パネルディスカッション・登壇者の紹介
司会者:今後の相場を徹底予測するパネルディスカッション、それからお客さまからの幅広いご質問にお答えするQ&Aコーナーを開催いたします。
今後のマーケットや経済、マネックス証券のサービスに関することなど、出演陣が時間いっぱいまでお答えをいたします。それでは、さっそくお呼びいたしましょう。みなさま、拍手でお迎えください。
マネックス証券、松本大。
マネックスグループグローバル・アンバサダー、イェスパー・コール。
マネックス証券インベストメント・ストラテジーズ兼マネックス・ユニバーシティシニアフェロー、塚本憲弘。
マネックス証券チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長、吉田恒。
マネックス証券チーフ・外国株コンサルタント兼マネックス・ユニバーシティシニアフェロー、岡元兵八郎。
そしてマネックス証券チーフ・ストラテジスト、広木隆。
以上6名でパネルディスカッションをお送りいたします。
トランプ大統領再選の可能性が株式市場に与える影響
司会者:進行は大橋(大橋ひろこ氏)が務めます。さて今日は少し時間が押しています。たくさん質問を頂戴しているので、さっそくご紹介してまいりましょう。
先ほど、松本さんとイェスパーさんが、アメリカ大統領選挙でトランプが大統領になったらどうなるのなんていう話がありました。事前にみなさまからも、大統領選挙でトランプになったらどうなるの? という質問を頂戴しています。
松本さんとイェスパーさんには先ほどおうかがいしたのですが、それ以外のみなさま、大統領選挙でここが変わったらこうなるなど、何か一言、言っておきたいことがある方、ぜひマイクを取っていただければと思います。
岡元兵八郎氏(以下、岡元):私のプレゼンでも話をさせていただきましたが、やはりトランプさんは、株式市場にとってはポジティブだと思います。やはり彼の中には、まだ「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」、アメリカをより強くしようという試みがあります。
そのために海外にあった工場をアメリカに持ってくるとか、結局、雇用を生み、企業を強くするということをやっていくんだと思います。実績としては、彼は前に大統領だった時に、規制緩和をいっぱいやったわけです。
大統領令ということで、彼が調印することで法令化できる。本来だと議会に行くなど、すごく時間がかかるんですけど、彼は大統領令でいろいろな規制緩和をやってきました。あと減税ですよね。法人税を20パーセントに下げると言っていますので、そういった意味で、株式市場にとってはトランプさんはいいんだろうなと思います。
司会者:株にとってはプラス。塚本さん、金利はどうでしょう。
塚本憲弘氏(以下、塚本):私も自分のパートの時にちょっと触れたんですが、インフレーションをけっこうたやすくイメージできる中で、どうしても金利には上昇圧力がかかりやすいのかなと思いますし、最近、金利上昇要因として解説されることもあります。前回、8年前も当初はそういう反応だったんですよね。
ただ、その後、どうなっていったかというと、先ほどの繰り返しにもなるのですが、結局は経済の状況に沿うかたちで長期金利は非常に安定的に推移しましたし、当時も利下げが望まれていたのですが、景気が良かったので利上げというかたちになっていきました。
今回は、基本的には利下げが望まれていますし、経済の状況も利下げをすべきだという状況には入ってきているのは、確かだと思います。そういった意味で、ちょっと金利上昇圧力がインフレとともにあるかなと思うのですが、やはり大事なのは、経済の状況がどうなっていくのかという部分かなと思っています。
トランプ氏再選で為替市場に現れる2つのシナリオ
司会者:「円安は大惨事だ」なんてコメントもありましたが、為替は?
吉田恒氏(以下、吉田):そうですね、トランプという人は予測不可能というところが持ち味だと思うので、何か予測するのは難しいのですが、前回の4年間の政権時代に、相場に影響を与えたトランプ相場は、代表的なのが2つあるんですね。
1つは、大統領選挙で勝った直後に起こったトランプラリーです。これが一番有名ですが、もう1つ悪い、金利上昇というのもあるんですね。
この2つの何が違うかというと、両方とも金利は上がるのですが、金利上昇に対する株と為替の反応がぜんぜん違います。金利が上昇して、なおかつ株もドルも一緒に上がったというのがトランプラリーという相場です。
もう1つ、悪い金利上昇は、2017年12月に、まさに選挙公約のトランプ減税が議会で成立した直後に起こった現象です。金利は上がるんだけれども、その金利上昇を嫌気するかたちで株が下がったら、ドルも一緒に下がるという。
金利が上昇して、ドルが下がったというのが2017年12月以降の悪い金利の上昇です。だから僕はどっちもアリだろうなと思っています。
トランプ大統領再選時の日本株有望セクターは?
司会者:株への質問が来ています。「広木さん、トランプさんが就任となった場合の日本株の有望セクターおよび銘柄を教えてください。」
広木隆氏(以下、広木):これ、先ほど松本さんとイェスパーで、やっていましたよね。まずやはりトランプさんは、同盟国に、軍事費、自分とこで何とかせいっていうので、やはり防衛産業。三菱重工(7011)、川崎重工(7012)、IHI(7013)など、そのあたりはもうイェスパーが挙げてくれました。確かに1つは防衛産業だと思います。
もう1つは、やはり自国回帰ということで全部アメリカに製造業拠点が戻ってくるので、トランプトレードということで、インフラ関連で、すでにコマツ(6301)や日立建機(6305)が買われています。ただここは結局キャタピラーとバッティングするので、そういう意味では、当初は連想買いで買われたとしても、最終的に日本企業に利があるかどうかはわかりません。
やはりもう1つは「ドリル、ベイビー、ドリル」。要は掘って掘って、もう1回石油を掘るんだと言っていますから、資源関連です。日本に資源関連銘柄はないので、ちょっとここは恩恵を受けにくい。
その代わり、すでにアメリカでは、キンダー・モーガンみたいなパイプラインの会社が買われているんです。そういうパイプラインの会社にパイプを納めている日本の企業、つまり製鉄会社ですよね。
今、日本製鉄(5401)になっていますが、あれは昔、新日鉄と住友金属が合併してできているので、住友金属(5713)ってこのパイプを作ってるんです。そういうところとか、JFEとか、アメリカの資源関連・石油関連の製造業に部品やパイプラインのパイプを納入している日本企業には恩恵があるんじゃないかと思います。
イェスパー・コール氏(以下、イェスパー):ちょっとマクロのところに戻りますが、米国の政策金利は5パーセント、10年債の金利は4パーセントですが、トランプが大統領になると間違いなくインフレ期待が上がっていく。
松本大氏(以下、松本):インフレ期待が増えて。
司会者:もしかしたら、利上げもあるかもということですね。
松本:カーブが立つということは、日米含めておおむね生保や銀行はプラス株価的な……で、合っていますか、広木さん?
広木:はい、そうですね。
司会者:金融セクターに注目ということですね。
イェスパー:サンキュー。
司会者:ありがとうございます。
(次回へつづく)