【QAあり】ホクト、きのこ販売単価の堅調な推移によりコロナ禍以来の連結営業利益黒字化 連結業績予想を上方修正、増配を予定
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水野雅義氏(以下、水野):ホクト株式会社代表取締役社長の水野です。本日は当社の決算説明会にオンラインでご出席いただき、ありがとうございます。今回は2026年3月期第2四半期の決算報告と最近の取り組み事項についてお話しします。
2026年3月期第2四半期 決算のポイント

2026年3月期第2四半期の決算のポイントとして、スライドに2点挙げています。詳細については後ほどご説明します。
1点目は国内きのこ事業において、第2四半期まできのこの販売単価が堅調に推移し、売上と利益の増加につながったことです。2点目は化成品事業の農業資材分野で大口設備案件を取り込むことで売上が伸びたことです。この2つが大きなポイントであったと思います。
2026年3月期第2四半期 連結決算(前期比)

2026年3月期第2四半期の連結決算全体の数字についてです。売上高は前年と比較して20億8,100万円増加し、380億8,000万円となりました。
売上総利益は前年に比べて10.4パーセント増加し、7億9,000万円増の83億6,400万円でした。こちらは販売価格の上昇が寄与しています。
販管費は販売手数料などにより、前年に比べて4億5,000万円増加しましたが、営業利益は前年と比べて3億4,000万円増加し、コロナ禍以来、久しぶりに連結でのプラスとなりました。
経常利益も前年に比べて9億4,700万円増加し、結果として当期純利益は前年比19億円増加の14億100万円となり、いずれもプラスとなりました。こちらについては、後ほどあらためてご説明します。
2026年3月期第2四半期 きのこ生産量の推移(連結)

きのこの生産量推移についてです。スライドをご覧いただくと、計画よりやや減らしている状況がおわかりいただけるかと思います。それぞれのきのこの生産量が全体的に少し減少しています。
これは販売価格を維持するための措置であり、逆に生産を増やしすぎると値崩れが起こる可能性があるため、マイタケを中心に計画よりも減産を実施しました。この結果、価格の維持が可能となり、今回の結果につながったと言えます。
2026年3月期第2四半期 セグメント別サマリー

セグメント別のサマリーです。国内きのこ事業は、新規開拓やエリア戦略を推進した結果、きのこ単価が堅調に推移し、増収増益となっています。
海外きのこ事業では、アメリカは引き続き順調でしたが、台湾は第1四半期に環境が整わず、苦労しました。第2四半期で遅れを取り戻しましたが、計画には届きませんでした。
マレーシアでは現在テコ入れを図っており、価格の引き上げを試みましたが、取引先との関係で過去の安い価格が影響し、販売量につながらない結果となりました。量と価格のバランスがうまく取れておらず、現状として増収減益となっています。
加工品事業は第1四半期が非常に厳しい状況でした。一方、子会社のアーデン社では、7月以降に受注がだいぶ回復してきたものの、計画には追いつかず、若干下回る結果となりました。ただし、利益率の高いアイテムの販売が好調だったことから、利益は増益となっています。
化成品事業については、冒頭でお話ししたとおり、農業資材分野における大型設備案件の取り込みにより、売上・利益ともに増加しました。
2026年3月期2Q 国内きのこ事業(平均販売単価の比較)

国内きのこ事業の平均販売単価の比較です。前年に比べて、すべてのきのこの価格が上回っています。特に「霜降りひらたけ」については、前回ご説明した「料理研究家リュウジのバズレシピ」が消費者の認知を大きく向上させ、スムーズな販売を展開できたことで単価が安定しました。
2026年3月期2Q 国内きのこ事業(生産量の比較)

生産量については、マイタケを中心に一部生産を抑えたことで価格の安定につながったと考えています。また、「霜降りひらたけ」に関しては、先ほどのSNSでの発信などにより需要が増加し、前年に比べて生産量を伸ばすことができました。そのほかについてはほぼ計画どおりで、前年と同程度の状況です。
2026年3月期第2四半期 海外きのこ事業(前期比)

海外きのこ事業については、現地通貨でご説明します。アメリカにおける売上高は、前期比79万ドル増の1,387万ドルとなりました。為替が円安に働いている影響もあり、前年と比較して変動しています。営業利益は若干減少しましたが、比較的順調でした。
台湾では第1四半期に販売が伸び悩み、少しずつ低下しました。第2四半期で挽回を試みましたが追いつくことができませんでした。
マレーシアは、前年に比べて売上高が減少し、利益ともに非常に厳しい状況となりました。この要因として、価格維持を優先した結果、販売不足が生じ、思うような状態にならなかったことが挙げられます。このバランスをいかに維持するかについて、対応策に取り組んでいるところです。
2026年3月期第2四半期 連結決算(計画比)

2026年3月期第2四半期連結決算の計画との比較です。売上高は当初の計画より1,900万円ほど少ない数字となりました。一方で、営業利益は13億8,800万円のプラスとなっています。
これはマイタケの生産量を調整し、価格の維持に注力したことが貢献したのではないかと考えています。経常利益についても同様に、当初はマイナスの計画でしたが、プラスで着地しました。
2026年3月期第2四半期 セグメント別概況(計画比)

セグメント別の概況です。国内きのこ事業については、売上高はほぼ当初の計画どおりでしたが、利益が大きく改善しています。海外きのこ事業については、計画に対してマレーシアを中心に厳しい状況が続き、マイナスとなりました。
加工品事業については、第1四半期にうまくいかなかった部分をアーデン社が追い上げていますが、計画どおりにはいきませんでした。
化成品事業については、農業資材分野の大口設備案件の取り込みを計画どおりに進めたほか、それ以外の細かい取り組みも行いました。その結果、売上高は当初計画から約1億円増加し、営業利益も4,500万円増加しました。
2026年3月期第2四半期 海外きのこ事業(計画比)

海外きのこ事業の計画との比較です。営業利益は米ドルでもプラスとなりました。一方、台湾については第1四半期で計画値に追いつけず、マレーシアでは計画と乖離した価格設定を行いすぎたことで、販売不足が発生する結果となりました。
2026年3月期通期の連結業績予想値の修正

2026年3月期通期見通しの修正についてです。11月14日に決算発表と合わせて、上方修正を発表しました。
スライドに記載のとおり、売上高が前回よりも11億円増加し847億円となり、営業利益は15億5,000万円増加して58億3,000万円、経常利益も16億3,000万円増加して62億8,000万円と、当初の計画よりも増加しています。
10月も引き続き好調な状態が続いており、第3四半期は我々にとって最も稼ぎ時となります。このため、状況によっては第3四半期の決算を踏まえ、見通しを再度修正する可能性も考えています。
2026年3月期通期の個別業績予想値の修正

個別業績予想値の修正については、スライドに記載のとおり、営業利益および経常利益がそれぞれプラスとなっています。売上高も前回から11億円の増加となり、当期純利益は43億4,000万円となっています。
当社の業績において、国内きのこ事業が大きな割合を占めているため、第3四半期の販売状況によっては、こちらも再度修正する可能性があります。
配当について

配当についてです。今期の期末配当は未定としていましたが、前期以上の数字を出せる見込みとなりました。そのため、今期は2円増配し、中間配当10円、期末配当42円を予定しています。ただし、状況次第では変更する可能性もありますので、ご了承ください。
最近の取り組み事項について

最近の取り組み事項についてご報告します。スライドに記載のとおり、さまざまな会社とコラボレーションを行い、共同事業を進めています。すでにいくつかのリリースを実施していますが、株式会社星野リゾートや株式会社アーバンリサーチなどとともに、マーケティングを含むさまざまな分野で取り組みを進めています。
最近の取り組み事項について

当社の「霜降りひらたけ」の開発に関わる研究成果が評価され、日本きのこ学会の「2025年度技術賞」を受賞しました。「霜降りひらたけ」は、当社の研究員が長年の努力を重ねて開発したものです。今回の表彰は研究活動の1つの成果であると言えるかと思います。
最近の取り組み事項について

通信販売を利用し、長野県産きのこを厳選して工場から直送で月1回お届けするという取り組みを数量限定で行っています。これは新鮮なきのこを食べるとその違いがよくわかるため、ぜひ魅力を知っていただきたいという思いから始めたものです。
出荷量が少ないことも理由の1つかもしれませんが、非常に好評をいただいています。今後もこの取り組みを続けていければと考えています。
最近の取り組み事項について

前回の中期経営計画でもお話しした「急速冷凍きのこ とれたて1番♪」についてです。これは富山県産カットブナシメジと長野県産カットエリンギを急速冷凍した商品で、長野県と首都圏の限られた店舗で試験的に販売を開始しました。
今年10月に発売したばかりで、2ヶ月ほどしか経っていないため、定着するかどうかはまだわかりません。今後のあり方については様子を見ながら検討していきたいと考えています。
この商品の特徴として、新鮮なきのこを冷凍することで食感をそのままキープできる点があります。また、すでにカット済みのため、保存性に優れ、利便性が非常に高い商品となっています。
最近の取り組み事項について

当社では、エリンギの品種改良を26年ぶりに行い、プリプリ感のある見た目を実現しました。現在はプロモーションを展開しており、全国のみなさまに召し上がっていただいています。製品の変更直後には立ち上げなどで若干の苦労もありましたが、少しずつ目指す製品に近づけるべく取り組みを進めています。
以上が2026年3月期第2四半期の決算説明となります。ありがとうございました。
質疑応答:国内きのこ事業の利益水準について
質問者:国内きのこ事業について、今年も7月から9月は非常に暑い日が続き、どうしようもない状況だったと思います。第2四半期累計では黒字となっていますが、第1四半期の黒字分が非常に大きく、第2四半期の赤字をカバーしているかたちです。
その結果、全体として上方修正していますが、御社では減産や価格のオペレーションが非常に奏功したのではないかと思います。中間期累計の利益水準について、すでに黒字化が定着したという見方をしていますか? それとも、まだそうではないと見ていますか?
水野:昨年もそうでしたが、今年も例年にない暑さが続きました。野菜については、昨年に比べ順調なものもあれば、非常に厳しい状況のものも見られます。スーパーマーケット各社も以前とは違い、安売りだけがすべてではないという認識に変わってきていると感じています。その結果、かつてのような「2個98円」といった販売手法が少なくなり、価格の向上にもつながっています。
また、マイタケの減産については、これ以上の生産は価格の下落を招く可能性があると判断し、現場からの意見を受けて生産調整を行いました。このコントロールが良い結果をもたらしたと考えています。もう1年ほど様子を見たいと考えていますが、2年前や3年前のような状況にはなりにくくなってきたのではないかと感じており、我々の中では多少なりとも手応えを感じています。
質疑応答:北米施策の進捗状況について
質問者:5月に発表された新中期経営計画において、アメリカを中心とした積極的な投資を含め、ドラスティックな施策を展開するという発言がありました。この第2四半期の段階で、投資や需要喚起、あるいは御社製品に関する戦略など、進捗状況について可能な範囲でお聞かせください。
水野:アメリカに関しては、新工場の建設を目指して新規の取引先を開拓しているところです。量は限られていますので、なかなかすぐには進まない状況ですが、新工場が稼働する際に対応できるよう、地道に新規開拓を進めています。
結果として、数社の新たな取引先との取り組みが始まり、取引先が少しずつ増えています。ただし、第2工場をすぐに建設して一気に拡大するという段階には至っておらず、一つひとつ新規取引先を探している最中です。また、安売りをするのではなく、価格を適正に維持できる取引先を選定しながら、現場で新規取引先の開拓活動を行っています。
質問者:第2工場のめどはすでについたのでしょうか?
水野:いろいろと進めている最中で、相手のあることでもあり、土地の取得や認可などにはまだ至っていないのが現状です。現在は、建物にどのくらいの費用がかかるのかといった事業計画を計算しながら進めているところであり、まだ具体的な進捗には至っていません。
質疑応答:最需要期のきのこ価格の見通しについて
質問者:これから寒くなってきますので、きのこの需要が最も高まる時期かと思います。11月、12月のきのこ価格の見通しについて、先ほどのお話では安売りが減少したとのことで、最需要期も堅調な価格水準で乗り切れるのではないかという印象を持っています。その点について、どのようにお考えでしょうか?
水野:まず昨年の11月、12月に関しては、当社の上田工場で火災が発生した影響で、特にブナシメジの供給量を落としてしまいました。その際には、取引先のみなさまにご迷惑をおかけしましたが、この11月から上田工場が復旧し、現在は通常どおりの収穫量まで回復していますので、被災の影響は解消しています。
価格については、11月も堅調に推移していると認識しています。ただし、ブナシメジに関しては供給が不足する時期が続いたため、今後の状況は不確実な部分も多く、販売動向を注視していく必要があります。また、急激な気温の低下が「鍋」のイメージを強めたことも価格に影響したのではないかと考えています。
質問者:上田工場の生産再開による供給増加に伴い、需給が緩むことで価格が低下するリスクについては、あまり懸念しなくてよろしいでしょうか?
水野:そこまでは懸念する必要はないと思います。ただし、昨年のような価格にはならないと考えていますが、計画を上回る価格で推移しているのは事実です。
質疑応答:株式会社アドバンテッジパートナーズとの提携の成果について
質問者:株式会社アドバンテッジパートナーズとの提携について、分科会のようなかたちでさまざまなテーマを進めているとのことですが、なにか成果があればお聞きしたいです。
水野:現在は「YouTube」において、リュウジさんと一緒に取り組みを進めています。「霜降りひらたけ」に関してはPRに苦慮したものの、徐々に認知度が上がってきました。また、販売のほうも順調に推移しており、パッケージのデザインを一新したことも奏功していると考えています。
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