事業環境① 原油価格・銅価格・為替レート
大田勝幸氏:事業環境について、簡単におさらいをさせていただきます。
資料左端の、ドバイ原油でございます。前年第1四半期に比べまして、約7ドルの上昇でございました。グラフで見ていただくとおわかりのとおり、前年4月-6月は原材上昇局面ということで、在庫の影響利益が発生しました。また、今年は下落局面ということで、在庫の損失が発生いたしました。
資料中程の、銅(LME)価格でございます。昨年後半から堅調な推移をしておりまして、前年同期比で40セント超の上昇でございます。
資料右端の、為替レートでございます。平均では若干の円安でございますが、グラフの前年上旬を見ていただきますと(おわかりのように)、円高が進んでおります。
後ほど説明いたしますが、EUの問題等がございまして、一時的に円高が進んだことにより、当社の外貨の借入の期末換算差益が発生いたしました。これは、一過性のものでございます。
事業環境② 白油4品・パラキシレンマージン推移
白油(4品)およびパラキシレン(マージン)のグラフでございます。まず資料左側の、白油品マージンの推移でございます。
これはスポット価格と(全国)通関(原油)CIFとのスプレッドを、指標として表示しております。この第1四半期は、約8.6円でございます。前年同期は8円程度でしたので、4大下落局面の中で、マイナスのタイムラグがございました。しかし、比較的堅調なマージンでございました。
足元の直近7月におきましては、11円台半ばぐらいの推移ということで、非常に好調でございます。第1四半期としては、おおむね計画並みのマージンが確保できたと考えております。
資料右側の、パラキシレン(マージンの推移)でございます。資料に記載のとおり、誘導品のPTA装置の定修等の問題がございました。前年同期に比べますと、マージンはやや減ったという状況でございます。
第1四半期決算のポイント(前年同期比)
こちらは、今回の決算のポイントを簡単にまとめたページでございます。営業利益につきましては、在庫評価損の発生で減益となりました。しかし、在庫影響除き営業利益につきましては、中核3事業すべてで、増益でございました。
エネルギー事業は、統合シナジーに加えまして、先ほどご説明した白油マージンの改善が大きく貢献しております。
石油・天然ガス開発事業につきましては、平均原油価格の上昇に加えまして、経費の減少により、昨年赤字から黒字へ転換いたしました。
金属事業につきましては、(チリの)カセロネス(銅鉱山)で5月に発生した大雪等の異常気象の一時的影響で、操業停止の状況になりました。しかし、 銅価の上昇あるいは好調な電材加工事業の増販によって、金属セグメントとしても増益でございました。
統合の進捗
統合の進捗につきまして、簡単にまとめております。
統合シナジーにつきましては、目標として(今年度プラス)230億円の計画を掲げて進めております。第1四半期としましては、50億円強の損益改善強化があったと分析しております。
(資料の)中程の、変革に向けた取り組みにつきましては、記載のとおりです。変革推進委員会を立ち上げました。内部統制や新システムの導入準備等、記載のような基礎課題について、テーマを登録して見える化・スケジュール化しながら、進捗を管理してまいります。
販売施策につきましては、7月から仕切価格の一元化を進めております。
2017年度 第1四半期 決算概要(前年比)
第1四半期の損益のサマリーのページでございます。(資料の)中程は、第1四半期の損益でございます。(資料の)左側の、前年同期につきましては、JX(グループ)とTG(東燃ゼネラルグループ)を合算して、IFRSに直したものでございます。今年度から、IFRSでご報告させていただきます。
売上高は(約)2,000億円の増収。これは、(原油)価格の上昇が主な要因でございます。 営業利益は、在庫の影響があり減益でございました。在庫影響が、昨年は約300億円のプラスだったことに対して、今年は約300億円弱のマイナスということで、600億円近い損益悪化になっております。
在庫影響を除きますと、(営業利益は)736億円ということで、利益としては倍増いたしました。その下の金融損益でございますが、悪化した数字となっており、第1四半期で約70億円でございます。ここはおもに、利息の計上ということになります。
金融損益としては、だいたい四半期で60~70億円の利息収支でございますので、今四半期の70億円は、おおむねオーソドックスな数字でございます。
昨年の特殊要因としては、ドル借入の期末換算が円高が進んだ影響で、約120億円プラス要因として為替差益が含まれております。
2017年度 第1四半期 セグメント別営業利益(前年比)
セグメント別の、前年同期の比較でございます。在庫(影響)除きで、エネルギー(事業)では、約200億円強の増益。蒸留事業(石油・天然ガス開発事業)で、約120億円強の増益。金属(事業)で51億円の増益ということで、中核3事業いずれも増益でございました。
2017年度 第1四半期 エネルギー事業 営業利益増減 (前年比)
エネルギー事業(の営業利益増減)でございます。石油製品で約260億円の増益。石化(製品)で40億円強の減益でございました。
(資料の)左側から順番に(ご説明すると)、特殊要因の反転でプラス12億円。IFRSになりましたので、従来の特別損益関係の営業利益として認識しております。
前年はSS(サービスステーション)の影響が12億円程度発生いたしました。今年は、ほとんど発生しておりませんので、その反転影響でございます。
販売数量につきましては、7億円の減益要因でございます。
白油につきましては、採算販売を重視するということで、採算の悪い販売については、抑制をしながら進めております。
その結果、内需はおおむね前年並み、あるいは若干プラスだったと思います。当社は、販売を白油で2.6パーセント落としました。
それに加えまして、電力向けのC重油・生だき原油の販売が減少。原発の立ち上げ等もございましたので、それらの影響を合わせて、マイナス7億円でございます。
総合シナジー・マージン他で、プラス254億円となっております。このうち、石油関係のマージンの良化が約200億円でございます。
その他は、経費の減少あるいは統合シナジーということになります。経費につきましては、昨年、川崎(製造所)の定修等もございましたので、その反転影響がございます。
統合シナジーにつきましては、(資料に)吹き出しで記載のとおり、損益インパクトとして、53億円程度の良化要因があったと試算しております。
製造部門・供給部門と記載しております。主に、製造部門の倉庫の製油所操業運転ノウハウの共有化による、燃費の改善や生産効率化、あるいは転送の効率化。また、購入原油の削減といったような点で、損益改善効果を生み出しております。
石油化学製品につきましては、数量影響はほとんどございません。(その微細な影響は)ほとんどパラキシレンの悪化によるものでございます。
2017年度 第1四半期 石油・天然ガス開発事業 営業利益増減
次に、蒸留事業(石油・天然ガス開発事業の営業利益増減)でございます。昨年度(第1四半期)の24億円の赤字から、(今年度第1四半期は)30億円程度の黒字への転換ということでございます。
販売数量の減少は、約5億円。おもに東南アジアでの定修、あるいは減退の影響ということでございます。こちらは、第2四半期以降戻ってくると考えております。
油価影響が、プラス66億円。経費・為替他は、プラス64億円。今回は為替の影響がほとんど出ておりませんので、おもに経費の減少ということになります。
コスト削減の取り組みも進めております。今回大きいものは、前期の反転要素として、前年は北海あるいはマレーシア等で、炭鉱費の計上がかなりございました。しかし、今回はあまり出ていないということで、その反転影響が経費を軽くしております。
2017年度 第1四半期 金属事業 営業利益増減
次に、金属事業(の営業利益増減)でございます。前年比で、51億円の増益でございます。
まず、資源開発・蒸留事業ですが、(資料に)記載のとおり赤字が続いております。ただ、赤字の幅が前年より、16億円程度圧縮されたということでございます。
銅価が上がった影響が(プラス)42億円。持分法損益他で、マイナス26億円となっております。持分法損益他は、もう少し分けますと、カセロネスでプラス約44億円。その他事業でマイナス約28億円といった内容となります。
カセロネスにつきましては、後ほどまた触れますが、5月の大雪で立ち上げの遅れ等がございました。生産活動は、まだ生産が低迷していた前年並みにとどまっておりますので、損益影響は、数量面ではまだ出ておりません。コスト削減を進めている影響で、プラスとなりました。
その他事業につきまして、マイナスと申し上げました。(要因の)1つはロス・ペランブレス(チリの鉱山)。こちらも悪天候によりまして、現搬あるいは出荷のズレが発生しました。エスコンディーダ(チリの鉱山)につきましても、ストライキの影響で減産になったということでございます。
LSN損益良化他は、プラス20億円強。ここでは、海運子会社の持分の、一部売却の利益なども含まれています。
電材加工につきましては、販売好調でございます。半導体ターゲット・圧延銅箔・精密発煙等、スマホ向けの需要が堅調で、数量影響ではプラスでございました。
カセロネス銅鉱山の状況
カセロネス(銅鉱山)の状況を、解説いたします。5月の中旬から、歴史的な豪雪あるいは強風などの影響で、送電線のアームが折れたことにより停電が発生しました。(その結果)約20日間、まったく操業ができないという状況になりました。
その後、復旧に7月中旬までかかったということもございまして、結果的に生産量は前年同期並み。グラフでいきますと、当初の計画に比べて大幅減産とならざるを得ませんでした。
4月-6月につきましては、グラフにあるとおり、約50パーセントの計画にとどまっております。7月-9月でございますが、記載のように、80パーセント程度という想定にしております。
7月は、まだ復旧に手間取っておりました。足元の状況といたしましては、この8月で、上処理工程のところは完全に復旧しております。1日あたり400トンを超えるような処理になっております。(1日あたり)400トンといいますと、月で1万2,000トンという計算になりますので、上工程はまったく問題ないと(いうことです)。
一部下工程で、濃縮・脱水の部分で、少し課題が残っております。この回収率をあげるというコントロールの問題ですが、これも8月中には目処がつくと考えております。計画では下方修正いたしますが、9月には当初計画どおりの生産ができるという計画に達しております。
2017年6月末 連結バランスシート/2017年度 連結キャッシュフロー
バランスキャッシュフローでございます。(資料)右側のキャッシュフロー上を見てください。まだ第1四半期が終わったところでございますが、営業キャッシュフローは約2,000億円。4月末の休日影響が、この中に約1,000億円、プラス要因として含まれています。
投資キャッシュフローは、730億円の支出のうち、資産売却は約100億円含まれています。
全体といたしまして、フリーキャッシュフローがやや小さいような印象をもたれるかもしれません。この4月-6月につきましては、税金の支払等、一部資金負担が発生するものがございます。そのあたりの特殊要因の偏りを調整しますと、おおむね(資料の)右側にある、通期のキャッシュ計画どおりに、進捗していると考えております。
この結果、(資料)左側のバランスシートにありますように、有利子負債は約900億円の減少。自己資本比率は27.4パーセント。ネットD/Eレシオ0.86倍ということでございます。
今の計画がそのままいきますと、今期末には、ネットD/Eレシオが0.77程度まで改善すると考えております。
2017年度決算見通し (2017年4月1日~2018年3月31日)
結論的にはまだ4ヶ月しか経っておりませんので、今回は見通しを据え置いております。 トータルとしては、上期(の営業利益が)1,650億円。年度(の営業利益が)3,500億円。これは、5月に公表した数字と変わっておりません。
少し解説します。まずエネルギーにつきましては、先ほど白油のマージンのところでご報告いたしましたが、足元は好調でございます。上期につきましては、7月の白油の好調の部分を、ある程度折り込んでおります。
それに加えまして、シナジーの積み上げ、あるいは重複経費の圧縮等も進めたいと思っております。ただ今回は、年度見通しを変えておりません。
石油・蒸留事業につきましては、今のところ大きな変動要因はないということでございますので、計画どおりいくのかなと考えております。
金属でございますが、先ほどご説明しました、上期のカセロネスの増益の影響。この部分につきましては、カセロネスの操業として取り返すのは、難しいと考えております。
もちろん、コスト削減等は進めてまいります。一方で、この見通しにつきましては、資料の右下にあるように、原油価格50ドル・銅価250セント・為替レート110円の想定でございます。
たとえば銅価でいきますと、今は280セント台の後半といった推移になっております。今後これがどうなるかわかりませんが、この状況が続けば、銅価10セントで約50億円程度の増益要因(となります)。
「たられば」の話になりますが、たとえば280セントで推移すれば、約40~50億円の増益要因になります。金属セグメントとしても、カセロネスの上期の悪化要因をカバーできるのではないかと考えております。
以上、簡単でございますが、私からご報告させていただきました。