物価高の局面変化に勝つ 「安くて良いモノ」で強みを発揮 生活防衛関連5銘柄
実質賃金マイナスと「生活防衛」への意識変化
厚生労働省が12月8日に、10月分の毎月勤労統計調査(速報)を発表しました。同調査によると、物価影響を考慮した1人あたりの「実質賃金」は前年同月比0.7パーセント減となったようです。もちろん速報のため、修正が入る可能性はありますが、数値的には10カ月連続のマイナスとなった形です。コメの価格の高さにはもはや慣れてきてしまった感もありますが、その他の身の回りの商品・サービスも軒並み値上がりしていることは、皆さんも生活実感としてお持ちだと思います。
株式市場でも、本来値上げは買い控えに繋がるとして、株価を押し下げる要因だったはずが、一時は当たり前のものとして受け入れられていました。ただ、足元ではさすがに値上げも限界、つまり物によっては消費者側の購買に如実に影響が出るラインに接近してきたとの見方も出てきたことで、企業の値上げがノーリスクで受け入れられていた状況からは、若干の変化がみられている印象です。
そういった意味で、低価格で高品質な商品・サービスを提供していたり、生活に密接に関わる商品・サービスを提供しているような企業が、改めて強みを発揮してくる局面とも言えそうです。そこで参考までに、今回はテーマ「生活防衛」に属する銘柄の一部を紹介します。他にも沢山の銘柄があるので、ぜひ調べてみてください。
1.ホクト(1379)
長野県が地盤できのこ業界における有力企業です。ちょうど足元で26年ぶりにリニューアルとなった主力商品「エリンギ」の他、独自開発した「ブナピー」でよく知られているかもしれません。無農薬・国産の「急速冷凍きのこ とれたて 1 番」は、栄養価が高いきのこを忙しい中でも食卓に取り入れやすく、今後人気が高まっていく可能性がありそうです。▼ホクト(1379)の最新記事を読む▼ 【QAあり】ホクト、きのこ販売単価の堅調な推移によりコロナ禍以来の連結営業利益黒字化 連結業績予想を上方修正、増配を予定

2.AOKIホールディングス(8214)
「AOKI」や「ORIHICA」は街中でもよく見かける、リーズナブルな価格帯で展開するブランドですね。祖業であるファッション事業のイメージが非常に強いですが、会員制シェアリングスペース「快活CLUB」、カラオケ「コート・ダジュール」などを手掛けるエンターテイメント事業の他、アニヴェルセル・ブライダル事業も展開していることは実はあまり知られていないかもしれません。▼AOKIホールディングス(8214)の最新記事を読む▼ 【QAあり】AOKIHD、堅調な既存店と新規出店で中間期5期連続増収 業績牽引のエンターテイメント事業の売上・営業利益は過去最高を達成

3.MrMaxHD(8203)
社名の通り、ディスカウントストア「MrMax」のチェーン展開がグループの中核です。1925年10月ラジオ電波発射と同時にラジオパーツ屋を開店したところから歴史が始まり、2025年に100周年を迎えました。節目を機に、「暮らしのエンパワメント・カンパニー」を目指して再始動していく姿に注目です。▼MrMaxHD(8203)の最新記事を読む▼ 【QAあり】ミスターマックスHD、創業100周年を迎え、中間期売上は過去最高を更新 「価値ある安さ」の提供で客数増加

4.IACEトラベル(343A)
「Smart BTM」や「Travel Manager」を武器に、ビジネストラベルマネジメント(BTM)会社として、国内出張・海外出張のどちらにおいても最適な出張プログラムの構築と運用を支えています。出張周りの煩雑な負担が効率化されるだけでなく、他社より少ない手数料がユーザー側のメリットにもなるため、引き合いが増しています。▼IACEトラベル(343A)の最新記事を読む▼ 【QAあり】IACEトラベル、営業利益は前年比142.7%で過去最高 BTMサービスの成長が牽引、26年3月期は初配当を実施

5.マミーマートホールディングス(9823)
「生鮮市場TOP!」や「マミーマート」はよく利用されている方も多いのではないでしょうか。新規出店・業態転換改装が効き、足元の業績は好調です。2025年10月1日をもって持株会社体制へ移行し、成長力・実行力の強化や加速する業界再編への備えを進めています。 ▼マミーマートホールディングス(9823)の最新記事を読む▼ 【QAあり】マミーマートHD、過去最高益を更新し増収増益 新業態の成長モデルで加速
株主優待も「生活防衛」の強い味方
生活防衛関連銘柄のもう一つの魅力として、株主優待を実施している企業が多い点が挙げられます。特に食品や小売業では、自社商品や店舗で使える割引券など、家計に直結するメリットを提供するケースが目立ちます。
今回ご紹介した銘柄でも、ホクト(1379)ではきのこ・レトルトセットなどの自社製品、AOKIホールディングス(8214)やマミーマートホールディングス(9823)では店舗での買物割引券や商品詰め合わせなどが用意されています(※)。値上がり益や配当金だけでなく、優待品を賢く活用することも、立派な「生活防衛」手段の一つと言えるでしょう。
(※優待内容は変更される可能性があるため、最新情報は各社HPをご確認ください)
節約行動一直線でなく「家計の見直し」が大事
物価高と聞くと、反射的に節約行動に一気に傾く方も多いかもしれません。しかし、その前に企業経営と同じく、まずは現在の状態把握が最も大事です。面倒ですが、家計簿を大雑把にでもつけてみて、どのような支出行動をしているか見える化し、その上で中長期的に節約メリットの大きい固定費の見直しから始めるのが鉄則です。
例えばスマートフォンは現代では必須と言ってもよいものです。仮に一生使うと考えると、面倒くさがって長いこと変更せずにいるプランや携帯キャリアに起因する毎月数百円から数千円の差が、実は積み重なって想像もできない損を生み出します。毎月1回、お気に入りのお菓子を買うのを我慢して節約したという気持ちを得た裏で大きなストレスを抱えるよりも、固定費の見直しは効果的で大事なことです。昨今流行りのサブスクサービスも何でもあれば便利なのは間違いないですが、本当に自分にとって値段分の価値があるのかはまた別の問題です。
(※2025年12月10日執筆)
国内株式を中心とした投資関連のコンテンツ作成・情報配信、企業分析などを主な事業内容としている。日経CNBCなど各種メディアへの出演、『ダイヤモンドZAi』をはじめとしたマネー誌への寄稿も多数。
※記事内容、企業情報は2025年12月10日時点の情報です。
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