半導体関連銘柄5選 シリコンサイクル、パワー半導体、先端パッケージで注目の日本企業
半導体市場の現状とAI需要の高まり
半導体は、スマホから自動車、医療機器、そしてクラウドや発電設備まであらゆる製品で利用され、近時はAI向けの需要が高まっています。 製造過程は、シリコン上に回路を描く露光、膜を積む成膜、不要部分を削るエッチングなどの「前工程」と、チップを組み立てて配線する「後工程」に大別され、作業工程や材料ごとに有力企業が林立します。日本には半導体メーカーを支える有力な製造装置メーカーや材料メーカーが多く存在しています。
地政学リスクと半導体の国内生産回帰
先端半導体の生産地は長らく台湾・韓国に集中してきましたが、地政学リスクへの備えから、各国は生産回帰と分散を進めています。米国ではCHIPS法のもとで大型投資が相次ぎ、EUも域内強化を法制化。日本も「半導体・デジタル産業戦略」で先端ロジックやパワー半導体、先端パッケージの国内生産を国家プロジェクトとして後押ししています。TSMCによる熊本での工場新設や北海道のラピダス新工場建設はその象徴です。
世界の半導体売上は、AIサーバ向けなどがけん引したことで2024年に過去最高を記録。2025年も二桁成長が見込まれています。株価面でも半導体株の代表的指数である米・SOX指数は年初来で大幅高を記録し、「半導体」は投資の一大テーマとして注目を浴びています。
投資テーマ別に見る半導体関連5銘柄
投資テーマとしての「半導体」は裾野が広いため、ここでは知っておきたい知識と注目企業をご紹介します。AIやEV、脱炭素といったメガトレンドを土台に、「シリコンサイクル」「パワー半導体」「先端パッケージ」などのサブテーマ別に企業を追うと、投資判断の筋道が描けそうです。
1. シリコンサイクルを捉える:エブレン(6599)
半導体業界の景気は、最終需要の強弱が工場の増設や更新投資へと波及し、数年単位で拡大と調整を繰り返す「シリコンサイクル」が特徴です。このサイクルを投資タイミングの検討に生かしたいのが、産業用コンピュータの基盤部品を受託設計・製造するエブレンです。
同社の主力製品は半導体製造装置向けで、まさにシリコンサイクルの中継点にいる企業です。2026年3月期第1四半期は顧客の投資延期の影響により前年同期比で減収となりましたが、来期にかけて半導体製造装置メーカーの設備投資回復が示唆されているため業績回復も期待できそうです。
▼ エブレンの詳細記事はこちら 「半導体」「防衛」の2大テーマに期待。年率10%超の利益成長を掲げる半導体関連銘柄、エブレン(6599)
2. 次世代パワー半導体の成長:トレックス・セミコンダクター(6616)
「パワー半導体」は高電圧や大電流を扱うことができる半導体で、モーターや電源回路で欠かせない存在です。高性能なパワー半導体の利用は省エネにつながるため、EVや再エネ・産業機器の電源効率向上ニーズを受けて市場規模拡大が続いています。
こうした潮流の恩恵を受けるのがトレックス・セミコンダクターです。同社子会社は日本で唯一、高効率の次世代パワー半導体「SiC半導体」の受託製造を行っており、需要増の裾野を着実に取り込むと考えられます。
▼ トレックス・セミコンダクターの詳細記事はこちら 国内唯一のSiC半導体ファウンドリ、2030年に64.5億ドル市場へ成長するパワー半導体で存在感、トレックス・セミコンダクター(6616)
3. 先端パッケージ時代の検査技術:インスペック(6656)
AI向けなどで高性能な半導体が求められる中、半導体は処理速度向上のために複数のチップを短い距離でつなげて、いわば1つの"大きな脳"として働かせる方向に進化しています。これが「先端パッケージ」です。
複数のチップを土台となる中継基板の上に並べて配線でつなぐため、大量かつ微細な配線の欠陥を素早く見つける基板検査や配線を補修する工程が重要度を増しています。その基板検査装置と補修装置を扱うのがインスペックです。実際に同社はAI向けのハイエンド基板検査装置で大型受注を獲得するなど、先端パッケージ普及の恩恵を受ける1社として注目です。
▼ インスペックの詳細記事はこちら AI特需で4.6億円受注、受注残19.3億円の「基板検査装置」で成長狙う半導体メーカー、インスペック(6656)
4. 半導体製造に不可欠な材料:東京応化工業(4186)
半導体製造の前工程で使用されるフォトレジスト(感光材)は、シリコンウエハー上に微細な回路パターンを形成する際に欠かせない材料です。東京応化工業はこのフォトレジスト分野で世界トップクラスのシェアを持つ材料メーカーとして、半導体の微細化・高性能化を支えています。
先端半導体の製造には高度な材料技術が求められ、同社はEUV(極端紫外線)露光向けなど最先端分野での技術開発を進めており、半導体製造のキーマテリアルを供給する立場から業界の成長を取り込んでいます。
▼ 東京応化工業の詳細記事はこちら 世界シェア24.7%のフォトレジスト最大手、EUVレジスト世界2位28%でAI半導体需要を捉える成長株、東京応化工業(4186)
5. レーザー技術で半導体製造を支援:QDレーザー(6613)
半導体製造装置の高度化に伴い、精密な計測・検査技術の重要性が高まっています。QDレーザーは独自の量子ドットレーザー技術を持つスタートアップ企業で、半導体製造プロセスにおける検査・計測分野での応用が期待されています。
同社のレーザー技術は高精度かつ小型化が可能という特徴があり、半導体製造装置の性能向上に貢献する技術として、今後の事業展開が注目されます。
▼ QDレーザーの詳細記事はこちら 「6万個量産」成長余地大の半導体レーザメーカー。IOWN光源採用が非連続的成長のカタリスト、QDレーザ(6613)
まとめ:サブテーマ別アプローチで投資機会を見極める
技術と政策が交差する半導体は一見とらえにくい分野ですが、今回ご紹介した5社のように、「シリコンサイクル」「パワー半導体」「先端パッケージ」「材料」「レーザー技術」といったサブテーマ別に企業を追うことで、投資判断の筋道が見えてきます。
各企業の詳細な分析については、それぞれの個別記事をご覧ください。
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11:00~11:05 オープニング
11:05~11:55 ①エブレン株式会社(6599)
12:00~12:50 ②株式会社QDレーザ(6613)
12:55〜13:45 ③東京応化工業株式会社(4186)
13:55〜14:45 ④特別企画「11月決算振り返り会」
kenmo 氏(中小企業診断士/湘南投資勉強会 主催)
14:55〜15:45 ⑤トレックス・セミコンダクター株式会社(6616)
15:50〜16:40 ⑥インスペック株式会社(6656)
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執筆者プロフィール
執筆:西田哲郎ライター・コンテンツディレクター。投資歴15年。『神の手』の某社で大きな損失を出したことをきっかけにイナゴを卒業、ビジネスモデルとファンダメンタルズ重視の手法に切り替える。業界紙やスタートアップを経てフリーで投資情報メディアやM&A情報サイトの立ち上げに関わり、現在は主に週刊誌で投資や経済関連の記事を執筆。
※記事内容、企業情報は2025年11月10日時点の情報です。
※当記事内容に関連して投資等に関する決定を行う場合は、ご自身の判断で行うものとし、当該判断について当社は一切の責任を負わないものとします。なお、文中に特定の銘柄の投資を推奨するように読み取れる内容がある可能性がございますが、当社および執筆者が投資を推奨するものではありません。


