2022年9月期第3四半期決算説明会

藤本誠之氏(以下、藤本):「相場の福の神」IRセミナーということで、今回ご登場いただくのは、東証グロース上場、ハイブリッドテクノロジーズのチャン バン ミン社長です。

今回は、2022年9月期第3四半期決算の発表です。内容をじっくりとお伺いしたいと思います。

Vision

チャン バン ミン氏(以下、ミン):まず、ビジョンについてご説明します。ビジョンは、事業を通じて、従業員やお客さま、株主さま、あるいはベトナムや日本にいる関係者と成長を意識しながら一緒に新しい景色を見たいという思いで「New view with you」と掲げています。

藤本:お客さまや関係者のため、自分たちだけではなく「with you」に注目されているのですね。新しい景色というのは、御社の場合「新しいテクノロジーを持って」ということでしょうか?

ミン:そうですね。一緒に伴走するといいますか、新しいテクノロジーを使った事業を通じてともに成長しながら「新しい景色を見ていきたい」という思いがビジョンにつながっています。

会社概要

藤本:会社概要です。御社は何年にスタートした会社ですか?

ミン:2016年4月28日にスタートしました。

藤本:設立後、短期間で上場に至り、その後かなり大きく成長されていますね。社名の「ハイブリッドテクノロジーズ」はとても素敵な名前ですが、由来を教えてください。

ミン:ベトナムと日本をまたぐ事業を行っている点もそうなのですが、さまざまな開発手法や文化の融合、つなぐという意味で「ハイブリッド」とし、さまざまなテクノロジーを活用して日本のDXの推進を目指すことから、結果的に会社名を「ハイブリッドテクノロジーズ」にしました。

藤本:ベトナムに子会社があるのですか?

ミン:ベトナムに子会社が1社あり、ホーチミン、ハノイ、ダナンそれぞれにオフィスがあります。

藤本:現在、従業員は何名ですか?

ミン:6月30日時点で528名です。

役員人事

藤本:ハイブリッドテクノロジーズを率いる経営陣について、社長を含めてどのようになっているか教えてください。

ミン:当社は常勤取締役が3名に加えて、今日新たに選任した2名を含む執行役員4名のの体制でサービス提供を強化しています。

藤本:社長はベトナム人で、今回もう1人ベトナム人が執行役員で入ったのですか?

ミン:そのとおりです。新たに選任されたチャン タン ハイ氏は創業当時からいるメンバーで、主にベトナムのエンジニアの管理、統括をしています。今回、日本に常駐するかたちで執行役員に選任しました。

事業概要

藤本:事業概要を教えてください。

ミン:当社はハイブリッド型サービスを提供していますが、これは日本側が中心となってお客さまのサービス企画、設計、システムの詳細設計のような上流から入ります。そして、ベトナム側のエンジニアリソースと連携することで、上流から下流に至る一連のサービスを一気通貫の開発体制で提供しています。

藤本:通常のオフショア開発では、ベトナム人の技術者がベトナムで開発を行うと思いますが、御社の場合はベトナム人の技術者が日本にもいるのですね?

ミン:そのとおりです。当社の今の体制では、ビジネスコンサルティング部の日本人がお客さまとの窓口になっているのですが、開発や実装工程を担うベトナム法人との連携は、通訳を通して行うのではなく、日本に常駐しているベトナム人エンジニアの部隊が行います。

日本人のプロジェクトマネージャーが、日本語や日本の商習慣に慣れたベトナム人のエンジニアと日本語で連携することによって、開発工程を担うベトナム法人のエンジニアと、ベトナム語で直接コミュニケーションをとることができます。そのような意味では、かなり円滑にコミュニケーションを行っているのではないかと思っています。

藤本:普通のオフショア開発では、日本から行って通訳しなければいけないと思いますが、御社はベトナム人の技術者が日本にいます。ベトナムにも当然技術者はいるわけですが、そこにしっかりと指示ができるというのは、かなり大きな違いですね。

その点でお客さまが安心でき、御社を選ぶ理由の1つになっているのでしょうか?

ミン:そこは大きなポイントになっています。

藤本:通常のITオフショア開発では、意思疎通がなかなか難しいと言われています。日本人とベトナム人は国民性も少し違います。

その点において、日本にいることでベトナム人はなんとなく日本のことがわかりますし、ベトナムのこともわかっているため、うまくつなぐことができる接着剤、もしくは間に入ってくれるハブになっているということですか?

ミン:そうですね。もともと日本に留学して日本が好きで定住し、日本の大学やIT関係の企業に5年、10年勤めたメンバーですので、それなりに日本の文化や商習慣、開発に対しての考え方を持っています。

ベトナムにいるエンジニアに指示を出す時は、通常は仕様書のみ渡せばよいと思われがちですが、当社のベトナム人エンジニアは、そのようなビジネスの考え方や商習慣の違い等を考慮していて総合的にやりとりすることによって、開発がうまくいくのがメリットではないかと思います。

サービス内容

藤本:多くのお客さまは、ストックサービスに魅力を感じているということですか?

ミン:当社はストックサービス、フローサービスの2つのサービス形態があるのですが、一般的に開発サービスと聞いて想起される形態は、当社がフローサービスと呼んでいる受託請負型です。こちらは案件ごとに決められた仕様に沿って開発します。

藤本:「『これを作ってくれ』と言われたから、これを作りました」ということですよね。

ミン:そうですね。このフローサービスの売上は5パーセントくらいしかないのですが、もう一方のストックサービスの契約形態は準委任型で、単発で開発するというよりは開発するためのリソースを長期的に提供します。

藤本:お客さまと伴走し「ビジネスを大きくしたい」「モノを売りたい」「こんなサービスを世の中に広めたい」というお客さまの思いをどうやってIT化するか、あるいはDX化して収益力を上げていくかというところですね。

ミン:おっしゃるとおりです。

藤本:お客さまはシステムを作るというより「ビジネスを大きくしたい」「儲けたい」という思いがありますので、そのためにどのようなシステムを作ればよいのかということですね。

例えば請負であれば、お客さまが「こんなシステムを作ろう」と決めて、それを請け負うだけですが、御社の場合はお客さまに寄り添うため、1人ではなくチームで行っているのですね?

ミン:そのとおりです。5名からスタートすることが多く、10名から多いところでは100名以上の体制で一緒にビジネスを作り上げていきます。

藤本:例えば5人のチームであれば、お客さまから月額でその5人の稼働分の収益を得るのですね。

ミン:そうですね。

藤本:チームで行うことで、さまざまな人を入れることもできます。したがって今からチャレンジするような人も入れて、周りにいろいろと聞きながら行っていけば、チームとしての力が強くなっていくということですか?

ミン:そうですね。お客さまのIT部門において、DXを推進する部隊を当社が提供するというイメージで、顧客のメンバーも、当社がアサインしたメンバーも、チームとして成長していけると思っています。

藤本:通常の請負であれば「開発できました」「終わりました」という段階で仕事は終わりですが、御社の場合は納品して終わりではなくビジネスを継続するため、ITに関するさまざまな需要や要求が出てくると思います。そうするとかなり長く続くのでしょうか?

ミン:そうですね。当社は創業間もないのですが、ほとんどが1年以上の契約です。もちろん、サービス自体がうまくいかずに撤退するケースもありますが、収益化できているサービスは基本的に継続して発注いただいています。

藤本:それが非常に安定した収益源となり売上高の9割を占めているため、安定的な収益があるということですね。

ミン:そうですね。

藤本:請負で多くの仕事があっても、その仕事が終われば次の仕事を取っていかなければいけません。ITには多くの仕事があり、今は大丈夫だと思うのですが、将来的に継続させることは難しいため、お客さまに寄り添うというのは非常によいことですよね。

ミン:基本的にサービスがうまくいけば、改修や運用、保守などが発生しますので、「開発して終わり」ということはあまり考えられません。

藤本:逆に言いますと、御社はそこまで提供できるということですか?

ミン:そうですね。「このプロダクトが成功したから、違うプロダクトもやってみよう」という企画から始まることもよくあります。

当社事業の強み

藤本:「日本とベトナムのシナジー」についてです。リソースの供給力について、驚きの人数がスライドに記載されていますが、これはどのようなことですか?

ミン:採用についてはさまざまな方からの応募があり、スキルマッチした方を採用しています。そうではない候補者についてもデータベース化し、スキルマッチする案件を提案する時に声をかけて入ってもらうということを得意としています。

藤本:今回のプロジェクトに関しては、事情があって採用できなかったという人でも、また新たな仕事が発生した時に、膨大なデータから「この人はアサインできる」とわかるということですね。これにより仕事を請けられるということですか?

ミン:それも1つの競争力であり強みですが、ビジネスモデル自体がかなり需要に合っているのかと思います。

藤本:柔軟に対応できるのですね。例えば、日本でこれだけの数のIT技術者を集めようとしてもなかなか厳しいですよね。

ミン:そうですね。例えば、1ヶ月後のプロジェクトに対して、20人から30人のさまざまなエンジニアが必要という場合もあります。デザインやUI、UX、開発、データベースエンジニアなどさまざまなスキルが必要です。

その中で「1ヶ月で30人を集めてほしい」となると、日本ではかなり難易度が高いと思いますし、さらにコスト管理も必要です。一方で、当社は機動的な採用ができ、さまざまなスキルセットを持ったエンジニアを短期的に大量に採用できる強みがあります。

当社事業の強み1:日本とベトナムのシナジー(人口構成)

藤本:日本とベトナムの人口構成はかなり違います。日本はかなり高齢化している一方で、ベトナムは若い方が多いです。

ミン:そうですね。現地にいると日本の駐在員と話すことが多いのですが「昭和の日本に似ている」と言います。私は昭和の頃のことはあまりわからないのですが、そのような雰囲気、活気があるという話をよく耳にします。

藤本:スライドを見ると、2050年になると、日本とベトナムの人口が逆転してしまうということですか?

ミン:そのようなデータもあります。

当社事業の強み1:日本とベトナムのシナジー(市場環境)

藤本:労働可能人口も当然変化していきます。今ベトナムは工科大学や工業系の優秀な大学がどんどん増えているのですよね。

ミン:そうですね。国策として2030年までに150万人のIT人材を輩出しようとしています。国内のIT学部数も増加しており、IT人材の輩出数は、新卒生だけでも年間5万人くらいです。

藤本:強烈ですね。日本にはそれほどいませんし、これがあるからこそ御社は強いということですね。

当社事業の強み2:ビジネスモデル

ミン:繰り返しになりますが、日本で上流工程のコンサルティングを行い、ハブとなるベトナム人エンジニアによって、ベトナム法人のエンジニアに的確に指示を伝えられるのが僕たちの強みです。

藤本:意思疎通がしっかりできているからこそ、最終的にしっかりしたシステムやプログラミングができるというわけですね。予定したものがしっかりとできるということですか?

ミン:そのとおりで、それが一番大事ではないかと思っています。

当社事業の強み3:リソース供給力

藤本:御社はベトナムで知名度が非常に高いようです。

ミン:上場前から、日系企業として最高位にあり、その知名度が候補者リストのデータベースの蓄積等に活かせていることが強みでした。

上場したことにより、それまで以上にメディアからお声がけいただいたり、東証さまのサイトに載せてもらったり、インタビューしてもらったりしました。その結果として、上場してまだ半年ほどですが、ベトナム国内ですでに十数社からお声がけいただいています。

そうしたメディア露出の効果ですが、例えば採用する時に、ほとんどのエンジニアの方が「ニュースを見ました」「上場おめでとうございます」と言ってくれます。社外の方と対話する場面で、すでに当社を認知していただいているところから会話が始まる点において、大変プラスに働いているのではないかと考えています。

エグゼクティブサマリー

藤本:御社は9月期決算ですので、ちょうど6月末に第3四半期が終わり、第4四半期中だと思います。決算発表されており、今回はかなりよかったようですが、概要としてはいかがですか? 

ミン:サマリーとしては、売上収益は、前年同期比から前年同期比43パーセント増の17億800万円です。営業利益は、前年同期比177パーセント増の2億4,600万円です。売上収益の向上と売上総利益の改善により、当期純利益は第3四半期の時点で通期業績予想を超えています。

業績予想に対する進捗率

藤本:非常に好調で、売上収益が大きく伸びているのも当然よいことだと思います。営業利益率が上がっている要因がいくつかあるかと思うのですが、いかがですか? 

ミン:今回はストックサービスの単価が改善しました。以前からいろいろなところで発信しているのですが、単価の改善は重要で、今回はそれがなされたことが、結果として数字に反映されているのではないかと思っています。

藤本:既存のプロジェクトが大型化しただけではなく、御社のサービスがよかったため、クライアントが御社を評価し、「もっとハイブリッドテクノロジーズさんにがんばってもらおう」と単価を上げてくれたのですね。

ミン:おっしゃるとおりです。短期案件で終わったものが多く、ストックサービスの数自体は少し減っています。

ただし、おっしゃるように、既存案件はうまくいっています。「もっと日本人のPMを追加してほしい」というご要望をいただいたり、コンサルティング部隊の効率化によって生産性も上がり、結果的に品質が改善されたことで、新しいラインを立ち上げた顧客もいました。

結果的に、高単価の人材が多くアサインできたことで、ストックサービスの単価が改善されました。

藤本:通期業績に対しての進捗率も、かなりのところまできています。

ミン:いずれも順調で、当期利益は第3四半期時点で通期業績予想を超えています。

藤本:1年の4分の3が終わった段階で通期業績予想を超えていますが、今の時点で上方修正はしないのですか?

ミン:理由はいくつかあるのですが、来期の事業成長に向けた投資をしていくために、今の時点での業績予想の修正は見送っています。

藤本:これが新たな段階になると、上方修正の発表をする可能性もあるのですか? 

ミン:修正が必要になる場合には適切に開示を行います。

決算概要

藤本:決算概要を詳しくご説明いただけますか?

ミン:既存案件に対して高単価人材をアサインできたことにより、ストックサービスの単価が向上し、売上収益は前年同期比で43パーセント上昇しています。

また、売上収益の向上と新卒人材のアサインが進んだことにより、売上総利益率が改善し、売上総利益が前年同期比でプラス52パーセント上昇しています。

藤本:営業利益率は、2021年9月期第2四半期時点では7パーセント程度だと思うのですが、2022年9月期第2四半期は14パーセントと、非常に利益率が改善したということですね。

ミン:打ってきた施策が順調に、狙いどおりにいったのではないかと思っています。

四半期毎の推移

藤本:四半期ごとの推移を見ても、やはり順調です。

ミン:おかげさまで、そのとおりですね。

営業利益(累計)の分析

藤本:営業利益の分析としては、営業利益が大きく伸びた一番の理由は売上高が上がったことですか? 

ミン:そこに尽きるかと思いますが、売上収益の増加と連動して人材採用も加速しています。これによって人件費や外注費は増加しているのですが、その分を考慮しても営業利益は大幅に増益となっています。

藤本:今後の成長に向けてかなりの手を打ちながらも、利益が増えているということですか?

ミン:四半期ごとの数字と、中長期的な成長を見据えた投資が上手く両立できるようにしています。

重要KPI推移

藤本:KPIについて、先ほどもご説明いただいたのですが、やはりストックサービス数は少し進捗が悪く見えます。これは短期的な案件が終わったことが理由の1つですか? 

ミン:そこが一番大きかったです。

藤本:その分、既存案件が大型化したことにより、単価が非常に上がったということですよね?

ミン:そのとおりです。

藤本:ここが利益率の大きな向上につながったということですね。ただし、小規模案件でも今後、大型案件になるかもしれないため、今後も獲得していくということですね?

ミン:おっしゃるとおりです。単純に小規模案件の開発を受けることもありますが、基本的にはお客さまが想定している開発の規模に対する出発点として、パイロットで小規模に案件を始め、徐々に拡大を目指します。今後も、このスキームに沿って小規模な案件の獲得を進めていきます。

2022年9月期第3四半期 B/S及びC/F

藤本:B/Sとキャッシュフローでは、投資有価証券が増えています。 

ミン:今期から「Hybrid Technologies Capitalプロジェクト」を始動しており、投資有価証券が1億3,400万円増加しています。

藤本:これは御社としてお客さまのサービスや「これがよいな」というところにも投資を行ってお客さまが育ち、将来的には上場益や、さまざまな収益を生む可能性もある、将来への投資ということでしょうか?

ミン:そのとおりです。このプロジェクトは当社が「成長性がある」と判断したお客さまに、投資と開発リソースの提供をセットで行うものです。上場益も可能性の1つではありますが、基本的には投資によってお客さまの事業が拡大し、事業が拡大したことで当社が担う開発も大きくなる、という循環で収益を得ていくことを目指しています。

成長戦略

藤本:今後の成長戦略について教えてください。 

ミン:引き続き、ストックサービスの件数および単価向上を中心に成長を目指しています。同時に、大企業のお客さまにもアプローチしていくための施策を打っています。直近では大企業、上場企業からの問い合わせも多くいただいており、非常に手応えを感じています。

藤本:上場したメリットは大きいですか? 

ミン:かなり大きいと思います。

藤本:今までは御社をよく知らなかったところ、IT人材が日本におらず、どこに相談してよいかわからなかったところが、「こんな会社あるんだ」「すごく成長しているんだ。これはどういうことなんだろう?」と御社に気づいたということですか? 

ミン:そう信じています。どんなに自信のあるサービスでも、知ってもらわないと始まらないと思い、そのために上場を目指してきました。

上場した効果でメディアなどに露出し、認知してもらい、結果的に問い合わせや、リードが増えたのではないかと思っています。

藤本:ベトナムで働く方に対しても、御社の地名度が上がったことは大きいです。

ミン:そのとおりで、先ほどお話ししたとおり、ベトナムでは特に採用に活きています。

ストックサービスの新規獲得クライアント

藤本:実際に、ストックサービスの新規獲得クライアントをかなり獲得できています。

ミン:第3四半期まで新規のお客さまは21社で、そのうち上場企業は4社です。

藤本:ロゴ掲載の許可が出たのはこの3社ということですね。

ミン:そのとおりです。

成長戦略:Hybrid Technologies Capital

藤本:今後の成長戦略について、御社はお客さまからハイブリッド型サービスを請け負うと思うのですが、プラス投資についても「Hybrid Technologies Capital」で行いますか? 

ミン:そのとおりですが、Hybrid Technologies Capitalについても、狙いは、最重要KPIで掲げている数と単価の向上です。

藤本:数と単価を増やし、売上高を増やすということですね。

ミン:その経路を拡大するために「Hybrid Technologies Capital」があります。純投資のみは考えておらず、僕たちは開発リソースを安定的に提供でき、それに加えて必要に応じて出資するということです。

とはいえ、うまくいけば、おっしゃるような将来のキャピタルゲインもあり、いろいろな可能性が秘められているプロジェクトだと思っています。

藤本:御社がその会社のビジネスに触れ、「これはよいな」というところに投資できることは大きいです。

Hybrid Technologies Capitalの投資実績:株式会社LibeLi-io

藤本:実際に投資された2社について教えてください。 

ミン:1社目はLibeLi-ioで、ITサービスの開発、管理を一元で行うツールを提供しています。

藤本:そのようなツールはかなりニーズがあります。おそらく管理や開発において、今までは「Microsoft Excel」を使って表を作っていたのですよね。

ミン:そのとおりです。このサービスを使えば、開発、管理を一元化できます。僕たちがすべて作っていますので、よい点も、課題点も知っているつもりですし、今後の改善も一緒にできる伴走可能な体制、パートナーシップだと思っています。

Hybrid Technologies Capitalの投資実績:株式会社だんきち

藤本:もう1社のだんきちもおもしろい会社ですね。 

ミン:私自身、コロナ禍で運動もできず、いろいろなサービスを使っていたのですが、その中で開発の話が舞い込んで来たのが、このオンラインレッスンです。

藤本:オンラインダンスレッスンですか? 

ミン:ダンスだけではなく、健康志向のトレーニングなどもあります。開発関係者の体験も交えて開発しており、事業のグロースも確信しています。

藤本:注目している企業ということですね。

成長戦略:Hybrid Technologies Capital

藤本:「Hybrid Technologies Capital」は今までにいくつも投資しているのですよね? 

ミン:そのとおりです。当社とのシナジーが見込める4社に投資をしており、例えばGIG INC.はUI/UXデザインやマーケティング戦略の立案をしている会社で、投資して非常によかったと思っています。

何がすごいかと言いますと、GIG INC.はデザインが得意であるものの、「開発は今までやってこなかったのでお断りします」ということでしたが、僕らは開発ができますので、ハイブリッドテクノロジーズと協働することにより、より一気通貫の体制を構築できたことです。

藤本:UI/UXデザインが可能でも、最終的に「それをシステム化してほしい」と言われた時に、今まではできなかったことが、御社と組み合わせることにより可能になったということですか?

ミン:そのとおりです。GIG INC.は、UI/UX以前のデジタルマーケティング戦略の立案、企画もしている会社で、大変勉強させていただいています。大手企業さまとのお付き合いも多くありますので、そのような知見も教えていただきながら、ご一緒しています。

藤本:お子さま向けのサービスを行っている会社もありますね。

ミン:障がいを持った子どもや集中することが苦手な子どもを対象に、運動や、ゲームアプリを通じたサポートをする、「LUMO」を運営している会社です。

藤本:非常におもしろいですね。

成長戦略

藤本:今後の成長戦略として「既存事業の拡大」は、KPIのストックサービス件数の拡大と単価の向上です。その左にある「非連続的な成長」とはどのようなことですか? 

ミン:「非連続的な成長」には、新規プロジェクトの立ち上げ、あるいは業務提携やM&A等、いろいろな選択肢があると思っています。優先順位をしっかりと見定め、スピード感を持って行いたいと考えています。

ベトナム:ダナンオフィスを移転

藤本:直近のトピックスとして、移転したベトナムのダナンオフィスが非常におしゃれですね。

ミン:そうですね。先日視察に行きましたが、従業員のモチベーションも非常に高く、移ってよかったと思います。

ベトナム:ホーチミン市自然科学大学との産学連携体制

藤本:ベトナム国家大学ホーチミン市自然科学大学との産学連携体制を締結しています。大学と連携できるのはよいですね。

ミン:ここはベトナム国内でもトップクラスの非常に優秀な大学で、当社はインターン生の受け入れ、育成支援を行っています。また、先生方も最先端技術の共同研究などに非常に意欲的で、一緒に連携していきたいというお声がけもいただいています。

このような教育機関と良好な関係を維持、発展させることによって、非常に優秀な人材を獲得する1つの入り口になるのではないかと思います。

藤本:御社と連携することで、大学の先生からは「ハイブリッドテクノロジーズはよい会社ですね」と言っていただけますね。

ミン:そう言っていただけるとありがたいです。

藤本:御社をよいと思っているからこそ、大学は一緒になって共同研究しているのですね。最先端の技術はどんどん進んでいくため、同じところにいたら遅れてしまいます。

ミン:技能や知見もトップクラスの大学ですし、先生方も非常に熱意があります。いろいろな最先端の分野、例えばAIやブロックチェーン、メタバースなどで、基礎研究だけではなく応用にまで広げていきたいと考えています。そこに僕たちが連携することで、お互いに発展するようなスキームにしていきたいと思います。

ベトナム:エンジニア150名採用キャンペーンを開催

藤本:ベトナムにおいて「エンジニア150名採用キャンペーン」とはどのようなものですか? 

ミン:単純で、もっと幅広い技能を持った人材を多く採用したいというのがキャンペーンの背景です。

藤本:それだけ採用しても、仕事があるということですか?

ミン:そのとおりです。いろいろなお話をいただいています。

藤本:さまざまな仕事ができるものの、御社もリソースが必要ということですね。

ミン:新規もそうなのですが、既存のお客さまに対してももっと優秀な人材が必要です。「新しくこんな技術を持った人が欲しい」などのオーダーもいただいています。そのような要望に対応するための施策として、このキャンペーンを打ち、早く優秀な人材を採用できればと思っています。

日本:情報経営イノベーション専門職大学との産学連携体制

藤本:情報経営イノベーション専門職大学との産学連携体制も発表しています。

ミン:以前から僕も客員教授で参画していますが、今回はインターン生を受け入れます。将来的には、日本国内でも当社の新卒採用が活性化することを見越して、このような教育機関との関係性を築いていきます。

日本:上場会社トップインタビュー「創」の掲載

藤本:上場会社トップインタビュー「創」の掲載もよいですね。

ミン:東証さまの上場推進部の方々から、当社のクロスボーダー企業としての特性や、DX推進事業といった点から、このような名誉ある機会をいただき、掲載されています。日本とベトナムの架け橋となって、日本のDXを推進していきたいという思いでお話しさせていただきました。

藤本:東証は上場した会社をすべて掲載しているわけではなく、限られた企業として選ばれたということですね。

日本:英文開示支援プロジェクト「Disclosure G」

藤本:日本は海外からの投資をもっと呼び込まなければなりませんが、さまざまな情報が日本語で書かれています。これは外国人からすると、当然「日本語ではわからない」という人が多いです。そんな中で、この「英文開示支援プロジェクト」は、どのようなものですか?

ミン:東京都のプロジェクトで、「英文開示を無償でコンサルティング支援します」というものです。選考に応募したところ、選定いただきました。せっかくの機会ですので、当社も英文IRの充実化を図り、海外投資家への発信を強化していきたいと思っています。

藤本:他にも、グッドパッチ、GRCS、アクシージアなどいろいろな会社がありますが、第2回選定企業として選ばれたということですね。

ESGへの当社の取組

藤本:ESGについてです。企業はお金儲けや成長のためだけではなく、ガバナンスや環境、持続可能性などに注目していると思いますが、御社の場合はどのように対応していますか?

ミン:僕が特に重要だと思っているのが「S」のところで、当社の事業の進展により、日本国内のDXが推進されていくということです。日本の労働人口の減少という社会問題に対して、僕たちの事業がそれを解決する1つの糸口になっていくことが大切ではないかと考えています。