目次
山田健一氏:上席執行役員経営統合本部長の山田です。ただいまより、2025年3月期決算をご説明します。
目次をご覧ください。2025年3月期決算概要、2026年3月期連結業績予想、株主還元については私よりご説明します。その後、中期経営計画サステナV(バリュー)の進捗状況、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の進捗状況、トピックスについては社長の高島よりご説明します。
エグゼクティブサマリー
2025年3月期決算概要についてご説明します。はじめにエグゼクティブサマリーです。連結売上高は約945億円、営業利益は約21億円、経常利益は約20億円、親会社株主に帰属する当期純利益は約15億円となりました。期末配当は6円増配の1株当たり46円としています。
2026年3月期の連結業績予想は、売上高1,100億円、営業利益と経常利益はともに26億円、当期純利益19億円としています。1株当たり配当予想は年間90円で、増配を予定しています。
連結業績 P/L
連結損益計算書についてご説明します。売上高は、建材、産業資材、電子・デバイスの3セグメントが好調に推移し、前期比4.9パーセント増の945億300万円となりました。
営業利益は、産業資材セグメントで子会社の工場稼働率が向上したこと、電子・デバイスセグメントで主要顧客における部品在庫の解消が進んだことなどにより、同21.8パーセント増の21億2,900万円となりました。
経常利益は、在外子会社における現地通貨安の影響による為替差損が増加したことなどによって横ばいとなり、同1.0パーセント増の20億2,400万円となりました。
当期純利益は、前期に発生した賃貸ホテル等の売却益の影響で減少し、同67.6パーセント減の15億6,600万円となりました。
EBITDAは同21.2パーセント増の37億4,400万円となりました。ROEは6.6パーセントと株主資本コストを上回り、ROICは4.4パーセントとWACCを上回りました。
EBITDAの推移
EBITDAの四半期ごとの推移はグラフのとおりです。稼ぐ力も向上しています。
3つの事業セグメント
当社の事業は、建材、産業資材、電子・デバイスの3つのセグメントに分けられます。2024年3月期にアセットアロケーションの見直しを実施し、産業資材セグメントの事業再編、主要な固定資産の売却に伴い、従来は賃貸不動産セグメントに区分していた一部物件を建材セグメント、産業資材セグメントに変更しています。
事業の概要をご説明します。建材セグメントでは、住宅・非住宅建築物向けに、壁材、基礎杭工法、断熱材、太陽光パネル関連資材など、建設・建装に関わる資材を取り扱っています。産業資材セグメントでは、繊維資材、樹脂部材、機能資材などの商品を取り扱っています。
電子・デバイスセグメントのデバイスでは、メーカーより電子部品を調達し供給する電子部品販売ビジネスを行い、アセンブリでは、自社工場で基板実装を行う製造受託ビジネスを行っています。
セグメント情報
各セグメントにおける利益の状況と、各部門が直接的に担う利益水準をより明確にするため、従来はセグメントごとに配賦していた全社費用を、調整額に含めて開示しています。
建材セグメント全体の売上高は、前期比4.9パーセント増の610億1,700万円、セグメント利益は同15.0パーセント減の16億7,100万円となりました。
産業資材セグメント全体の売上高は、同4.7パーセント増の179億9,800万円、セグメント利益は同49.0パーセント増の10億5,400万円となりました。
電子・デバイスセグメント全体の売上高は、同4.9パーセント増の155億1,400万円、セグメント利益は同77.0パーセント増の7億2,700万円となりました。
セグメント別概況 建材
建材セグメントの主な要因についてご説明します。建設資材分野は、案件獲得が堅調に推移したこと、また、2023年6月に連結子会社化した岩水開発について、前期は8ヶ月分の寄与であったものが、当期については12ヶ月分の寄与になったことにより、増収となりました。
再生可能エネルギー分野、断熱資材分野、住宅資材分野の各分野においても、機能強化策が奏功し、増収となりました。
セグメント利益については、建設資材分野において一部物件の収益性が下振れたことや、間接経費の負担が増加したことにより、減益となりました。
セグメント別概況 産業資材
次に、産業資材セグメントの主な要因についてご説明します。樹脂関連資材分野は、自動車関連や電子機器・精密機器関連の部材・物流資材を中心に受注が拡大したことにより、増収となりました。
繊維関連資材分野は、アパレル製品やランドセル資材の消費者向け繊維が縮小しましたが、運搬車両用資材を中心とする重布関連や、防衛省向けの装備品等の産業用繊維の受注が大きく拡大したことにより、増収となりました。
セグメント利益については、樹脂資材・繊維資材の両分野で増収したことに加えて、連結子会社の工場稼働率が向上したことにより、増益となりました。
セグメント別概況 電子・デバイス
最後に、電子・デバイスセグメントの主な要因についてご説明します。日本国内の民生電子機器市場及び白物家電市場は依然低調に推移しています。
デバイス分野は、電子部品の供給不足の反動で、主要顧客に積み上がっていた部品在庫の出荷が進んだことにより、受注数が増加し、増収増益となりました。
一方で、アセンブリ分野も、白物家電関連は低調に推移しましたが、デジタルカメラ関連の受注が前年より拡大し、増収増益となりました。
連結業績 B/S
貸借対照表についてご説明します。総資産は前期末比3億6,400万円減少し、600億4,400万円となりました。主な要因は次のページにてご説明します。自己資本比率は0.8ポイント増加し、39.8パーセントとなりました。
連結業績 B/S
資産の部について、前期末と比較した主な要因はスライドのとおりです。流動資産は、前期比5.8パーセント減の413億5,100万円となりました。主な要因は、売掛金、現金及び預金がそれぞれ減少したことです。
固定資産は、同13.1パーセント増の186億9,300万円となりました。主な要因は有形固定資産が増加したことです。
連結業績 B/S
負債及び純資産について、前期末と比較した主な要因はスライドのとおりです。流動負債は、前期末比14パーセント減の278億800万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金、1年内返済長期借入金がそれぞれ減少した一方で、短期借入金が増加したことです。
固定負債は同85.5パーセント増の83億1,100万円となりました。主な要因は、長期借入金が増加したことです。
純資産は同1.5パーセント増の239億2,400万円となりました。主な要因は、為替換算調整勘定が増加したことです。
連結業績 C/F
キャッシュ・フローについてご説明します。当期末における現金及び現金同等物は90億6,500万円となり、前期末と比べ32億5,900万円の減少となりました。
営業活動におけるキャッシュ・フローは、27億4,000万円の減少となりました。主な要因は、法人税等の支払い、仕入れ債務が減少したことです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、12億8,200万円の減少となりました。主な要因は、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得、貸付による支出、有形固定資産の取得により減少したことです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、4億1,900万円の増加となりました。主な要因は、短期借入金が増加した一方で、長期借入金の返済、配当金の支払いにより減少したことです。
2026年3月期連結業績予想
2026年3月期通期連結業績予想についてご説明します。業績予想については、現在入手可能かつ確定的な情報に基づき、地域・分野別に販売機会や需要変動などの要素を考慮した上で、表のとおりとしています。
2026年3月期セグメント別連結業績予想
セグメント別連結業績予想についてご説明します。建材セグメントでは、組織再編により従来のエリア統括を廃止し、事業分野統括における指揮命令系統を明確にし、機能強化に向けた成長戦略の巡航速度を上げることで、収益拡大を図っていきます。
なかでも再生可能エネルギー分野においては、2025年3月期に連結子会社化したサンワホールディングスとの協業による産業用分野への領域拡大策が、売上向上に寄与するものと確信しています。
産業資材セグメントでは、需要動向を踏まえ、自動車、電子、精密機器、防衛、ライフサイエンス等の重点領域への営業活動をさらに強化していきます。また、組織再編を通じて、メーカー機能を持つグループの強みを活かしたソリューション提案を推進し、樹脂関連資材分野、繊維関連資材分野の双方において、収益拡大を図っていきます。
電子・デバイスセグメントでは、半導体供給不足の反動による過剰在庫問題は解消に向かっているものの、民生電子機器、白物家電は依然厳しいマーケット状況が続いています。加えて、トランプ関税により多くの顧客が対米輸出の減少を余儀なくされています。
そのような厳しい環境下ではありますが、当社の機能をより高める取り組みとして、基板実装に使用する電子部品を幅広く開拓するとともに、品質管理体制をさらに強化し、QCDにおける優位性を確立して収益拡大を図っていきます。
以上により、建材セグメントでは、セグメント売上高700億円、セグメント利益24億円、産業資材セグメントでは、セグメント売上高200億円、セグメント利益11億円、電子・デバイスセグメントでは、セグメント売上高200億円、セグメント利益7億円、各報告セグメントに配賦していない全社費用は16億円を見込んでいます。
株主還元:配当
株主還元についてご説明します。株主還元の基本方針は、戦略的投資を伴う持続的成長企業を目指し、成長投資を拡大させる一方で、資本効率性を意識した株主還元を実施することとしています。
当期は、ROE8パーセント以上の達成に向けて、資本効率性のさらなる向上が必要であるという認識のもと、サステナV(バリュー)の最終年度までの2年間の限定措置として、連結配当性向を80パーセント以上、総還元性向を100パーセントに変更しました。
当期においては、中間配当40円、期末配当46円、1株当たり年間86円の配当を実施することとし、当期純利益15億6,600万円を基準とした場合、連結配当性向は94.1パーセントとなります。また、2025年3月期に取得終了している自己株式9,900万円と合わせ、総還元性向は100.2パーセントとなります。
2026年3月期においては、1株当たり90円の年間配当を予定しており、業績予想に基づく連結配当性向は81.2パーセントとなります。
株主還元:株式分割
当社は、当社株式の投資単位当たりの金額を引き下げることにより、投資家のみなさまがより投資しやすい環境を整え、当社株式の流動性の向上と、投資家層のさらなる拡大を目的とし、株式分割を実施する予定です。
分割の方法は、2025年9月30日(火曜日)、最終の株主名簿に記録された株主の所有普通株式1株につき、2株の割合をもって分割します。
もし上期から株式保有を継続した場合、中間配当は分割前であり、1株当たり45円となります。期末は分割後となり、1株が2株となるため、1株当たり22.5円、期末配当は45円となります。その結果、年間配当は90円となります。
2025年3月期は期末に6円増配し、1株当たりの年間配当は86円でしたが、2026年3月期は90円となり、実質増配となります。
中期経営計画サステナV(バリュー)の目指す姿
高島幸一氏(以下、高島):代表取締役社長の高島です。中期経営計画サステナV(バリュー)の進捗状況、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の進捗状況、トピックスについてご説明します。
中期経営計画サステナV(バリュー)は、「カーボンニュートラル社会の実現(2050)」に向けて変化する、市場の成長機会を捉えた戦略組み立てによる価値創造を通じ、サステナ社会への適応と持続的成長の同時実現を目指しています。
市場の成長機会と捉えているサステナブルな社会に貢献する省エネ化・省力化のニーズに対して、ターゲット市場で必要な機能・ソリューションを提供する機能商社として、価値を創造し提供していきます。市場の成長機会を捉え、価値創造を繰り返すことにより、機能商社として一大飛躍することを目指し、持続的な成長を図っていきます。
中期経営計画サステナV(バリュー)の経営指標・財務方針
サステナV(バリュー)では、将来投資事業及び基盤拡大注力事業を戦略領域と定め、成長投資を150億円規模で実施する計画です。
中期経営計画サステナV(バリュー)の進捗状況
事業についても、ポートフォリオの組み替えを行い、選択と集中を実施しています。中期経営計画最終年度である2026年3月期の経営指標は、連結売上高1,100億円、営業利益26億円、親会社株主に帰属する当期純利益19億円としています。
2025年3月期はサステナV(バリュー)の2年目でした。利益成長については、収益性の向上とトップラインの成長を目指し、サンワホールディングスのM&Aを行ったほか、将来投資事業領域での成長の布石として、ASFへのスタートアップ出資などを実施しました。
さらに、既存事業の持続的成長、利益基盤の底上げとして、戦略領域を中心に既存事業の拡大、産業資材事業の再編を実施しました。
人材戦略の実施では、女性エンパワーメントの推進、人の成長を考える委員会の設立により、人的資本の拡大を進めています。
資本生産性向上については、政策保有株式の削減を実施し、今後も継続していきます。また、株主還元を積極的に進め、連結配当性向80パーセント以上、総還元性向100パーセントを2026年3月期も実施します。
株式会社サンワホールディングスの連結子会社化
2025年2月、サンワシステムを含め子会社14社を有するサンワホールディングスを子会社化しました。サンワシステムは、産業用・住宅用太陽光発電システムの販売・施工の会社で、用地取得から設計、施工、メンテナンスまでワンストップで対応することが強みです。
株式会社サンワホールディングス子会社化による機能強化
今回の産業用太陽光発電システムの施工機能を持つサンワシステムの子会社化により、住宅用太陽光発電システムでの施工機能を持つ、新エネルギー流通システムと併せて、太陽光発電市場における材料卸・施工の全領域をカバーできることになりました。
将来投資事業領域における成長の布石として投資を実施
将来投資事業領域における成長の布石として実施した投資についてご説明します。まず、DG Takashimaの設立についてです。
当社の再生可能エネルギー分野では、電力のインターネット化を可能とするデジタルグリッド技術にて、再生可能エネルギーの高度な普及を目指すDGキャピタルグループと2023年4月に資本提携を行い、包括的に協業し、デジタルグリッド技術の普及を図っています。
このたび、デジタルグリッド技術の普及をさらに加速するために、当社とDG パワーシステムとの間で、デジタルグリッドの機器の製造及び供給を行う合弁会社を設立しました。DG パワーシステムは、DGキャピタルグループ傘下の事業会社で、デジタルグリッドルーターの開発・製造を行っている会社です。
次に、ASFへの出資についてです。当社は、ASFの第三者割当増資に係る株式引受契約を締結し、ASFに出資しました。ASFは、電気自動車の企画、開発、製造及び販売などを行うスタートアップ企業です。
ASFは、モビリティを中心とした新しいエネルギー社会のシステム構築を目指すファブレスメーカーとして、高い経済需要性とカーボンニュートラルへの貢献を両立させるとともに、ユーザーのニーズに応じた電気自動車の企画から開発、製造、販売までをワンストップで手がけています。
当社は現在投資枠を設定していますが、設定枠にとらわれることなく、成長につながる投資を積極的に行うことで、持続的成長を目指していきます。
中期経営計画サステナV(バリュー)における投資枠の進捗状況
投資枠の進捗状況についてご説明します。2023年12月にサステナV(バリュー)を更新し、投資枠を150億円に拡大しました。当期は、DG Takashimaの設立、サンワホールディングスの子会社化などを実施し、当期末までに合計137億円の投資を行ってきました。今後も、投資リターンを伴う投資については、案件次第で継続して実施する予定です。
2025年3月期末の状況
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の進捗状況についてご説明します。2025年3月期末において、ROEは6.6パーセントとなり、株主資本コストを上回りました。ROICは4.4パーセントとなり、WACCを上回りました。
ROEは、前期発生した賃貸ホテル等の売却益の影響により、前期比で15.8ポイント減少しました。ROICは、投下資本は増加したものの、営業利益の増加に伴い、前期比で0.2ポイント上昇しました。
WACCは、株主資本コスト及び有利子負債コストの減少により、1.0ポイント減少しています。PBRは0.93倍となりました。PBR1倍を上回ることは経営の責務であると考え、引き続きPBRの向上に努めていきます。
大阪・関西万博協賛のお知らせ
トピックスです。2025年大阪・関西万博の協賛についてご説明します。新電元工業と当社は、2025年大阪・関西万博に協賛し、関係者及び業務用の車両駐車エリアにEV普通充電器を設置しました。
新電元工業は、EV充電器「PM-CS09」シリーズを提供しました。当社はその設置と保守を担い、グループ会社である新エネルギー流通システムと協業し、設置工事を行いました。新エネルギー流通システムは、全国に施工ネットワークを構築し、豊富な実績を誇っています。
スマートラックオフセットを開発・販売
「スマートラックオフセット」の開発・販売についてご説明します。「スマートラック」は、当社の関連会社である動力と当社が共同開発した住宅用太陽光パネル設置架台で、2010年3月の発売開始からさまざまな改良を重ね、累計10万件以上の当社出荷実績があります。
「スマートラックオフセット」は、従来は太陽電池モジュールを設置できなかった軒先いっぱいまで設置することができるため、搭載容量をアップすることが可能です。
「アクアガイド」は、太陽光パネルを屋根の端部まで設置しても、雨水が雨どいを飛び越えないようにコントロールします。
「スマートラックオフセット」は、生活の基礎となる住宅の屋根面を最大限有効活用することを通じて、来るべきカーボンニュートラル社会の実現に貢献します。
当社は引き続き「スマートラック」のさらなる拡販を通じて、脱炭素社会の構築及び持続可能な開発目標の実現に貢献していきます。
中期経営計画サステナV(バリュー)の目指す姿
2026年3月期は、中期経営計画サステナV(バリュー)の3年目であり、最終年度になります。サステナV(バリュー)目標達成のために全力を尽くしていきます。
質疑応答:限定措置後の株主還元方針について
司会者:「配当を含む株主還元について、現在進行中の中期経営計画の最終年度までの2年間限定措置との説明ですが、その後はどのように対応されるのでしょうか?」というご質問です。
既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。