オリエントコーポレーション、デジタル分割・オートリースを成長ドライバーに据え基盤強化 構造改革進展で反転攻勢へ
決算概要(連結)

梅宮真氏(以下、梅宮):本日はご多用の中、お集まりいただき誠にありがとうございます。代表取締役社長の梅宮です。どうぞよろしくお願いします。2026年3月期第2四半期決算説明会資料に沿ってご説明します。
まず決算概要です。2026年3月期第2四半期の事業収益は、決済・保証事業や銀行保証事業が着実に伸長し、また、個品割賦事業についてもオリコプロダクトファイナンス(OPF)など連結子会社の増収の影響があった一方で、海外事業の減収や金利上昇を主因とした流動化収益の押し下げ影響により、結果として前年同期並みの実績となりました。
営業費用については、タイ子会社および単体における利息返還損失の改善を中心に貸倒関係費が大幅に減少しました。一方で、市場金利の上昇に伴う金融費用の増加を主因に、前年同期比で13億円増加し1,176億円となりました。
以上の結果、経常利益は72億円、当期純利益は62億円で着地しました。なお、業績予想に対する進捗率は、それぞれ60パーセント、52パーセントという実績です。
戦略別決算状況

今期の中期経営計画から開始した戦略別の決算状況についてです。まず、個人戦略について、取扱高は着実に回復しているものの、金融費用の増加分を価格転嫁などで十分に補えず、経常利益は前年差で16億円減少しました。
一方、法人戦略については、銀行保証等の事業収益が着実に伸長したことを主因として、経常利益は前年同期差で8億円増加しています。
海外については、依然として経常赤字の状態が続いています。ただし、貸倒関係費が前年同期差で14億円減少した結果、経常利益は11億円増加しました。海外ビジネスについては、経常赤字の状態から脱却する道筋が少しずつ見え始めていると考えています。
営業収益(戦略別)

スライドは戦略ごとの営業収益の内訳を示しています。詳細については後ほどご確認ください。
営業費用(一般経費・金融費用)

営業費用についてご説明します。一般経費に関しては、物価上昇に伴って2025年4月に給与水準を改定したため人件費が若干増加しています。一般経費全体では前年同期差で3億円の増加となりました。
また、下期にはデジタル分割に関連するプロモーション費用の増加等を予定していますが、引き続き規律ある経費運営を行っていく考えです。
金融費用に関しては、市場金利の上昇により、前年同期差で20億円の増加となりました。
貸倒関係費

貸倒関係費の全体については冒頭でご説明しましたので、ここではカード不正被害額についてのみご説明します。
スライド右下の折れ線グラフをご覧ください。グレーは業界平均、オレンジは当社の状況を示しています。AIを活用した不正利用検知システムによる不正被害の防止、3Dセキュアの登録、さらにクレジットカードの利用通知サービスの設定等、お客さまに安全にキャッシュレス決済をご利用いただけるよう努めることで、カード不正被害額は引き続き低位で推移しています。
中期経営計画のロードマップと戦略骨子

ここからは中期経営計画の進捗についてご説明します。はじめに、今期の中期経営計画のおさらいとなりますが、今回は5ヶ年計画としています。
この5ヶ年のうち、最初の3年間を構造改革期間と位置づけ、海外事業や個品割賦事業の生産性の改善、不採算領域からの縮小・撤退により経営資源を捻出し、それらを成長性の高い領域にシフトさせることで競争優位性のある事業基盤を構築します。その後、残りの2年間でその成果を刈り取るという計画です。
それらを実現するための施策として、スライド下部に記載のとおり、4つの事業戦略と、それらを支える4つの経営基盤強化について、5月にご説明しました。それぞれの進捗状況についてご説明します。
経営目標の進捗

今期中期経営計画で掲げた経営目標の各種KPIについて、上期の進捗状況をスライドに示しています。ご確認ください。
事業構造改革の進捗

事業構造改革の進捗についてです。効率化・縮退領域については、スライドの中心に示しています。
右側にある成長領域へ経営資源をシフトする取り組みをこの上期から開始しており、概ね計画どおりに進捗していると考えています。
個人戦略の収益計画

個人戦略の収益計画です。中期経営計画期間における個人戦略全体の営業収益は、2030年3月期に向けて800億円近く増加させ、最終的に2,700億円を目指す計画としています。
ただし、5月の説明会でも示したとおり、「増加の内訳や詳細がわからない」というご意見を投資家のみなさまからいただきました。そこで今回、あらためてその内訳を具体的に示しています。
事業領域別の内訳は記載のとおりですので、詳細なご説明は割愛します。後ほどご確認いただければと思いますが、1点だけ補足します。成長戦略に含まれるデジタル分割、オートリース、あるいは、効率化・縮退領域に含まれる個品については、今後、市場金利が上昇していく中での価格転嫁による営業収益の増加要因が含まれています。具体的な水準については、右側に吹き出しで記載していますので、こちらをご覧ください。
上期の状況については、成長領域であるデジタル分割およびオートリースが若干計画を下回っています。下期においてしっかりと巻き返しを図るべく取り組んでいきたいと考えています。
個人戦略 進捗状況①(デジタル分割)

今回の中期経営計画における最大の成長ドライバーとして位置づけているデジタル分割の進捗状況についてご説明します。足元の取扱高・有効会員数はスライド左上のグラフにあるとおり、Amazonへの本格導入開始は当初5月を予定していたものの、8月にずれ込んだため、上期の取扱高および有効会員数は想定を大きく下回りました。
現在、特にAmazonとは11月のブラックフライデーに向け、オリコのデジタル分割払いの露出をどのように増やしていくかについて具体的な対応を検討しています。3ヶ月の遅れを少しでも補うべく、対策を進めています。
なお、スライド下部をご覧ください。これまであまりご説明できていませんでしたが、デジタル分割払いと一口に言っても、AmazonやAppleのような企業ごとに提携して自社商品の分割払いニーズを満たす提携型と、専用アプリ「ワケタラ」を用いた汎用型の2種類があります。
さまざまなチャネルを通じた分割ニーズの取り込み、UI/UXを改善することで利便性を向上させること、さらにはSNSを活用した広告プロモーションによる認知度の向上に向け取り組んでいます。また、12月にはワケタラアプリの、機能追加、UI/UXの改善等のリニューアルを予定しており、現在準備を進めています。
これらの取り組みを進めることで、市場規模が約8兆円と想定されるマーケットで、ドミナントな存在となれるよう、しっかりと対応を進めていきたいと考えています。
個人戦略 進捗状況②

スライド左上に、個人オートリースについて記載しています。消費者の所有から利用への価値観の変化を踏まえ、個人オートリース市場をこの中期経営計画における成長領域として位置づけています。
上期の保有台数は計画を若干下回る状況ですが、個人オートリース保有台数で業界No.1を誇るオリコオートリースや、前期にグループ会社化したオリコカーライフの保険代理店を通じた営業網、さらにWebによる非対面での車両リースの取り扱いによる相乗効果を活かしつつ、優位性のある事業領域を確立するため、引き続きしっかりと取り組んでいきます。
続いて、スライド左下についてご説明します。これまであまり示していなかった個品割賦の収益性改善状況を記載しました。折れ線グラフは、顧客金利から調達コストなどを差し引いたオリコ単体における個品割賦のスプレッド推移を示しています。
2024年3月期には、利上げをかなり強力に進めてきましたが、一方で加盟店が離反するというネガティブな影響も見られています。そのため昨年度の2025年3月期に関しては、他社の動向を見ながら、慎重な対応を進めました。
その結果、グラフで示しているとおり、2025年3月期の特に下期以降、市場金利の上昇によりスプレッドの下落が継続していたという状況です。一方、本年度に入ってからは、価格転嫁をしっかりと進める取り組みに変更しました。その結果、グラフで示しているとおり、スプレッドは改善傾向に向かっています。引き続き、収益性の改善にしっかりと注力していきたいと考えています。
スライド右側では、個人戦略の中でも特に金融包摂の観点から、今後重要となる有期雇用や外国人雇用の方々へのサービス提供を基にした業務提携についてお話しします。
昨日、HRソリューションズとの協業を発表しました。HRソリューションズは、採用・雇用支援システムなどの開発・販売を通じて、約50万の事業所と取引し、年間900万人の求職者や被雇用者を支援している企業です。パート社員の市場において日本最大規模のプラットフォーマーです。
同社の採用・雇用支援システムを活用する取引企業と、当社の各種金融サービスの加盟店を相互に紹介しあうことで、顧客基盤の拡大や新たな顧客体験価値の創造が可能になると考えています。
さらに、今後は両社が保有するデータの利活用を通じて、与信モデルの構築やデータビジネスの展開も検討していきます。
法人戦略の収益計画

法人戦略についても、先ほどの個人戦略と同様に、中期経営計画最終年度に向けた増収計画の内訳を今回示しています。詳細については、後ほどご確認ください。
上期の状況については、成長領域として位置づけている売掛金決済保証、ビジネスカード、その他の領域について示していますが、銀行保証や小口リース保証など、いずれの法人戦略も概ね計画どおりに進捗しています。
法人戦略 ビジネスカード

ビジネスカードについてご説明します。上期の新規獲得件数は計画を下回ったものの、取扱高は上期計画対比で104パーセントと、概ね計画どおりに進捗しています。
ビジネスカードは顧客基盤拡大の起点となる商品と位置づけており、大型提携先および新規提携先の拡大により顧客基盤を拡充しています。
また、スライド右下に記載されているように、来年リリース予定の会計・資金繰りのDX支援デジタルプラットフォームを通じて、中小・零細企業などの経営課題解決に貢献していく予定です。このように、ビジネスカードは核となる商品です。
先月10月には、イオンフィナンシャルサービスとの協業によりビジネスカードの発行を開始しました。イオングループの取引先や法人・個人事業主のお客さまに向けて、当社が持つ与信ノウハウや法人向けの商品サービスを活用し、利便性の高い決済ツールを提供していきたいと考えています。
また、PayPayとの加盟店向け法人ビジネスカードについても、順次検討を進めており、今年度中には発行できる方向で話が進んでいます。
法人戦略 売掛金決済保証/銀行保証

スライド左側には、売掛金決済保証の進捗状況を示しています。上期については、既存取引先の取扱高が伸びたことにより、中期経営計画期間において想定されている成長率並みの増加を確保できています。
また、2024年9月に開始したみずほ銀行での媒介方式における取扱高は、全体の2割にまで伸びています。引き続き、成長性の高い売掛金決済保証市場では、既存提携先の稼働促進や取り扱い拡大に注力するとともに、デジタルマーケティング等を活用した営業活動の効率化を図りながら、新規提携先の拡大に取り組んでいきたいと考えています。
従来、個人事業主向けや法人代表者向けの与信における実績・データ蓄積、さらには個品割賦事業における約90万加盟店の信用管理を行ってきたことは、法人与信を進める上で非常に大きな強みと考えています。
今後は、さらなる与信の高度化や法人単独与信の確立を目指し、法人データとAI与信モデルを組み合わせた与信を一部の商品に実装していきます。
スライド右側の銀行保証についてです。この上期は、証書貸付の取扱高が拡大したことを背景に、保証残高が引き続き増加トレンドを維持しています。一方、下段に示しているデータは、先ほどの個品のスプレッドと同様に今回初めて示すものですが、保証料率についてご説明しています。このデータには、一部限定的に取り扱っている区分マンションローンを除いた保証料率の推移を示しています。
2024年3月期から2025年3月期にかけて、証書貸付の取扱高の拡大に伴い保証料率は低下基調で推移していました。しかし、足元の第2四半期では商品性の入れ替えを含めた保証料率の改善に取り組んでいます。
引き続き、中期経営計画の最終年度である2030年3月期に向け、残高と収益性の両立を目指し、金融機関のさまざまなニーズに対応した収益性の高い商品を推進し、採算を意識した取り組みを進めていきます。
4つの経営基盤強化

事業戦略を推進する上で土台となる4つの経営基盤強化について、現在の取り組み状況を示しています。
デジタル/AIの利活用の領域については、DX戦略の一環として、新たな仮想データ活用基盤である「Athena(アテナ)」を8月にリリースしました。上流データを含めた仮想データマートを構築したことで、データ活用までのリードタイムを大幅に短縮することが可能になりました。
この結果、データ分析・施策の高度化や迅速かつ効率的なマーケティングの実現を目指し、活用ケースの拡大に現在取り組んでいます。
次に、コーポレート・ガバナンス関連については、取締役会議長を非業務執行の会長とすることで、全体運営を担う体制に変更しました。さらに、取締役会での議論の活性化を目的として、取締役会懇談会を新設しました。これは、社外取締役を含めて率直に議論する場として設けたものです。これらの取り組みを通じ、取締役会の実効性向上に努めています。
また、詳細は後ほどご説明しますが、ALMについては、バランスシートの精緻化を通じて金利リスク管理の運営を強化しています。
さらに、人的資本経営では、営業店の課長を対象としたミドルマネジメント強化研修や、将来のオリコの中枢を担う人材育成プログラムを始動しました。社員が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、引き続き取り組んでいきます。
経営基盤強化 カルチャー変革

カルチャー変革についてご説明します。目指すカルチャー像に向けては、働く環境の改善や人事制度・評価制度の見直しといったハード面の整備だけでなく、ソフト面、つまり社員一人ひとりの行動様式に訴えかけ、変化を促すことが重要だと考えています。
スライド中央に記載している理念の共感・実践活動に加え、組織開発、ブランド戦略、BPX(ビジネス・プロセス・トランスフォーメーション)、さらにはDXを一体として進めています。
まず、ソフト面については、組織開発やブランド戦略、昨年度より開始した理念の共感・実践活動を中心に進めてきました。それらに加え、私自身が全国の営業店やグループ会社を訪問し、タウンホールミーティングを開催しています。
さらに、各営業店の支店長には、今期から新たに支店経営計画書の作成を始めてもらいました。その中で、当社グループをより良くするために何をすべきか、それぞれの支店長が担当するエリアや領域にどのような課題があり、支店経営者として何に取り組むべきかを自ら考え、発信する取り組みを進めています。
5月にカルチャー上の課題として「上意下達」や「受け身」といった当社に根深く残る課題についてお伝えしましたが、一つひとつの取り組みを通じ、これらの課題を克服していきたいと考えています。
また、ハード面の対応としては、業務プロセスの抜本的な見直しを行い、社員の生産性を高めて創造的に業務に取り組める環境を構築するため、BPXとDXを中心に現在推進しています。
BPXにおいては、データやAIの利活用を徹底的に推進し、業務フローを全面的に見直していく方針です。スライド左下に記載しているように、6商品82業務フローについて、まずは「As-Is」を把握し、これをどのように変えていくかの「To-Be」を現在社内で議論しており、時間軸を持ってしっかり対応していきたいと考えています。
経営基盤強化 ブランド戦略

カルチャー改革において重要なポイントであるブランド戦略についてお話しします。中期経営計画におけるビジョンや戦略の実現性を高め、パーパス「その夢の、一歩先へ」や、10年後の目指す姿「与信×テクノロジーで新たな金融シーンを創り出す先進企業」に相応しいブランドを確立し、それをどのように進めていくかについて、社内でさまざまな議論を行ってきました。
目指すブランドイメージとして、スライド左下に記載しているブランドパーソナリティ「一歩踏み出したいすべての生活者と中小企業の応援団」を目指し、今後の取り組みを進めたいと考えています。
また、スライド上段には現在のオリコブランドがどのように見られているかについて記載しています。企業認知度については「名前は知っている」という状態でありますが、残念ながら事業認知度、つまり「何をやっている会社なのか」に関する認知は極めて低いのが現状です。このため、ブランドが競争力の源泉にはまったくつながっていない状況です。
これらの課題、現状にしっかりと向き合い、我々の戦略やパーパスの実現を後押ししてくれるようなブランドをしっかりと作り上げていきたいと考えています。
経営基盤強化 ALMのレベルアップ

ALMのレベルアップについてご説明します。上期においては、スライドの図で示しているとおり、事業部門とALM室との間で、Fair Transfer Price(FTP)と呼ぶ社内レート運用を高度化し、運用・調達にかかる金利ポジションをALM室に集約しています。
さらには、期間別金利リスクの把握とリスク指標の分析・モニタリングがしっかりできる体制整備を進めてきました。
これまでは調達において固定費率を重視した運営を行っていましたが、当社のバランスシートの実態に即し、期間ギャップを踏まえたリスク管理運営への転換を進めています。また、相場見通しやリスク状況に応じた調達構成の最適化、さらにフォワードルックなヘッジオペレーションの運営が可能な体制が、いよいよ整ってきたと考えています。引き続き、経営基盤の安定化に寄与するALM運営のさらなるレベルアップに取り組んでいきます。
最後に
資料のご説明は以上となりますが、最後に全体感を少しお伝えしたいと思います。
今期よりスタートした5ヶ年経営計画について、足元の半年間の進捗状況を見ると、一部遅れている部分や課題もありますが、全体としてはまずまずの進捗で、順調なスタートを切ることができたと考えています。
ただ、この半年間、私自身は経営、特にデータドリブン経営やファクトベースの経営をいかに組織の中に浸透させるかに注力して取り組んできました。手応えとしては、一定程度できるようになってきた経営陣や部長クラスの人材が増えてきたと感じています。
このデータドリブンの取り組みが組織として機能するようになれば、遅れている部分についても、しっかりとした対応策を進めていけるのではないかと思います。
途中でお話しした事業構造改革は、現状では計画どおりに進捗していますが、下期以降は、さらに加速して踏み込んだ対応を進めていきたいと考えています。この成果の詳細については、来年5月のタイミングでご説明できればと考えています。
私からのご説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。
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