2018年3月期第3四半期決算説明会

大田勝幸氏:株主・投資家・アナリストのみなさま方には、日頃より当社グループにご理解ご支援を賜っておりますことを、この場を借りまして、まずお礼を申し上げます。

早速でございますが、第3四半期の決算がまとまりましたので、お手元にございますパワーポイントの資料にしたがいまして、簡単にご報告を申し上げます。

各スライドの右下にページがふってございますので、これにしたがいましてご報告いたします。

事業環境① 原油価格・銅価格・為替レート

早速ですが、2ページ目の事業環境でございます。こちらにつきましては、よくご存じの通りでございますので、簡単にお話しいたします。

左側のドバイ原油価格は、平均で約8ドル程度の上昇でございました。平均価格の上昇によりまして、上流事業の増減要因となっております。また、前年も今年も基本的には右肩上がりということで、エネルギー事業で在庫評価のプラス要因が発生しております。

中ほどの、銅(LME)価格につきましては、中国の需要堅調を受けまして、ご存じのような状況です。この10-12月につきましては、300セントを超える水準まで上がりました。

(右側の)為替レートにつきましては、おおむね110円台前半での推移ということで、平均では5円程度の円安でございました。

事業環境② 白油4品・パラキシレンマージン推移

次のスライド、3ページ目は、左側の白油マージンについてでございます。このグラフは、スポット価格と前期の通関原油CIFとのスプレッドを表示しておりますので、ご参考ください。

私どもの販売スプレッドではございませんが、おおむね傾向値では似ているということで、第2四半期に続き、この第3四半期も堅調なマージン状況でございました。

輸出環境も悪くないことに加えまして、原油が上昇局面でございましたので、比較的堅調なマージンが実現できたと考えております。

右側のパラキシレンマージン推移でございますが、川下のポリエステル事業そのものにつきましては、需要は堅調だと思います。ただ、一部誘導品PTA装置の定修やトラブル等もございましたので、前年に比べると、マージンは縮小しております。

ここに記載のないベンゼンその他の化学品につきましては、むしろマージン良化ということでございました。

第3四半期決算のポイント(前年同期比)

ページを進んでいただきまして、4ページ目でございます。ここで、第3四半期決算のポイントをまとめています。

在庫影響除きの営業利益は、3,655億円。前年同期に比ベて約1.7倍の、1,450億円の増益でございます。

もともと、(2017年)5月の期初にJXTGをスタートしたときに、この在庫影響除きの営業利益につきましては、3,500億円を目標としていました。

中計では2年目で4,000億円、3年目で5,000億円(を目標)ということでございましたが、この9ヶ月で、この3,500億円を超える利益が獲得できています。

詳細は後ほど説明いたしますが、グラフで見ていただいた通り、とくにエネルギー事業は、1,000億円を超える増減要因でございます。

販売数量につきましては、需要にあった採算販売を継続しておりますので、前年比で5パーセント程度落としております。一方、石油製品マージンが堅調であったことや、統合シナジー(の創出)につきましては、第3四半期までの累計で338億円まで積み上がっていると考えております。

11月公表のときに、「2017年度で340億円程度を目標にしています」ということでしたので、ある程度前倒しで、実現できているのかなと考えています。

上流(石油・天然ガス開発)事業でございます。後ほど触れますが、販売数量は前年比で減少いたします。ただ、原油価格の上昇により、こちらも増益でございます。

金属事業につきましては、銅価の上昇要因が、増益に大きく貢献しております。9月下旬から12月初旬にかけまして、佐賀関製錬所で44年ぶりの大定修を行いました。無事、予定どおり済んだわけですけれども、これによる販売数量減や、経費増の影響がございました。

一方、電子材料部門につきましては、上期同様スマホの高機能化等の影響もありまして、非常に販売数量が伸びております。

2017年度 第3四半期 決算概要(前年比)

次の6ページ目のスライドは、損益計算書の数字です。

簡単に見ていただきますと、売上高の8,000億円強の増収については、価格上昇の影響でございます。

在庫見込みの営業利益は4,115億円ということで、11月の(公表の)通期目標の4,000億円を、この9ヶ月で上回る状況になりました。在庫影響除き営業利益は3,655億円ということで、通期計画に対して89パーセントまで進捗しております。

当期利益につきましても、見通しの2,500億円を、すでにこの段階で上回る利益をあげることができております。

2017年度 第3四半期 エネルギー事業 営業利益増減(前年比)

早速セグメントごとに、増減の内容をご報告申し上げます。

まず、エネルギー事業です。8ページのステップチャートでございます。エネルギー事業は約1,100億円の増益でございますが、(スライドの)左の箱から順番に解説いたします。

まず特殊要因ということで、「約240億円の前年比マイナス」と記載しています。前回の説明のときには、「室蘭事業所の閉鎖を決定したことで、減損損失を約80億円弱計上した」と申し上げました。

これに加えまして、この第3四半期では、ブランドの統合を決定いたしました。「ENEOS」ブランドへの統合を決定しましたので、このブランド統合の関連の引き当てを、今回180億円計上いたしました。

次の箱は、数量影響でございます。白油・電力銘柄がマイナスでございますが、一方で輸出につきましては、数量が伸びております。これをネットいたしまして、70億円弱の減益要因でございます。

統合シナジー・マージン他は、1,270億円程度の増益で(増減の幅としては)大きくなっております。白油マージン・輸出等も好調ですし、私どものグループの販社につきましても、それなりの増益となっております。このあたりを含めますと、石油製品関連で、ざっと970億円程度のマージン良化効果があったと分析しております。

そのうち、白油マージンが約740億円でございます。残りは、経費の減少あるいは受け取り配送や為替損の反転といったものが含まれております。

統合シナジーにつきましては、数量やマージンにも含まれますので、なかなか解析が難しいのですが、燃費の改善あるいは原価の改善というかたちだと考えております。

化学品(石化製品)でございますが、数量影響がプラスの68億円です。前年は当初の事業所、川崎・大分・知多等でのシャットダウンがございましたが、今年はこのあたりがないということで、生産販売の再開を目指して進めております。

マージン他につきましては、パラキシレンはマイナスでございましたが、ベンゼン・プロピレン等は、それを上回って若干の改善でございます。

2017年度 第3四半期 石油・天然ガス開発事業 営業利益増減(前年比)

次のスライド、9ページ目でございます。

(石油・天然ガス開発事業は)前年に比べまして、約100億円程度の増益でございます。販売数量につきましては、記載のとおり、前年同期比で9,000BDの減販でございます。

とくに東南アジアでのプロジェクトにおきまして、一部プラントの不具合、あるいは定修や定修後の立ち上げの遅れ等がございました。その関係で減販でございますが、レベルとしては第1四半期、第2四半期、第3四半期……と、基本的には数字を伸ばしております。第3四半期では、12万7,000BDまで回復しております。

油価影響につきましては、約170億円の増益要因でございます。

経費他は、ほぼ前年並みでございます。中身としては、前年ほど炭鉱費がかかっていないということで、その分の減少があった一方、第1四半期でご報告したカナダでのトラブル等がございましたので、修繕費等が増えております。それら全体を含めると、おおむね前年並みの経費でした。

2017年度 第3四半期 金属事業 営業利益増減(前年比)

次のスライド、10ページ目でございます。金属事業は、約250億円強の増益でございました。

まず、資源開発でございます。昨年の234億円赤字から、一応黒字にはなりました。27億円の黒字ということで、260億円あまりの増益でございます。

この大部分が銅価の影響ということで、237億円でございます。

銅価の影響を除きますと、(持分法損益反転・カセロネス他の)プラス24億円です。プロジェクトといたしましては、カセロネスは前年比で128億円でございますが、これは(前年同期は)赤字ですので、赤字幅が圧縮されたということでございます。

前年の230億円強から100億円強の赤字と、上期は90億円程度の赤字と申し上げました。この10-12月期、私どもは数億円の黒字を想定しておりましたが、残念ながら15億円程度の赤字となりました。

カセロネスにつきましては、稼働率はおおむね90パーセントで、想定どおりでございますし、高炉処理についても、だいたい計画どおりに進んでおります。ただ、鉱石の製造の問題……例えば粘土質が多いとか、鉄の含有が多いとか、あるいは酸化鉱や硫化鉱の混じり方等に対しまして、十分対応ができていないということがございます。再抽出の段階で、銅分が十分取り出せていないという要素が(あり、それが)まだまだ改善できていないということです。

カセロネスの128億円の赤字の圧縮については、ほとんどすべて、銅価の影響ということでございます。

数量の減少要因はマイナス14億円程度(あり)、これが経費でカバーされて、結果的に銅価の上昇が残ったと考えております。

精錬事業につきましては、100億円の減益ということで(増減の幅としては)大きくなっておりますが、特殊要因が2つございます。1つは、韓国のLSニッコー・カッパー(LSN)につきまして、一昨年、国内の付加価値税の関係で税務追徴を受け、係争になっておりました。当社の主張が通りまして、前年に44億円の還付がございました。これの反転が、要因の1つです。

もう1つは、冒頭に申し上げた佐賀関の大定修の関係で、数量減・経費上昇が30億円強発生いたしました。

下流の電材加工は86億円ということで、上期に引き続き、第3四半期も好調でございます。各精密圧延品あるいは圧延銅箔・半導体ターゲットといった、当社の強みのある素材について、いずれも増販ということでございました。

2017年12月末 連結バランスシート/2017年度 第3四半期 連結キャッシュフロー

11ページに、(2017年12月末連結)バランスシートと(2017年度第3四半期連結)キャッシュフロー表を付けています。

右側の連結キャッシュフロー表は、(2017年)4月から12月までの9ヶ月のフローでございます。営業キャッシュフローが約3,400億円ございますが、約1,200億円の休日影響の特殊要因がございます。それを除いた部分が本当の実力と考えますと、約2,200億円ということでございます。

この期は、運転資金の増減ほかで、2,300億円ほどのマイナスと記載していますが、運転資金の負担が出ていることに加えて、12月に向けた在庫の積み上げも含んでいます。こちらの季節要因での運転資金の負担が、かなり発生しています。

投資キャッシュフローが、1,700億円程度ということです。

これらをネットしたフリーキャッシュフローが約1,700億円でございますが、先ほど申し上げた季節要因が、少なくとも1,500億円はあるだろうと分析しています。3月に向けては、このあたりがまた改善しますので、11月に公表した2,700億円というフリーキャッシュフローにつきましては、多少油価は上がっていますが、実現は十分できると考えています。

(スライドの)左下は、財務バランスでございます。ネットD/Eレシオは0.78倍ということで、目標の0.7倍に向けて進捗しているという状況でございます。

2017年度通期見通し(2017年4月1日~2018年3月31日)

最後に、年度の見通しについてご報告を申し上げます。12ページでございます。

今回、原油価格前提を、50ドルから60ドルに見直しまして、売上高と在庫影響のみを修正いたしました。在庫影響除き営業利益につきましては、記載のとおりです。先ほど説明いたしましたが、第3四半期までで約9割と、順調に進捗しています。ただ、かなり変動要素が多いということもございますので、今回(11月)公表の見通しを据え置いています。

いろいろ精査して、この(スライドに記載の)あたりの内容がある程度わかってきた段階……可能であれば3月中くらいには、もう一度業績のご報告ができたらなと思っています。記載のように、資源価格動向を60ドルで見ていますが、(それが)65、6ドルまでいって……ここのところは、足元でまた少し下がっていますが。そのあたりの影響が、在庫等にもちろん影響いたしますし、石油製品マージンの状況がどうなるのか(も影響します)。

それから、カセロネスの銅鉱山の操業状況に関して、先ほどは第3四半期のことを申し上げましたが、このあたりも踏まえながら(勘案しています)。これは毎年3月期末に向けて、上流事業について評価いたします。また、「上流事業を中心とした事業ポートフォリオの組み替えや再構築、資産売却等」と記載していますが、いくつか資産売却あるいは事業の組み替えを、計画・実行中でございます。

そのあたりの内容につきましても、期中の3月までに(結果が)出るのか、月をまたいでしまうのかというようなことを見極めつつ折り込みまして、可能であれば3月中には、もう一度業績の状況をご報告できたらなと考えています。

従いまして、在庫の部分のみ、800億円の見直しをさせていただいて、営業利益については4,800億円・当期利益については3,000億円ということで、今回見通しを出させていただきました。私からの説明は、以上でございます。