2025年9月期 第3四半期累計 連結業績サマリ

渡辺健太郎氏:マイクロアド代表取締役 社長執行役員の渡辺です。本日は、当社の決算説明会をご視聴いただきまして、誠にありがとうございます。私から、2025年9月期第3四半期の決算についてご説明します。

第3四半期の連結業績サマリーです。第3四半期累計では、売上高が前年同期比13パーセント増、調整後営業利益が前年同期比68パーセント増となりました。前期に人員を強化したことによる戦力化と、生産性改善による粗利率の向上が成果として顕在化した四半期です。

2025年9月期 通期業績予想に対する進捗

通期業績予想に対する進捗についてです。前回上方修正した業績予測において、売上高及び各段階の利益はすべて想定を上回る進捗となっています。売上高は約8割に達し、調整後営業利益は125パーセント、営業利益は約150パーセント、当期純利益は約300パーセントと、大幅に業績予想を上回る進捗を示しています。

連結業績の第3四半期比較

今回、最も重要なポイントは、第3四半期の比較です。第3四半期は、広告業界では最も需要が落ち込み、最も弱い四半期となります。また、当社は採用をほぼ新卒社員を中心に行っており、それに伴い費用が4月に増加する状況でした。

そのため、年度においては需要が最も弱く、かつコストが最も増える四半期でしたが、今期掲げている生産性向上施策により、売上高・営業利益ともに大幅な増収・増益を実現しました。

営業利益は前期第3四半期に赤字となっていましたが、大きく改善し、しっかりと利益を出せる体質になりました。第3四半期は需要が少ない時期ではありますが、当社としてはここをベース、いわば地力でのベンチマークと捉えていました。

その結果、しっかりと成果を出すことができ、今期の生産性向上の施策が想定よりも早く結果につながっていると考えています。

2025年9月期 通期業績予想の修正

それを踏まえ、通期の業績予想を上方修正します。修正幅はスライドのとおりで、営業利益及び調整後営業利益以下を大幅に上方修正しています。調整後営業利益は前回の5億円強から7億円強へと、41パーセントの上方修正となりました。

当期純利益については、今期の生産性向上に伴い、いくつか大きな減損をすでに出していますが、それを吸収した上で大幅に成長させました。具体的には、前回の3,000万円の予想から1億6,000万円へと、4倍強の上方修正となります。

UNIVERSEの顧客属性ごとの推移と見通し

顧客属性ごとの推移についてです。当社は引き続き中小顧客にフォーカスしており、前年同期比で順調に伸びています。

UNIVERSE稼働アカウント数と顧客単価の推移

アカウント数と顧客単価についてです。4月から6月は非需要期のため、アカウント数は例年のように減少しますが、前年同期比で見ると17パーセント増と堅調に推移しています。また、顧客単価については大きく減少することなく、現在の水準を維持しています。

2025年9月期 第3四半期連結業績まとめ

第3四半期のまとめです。スライドにあるとおり、3番目のポイントとして、需要が落ち込み、コストが増加する中で増収・増益を達成できた第3四半期は、経営的に非常に重視している四半期でした。

この時期にしっかりと利益を出せる体質になったことが、最も未来につながる重要なポイントであったと考えています。

将来の成長イメージ

今期のテーマである生産性向上施策についてです。前回と同様ですが、2年から3年後に営業利益15億円を目指し、増員した人員の戦力化と生産性向上を進めていく方針です。これが目標としての目線になります。

基本的な考え方としては、現在の売上成長率を維持しながら、生産性を向上しつつコストをコントロールすることで、高収益体質を築くことを目指します。オーガニックな成長だけでも、営業利益15億円の水準は十分に達成可能であると考えています。

① 増員した人員の戦力化によるトップラインの拡大

進捗状況についてご説明します。内容としては数字の更新ですが、増員した人員は引き続き戦力化が進んでいる状況です。

② 様々な生産性向上施策

生産性向上については、引き続き粛々と取り組んでいます。AIを駆使して営業以外の業務時間を削減し、その結果、営業活動に費やす時間が増加しています。これにより、営業1人当たりの顧客提案数が以前の1.5倍に増加し、生産性が大きく向上しています。

② 様々な生産性向上施策

粗利率の改善については、第2四半期同様に高い粗利率を維持しています。

③販売管理費のコントロール

販管費のコントロールは引き続き行っており、生産性向上についても非常に順調に一歩一歩前進しています。

データプロダクトの売上・粗利推移

サービスごとの業績ハイライトです。データプロダクトについては、非連結化されたMADS社のサイネージ事業も含めた数字になっています。「UNIVERSE」の売上は前年同期比12パーセント増で、MADS社の非連結化により減少した分を補える水準まで売上が拡大しました。また、粗利も大きく拡大しています。

データプロダクト「UNIVERSE」の売上・粗利推移

「UNIVERSE」単独の売上は前年同期比12パーセント増、粗利は前年同期比32パーセント増と、売上以上に利益が大きく伸びています。

データプロダクト「UNIVERSE」の業種特化製品

業種特化製品に関しては季節性がありますが、4月から6月は飲料・食品業界が好調でした。

UNIVERSEにおける業種毎のシェア

業種ごとのシェアには大きな変動はなく、特定の業種に偏ることなくバランスが取れた状態です。

データプロダクト「UNIVERSE」のKPI – 稼働アカウント

稼働アカウント数は前年同期比17パーセント増加し、大きく伸びています。

コンサルティングの売上・粗利推移

コンサルティングです。国内メディア向け事業が好調に推移し、全体として増収増益となりました。

コンサルティング-メディア向け

国内メディア向けコンサルティングについてです。売上高は前年同期比14パーセント増、粗利は前年同期比7パーセント増と堅調に推移しています。

コンサルティング-海外

海外コンサルティングは、ほぼ横ばいの数字です。前年第3四半期には、IPmixer社で展開していたコラボ商品の物販による売上があったのに対し、今年の4月から6月にはその物販売上がなかったことによるものです。

ただし、これらの計上分は、上半期に実施したものが第4四半期に計上予定であるため、第4四半期についてはある程度の増収が見込めます。したがって、特に問題視していません。

オルタナティブデータ事業の進捗

オルタナティブデータ事業についてです。第3四半期は非常に厳しい結果となりました。現状のアルゴリズムが一部対応しきれていない部分があったため、そちらを停止し、今後、新しいモデルに切り替えていく計画です。

新規事業及び事業提携に関して

最後に、事業アップデートについてです。前回、新規事業及び事業提携を下期に進めていく方針を示しました。その一環として、6月にローンチしたTikTok Shop関連の子会社を2社、第3四半期に設立しました。

1つ目は、IZULCA社です。こちらは、中国のPinspaceグループとの合弁会社です。Pinspaceグループは、中国でTikTokを活用したライブコマースの実績があり、そのノウハウを持っており、結果も出しています。

また、デジタルガジェットなどの自社商品も取り扱っており、日本市場で販売できそうな商品を提供することを目指して設立された会社です。

2つ目は、UNIVERSE PULSE社についてです。こちらは100パーセント子会社であり、「UNIVERSE」のデータをTikTokコマースにも展開するために設立した会社です。

同社は、TikTokの公式認定パートナーに選定されており、多様なサービス提供が可能です。現状ではスタートしたばかりですが、順調に推移しています。

TikTok Shopに関して

TikTok Shopについてです。日本では世界に比べて遅れているものの、逆に言えば、非常に伸びしろが大きい領域となっています。昨年の流通総額は全世界で5兆円に達し、日本でも今年6月に正式にローンチされたばかりで、本当にまだ始まったばかりの状況です。

UNIVERSE PULSE社は、TikTok Shop Affiliate Partner(TAP)とCreator Agency Partner(CAP)という2つのTikTok Shop公式パートナーに選ばれています。

TAPではさまざまな商品を取り扱い、クリエイターのネットワークであるCAPを活用し、インフルエンサーを当社で集めています。現在、商品のネットワークとクリエイターのネットワークを組み合わせてコンテンツを作り、ライブコマースの売上を伸ばす事業を展開しています。

認定パートナー自体は数十社で、今後大きく増えることはないのではないかと思います。理由としては、これまでのEC事業と比べ、要素が非常に多い事業であるからです。

商品のみならず、クリエイターやインフルエンサーに紐づくファンコミュニティの要素もあり、これらを組み合わせながら、シームレスなコンテンツを作り上げていく必要があります。そのため、単に商品を並べて販売するだけではなく、コンテンツとクリエイターをしっかりと活用していく必要があり、相応の体力が求められる事業であると考えています。

そうした中で、私たちはTikTok Shop Affiliate PartnerとCreator Agency Partnerの両方の公式パートナーに認定されたことで、この分野をしっかりと拡大していきたいと考えています。また、「UNIVERSE」のデータも活用し、腰を据えてこの事業を大きく育てていきたいと考えています。

新規事業及び事業提携に関して

今期から子会社化したIPmixer社についてご説明します。IPmixer社では、国内メーカーの海外進出を支援する取り組みを行っています。
(事例)プレスリリース

例えば、日本のメーカーで優れた商品を製造しているものの、海外展開時に販路の確保が難しいといった課題をマッチングで解決しており、今回は大阪の企業のフライパンを取り扱いました。台湾で人気のある日本人の料理系YouTuberとコラボレーションし、タイアップ企画として販売しました。

その結果、一定の単価があるフライパンにもかかわらず、大きな販売個数を達成しました。

このように、日本のIPと言っても、アニメなどのコンテンツだけでなく、こうした製品も含めて幅を広げる方針です。来期はこうしたタイアップ企画の本数を増やし、トップラインのさらなる成長を目指していきたいと考えています。

新規事業及び事業提携に関して

Googleプラットフォームを活用した動画広告事業の開始についてのご説明です。

コネクテッドTVの需要が最近急速に伸びていることを背景に、メディア向けサービスとして「MicroAd COMPASS」と「Google Ad Manager」を活用し、動画広告サービスを展開しています。

従来から当社が取り組んでいた事業を拡張したものであり、完全な新規事業というよりも、現在の事業の成長をさらに推進する内容となります。そのため、来期には比較的早い段階で成果が現れることを期待しています。

総合データカンパニーに向けて

総合データカンパニーに向けた取り組みについてお話しします。上場以来、当社は単なる広告会社にとどまるつもりはなく、データの力を活用して総合データカンパニーを目指してきました。

今期において、当社はTikTok Shopや海外消費者向け物販の分野に参入し、初のBtoC領域に特化した会社を3社設立しました。当社のデータ基盤である「UNIVERSE」は、法人向けBtoBサービスとして広告分野を中心に展開してきましたが、今期からはBtoC領域への進出も開始しています。

BtoC領域が成長することで、従来の成長に加え、新たな領域を拡大していきます。新領域はこれまで当社が手がけてこなかった分野であり、伸びしろが非常に大きいと考えています。現在はまだ始まったばかりですが、第1弾としての取り組みは着実に進行しており、総合データカンパニーに向けたマイルストーンが確実に前進していると感じています。

引き続き、BtoBだけでなく、BtoCについても新規領域としてしっかりと立ち上げ、よりスケールの大きい会社を目指していきます。今後とも、よろしくお願いいたします。

以上で、私からのご説明を終わります。ご清聴いただき、ありがとうございました。