2021年11月期第2四半期決算説明会
佐藤誉至夫氏(以下、佐藤):それでは、モリト株式会社2021年11月期第2四半期決算のご説明を始めさせていただきます。本日、説明させていただきますモリト株式会社、社長室長の佐藤誉至夫でございます。よろしくお願いいたします。
本来であれば、みなさまにお目にかかりご説明を行うべきところですが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を鑑みまして、テレフォンカンファレンス形式での説明会とさせていただいております。ご了承のほどお願い申し上げます。
2021年11月期2Q 進捗状況・ハイライト
第2四半期の業績概要です。当期の進捗状況およびハイライトとしては、新型コロナウイルス感染拡大、緊急事態宣言発令の影響で、百貨店や量販店の休業、在庫調整により、各種メーカーが生産調整を行いました。
また、当社グループ主力商品のハトメ・ホックの原材料である銅などの金属を中心とした材料価格の高騰や、半導体不足による自動車工場での生産減少など、当社グループのコア事業にとっては非常に厳しい外部環境でした。
一方で、密にならずに屋外で楽しめるスポーツ・レジャー関連商品やマスクなどの新しい生活様式に関連した商品の売上が増加し、前年同期比で営業利益は87パーセントの増加、当期純利益は245パーセント増加しました。
2021年11月期2Q 業績サマリー
3ページ目は業績サマリーとなります。前年同期比で増収増益となりました。それぞれの数字について、次のページより詳しくご説明します。
2021年11月期2Q 売上高
売上高は212億2,500万円となりました。冒頭でご説明した新型コロナウイルスや半導体不足の影響もあり、日本と欧米の売上高はともに減少しました。しかし、アジアでは輸送事業を中心に売上を伸ばし、トータルでほぼ前年並みとなり、前年同期比でプラス0.1パーセントという結果でした。
2021年11月期2Q 四半期別売上高の推移
5ページ目は、売上高を四半期ごとに表した棒グラフです。前期の第2四半期より新型コロナウイルスの影響を受け始め、第3四半期に最も強く影響を受けました。それ以降、売上高は回復傾向にあり、今期第2四半期の売上は前年の第2四半期と比較して約5億円増加しました。
また、当社は例年下期にプロダクト事業の小売り向け部門を中心に冬物商品の販売を行うため、売上高は下期に偏る傾向があります。現在も変異株の感染拡大などが懸念されており、下期も世界的に新型コロナウイルスの影響は継続すると想定していますが、売上高の下期偏重は今期も継続するものと考えています。
2021年11月期2Q 売上総利益
6ページ目は、売上総利益についてです。売上総利益率は前年同様の25.9パーセントで、売上総利益もほぼ前年並みですが、600万円の減少となりました。
売上高と比べて利益面で少し苦戦している結果ですが、要因としては冒頭にお伝えしたとおり、銅をはじめとする原材料価格の高騰により売上原価が増加したことが挙げられます。
2021年11月期2Q 売上高・売上総利益率の推移
7ページ目には、年度ごとの売上高を棒グラフで、売上総利益率を折れ線グラフで表したものを掲載しています。受注は回復傾向にありますが、原材料価格の高騰により、売上総利益率は下期も影響を受ける可能性があるのではと見込んでいます。
2021年11月期2Q 営業利益
8ページ目は、営業利益の概要です。新たに生まれたビジネス、失ったビジネス、未来のために動き出したビジネスなど、この上半期もさまざまなことに前向きに取り組んできました。
その中で、材料費の高騰により売上総利益は若干減少したものの、昨年より継続していた経費削減が功を成し、営業利益は前年同期比87.9パーセントの増加となりました。営業利益率も約2パーセントの増加となっています。
2021年11月期2Q 経常利益
9ページ目は、経常利益の概要です。経常利益は前年同期比約120パーセントの増加となりました。要因としては、営業利益が増加したことに加え、為替差損が昨年よりも減少したことや、新型コロナウイルスに関連した雇用調整助成金を営業外収益として計上したことで、営業外損益がプラスになったことが挙げられます。
2021年11月期2Q 当期純利益
10ページ目は、当期純利益の概要です。経常利益の増加により法人税も増加しましたが、結果的に前年同期比約245パーセント増の5億3,300万円となりました。以上が、損益計算書の概要となります。
2021年11月期2Q 計画進捗について
11ページ目は、2021年11月期の計画進捗状況についてご説明します。売上高は通期業績予想に対して49パーセント、営業利益は59パーセント、経常利益は68パーセント、当期純利益は76パーセントとなっており、順調な進捗であると言えます。
ただし、下期は新型コロナウイルス感染拡大の収束の見通しが立っていないという状況に加え、半導体不足、材料価格高騰など、当社にとって先行きが不透明な状況が待ち受けていることから、現時点では期首発表どおりの着地を想定しています。
ポジティブな情報も増加してきていますので、今後の状況を鑑み、予想値に変更が生じる場合はすみやかに開示します。
2021年11月期2Q 連結貸借対照表
貸借対照表の概要をご説明します。資産は、主に東京事業所に隣接する土地の購入、グループ会社の新工場設立による固定資産の増加、投資有価証券の時価評価等による増加により増加しました。
負債は主に長期借入金の返済、社債の償還により減少し、純資産は当期純利益の計上、投資有価証券の評価差額金、為替換算調整勘定の増加などにより増加しました。
負債の減少、純資産の増加により、自己資本比率は期首から比較して1.2パーセント増加し、74.3パーセントになりました。以上が貸借対照表の概要となります。
2021年11月期2Q 連結キャッシュフロー計算書
13ページ目には、連結キャッシュフローの概要を記載しています。こちらは時間の都合上、ご説明を割愛します。
2021年11月期2Q 地域別売上高(地域別詳細)
15ページ目からは、事業の概況についてご説明します。まず、地域別の売上高については日本が2.2パーセントの減少、欧米が4.9パーセントの減少、アジアが13.4パーセントの増加という結果となりました。
2021年11月期2Q 地域別売上高(日本)
ここから、それぞれの地域での増減要因についてご説明します。まずは日本国内についてです。密を避けて楽しめる屋外スポーツやアウトドアに関連した商材の中で、特にスポーツシューズ向けの乾燥剤やフィッシング用のバッカン、東京オリンピックの正式種目にもなっているサーフィン、スケートボード関連商品の売上が増加しました。
また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う新しい生活様式や、巣ごもり需要に関連した手芸用品、マスク関連の均一価格小売店向け製品、マウスパッドなどのPC関連商品の売上が増加しました。さらに、日系自動車メーカーの次期マイナーチェンジモデル用の自動車内装部品の売上も増加しました。
一方で、百貨店・量販店の在庫調整のため、重衣料、バッグ、靴向けの付属品の売上が減少しました。また、前期の暖冬の影響でスノーボード関連商品は売上が減少し、前期に法改正による駆け込み特需のあったハーネスなどの建設業界向け安全関連商品の売上も減少しました。
2021年11月期2Q 地域別売上高(アジア)
17ページ目はアジアについてです。東南アジアを中心にミャンマー情勢の影響を受け、特にタイでの日系アパレルメーカー向け付属品の売上が減少しました。
一方、香港では、欧米アパレルメーカー向けの付属品の売上が増加しました。これは主な要因として、ワーキングウェア、ベビー服向けの付属品など、コロナ禍であっても継続して需要のある商品であるため、売上が増加しました。
また、中国での日系自動車メーカー向け、自動車内装部品の売上も増加しています。コロナ禍であるにもかかわらず、アジアでの輸送事業はここ数年、売上増加を続けており、ビジネスの軸として着実に成長しています。
2021年11月期2Q 地域別売上高(欧米)
続いて、欧米についてです。上半期は新型コロナウイルス感染拡大による影響で、北アフリカをはじめ、各縫製地がロックダウンしてしまい、欧州でのアパレルメーカー向け付属品の売上は減少しました。さらに、半導体不足による自動車メーカーの減産や工場移転の影響を受け、米国での日系自動車メーカー向けの自動車内装部品の売上は減少しました。
一方で、欧州、特に英国ですが、日系自動車メーカー向けの自動車内装部品の売上は増加しました。当社の子会社の期首は10月ですので、昨年度の上半期は、欧米ではコロナ禍の影響がまだ少なかったということもあり、グラフに記載のとおり、欧米の売上は前年同期比で減少したものの、欧米でのワクチン接種の広まりにより経済活動・受注は回復しつつあります。
2021年11月期2Q 地域別売上高(四半期別)
19ページ目は、四半期ごとの地域別売上高の一覧です。詳細は先ほどご説明のとおりです。第2四半期3ヶ月間に関して、前年と比較すると、欧米は若干苦戦しているものの、日本、アジアにおいては大きく回復していることがわかります。
2021年11月期2Q 地域別 売上構成
20ページ目は、前期と当期における、地域別の売上構成を円グラフで表したものになります。当期は、日本と欧米が減収であったのに対して、アジアが増収となったため、アジアの売上比率が上昇し、日本の売上比率が若干低下しました。
日本が約70パーセント、海外が約30パーセントの構図に大きく変わりはありません。今後も日本市場における高付加価値商品を海外市場に展開していくことで、海外売上比率を伸ばしていきます。
2021年11月期2Q 地域別×事業別 売上構成
21ページ目は、地域別・事業別の売上構成に関するグラフです。前年と比較すると、自動車関連の事業が増加しており、特に中国を含むアジアでの売上構成が増加しています。
環境配慮型の商品開発等の取り組み「C.O.R.E.」(1)
続いて、当社グループ事業のトピックスについて、主に「環境」「IoT」「スポーツ・アウトドア」「BtoCビジネス」といった4つのトピックスに関してご説明します。
まずは、環境配慮型の商品開発等の取り組み「C.O.R.E.」についてです。「C.O.R.E.」は、「committed to our resource and environment」の略称であり、美しい地球と限りある資源を未来につなげる包括的なアプローチです。モリトグループの環境へのコミットになります。
製品の製造過程において、環境に配慮したプロセスの採用、また、環境にやさしい新製品の開発と販売に向けた、当社グループ独自の取り組みです。現在、廃漁網をリサイクルしたナイロン樹脂「リアミド(REAMIDE)」を使用したアパレル向け資材の用途開発を進めており、樹脂パーツだけでなく、テープやゴム、生地などの新たな資材を開発しています。
環境配慮型の商品開発等の取り組み「C.O.R.E.」(2)
先ほどお伝えした生地など、新たな資材の開発により、「C.O.R.E.」は、ボタン、紐止めなどの点で留めるパーツ、テープなどの線でつなぐパーツ、生地などの面で飾るパーツなど、あらゆる用途や業界にアプローチできるようになりました。すでに、各種大手ブランドでの採用も決まっています。
また、兵庫県豊岡市の地域ブランドである豊岡鞄と共同で鞄を開発するなど、地域との取り組みも実施しています。今後は、地産地消を目的とした自治体とのイベント企画など、「C.O.R.E.」のアプローチを広げるために、新たな取り組みを企画していきます。
AI・IoTと副資材・アクセサリーの融合 「みまるく」発売
次に、AI、IoTに関してです。GPSみまもりサービス「みまるく」についてご説明します。「みまるく」は、お子さまや見守りたい方などが持ち歩くことにより、現在地や行動履歴が確認できる商品で、今年の4月から販売を開始しました。
「みまるく」は、当社の第8次中期経営計画の事業戦略に掲げた「AI・IoTと副資材・アクセサリーを融合した新しい製品・サービス」の第1弾です。今後は、子ども向けバッグメーカーとの取り組みを予定しており、販売拡大に向けて取り組んでいきます。
また、現在は第2弾、第3弾と、計画および企画開発をしています。こちらは学術機関と連携する、いわゆる産学連携になりますが、当社が従来取り扱っているインソールなどの副資材とAI・IoTなどを組み合わせた新たな商品開発にも取り組んでいきます。
スケートボード・サーフィン関連商品 売上拡大(1)
26ページ目は、スポーツ、アウトドアに関するトピックスです。スケートボード・サーフィン関連商品についてご説明します。当社のグループ会社のマニューバーラインで取り扱う、スケートボード・サーフィン関連商品が、屋外で密にならずに楽しめるスポーツ、また、東京オリンピックの正式種目として注目を集めたことにより、売上が増加しました。
スケートボード関連では、スケートボードで社会貢献活動などを行っている人気YouTuberの岩澤史文(いわざわ・しもん)さんとムラサキスポーツさん、マニューバーラインにて取り扱うスケートボードシューズの老舗ブランド「etnies」のコラボシューズを発売しました。
現在、売れ行きは非常に好調です。コロナ禍の影響もあり、スケートボードを楽しむ年齢層が小学生にまで広がってきています。層がどんどん広がってきていますので、今後もさらなる売上を期待しています。
スケートボード・サーフィン関連商品 売上拡大(2)
続いて、サーフィン関連についてです。2021年度より、ウィンドサーフィン業界ではトップクラスの人気を誇るブランド「NEILPRYDE」の取扱いを開始しました。さらに、世界の有名サーファーを抱え、サーフィン業界のエルメスともいわれるブランド「CHANNEL ISLANDS」の日本総代理店となりました。
今後も、「CHANNEL ISLANDS」の商品を専門に扱う店舗が新たにオープンするなど、売上を拡大できる見込みです。
新感覚アウトドアブランド「POLeR」
28ページ目は、アウトドアブランドについてです。当社のグループ会社であるキャンバスが取り扱うブランド「POLeR」は、アメリカのポートランド発祥のブランドです。「POLeR」は、サーファー、スケーター、スノーボーダーのライフスタイルをミックスした新感覚のアウトドアブランドで、安全面にもファッション面にもこだわったもの作りを行っています。
コロナ禍において、アウトドアがブームになっていることもあり、eコマースでも売り切れが多数出たり、雑誌等でも「POLeR」が取り上げられたりと注目を集めています。
均一価格小売店向け商品の取扱い拡大
均一価格小売店向け商品の取扱い拡大についてです。従来、当社は、均一価格小売店向けにはインソールを中心に商品を販売していました。近年はそれに加え、マウスパッドなどのPC関連商品も販売を開始しましたが、コロナ渦での在宅勤務の増加により、需要が高まり売上が増加しました。
当社がなぜマウスパッドなのかと思われるかもしれませんが、マウスパッドは当社のインソールと同じ手法で生産しており、使いやすいとご好評いただいています。また、今年度より、当社NB商品として、スライドの写真にあるように、マスクや手芸関連商品、手芸用ビーズなどの取扱いも開始し、さらに売上を伸ばしています。
BtoCビジネスの展開 52DESIGN
BtoCビジネスをご説明します。まずは、元イッセイミヤケのデザイナーである松村光氏と共同で設立した「52DESIGN」についてです。「52DESIGN」では、糸と針を使わない手法で、今までにない特徴的な、デザイン性のある高価格のバッグを中心に販売しています。
ブランド名は「52 BY HIKARUMATSUMURA」です。阪急うめだやジェイアール京都伊勢丹にて、ロエベやサンローランといった名だたるラグジュアリーブランドの横でポップアップイベントを開催しました。
また、「TATRAS」「STUDIOUS」などの有名セレクトショップにてShop in Shopという形でポップアップストアを開催するなど、着実に知名度を上げています。
最近では、中国からの問い合わせ、購入も増加してきています。その関係もあり、中国の海南島など、アジアでの販売強化を実施していく予定です。異業種との協業、海外の有名ブランドとのコラボも予定していますので、今後の新たな展開をご期待ください。
BtoCビジネスの展開 防水素材バッグ
31ページ目は、BtoCビジネスとして展開している防水素材バックについてです。近年、人気商品として販売されている防水素材バッグ「ZAT」に加え、今年3月から、園芸・農業関係に造詣の深いタレントの川瀬良子さん、ガーデニングカウンセラーの岡井路子さんプロデュースの、丸洗いが可能でアウトドアにも使えるカジュアルな防水素材バック「ZAB」を発売しました。
こちらは、農作業中や街中、どちらでもお使いいただける機能性とファッション性を兼ね備えたバッグです。「ZAB」は大型量販店での採用が決まり、今後も販売店舗を拡大していく予定です。
個人投資家セミナーへの参加
32ページ目は、直近のIR活動についてです。今年5月に、株式会社イベントスさんが主催する個人投資家セミナーに参加し、当社の会社概要・事業内容・今後の取り組み等についてYouTubeのライブ配信にて説明しました。再生回数もそれなりに伸びたのではないかと思います。
今後は、モリトというブランドをより一層強化することが重要だと考えています。そのために、社内でブランディングプロジェクトを立ち上げ、アウターブランディング、インナーブランディグを強化すべく活動しています。
IR活動、PR活動ともに、より積極的に投資家、各ステークホルダーの皆さまに向けた取り組みを実施していきたいと思います。
利益配分に関する基本方針
最後に株主還元策についてご説明します。当社は株主還元において、利益配分に関する3つの基本方針を公表しています。
1つ目は「継続的配当の実現」、2つ目は「配当性向50パーセント以上」、3つ目は「DOE1.5パーセントの維持」です。この基本方針の下、年間配当金を決定しています。
コロナ禍においても基本方針に変わりはありません。DOE基準を設定することで、昨年のように新型コロナウイルス感染症の影響で思うように利益が出せなかった場合でも、一定の配当を行うことをお約束しています。
配当金・配当性向・DOEの推移
基本方針に照らし合わせ、2021年度の中間配当は9円となっています。年間配当金も昨年と同じく、1株あたり18円を予定しています。
新型コロナウイルス感染症は、まだまだ予断を許さない状況ですが、当社の各事業においては明るい兆しが見えています。今後も事業継続と株主還元をよりよいかたちで両立できるように、事業活動に邁進していきたいと思っています。
以上、2021年11月期第2四半期の決算説明とさせていただきます。
質疑応答:経費削減の内容について
質問者1:営業利益の部分では経費削減が最も大きかったということですが、具体的にどのようなことを行ったのでしょうか?
佐藤:コロナ禍で物流の見直しを徹底的に行いました。加えて、アウトソーシングや内製しているもののバランスを見直すなど、効率的経営を目指しました。
特に物流の見直しは大きかったと思います。埼玉県に関東ロジスティクスセンターという当社独自の物流センターを設けたことで、均一価格向けや細かな作業が容易になり、効率化できました。このあたりで効果が発揮できたのでないかと思っています。
また、当社もできる限りフェイス・トゥ・フェイスでお客さまと対面したい部分は残していきますが、社内の会議はテレフォンカンファレンスやWeb会議を実施して、旅費交通費も削減できました。
質疑応答:アパレル・プロダクト事業の収益について
質問者1:アパレルとプロダクトの各事業が増収増益だったのか、減収減益だったのかについてもお願いします。
佐藤:アパレル事業は若干苦戦しました。プロダクト事業は先ほどお伝えしたとおり、PC関連やアジアを中心に自動車関係が伸びる結果となりました。
質問者1:つまり、プロダクト事業と自動車関連は増収増益で、アパレル事業は減収減益だったということでしょうか?
佐藤:減収減益と言いますか、減収でありながら効率化を図ったことにより、増益と言えるかと思います。
質問者1:アパレルは減収増益で、それ以外は増収増益ということですね。
佐藤:そのとおりです。百貨店のブランド向けなどの資材の影響で、やや減収となってしまいました。
質疑応答:マニューバーラインの売上について
質問者1:今回、マニューバーラインの売上はけっこう伸びたということですが、どれくらい伸びたのでしょうか?
佐藤:スノーボード業界は、実は売上が減っています。ただし、先ほどお伝えしたウィンドサーフィンやスケートボード関係の売上が増加しており、スケートボード関係は昨対比で約4,000万円、マリン関係が1億円ほど伸びています。
質問者1:マニューバーラインの増収は、全体で何割くらいになるのでしょうか?
佐藤:実はスノーボードの売上減が大きく、トータルでは若干の減収になっています。ただし、サーフィン系やマリン関係で伸びて、スノーボード関係の大きな売上減をなんとか賄えたというところです。
質疑応答:アジアで自動車の売上が伸びている背景と将来の売上構成比について
質問者2:自動車のビジネスについてです。アジアなどで売上が伸びている背景は、採用が増えているからでしょうか? 増えているとすればどのような商品が伸びているのかを教えてください。もしくは単に循環的な生産数量が伸びているため、それに比例して伸びているだけなのでしょうか?
また、中計期間中に、将来的に自動車ビジネスが売上全体の何パーセントを構成するのか、利益率も含めて教えてください。
佐藤:中国で売上が伸びている商品は、ドアパネルやアームレストなどです。当社はもともともっと細かい部品を扱うことが多かったのですが、徐々に大きな部品も扱わせていただくようになり、採用点数が増えてきています。
また、中国では名古屋の自動車メーカーの販売が好調ということもあり、売上は増加しました。
利益率については、ライン事業ですのでそれほど高くはありません。ただし、用品という後付けのカーフロアマットのエンブレムやハトメは利益率が高い商品ですので、ラインビジネスと用品ビジネスのバランスを整えて利益率を確保していきたいと思っています。
輸送事業は、現在全世界の総売上の中で20パーセントの売上比率を占めています。輸送ビジネスはどんどん増えてきていますので、将来的には30パーセントくらいを目標にしていきたいとは考えています。
質疑応答:銅の価格上昇による粗利率への影響および営業利益率の持続性について
質問者2:今回の銅の価格上昇が粗利率にどのくらい影響しているのかについてお聞きしたいです。また、販管費などを徹底的に見直されたことにより営業利益率が上がっているのですが、これは持続性があるものなのかを含めて教えてください。
佐藤:当社は、メーカーとして自社で生産しているものと、商社として協力先・仕入先から仕入れている商品があります。材料高の影響により、メーカー部門では約1.2倍の影響を受けています。
仕入先も約5パーセントから10パーセントの値上げを実施されています。当社でも若干遅れてはいるのですが、各お客さまへの値上げを開始しています。ですので、この利益率の改善は、徐々に図っていけるのではないかと思っています。
また経費削減についても、人員配置の見直しも含めて適材適所ということで、コロナ禍の状況、そしてアフターコロナでも徹底的に維持できるものは維持していきたいと思っています。そのため、この営業利益率はこのままキープしていきたいところです。
質問者2:材料価格の上昇が与える上期の営業利益への影響は、何億円だったのでしょうか?
佐藤:このあたりは、細かい数字を開示しておりませんので、控えさせていただきます。
質疑応答:SCOVILLの全体的な状況と見通しについて
質問者2:最後にSCOVILLについてです。上期の売上・利益の増減率、および今後のビジネスも含めて、全体的な状況と見通しを教えてください。
佐藤:SCOVILLの売上は、昨年と同じくらいの結果となっています。ただし、営業利益が昨年度よりもプラス約1億円くらい出ています。
こちらは、粗利率の高いメディカル系の商品の販売が増えるなど、ここ最近はレジャーボート、または自動車関係の利益率の高い商品の販売が増加してきていることもあり、営業利益率は増加してきています。
SCOVILLは、真鍮材の高騰の影響で、コストの影響よりも材料が手に入らないことが若干あるのですが、アパレル部門も輸送部門も売上は非常に好調です。バックログ(受注残)については、近年まれに見る、かなりの数量の金額をいただいています。そのため、今後はさらに好調な結果をお見せできると思っています。
質疑応答:輸送ビジネスの具体的な内容について
質問者3:先ほど輸送ビジネスにも力を入れていくとおっしゃっていたのですが、これは具体的にどのようなビジネスなのでしょうか?
佐藤:当社はもともと、マジックテープや基軸商品である「ハトメ」「ホック」を自動車内装部品用に供給していました。
近年、そこから派生してきまして、ラゲッジ部分に使う「ラゲッジシート」、バッテリーをカバーする「カバー」「ネット」、先ほどもお伝えした「ドアパネル」「アームレスト」、また、「ピラーカバー」といった、あらゆる内装部品を供給しています。そのあたりを、さらに力を入れていきたいと思っています。
質疑応答:「リアミド」の展開について
質問者3:もう1点、以前の決算カンファレンスで、環境配慮型商品としてナイロン樹脂を使った「リアミド」を、大手アパレルから受注されたということでしたが、その後の展開はいかがでしょうか?
佐藤:まだ市場に商品が出ていないため、ブランド名の公表は差し控えますが、日本国内の大手セレクトショップや、いろいろなブランドで採用が決まっています。具体的には、当社の「C.O.R.E.」を使用しているという商品タグも付けていただけると聞いています。
最近は、糸も開発していますので、その糸で生地を作り、ナイロンバッグを生産するといったお話も各ブランドから頂戴しています。
質問者3:ナイロンバッグはすでに開発されているのでしょうか?
佐藤:今、まさしく試作ができあがった頃です。
質疑応答:GPSみまもりサービス「みまるく」について
質問者3:最後に、IoTを使ったみまもりサービスに関してですが、トレーサビリティと言いますか、高齢者や子ども向けのサービスということですか?
佐藤:おっしゃるとおりです。
質問者3:これは御社が発売されているアクセサリーにデバイスを付けて、パソコンやスマートフォンで見るということだと思いますが、AIはどのようなところで絡んでくるのでしょうか?
佐藤:みまもりサービスはいわゆるIoTで、GPS機能として弊社の資材と一緒に付けたり、もしくは弊社が販売しているバッグブランドに取り付けたり、お子さまに独自に持っていただいたりします。AIについては、今はまだ公表できませんが、東京の某有名私立大学と共同で、インソールの中にいろんな機能を持たせた歩行訓練用のAIやIoT関連アイテムを開発中です。
時期が来たらプレスリリース等で発表したいと思いますので、楽しみにお待ちいただければと思います。