2016年度決算

古谷岳夫氏:日本ゼオンの古谷です。平素よりみなさま方には当社のIR活動にご尽力賜りまして、誠にありがとうございます。たくさんの方にご来場いただきまして恐縮です。本日決算開示をしてまいりましたので、決算説明資料に沿いまして説明をさせていただきます。

全体損益

全体損益です。売上高2,876億円、営業利益308億円、経常利益318億円、当期純利益232億円です。

前年と比較しますと、売上高80億円の減収、営業利益9億円の増益、経常利益3億円の減益、当期利益51億円の増益です。

売上高80億円の減収要因ですが、右方備考欄に示してあるとおりで、数量要因でプラスが80億円、価格要因でマイナス66億円、為替の影響でマイナス94億円でした。

数量要因のプラス80億円ですが、エラストマー素材でマイナス21億円、高機能材料でプラス89億円です。

エラストマー素材のマイナス21億円は、国内汎用タイヤ用向けのゴムおよび在米子会社の低調によるものが主要な要因でした。

高機能材料のプラス89億円の要因ですが、テレビ向けのフィルム、電池材料等が数量が伸長しております。

価格要因のマイナス66億円ですが、エラストマー素材でマイナス35億円、高機能材料でマイナス28億円です。

エラストマー素材のマイナス35億円の要因ですが、化成品SISおよび石油樹脂等が輸出におきまして市況が悪く値段が下がっております。

高機能材料につきましては、大きな要因はなく、おしなべて通常どおりと申しますか、普通に(価格が)下がっておりました。

営業利益は9億円の増益です。いま申し上げました数量、価格、為替の他に原価でプラス106億円。プラス106億円の要因ですが、エラストマー素材の原料要因で78億円プラスとなっております。

先ほど価格でエラストマー素材マイナス35億円と申し上げましたが、この部分がかなりアンバランスになっておりまして、原料価格が下落していることより、原料価格、とくにアジアブタジエンが年度を通してかなり上昇機運にありますので、作った在庫が安くなってるという結果を受けてこのような結果となっております。

結果、エラストマー素材は減収減益、高機能材料は増収増益でした。

営業外収支では、13億円のマイナスで影響が出ておりますが、昨年度非連結子会社の配当金を実施しておりますので、その関係上マイナス13億円となっております。

経常利益は3億円の減益。特別収支は昨年度英国子会社の整理損失を計上しまして、その関係で50億円の良化です。当期純利益232億円は史上最高益でした。

セグメント損益 エラストマー素材

エラストマー素材のセグメント損益です。販売数量ですが、まずゴムが30万8,000トン。前年と比べまして4パーセントの減量です。

4パーセントの減量の内訳ですが、下段に示してあるとおり、汎用タイヤ向けのゴムでマイナスの2パーセント、特殊用途でマイナスの6パーセント、汎用のマイナス2パーセントは国内でマイナス9パーセント。これは国内タイヤメーカーの稼働率の低下によるものです。

海外はプラス4パーセントですが、第3クォーターまでの累計でプラマイゼロでしたので、第4クォーター3ヵ月でプラス4パーセントとなっております。

市況の回復等々あり、ソリューションSBRを中心に数量が伸長しております。特殊ゴムはマイナス5パーセント。国内がプラス5パーセント、海外がマイナス11パーセントです。

海外の特殊ゴムにおきましては、油性向けのシール材、パッキン等が減量しており、その影響でマイナス11パーセントとなっております。

ゴムの売上高は上の表に戻りまして1,125億円、5パーセントの減収です。特殊ゴムの比率ですが、下段にありますように数量が2015年・31パーセントから2016年・30パーセント。金額が2015年・58パーセントから2016年・54パーセントです。

ラテックスの販売数量は12万1,000トン。数量においてマイナス2パーセント減量しております。

これは樹脂改質用途のユーザーの稼働状況の影響がありまして、マイナス2パーセントとなっております。売上高はラテックス178億円、7パーセントの減収でした。

化成品です。販売数量が12万9,000トン。前年と比べまして3パーセントの増量です。SISの能力増強しておりまして6月から稼働しております。その関係で数量の3パーセントの増量でした。

売上高ですが、329億円で14パーセントの減収です。SIS、石油樹脂ともに海外市況がかなり悪化しており、販売価格が取れないという状況に加え、為替の影響も大きく53億円の減収でした。営業利益は206億円で2億円の減益です。

全体としましては、化学品の輸出の価格の下落で減益になりましたが、ゴムが先ほど申しました為替において、販売単価と原料価格のギャップの問題でプラスになりそれを打ち消しているという結果でした。

セグメント損益 高機能材料

高機能材料です。売上高が750億円。高機能ケミカルで208億円、前年と比較いたしまして10パーセント増収です。

10パーセント増収の内訳ですが、下段のとおりでして、化学品でプラス3パーセント、電子材料の溶剤用途、台湾向けの輸出が好調でしてプラス3パーセントです。

電子材料はほぼ横でして、電池材料がプラス38パーセント、輸出向けの負極材料、輸出向けの正極材料、耐熱セパレーターそれぞれ好調でした。

トナーはマイナス3パーセント。昨今のオフィスプリンター事情を反映いたしまして、需要が減退しております。

上(の表)に戻りまして高機能樹脂です。売上高490億円。前年と比較しまして4パーセント増収です。4パーセントの増収要因の内訳ですが、下段に示してあるとおりでして、COP樹脂でマイナスの8パーセント、光学フィルムでプラス8パーセントです。

光学フィルムの販売数量はプラス21パーセント。中小型向けの比率は売上高で前年37パーセントに対して今年度は18パーセントでした。

メディカル他で52億円の売上、前年と比較しまして8パーセントの増収です。営業利益は98億円、前年と比較しまして20パーセント増収しております。増収の大きな要因は電池材料です。

セグメント損益 その他

その他のセグメントです。その他のセグメントはRIM、塗料、消費者部門、こういったものです。

売上高490億円。11億円増収しておりますが、2016年度より上海の商社を新たに連結に加えた関係で、増収となっております。営業利益29億円、前年と比較いたしまして14パーセント増益です。

14パーセント増益の主たる要因は塗料でして、高付加価値品へのシフト、採算の合わないものへの廃番、こうしたものの影響で利益が14パーセント伸長しております。

四半期損益推移

四半期の推移です。赤枠のところが直近第4クォーターでして、第3クォーターとの比較をしております。

まずエラストマー素材ですが、販売数量がゴム8万4,000トンで前クォーターと比較しますと1万3,000トン伸長しております。

ラテックス、化成品もそれぞれ伸長しており、この影響を受け、エラストマー素材の売上高は463億円となり79億円の増収です。

営業利益ですが、エラストマー素材の営業利益は70億円で19億円の増益と大きな増益となっております。

要因といたしましては、一番下に示してありますアジアブタジエンが第3クォーターから第4クォーターにかけて1,100ドル上昇しまして、その関係で在庫の、販売の原価と販売の単価の値差がかなり大きくなっており、その関係で増益となっております。

高機能材料の売上高ですが、190億円ということで、5億円減収となっております。減収の要因は主に高機能樹脂でマイナス4億円。第3クォーターと比べますとテレビ向けのフィルムが原料となっております。

高機能材料は営業利益マイナス5億円の減益でして、この減益の要因は電池材料、第3クォーターと比べますと中国の補助金の関係で自動車関連が、いま生産が見合わせていると状況を受けまして原材料は減益となっております。

資本的支出、減価償却費、研究開発費推移

資本的支出、減価償却費、研究開発費の推移です。2016年度の資本的支出は221億円。エラストマー素材112億円、主要な投資はSISの能力増強でした。高機能材料76億円、主要な投資はCOP樹脂の能力増強です。

17年度は223億円の資本的支出を見込んでおります。減価償却費は204億円。2017年度は226億円を見込んでおります。研究開発費は132億円、来年度140億円を見込んでおります。

貸借対照表

貸借対照表です。赤枠のところが今期末の貸借対照表です。総資産が4,114億円。前年末と比べますと267億円増加しております。

主要な増加のポイントは、まず売掛債権ですが、70億円増加しており、これは売上の伸長によるものです。

固定資産の有形、無形がそれぞれマイナス5億円、マイナス3億円となっており、合計してマイナス8億円固定資産が減少しております。

内訳は表下に示してあるとおりで、資本的支出で221億円、減価償却費でマイナス204億円、その他の影響は在外子会社の為替の換算差です。それぞれ加減しましてマイナス8億円の減少となっております。

投資有価証券が160億円増加しておりますが、これは前年3月末と今年の3月末の株価の時価の差額です。

右側にいきまして、グレーの網掛けの部分ですが、有利子負債が447億円。前年と比べまして124億円有利子負債が減少しております。自己資本比率は58.4パーセント、D/Eレシオ0.19、それぞれわずかながらですが良化しております。

下の表、キャッシュ・フローですが、営業活動で491億円、投資活動でマイナス291億円、フリー・キャッシュ・フローが200億円でした。

税務活動は有利子負債の減少に合わせて借入金の返済等もありましたのでマイナス159億円、合計キャッシュ・フローで41億円です。

2017年度業績予想

翌期の予想です。2017年度は売上高2,900億円、営業利益290億円、経常利益300億円、当期純利益200億円でして、2016年度の実績と比較いたしますと増収減益の予想としております。

減益要因ですが、第4クォーターにかけてゴムの在庫、販売単価との値差がだいぶ起きておりますが、足元1,400億ドルまでアジアブタジエンが下がっておりますので、その関係でそれが逆に向けると考えております。

配当ですが、2016年度は中間8円、期末8円の16円に対しまして、2017年度、中間8円、期末9円、1円増配の17円としております。

私からは以上です。