本日のご説明

森啓一氏(以下、森):みなさま、こんにちは。フォーカスシステムズの森です。よろしくお願いいたします。

本日は、スライドに記載の4つに焦点を当ててお話しします。まずはフォーカスシステムズという会社を知っていただきたいのが1つ目です。2つ目の「3つのFCS」では、ファイナンスとコンポーザーとソーシャルについてご説明します。

3つ目が株主さまへの還元についてです。そして4つ目が「フォーカスシステムズの新たな取組み」で、今後フォーカスシステムズがさらに成長、発展していくといった意味合いを込めて、どのような事業を展開していこうとしているのかについてお話しします。

ITでお客さまにトータルソリューションをご提供する“総合情報サービス企業”

:最初に「フォーカスシステムズとは?」というところです。フォーカスシステムズは、「ITでお客さまにトータルソリューションをご提供する“総合情報サービス企業”」です。

Focus Systems

:先ほどのご紹介で「老舗企業」とありましたが、1977年に創立し、ちょうど45年目になります。もともと、IT業界としては古い時期から活動していますので、私自身「安定している」とか、「新しいことになかなかチャレンジできていないのではないか?」という評価をよく聞きます。そのあたりについては後半で、どのような新しい取り組みをしているのかお話しできればと思っています。

事業内容は、システムコンサルティング・受託開発・保守運用・技術支援・情報セキュリティ関連事業となっています。2021年3月末で資本金は29億円、売上高は234億円です。のちほどお話しますが、今年の目標は245億円の計画を立てています。従業員数は2021年3月末で1,238名ですが、今年4月には約80名、そして来年4月にも80数名が入社内定していますので、2023年4月1日の段階では1,360人から1,370人の規模になる予定です。

2022年4月 新市場区分 プライム市場

:昨今プライム市場について一時期騒がれており、当社もどうするのかという話がありましたが、2022年4月に無事プライム市場になります。もともと株式店頭公開するまで設立してから約20年、そして東証二部に市場変更するまで20年と、かなり時間がかかっています。

全創業者メンバーが退き、私を中心とした新しい体制で出発したのが、2011年4月です。そこからもう一度、新体制でこの会社を社員一丸となって盛り上げていくにはどうすればいいか考え、「では一部、二部を視野に入れて取り組んでいこう」ということで、約5年かけて東証一部になった経緯があります。

当社の位置づけ I

:当社の位置付けです。IT業界はよく建設業界と比較されますが、1次請けプライム、2次請け、3次請け4次請けと、階層が非常に下まであります。その中でフォーカスシステムズは1次請けと2次請けを中心に担当させてもらっています。

もともと、会社として設立した当初は、どうしても2次請けで入り込まざるを得ませんでした。それが今のNTTデータさまやIBMさまなどのパートナー会社として取り組ませていただいたのが、主にこの2次請けです。

それを安定基盤としつつ、昨今では1次請けにも参入していこうと積極的に働きかけているところです。1次請けと2次請けに入ることで社員がコンサルティング力とマネジメント力、技術力を総合的に身につけることができ、どのような仕事にも対応できる点が、会社としては強みの1つだと思っています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):1次請けと2次請けの両方を担当しているというお話でしたが、1次請けが直接発注を受けるということだと思います。2次請けもどちらかというと、大手システム開発の会社から仕事をもらってマネジメントするかたちだと思っているのですが、御社は仕事量としては、1次請けと2次請けのどちらが多いのでしょうか?

:今の段階ではまだ2次請けが多いです。のちほど会社の構成をご説明しますが、NTT関係、IBM関係ともに2次請けですので、そのような意味ではまだ1次請けが少ない状況です。それを今後どのようなかたちで1次請けに変換していくかが、これからの課題の1つだと思っています。

坂本:プロジェクトによって変わるかとは思いますが、やはり「1次請けのほうが、自由度が高く利益が多い」というイメージでだいたい合っていますか? 

:はい、加えてリスクは非常に大きいです。したがって、そのあたりはバランスを取りながらうまく取り組んでいければよいと思います。また、社員のモチベーションとしてはやはり1次請けがよいという声を聞きます。

坂本:なるほど、ありがとうございます。またのちほど、その展開などを教えていただきたいと思います。

当社の位置づけ II

:位置付けの2つ目です。当社は独立系という位置付けになっています。

通常は、ユーザー系やメーカー系といった会社の子会社というかたちでIT会社を持つところが、どちらかというと多いです。しかし、当社はもともと経営・資本の独立というかたちでゼロから作り上げたIT会社ですので、親会社のしがらみがなく、幅広く自由な事業分野に展開できます。また培った内容をすべて自社の資本にできるという長所があります。

その一方で、自分自身ですべてゼロから営業も含めて行っていかなければならず、顧客の開拓からビジネスパートナーの開拓、知的財産の蓄積、経営基盤や財務の強化についてもすべて独自で行っていかなければならない点がなかなか大変なところだと思います。

「IT会社の中で、フォーカスシステムズの利益率がほかのIT会社に比べて低いのではないか?」と言われることが時々あります。それに関して私自身は、独立系企業の初期における独特の方法だと思うのですが、最初の小さい時はどうしても仕事が急になくなってしまった時に、社員をクビにすることはできません。しかし、例えば協力会社の社員であれば、その協力会社に守ってもらえればよいため、「ごめんなさいね」と言ってリリースすることができます。

そのような時に、社員と外注・BPのバランスとして、社員を少なくしてBPをより多く使うかたちをずっと取ってきました。そのため、社員の利益率とビジネスパートナーの利益率を比べると、どうしてもビジネスパートナーの利益率は低くなります。

今の社員数はだいたい1,300人弱なのですが、BPですと2,000人弱を使っている状況です。それがやはり他のIT会社に比べて、会社としての利益率を若干下げている要因になるのだと思います。ただ、プライム市場を考えた時に、当社ですべてのBPをリリースしなければいけない状況になった時点で、おそらく日本経済はおかしくなっているのではないかと思います。

坂本:その時は本来であれば、御社の利益率が上がることになるはずですが、全体的にシュリンクしているので、たぶんBPの単価も下がってしまいます。

昔は不採算な受注を取っている会社もあったりしましたので、不景気になるとそのような状況に逆戻りする可能性もあるというお話だと理解しました。

:ですので、会社としてはもっと社員数を増やしてもぜんぜん問題ないだろうと思っています。そのような意味では、今後は利益率がかなりよくなるようなことを視野に入れて取り組んでいます。

ビジネスモデル

:ビジネスモデルについてです。今お話しした2次請けは、大手SIerさまの「安定基盤」をかたち作っているところです。そして1次請けは会社としてさらに「発展」を目指そうという位置付けとなっています。加えて、当社を支えてくれているビジネスパートナーが、約2,000名近く支援してくれているかたちになっています。

経営理念

:経営理念です。このあとお話しする経営ビジョンは、2011年に新体制になった時に作った内容ですが、最終的にはいかに社会貢献する会社になるかが経営理念のメインになっています。

経営理念は、「社員すべてが心と力を合わせ、企業の発展と成長を通じて、未来のより良い環境作りに貢献する」としています。会社だけでなく日本、もっと言えば世界の環境作りに貢献できるようなIT会社を目指していきたいという思いを込めています。

経営ビジョン

:経営ビジョンは、社員個人と会社、そして社会として、バランスよくすべてによいかたちでできればと思っています。そしてコーポレートスローガンは「テクノロジーに、ハートを込めて。」です。私自身はもともと経理など管理畑でしたので、ITの知識がなく、どうしてもテクノロジーに関して深い内容がわかりません。

ただ与えられた仕様書に基づいて何かを開発して「はい、できました」というよりも、そこになんらかの心を込めて作業することで、よりよいものが提供できるのではないかという感覚が自分の中にありました。したがって「ただテクノロジー開発をする、技術を磨くだけではなくて、そこに心を込めて仕事をしよう」という意味を込めて、コーポレートスローガンとしています。

事業内容のご紹介 〜事業領域

:事業領域は、システムインテグレーション、ITサービス、情報セキュリティと、年代を追って展開し、今3本の柱というかたちでこの3つをとらえています。

事業内容のご紹介 〜4つの事業セグメント①

:システムインテグレーションは、次からセグメントの関連にもなりますが、もともと公共関連からメインになっています。こちらはNTTデータさまのビジネスパートナーとして主に取り組んでいるのですが、官公庁に最初に入り込んだことが会社としての基盤作りには非常に役に立っています。やはり官公庁はある程度の予算で仕事をされますので、そのような意味では「だいたい年間どれくらいの売上と利益になるのか」が、IT会社ではめずらしく予測できる点が当社の強みの1つだと思っています。

ただ、この公共関連に関しては、官公庁及び公共事業への従事というかたちなのですが、その一方で、やはり完璧性をかなり求められる分野です。スライドの3番目にあるように、「深い専門知識と豊富な実績」を積み上げていかなければいけないのですが、ちょっとしたミスに関しても強く是正措置を指示されるなど非常に厳しいため、何年かでローテーションするというよりも、この分野に10年、20年、30年と同じ仕事に従事する社員が非常に多くいます。

ですからそのような仕事が合っている人には非常にプラスになると思いますが、いろいろな仕事をしてみたい人にとっては違った分野に行かなければいけないという点があります。こちらは非常に完璧性が求められる分野となっています。

事業内容のご紹介 〜4つの事業セグメント②

:2つ目はエンタープライズです。一言でいうと基幹業務システム(ERP)を主に手掛けているところです。NTTデータ イントラマート社、そしてSAP社というERPで主に大きな会社があるのですが、その2つを持っているIT会社はなかなかありません。

坂本:どちらか得意なほうに分かれますよね。

:おっしゃるとおりです。当社としては2つ持っていて、どちらもできるようなかたちを整えています。ここは先ほどの公共系と違い、常にゼロから地道に営業をしていく中でプレゼンし、仕事を得ていくという意味では、どちらかというと1次請けが多い分野になっています。そのような意味ではリスクもあるため、ギリギリまで利益と売上が確定しないことはありますが、最近は非常に伸びている分野の1つとなっています。

事業内容のご紹介 〜4つの事業セグメント③

:3つ目が広域ソリューションです。こちらはもともと当社が最初に入った通信制御の分野と、そこに組込み系、発展しているAIソリューションを加えたものです。支店がある大阪と名古屋の事業を管轄しているとともに、新しいAIソリューションと古くからある組込み系の仕事を行っている分野となっています。

事業内容のご紹介 〜4つの事業セグメント④

:最後がイノベーション分野になります。こちらは日本IBMさま、そして昨年IBMさまが分社化してキンドリルという会社ができましたが、その両方をメインで担当しています。こちらは開発よりもインフラ基盤を主にしています。特徴としては、自社製品分野を抱えており、その情報セキュリティをこちらで担当しています。以上が4つのセグメントになっています。

坂本:このイノベーションは、おそらく御社の利益に将来的に非常に貢献するものだと思っているのですが、この自社製品とは主にどのようなものなのでしょうか?

:自社製品は主に3つあります。1つ目は「ビーコン」という製品です。

坂本:位置情報に関するものですね。

:こちらはBluetooth製品になります。非常に小さいため、いろいろなところにインストールすることによって、位置情報を知ることができます。さらに言いますと、スマートグラスに入れれば、実際に相手の情報がグラスに映ってきます。例えば、美術館で展示物の目の前に立つと、その展示内容が全部わかるようになったり、ビルの中で誰がどこにいるということが瞬時にわかったりします。

もう1つが情報セキュリティ商品です。その1つに「電子透かし」があります。どのようなものかというと、画像や動画、音声などに目に見えないかたちで著作権情報を入れ込むことで、インターネット上で不正に使われた時に検出できるというシステムです。

飯村美樹氏(以下、飯村):難しい商品ですね。

:例えば新車が発売される際に、その新車の写真を持っているカメラマンが写真データを送る時に、途中で盗まれてしまったとします。しかし、その写真データに透かし情報を埋め込んでおけば、写真がどこにあるかわかるというものです。

坂本:なるほど。画像データももともと数字ですから、その中に情報を入れ込んでおくということですね。

:おっしゃるとおりです。また、映像などもよく盗用されたり、勝手に使われたりするのですが、こちらは唯一、4K映像に情報を埋め込んでも画像の質はほとんど変わらないという実証実験済みの製品です。あとは音楽ですね。盗まれやすい音楽データにも入れておくと、それがどこに行ったのか、どこで検出されたのかがわかります。

もう1つは、当社が今年度開発した「Beyond TheBook」という製品で、ソフトウェアになります。特に貿易業界はいまだに紙文化が多く残っていて、そのペーパーレス化や効率化を助けるシステムソフトを開発しました。非常にニッチな分野なのですが、ニッチだけに喜ばれる分野でもあると聞いていますので、今後は中小企業のDX化も視野に入れた製品の1つとなっています。

①FCS 〜 Finance Ⅰ

:3つのFCSについてですが、1つ目がFinanceです。売上高はこの10年で約2倍、経常利益は約15倍になっています。売上高については、2011年3月期の114億円から昨年度は234億円となり、10年連続で成長している状況になっています。

坂本:ちょうど10年前というと、リーマンショック後でけっこう厳しい時期だったと思います。先ほどもお話がありましたが、いろいろな会社がある中で、その時期は実際は赤字でも受注していた会社もあったと思います。

おそらく社員数が多い会社ではそのような選択をせざるを得なかったのではないかと思いますし、利益率はたぶん業界全体で非常に低かった時期だったと思いますが、今になって御社の経常利益は15倍に増えています。これには努力も当然あったと思いますが、環境の変化もあったと思います。そのあたりについて、御社の取り組みなどを含めて教えていただければと思います。

:この10年を振り返ってみると、IT業界自体はやはり追い風だったと思っています。今回の新型コロナウイルスに関しても、特に大きな影響を受けることなく順調に成長できたという意味では、環境的には非常によい分野だったと思います。

その一方で、これまでは単価が決まっていたところから、会社自体も言い値で受注しており、それがどんどん減額されてきました。ITというものに対して、どちらかというと建設業のような人工商売といわれる状況になっていく中で、「いかにそこから脱却していくのか」が課題でした。やはり社員一人ひとりの技術力をきちんと向上させることと、それに伴い、技術力に見合う単価をいただくということです。

また、その人工商売から、請け負いというかたちで仕事の受注のやり方を準委任契約に変えていきました。そのようなさまざまな取り組みの結果、このような数字になってきていると思っています。

坂本:足元でDX化が流行っていることによって予算が増えたことや、社債や納期が非常に短い分、単価が上がるなど、そのようなこともあって追い風というところですね。今後もこのような単価の上昇は続きそうでしょうか?

:例えば他の国を見ると、大変優遇されていると言うと変ですが、やはりIT業界は非常に単価が高く、社員の給料も高いです。その一方で、日本ではIT業界はそれほど単価が高いというイメージがないため、やはり「なぜそうなっているのか?」ということを、しっかりと見直していかないといけないと思っています。

当社のビジネスモデルでいうと、公共系と民間系の両方をバランスよく持っているところが強みだと思います。先ほどのお話にもありましたが、例えば公共系が悪くなると今度は民間系がよくなるというポートフォリオがしっかりできているというところで、それに伴って単価を上げていただいています。あとはきちんと仕事をすることでお客さまからの信頼を得る中で、毎年一定額のお金をいただいているというような意味では、よいかたちで進んでいると思っています。

①FCS 〜 Finance Ⅱ

:続いて株価の推移です。株価も売上利益に伴って上昇しており、2010年の127円から、現在は981円です。昨日は890円くらいになっていましたが、一時的なものだと思います。長い目で見ると、10年間で約7倍になっているということです。

ただ、まだまだ投資家のみなさまからは「株価が低いのでなんとかしてください」ということはよく言われています。私もずっと管理本部畑にいたため、最初の頃は株主さまから非常に厳しいお言葉をいただいて、その対応で非常につらい思いをしたこともありました。そのようなところで、やはり頭の3割くらいは常に「株価がどうなっているか」を考えてしまいます。

坂本:それは株主としてはうれしいことです。

:気になってしまいますね。「株価に対しての配当もどうしようか」ということも考えているところです。

①FCS 〜 Finance Ⅲ

:業績予想ですが、今年度は売上高245億円、営業利益14億8,000万円、当期純利益10億3,000万円としています。この数字を達成できれば、売上高11年連続増、そして各利益5期連続増になります。今のところはほぼ計画どおり、さらに計画を上回るかたちで推移しているため、このまま特に大きな問題がなければ達成できるのではないかという思いを持っています。来週か再来週には第3四半期の発表もありますので、そちらでもまた昨年期と比較して見ていただけたらと思います。

②FCS 〜 Composer Ⅰ

:ユーザーですが、スライドをご覧のとおり、NTTデータ関連が約38.61パーセント、日本IBM関連が19.86パーセントで、過半数がこの2社から成っています。ただ、もともと当社はNTTデータ関連という公共系から入ったため、売上の7割くらいを公共系が占めていた時期もありました。

その中で、やはりポートフォリオを意識した時に「1社で7割はよくないのではないか」と考え、新しい分野ということで日本IBMとの関係を構築し、そちらが増えてきました。この2社を安定的な基盤としながら、そこに新しい企業を構築していくという流れで進めています。

②FCS 〜 Composer Ⅱ

:こちらのスライドでわかるように、安定基盤は約3年から4年で26パーセントほど増えています。そして、新しいユーザーも14パーセント増えています。成長基調として「安定」と「発展」の両方とも、バランスよく取り組めているのではないかと思っています。

③FCS 〜 S o c i al Ⅰ

:こちらは社会的な部分ですが、昨年度か一昨年度に、会社としてあらためて「社会貢献をきちんとしていく会社を目指していこう」ということを打ち出しました。

社会貢献というのは、もともと近江商人が言っていたように、「売り手によし、買い手によし、世間によし」です。その「三方よし」で、当社を取り巻くステークホルダーのみなさまに「いい会社だね」と認めてもらえるような取り組みを積極的に行っていこうということで、こちらは社員向けの制度です。こちらも新しい制度が出ると常にウォッチして、それに対し一つひとつ取り組んでいます。

③FCS 〜 S o c i al Ⅱ

:さらに、ライフ&マネープランセミナーや部活動支援、健康経営優良法人2021、職域創生などに取り組んでいます。あとは障害者雇用です。IT企業で、当社のようにお客さまの会社に常駐するパターンが多いと、どうしても障害者の雇用につながらないことがあります。当社としては「障害者の方々のための農業」に着目し、これをビジネスにしていくための取り組みを本格的に進めています。

③FCS 〜 S o c i al Ⅲ

:こちらのスライドは、オリンピックの候補選手を社員として採用することで支援していくという取り組みになります。

株主様への還元 〜株主数と配当推移

:株主さまへの還元についてですが、この何年かの配当性向は3割以上を確保しています。配当性向は表向きには発表していないのですが、私の頭の中では「絶対に3割は切らないかたちできちんと配当したい」と考えており、今のところはどちらかというと4割に近いくらいの配当を毎年出せていると思っています。

今年度は、初めての中間配当を入れました。そうしたかたちで、より投資家のみなさまに喜んでもらえるような流れを取っていきたいと思っています。

坂本:ありがとうございます。おそらくこの後に株主優待のお話もあると思いますが、それとは別に、もし自社株買いを行うことになった場合は、やはり総還元性向の考え方になるのでしょうか? それとも自社株を含めた総括というものになるのでしょうか? または配当性向とは別にお考えなのでしょうか? まだすぐに自社株買いを行うわけではないと思いますが、イメージでよいので教えていただけますでしょうか?

:配当性向は配当性向でも、きちんと行った後の金額で考えています。自社株買いは時々言われる内容ではあるのですが、私自身としてはこれまで間接部門を見てきた流れから、やはりどうしても最後の劇薬のようなイメージがけっこうあります。

坂本:実際はタイミングもいろいろありますよね。

:実際に自社株買いを行うとしても、それが一時的にならないようなかたちを取らなければいけませんし、それ以外に会社としてまだいろいろとやるべきこともあると思っています。今のところは投資家のみなさまにきちんと会社を知っていただき、そして伸ばしていけるというところに焦点を置いて、経営を行っています。

株主様への還元 〜株主優待制度

:還元制度はポイントに応じて選んでいただくということも発表しています。

“ ⽇本発(初)の技術創出を⽬指して ”

:こちらからは新しい取り組みについてです。今、「日本発(初)の技術創出を目指して」ということで、「ITの遅れている分野に、やはりITと組んで、常に新しいことができないか?」ということを視野において、さまざまな取り組みを行っています。

⽇本発(初)の技術創出とは︖

:本日は大きく4つをご紹介したいと思っています。

01 スマート農業

:1つ目が「スマート農業」です。農業とITは非常につながりがよいのです。これはその1つですが、樹木にセンサーを巻いて、樹液量によって一番よい収穫時期を測定しようという技術です。これにより、一番おいしい時期の果物を把握できます。今後、次世代農家で「そのようなことに取り組みたい」というところが増えていくとおもしろいと思っています。

02 カーボンニュートラル

:2つ目は今流行りの「カーボンニュートラル」です。どうしても制約があるため、「IT業界はカーボンニュートラルに対して何ができるのか?」と言われています。その中でも、この「三次電池」という温度差による電気の発生に注目し、こちらで新しいものが作れないかと思っています。こちらは筑波大学と共同研究を行っており、昨年特許を出願し、今は実証実験に入っています。

ただ、この実証実験で、本来は3月末にある程度一定の成果を発表する予定だったのですが、今、半導体の入手が非常に困難で、実証実験に必要な材料がなかなか手に入らない状況です。昨日、どうなっているのかと聞いたところ、現場から「半年待ってください」という回答がありました。ですから半年後、来年度の上期くらいには、どのような状況かきちんと発表できると思っています。

坂本:投資家にとっては大変興味がある分野だと思うのですが、この研究の中で御社が担っている役割はどのようなものになるのか教えていただければと思います。

:研究や論文の段階で電流が発生することはわかりました。ただし、あまりにも微弱なため、今のままでは使い物になりません。

それを踏まえ、大量生産に至る以前の段階で様々な実験を行い、我々が最初のプロトタイプを作り、ある程度耐えられるところまで進めたいと思っています。例えば、耳の聞こえない方のための補聴器の電池などに役立てるレベルまで持っていくことが役割だと考えています。その後はそれぞれの電機メーカーなどに働きかけていくしかないと思っています。

03 生物多様性

:3つ目は生物多様性についてです。人間と同じように社会性を持っている動物のほとんどは、音声でコミュニケーションを取っています。例えばカエルや鳥、猿などは鳴き声でコミュニケーションを取っているのは間違いありません。

そこで、「Project Dolittle」と呼んでいる事業でパートナー企業と音の環境分析装置を使って鳴き声を解析しており、将来的に野生動物との住み分けや共生に役立てたいと考えています。最終的にペットと人間が意思疎通できるようになったらおもしろいと思っており、まだ夢の世界ではありますが、楽しみな内容となっています。

04 AI医療

:AI医療です。医療業界はIT化が非常に遅れています。日本はもともと長寿の国ではありますが、今後さらに高齢化が進むということで、医師不足が非常に懸念されています。その中で、医療におけるAI画像処理について産学連携のプロジェクトを進めています。

スライドに記載のとおり、具体的には脳核医学領域でのAI活用や、事前にAIで解析することで患者さまに多くの放射線を当てなくても病気がわかるようになるなど、患者さまへの負担軽減も含めた取り組みとなっています。

以上の4つが当社の取り組みです。今後も安定した基盤と、そこにいかに新しいものを積み上げていくかというかたちで会社経営を進めていけたらと思っています。私からのご説明は以上となります。

質疑応答:新たな4つの取り組みが生まれた経緯について

坂本:イノベーションの部分ですが、スマート農業、カーボンニュートラル、生物多様性、AI医療はどのように生まれたのか教えてください。今までのお仕事の中から「このようなことができるのではないか?」ということを社員から自発的に吸い上げて始まったのでしょうか?

それともプロジェクトチームがあり、トップダウンで始まったのでしょうか? あるいは、2次請けだけでは生まれなかったが、1次請けを行ってできるようになったなど、経緯と言いますか、取り組みの方法を教えてください。

:私が社長になった時に取り組みたかったことの1つが、これまで培ってきた経験を活かして自社製品を作りたいということでした。自社ブランドを生み出したいという強い思いがあり、そのような中で事業創造室というトップダウンのものを作っています。

集まってきた新規技術やスタートアップ企業とのピッチへの参加でおもしろいと思ったことに対して、「一緒に何かやってみようよ」ということでお金を出しながら進めています。その中で「もう少し突っ込んだほうがいいのかな」というものを各分野の担当に渡し、「もう少し研究してくれ」というかたちで生まれてきたのが先ほどの4つの内容となっています。

坂本:これが立ち上がると利益率も高いですし、実際にスピンオフして上場して上場益が得られることもあるため、大変おもしろいと思います。そのような土壌があると本業のプラスになりそうだなと思ったりもします。

:あまり新規技術のことばかり言っていると、既存の社員が「俺たちが支えているんだぞ」となってしまいます。

坂本:そっちに行きたい人も絶対にいますよね。

:既存の社員はものすごく重要ですし、基盤がないと新しいことは絶対にできません。バランスよく進めていかないといけないため、会社としてはなかなか大変だなと思っています。

坂本:新卒採用の段階からそのようなことができそうな人を採用することもあるのですか?

:今はまだ行っていません。ゆくゆくはそのようなかたちで採用することができれば、さらにおもしろい展開になると思っています。

坂本:そうですね。研究が進んでいけば、大学院生に「うちに来れば?」と言うことも可能性としてはありますよね。

:実際には筑波大学の三次電池の研究室から当社に入社希望があったということで、私としては非常にうれしかったですね。

質疑応答:温度差による発電について

飯村:会場からの質問で「温度差による発電とはどのようなものですか?」という質問がありました。

:例えば、高い温度から低い温度になる時は必ずエネルギーの動きがあります。そのエネルギーの動きが電気に変わっていくというものです。

寒いところと暑いところは常にありますので、そこから発電することは技術的には可能だということまではわかりました。ただし、ものすごく微量なため、しっかり使えるものにすることがこれからの課題です。非常に夢がありますが、果たして使えるレベルまで到達するかどうかというところです。

飯村:先ほどお話があった補聴器などに使うということですよね? 確かに電池交換しなくてよいのであれば、だいぶ楽ですね。

:微弱なものですが、補聴器のレベルまで到達すれば十分にできるのかなと思っています。

質疑応答:離職率について

坂本:人材系の質問です。「業界水準と比べて離職率が低いですが、この理由を教えてください」とのことです。

:以前は、我々の会社も業界を上回るくらいの退職率だった時があり、「こんなに高いのか」とびっくりしたことがあります。

坂本:社長になる前に管理職を担当していた時代ですか?

:はい、「こんなに入ってきても、こんなに辞めてしまうんだ」と衝撃を覚えたことがあり、これはもっと減らせるのではないか、減らさなければいけないのではないかと思いました。そのような意味では、まず人事が社員に非常にきめ細かな対応を行っています。

入社前から、落とした人も含めて、希望者のほぼ全員の名前を覚えているくらいです。落ちた人に「なぜあなたはいけなかったのか」をすべて説明できるくらいのきめ細やかな対応を行っています。

その上で社員が入れて欲しい制度などを汲み上げ、会社としてできることは積極的に取り入れています。そのようなことがだんだんとかたちになり、離職率の低さに結びついているのではないかと思います。

ただし、私はITにはどうしても向き不向きがあると思っています。向いていない人にとっても可哀想ではないかと思いますので、離職率を限りなく低くするのではなく、向き不向きはきちんと教えてあげないといけません。ですから、今は5パーセントくらいの離職率ですが、それくらいは常にあるだろうと思っています。

質疑応答:アスリートの支援について

坂本:28ページのアスリート支援についても非常におもしろいと思いますが、こちらは働きながら競技に取り組んでいるのでしょうか?

:そうですね。私は味の素のオリンピック施設に一度見学に行ったことがありますが、日本代表のユニフォームを着られるのは全国でも2,000人くらいしかいません。日本のユニフォームを背負っている人たちが、せっかく優秀なのに、お金がなくて大学卒業と同時に辞めざるを得ないということに対し、何か支援したいと思いました。

将来的にアスリートを辞めた時のために、ITに興味がある人しか採用できませんが、基本的には「練習がある時は練習を優先してください」と言っています。そのため、会社に来なくても広報・IRとして何かしら発信できることをお願いして、応援しています。

質疑応答:BPについて

坂本:BPについてのお話がありましたが、個人と派遣ではどちらが多いのでしょうか?

:基本的に個人ではなく、すべて会社から派遣しています。一人派遣というかたちはよくないため、法律に基づいて「何名以上」というかたちで入れてもらっています。

質疑応答:リモートについて

坂本:コロナ禍への対策で、リモートワークなどは進んでいるのでしょうか?

:お客さまが完全にリモートワークの場合は当社の社員も完全にリモートワークとなります。一番多い時は7割くらいがリモートワークで行っていました。おそらく今でも半分近くがリモートワークではないかと思います。ですから、こちらは二度となくならないですね。

坂本:そうですね。それによってオフィス常駐の方もいると思いますが、だいぶ圧縮されましたか?

:当社の場合はもともと外に出ている人が多かったため、そのような意味ではこれまではスペースが足りないのではないかと四苦八苦していたのが、「とりあえず大丈夫かな」という安心になってきたと思います。

質疑応答:社員の採用について

坂本:社員を増やすかどうかについては投資家が気にするところですが、いきなり増やすのはなかなか難しいと思います。そのあたりのイメージと言いますか、BPとのバランスと採用計画があれば教えてください。

:現場の社員からは「人が足りないです」と聞くくらい仕事はあります。ただし、BPはなかなか採用しにくい状況があります。

そのような意味では、社員を増やすのは1つの手ですが、例えば今の倍の人数を採用する時は採用コストがかかるため、その後の教育や一人前になるまでの期間は一時的に利益率が下がります。将来的な利益率は会社としてプラスになりますが、投資家のみなさまがどのように判断するかというところもあります。

そのバランスが私の中で常に頭を悩ませているところです。ただし、現場的には「もう少し人が入っても大丈夫だよ」「お願いできるかな」という声はあります。

坂本:このままリモートワークと同時に行うのは難しいのでしょうか?

:今の1年生、2年生は、場合によってはほとんど会社に来ていない社員もいます。

坂本:そうですよね。しかし、それでなんとかなっているということは、できるのではないかなと思いました。

:これはほんの一部だと思いますが、「会社に来い」と言うと「会社に勤められるか不安です」という声もあり「えー」と思っているのですが、それくらい環境が変化しています。ただし、中には「家では仕事ができません」「外で何かしら動かないと駄目です」という社員がいることも事実です。

それぞれに応じたきめ細かい対応が重要となっており、気持ち的なバランスも含めて、上司や人事に今後いろいろと負担がかかってくるのではないかと思います。

飯村:お話を聞いていると、人事と社員のみなさまのつながりが深いというのがよいなと思います。

森氏からのご挨拶

:今日はご視聴いただきありがとうございます。フォーカスシステムズは創業45年ですが、これから創業50年という1つの節目に向けて中期経営計画を策定しています。

これまで公には発信していませんでしたが、おそらく来期に中期経営計画をきちんと発表し、投資家のみなさまや株主のみなさまに、3年後、5年後にどのような会社を目指していくのかを明確にお知らせしたいと思っています。

ふだんから株価や業績のことを気に留めている方も多いと思いますが、当社としては非常に安定した基盤をもとに新しいことをどんどん積み上げていくかたちで、常にワクワクするような会社を目指していきたいと思っています。今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。