103億4,900万円、営業利益は10億4,100万円で増収増益となりました。現場の人材不足にも対応したことで、国内製油所の主に原油タンクのメンテナンス需要を安定的に取り込むことができました。また、溶接の自動化など、作業効率の追求によって営業利益率も向上しています。

受注高は105億3,500万円、受注残高は61億2,000万円となり、前年同期比で増加しています。

次世代エネルギー開発事業の概況

次世代エネルギー開発事業です。売上高は21億5,800万円、営業損失は4億3,300万円となりました。現在、将来に向けて大型液化水素などの次世代エネルギータンクの研究開発を行っており、先行投資段階にあります。

受注に関しては、一昨年に受注し、昨年完工したインドネシアの化学製品向け球形タンクに続き、マレーシアの子会社が複数の低温タンクの大規模修繕を受注しました。今後、3年程度かけて修繕工事を完成させる予定です。

この結果、受注高は当初の想定を大きく超えて68億6,900万円に、受注残高は55億7,900万円となりました。

みらい創生事業の概況

みらい創生事業です。売上高は98億8,200万円、営業利益は8億7,300万円で減収増益となりました。官公庁業務を中心に取り込んだ環境計測と、アスベスト検査が堅調な環境リサーチ、高所作業をアシストする商品「昇降力」の開発などにより、トーヨーコーケンは増収増益となりました。一方で、建築領域のトーヨーカネツビルテックは厳しい環境が続き、減収減益となりました。

連結貸借対照表

連結貸借対照表です。事業による収入に加え、グループ全体のキャッシュマネジメントを通じて借入金を返済し、負債を減少させました。和歌山工場第4工場の竣工などの設備投資や、政策保有株式売却などの結果が資産に、中間配当の実施などによる結果が純資産に示されています。なお、政策保有株式の純資産比率は8.1パーセントまで圧縮しています。

その他の増減内容については後ほど資料をご覧ください。

連結キャッシュ・フロー

連結キャッシュ・フローの状況です。連結貸借対照表と同様、こちらも記載のとおりです。詳しくは資料をご覧ください。

連結経営指標等推移

連結経営指標等の推移です。当社は東証からの要請を踏まえ、資本コストと株価を意識した経営を実践しています。こちらの表に記載のように、自己資本比率は50パーセント以上を維持しながら、EPSは400円を、BPSは5,000円を超えています。また、KPIの1つであるROEも9.5パーセントとなりましたが、PBRは1倍割れの状況が続いています。

今後も堅実な財務体質を維持しながら、稼ぐ力を向上させ、またIR活動も積極的に展開し、投資家のみなさまの期待に応えていきます。

グループ中期経営計画(2025~2027年度)

新たなグループ中期経営計画について、まずトーヨーカネツグループが目指す未来、2つ目に前中期経営計画の振り返り、3つ目に今年度2025年度から2027年度の3年間の中期経営計画の構成でご説明します。

目指す未来

当社グループが目指す未来です。当社は物流ソリューション、プラント、次世代エネルギー開発、そしてみらい創生で社会に貢献し、持続的に成長する企業を目指しています。

それを実現するために必要なことは、難題に臆することなく、新しい技術を取り込み、先進的で高品質の製品を社会に送り出す実行力です。本中期経営計画においても「ACTION FOR THE FUTURE」を合言葉に、当社グループの未来をつくっていきます。

新マテリアリティ(体系図)

新マテリアリティです。当社は本中期経営計画において、優先的に取り組むべき重要課題を見直しました。社会課題解決においては、気候変動や環境問題への対応と、少子高齢化による労働力不足への対応に取り組みます。

競争力強化においては、新技術開発、ビジネスパートナーとの共創、製品やシステムの信頼性および業務生産性の向上を目指します。それらを支える基盤は、リスクマネジメントとガバナンス、人的資本経営の高度化です。

新マテリアリティ(事例)

特に社会課題として挙げた、気候変動や環境問題、労働力不足については、当社が持っている事業で解決に貢献します。

まず、気候変動・環境問題に対しては、プラント事業・次世代エネルギー開発センターにおいて、カーボンニュートラルによるクリーンエネルギー社会の実現を目指します。また、みらい創生事業においては、環境・防災事業を通じて多様でサステナブルな生活環境作りを実現します。

労働力不足への対応については、物流ソリューション事業でロボティクスを含めた無人化・省人化の実現を目指します。

価値創造プロセス

当社がプライム企業であり続けるためには、継続的に企業価値を向上させていくことが必要です。それを実現するためには、社会環境を鑑みてさまざまな課題を解決し、価値を創出していく必要があります。

さらに、当社の経営スローガンである「革新的な技術と実行力で、社会課題を解決するソリューションイノベーター」を実現するためには、グループの事業の強みを最大限に発揮することが必要です。

すなわち、会社のベースであるさまざまな資本を活用し、強みを活かして事業を伸ばしながら、収益力の向上や株主還元の充実を図ります。同時に、社会課題の解決と新たな価値の創出を実現するサイクルを作り上げることが必要だと考えています。

連結実績

振り返りです。連結実績は、前中期経営計画最終年度と比較すると、売上高は12億円、営業利益は13億2,000万円、ROEは3.1ポイントの増加となりました。

セグメント別実績

セグメント別の実績です。ご覧のとおり、主力の物流ソリューション事業が増収増益となり、グループ業績を牽引しました。また、プラント事業では安定収益を確保する体制を構築しています。

財務戦略

財務戦略です。計画では、配当金に30億円以上、成長投資としてM&A・研究開発・人材投資・設備投資に100億円規模を予定していました。その結果、配当金と自己株式の取得に合計61億円を、また成長投資として、M&A・研究開発・設備投資に加え、ベースアップや教育を含む人材投資を実施し、合計78億円となりました。

株主還元・政策保有株式の売却

株主還元は、前中期経営計画では配当性向50パーセント以上を目標に設定していましたが、3年連続で増配を達成しました。また、持ち合い株などの政策保有株式も、連結純資産比率で8.1パーセントまで売却を進めました。

位置づけ

ここから、本年度から始める中期経営計画についてご説明します。まずは、本中期経営計画の位置づけです。前中期経営計画および本中期経営計画は、2030年のあるべき姿からバックキャストしたもので、本中期経営計画はフェーズ2として位置づけています。

各事業の市場環境は、前中期経営計画から大きく変化していません。そのため、前中期経営計画の施策を継続しつつ、新たな経営戦略のもと、未来に向けた成長基盤の確立を目指していきます。また、2030年にはグループ売上高900億円という目標を立てており、その目標に向かって準備を進めていきます。

グループ経営戦略と部門別基本方針

グループ経営戦略と事業部の基本方針です。経営戦略の基本方針は「未来に向けた成長基盤の確立」です。この基本方針の達成に向け、全社での経営課題を3つ挙げています。1つ目は事業の成長、2つ目は生産性の向上、3つ目は人材力の強化です。

具体的には、新たな価値を創造し、事業を持続的に成長させます。そして、業務を変革し、競争力を上げるために、生産性を向上させます。さらに、それを支える社員一人ひとりに十分に育成投資を行い、人材力を強化します。これらが経営課題です。

続いて、各部門の基本方針です。物流ソリューションは高成長事業への進化を目指します。プラントは引き続き安定収益を確保していきます。次世代エネルギーは変化していくエネルギー媒体への対応を実施し、みらい創生は環境事業を第3の柱として確立することを目指します。

3つの経営課題については、取締役経営陣がリーダーシップをとって進め、各事業部の運営は本部長が責任を持って進めます。本中期経営計画においてもこの体制のもと、経営責任と事業部責任を明確にし、会社運営を行っていきます。

①事業の成長 未来に向けた成長基盤の確立

グループ経営戦略における各課題を、具体的にご説明します。まず、事業成長に向け、ポートフォリオの再構築を行います。本中期経営計画において、物流ソリューション事業は、自動化ニーズを背景に市場が好調の中、主力事業としてさらに規模を拡大し、収益性の向上を目指します。

プラント事業は、メンテナンス市場が堅調に推移することが予想されるため、一定の収益を確保しつつ、規模拡大を進めていきます。一方で、将来的な次世代エネルギーの普及とトレードオフの関係にあるため、新規タンク建設に向けた技術力の維持・伝承も進めていきます。そして、みらい創生事業は「第3の柱」とすることを目標に、成長性・収益性ともに上げていくことが必要です。

以上のポートフォリオを構築するため、物流ソリューション事業・みらい創生事業に経営資源を投入して成長路線に乗せ、プラント事業はメンテナンスから次世代エネルギーへの変化の狭間で、事業のあり方を見直す必要があると考えています。

いずれにしても、すべての事業において事業構造の再構築を進め、新たな価値を創造し、持続的に成長できる会社を目指していきます。

②生産性の向上 未来に向けた成長基盤の確立

経営戦略の2つ目は、生産性の向上です。製品と業務両方の標準化を進めることで、コストや品質、リードタイムを適正化し、生産性を上げ、競争優位性を確立していくことが必要です。

今後、各事業体においては、コスト競争が激化する反面、人件費や原材料高騰などにより、厳しい局面を迎えることが予想されます。この状況を乗り切るためには、生産性向上のための施策を徹底的に行い、筋肉質な企業体質を構築して収益力を強化することが重要です。

③人材力の強化 未来に向けた成長基盤の確立

経営戦略の3つ目は、人材力の強化です。当社にとってなにより重要な資本は、人材です。人材育成と採用を強化し、社員エンゲージメントを高めることで、多様な能力を持った人材を増やしていきたいと思っています。

現在は育成施策として、各種資格試験等の受験奨励、インセンティブ付与、各階層別研修メニューの高度化、多様化などを実施しています。処遇の改善に向け、昨年度は2回のベースアップを実施しました。さらに、挑戦を支援する仕組みや魅力的な処遇水準、多様な人材が安心して働ける職場の実現を進めるため、人事制度の見直しにも着手しています。

今後も挑戦をバックアップする仕組み作りや処遇の改善、安心して働ける職場作りに投資していきます。

物流ソリューション事業本部の重点施策

各事業の重点施策についてです。物流ソリューション事業本部では、2027年の売上400億円、2030年の売上600億円を達成するため、本中期経営計画においても、前中期経営計画に続き、新領域や業務領域を拡大し、売上規模の拡大を目指します。

また、ハード・ソフトの標準化により生産性を高め、コスト削減することで利益向上を図ると同時に、新技術の獲得や開発を進めることで、他社との差別化を進めていきます。

プラント事業本部の重点施策

プラント事業本部の重点施策です。前中期経営計画においては、お客さまからの信頼も厚く、安定的収益を確保することができました。本中期経営計画においても、人材育成や自動化技術の取組みにより作業効率の向上や省人化を進め、新規案件を増やすことで、売上規模の拡大を目指します。

みらい創生事業の重点施策

みらい創生事業では、物流、タンクに続く「第3の柱」の創出に2017年から取り組んできました。その範囲は当社事業の隣地ではなく、飛び地のM&Aなども進めてきましたが、今後は環境・防災の分野に軸足を置いて進めていく方針です。

M&Aにおいても、売上の積み上げによる拡大よりも、グループ会社とのシナジー効果の創出を第一に考え、進めていきます。

次世代エネルギー開発の取組み

次世代エネルギー開発の取組みについてです。大型液化水素タンクの開発を続けると同時に、営業活動や情報収集活動を通じ、次世代エネルギー転換期にアンモニアや液化CO2タンク建設が可能となる礎作りを目指します。

ESG経営の推進(経営基盤強化)

ESG経営の推進についてです。主な取組事例として、GHG排出量の削減、人的資本経営の高度化、労働安全の強化など、トーヨーカネツグループの新マテリアリティに沿って進めていきます。

連結計数目標

ここからは、連結計数目標についてご説明します。

本中期経営計画最終年の2027年度には、売上高680億円、営業利益43億円、ROE8パーセント以上を目標とし、成長基盤の確立を目指します。

セグメント別目標

セグメント別の目標です。2027年度の目標として、物流ソリューション事業は売上400億円、営業利益41億円、プラント事業は売上145億円、営業利益9億円、みらい創生事業は売上130億円、営業利益11億円を掲げています。

財務戦略(投資計画)

財務戦略です。本中期経営計画3年間合計で、配当金は50億円以上、成長投資は110億円を見込んでいます。前中期経営計画同様に、積極的に投資を進めていきます。

株主還元方針

株主還元方針です。前中期経営計画と本中期経営計画の違いとして、配当の考え方を配当性向から、安定配当を目的としたDOEに変更しました。スライドには参考として、2022年度から2024年度の配当実績を、配当性向とDOEで計算した例を掲載しています。なお、2025年度の予想配当額は、DOE4パーセントで200円、配当性向は61.9パーセントとなる予定です。

資本政策

資本政策については、基本方針として「持続的な企業価値向上のため、財務の健全性を確保しつつ、資本コストを意識した成長投資を積極的に行う」ことを掲げています。

これは東証からの要請である「資本コストや株価を意識した経営」を意識した政策であり、純資産に対する有利子負債比率は0.8倍未満、自己資本比率は50パーセント程度を計画値としています。

以上で当社の決算および新中期経営計画のご説明を終わります。ありがとうございました。

質疑応答:みらい創生事業の目標売上について

質問者:数字の確認です。みらい創生事業の新中期経営計画最終年度の目標売上が130億円、前中計の当初計画167億円に対し、着地は98億円というお話がありました。この乖離の要因は、主に見込んでいたM&Aの部分の違いという認識で、今回はM&Aではなく、グループ間のシナジーに切り換えたため130億円になったという理解でよろしいでしょうか?

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