【QAあり】イントラスト、新分野の医療費用・介護費用保証がともに売上高前年比1.4倍以上と成長 家賃保証も堅調で増収増益を達成
目次

桑原豊氏(以下、桑原):みなさまこんにちは。株式会社イントラスト代表取締役社長の桑原です。本日はご参加いただき、ありがとうございます。それでは、2026年3月期第2四半期、上期の決算説明を始めます。
内容は、会社概要、2026年3月期第2四半期の業績、会社計画についてです。最後に付属資料としてAPPENDIXを用意していますので、こちらもぜひご覧ください。
会社概要 (2025年9月末時点)

会社概要です。株式会社イントラストは、2006年3月に創業し、来年3月に創業20周年を迎えます。資本金は10億4,900万円で、決算月が3月のため、今回は上期決算となります。
千代田区麹町に本社を構えており、拠点は秋田、仙台、富山、名古屋、大阪、福岡にあります。また、東京には本社から徒歩2、3分の位置に東京本社ANNEXがあり、大阪には大阪瓦町ANNEXがあります。その他、浜松にあるソリューションセンターでオペレーション業務を行っています。
従業員数は、連結で347名、単体で329名です。事業内容としては、保証事業とソリューション事業です。
事業内容

当社の説明会に初めてご参加いただいている企業さまや一般の方々もいらっしゃると思いますので、簡単に事業内容をご説明します。
当社の事業は大きく分けて、保証事業とソリューション事業の2つがあります。保証事業は、当社がリスクを取る商材を扱う事業です。一方、ソリューション事業は、当社がリスクを取ることなく、高品質な役務を提供する事業です。
この2つの事業を両軸として、イントラストは成り立っています。
事業内容|保証事業

保証事業についてご説明します。当社の中で最も大きなポートフォリオを持つ家賃債務保証についてですが、まず、お部屋の入居希望者さまとオーナーさまの間で賃貸借契約が結ばれます。
この契約では、入居希望者さま側が「お部屋をお借りするので家賃を払います」、オーナーさま側が「お部屋をお貸しするので、お家賃を約定日にお支払いください」という内容になっています。
従来は、連帯保証人というかたちで個人が契約を保証していましたが、ここ数十年は個人が賄うかたちが一般的でした。しかし、現代では、私どもの機関保証を利用した保証委託契約が取り入れられています。
賃貸借契約の内容に基づき、当社がオーナーさまや管理会社さまと保証契約を結び、入居希望者さまが不履行となった際には、当社が一時的に履行します。つまり、賃貸借契約に対して連帯保証人として当社が関与する仕組みが家賃債務保証です。
さらに、当社は「総合保証サービス会社」というポジションで、この三角形のスキームを医療、介護、養育費といった各分野にも展開しています。
例えば医療分野では、患者さまと治療を提供する医療機関との間で医療行為の契約があります。この契約に基づき、患者さまは治療費や入院費を支払います。医療分野の場合、患者さまが入院される際に医療機関から「保証人をお付けください」または「保証金を一時的に預からせていただきます」といった保証が求められるのが一般的です。
このようなケースにおいても、家賃債務保証と同様に当社が仲介者として関与することで、別途連帯保証人や保証金の預託が不要となり、スムーズな運用を可能にする医療費用保証をご提供しています。
同様に、介護施設についても、入所希望者さまとサービスやお部屋をご提供する介護事業者さまの間で原契約に基づき、私どもが連帯保証人という立場で関与することで、入所がスムーズに進む仕組みです。また、サービス料の滞納などが発生した場合でも、私どもが一時的に立て替えるため、施設側も安心して入居者にお部屋やサービスを提供できます。
3つ目の養育費保証では、離婚後に養育費の支払義務があるものの、それが滞るケースが散見されています。
お二方の間で公正証書や協議によって結ばれた契約に基づき、当社が間に入り連帯保証のかたちで対応します。具体的には、養育費の支払義務者が権利者への支払いを滞らせた場合、当社が一時的にその養育費を立て替えた上で、義務者に対して回収を行うというものです。
このように、家賃債務保証と同様に、医療、介護、養育費についてもお二方の契約に基づき、当社が連帯保証人として間に入る仕組みが当社の基本スキームです。一定の滞納の発生や立て替えた金額を回収しきれないリスクは当社の負担となりますが、このようなリスクを引き受ける商品を保証事業と呼んでいます。
事業内容

もう一方のソリューション事業ですが、家賃、医療、介護、養育費などの保証事業で培ったノウハウを活用し、当社ではリスクを負わずにサービス、役務のみを提供する事業を指します。このように、当社の事業は「保証事業」と「ソリューション事業」という2つの柱に大きく分類されています。
業績の概要

第2四半期の業績です。家賃保証事業は堅調に成長しており、医療・介護分野もそれに続いて成長しています。特に医療分野では、契約・成約した病院との契約が順調に伸びており、その内容は当社のホームページにも掲載しています。
また、貸倒コストも安定的に推移しています。加えて、私どもの子会社であるプレミアライフ社(以下、PRL社)は、以前にM&Aで取得した株式会社ラクーンレントを吸収合併しており、利益確保もしっかりと果たしています。その結果、連結全体において利益に貢献しています。
詳細な数字については表をご参照ください。売上高は前年同期比15.8パーセント増と2桁成長を記録しています。
営業利益は前年同期比122.4パーセントの成長となりました。右端にコメントを記載していますが、家賃は新規契約も更新料もともに成長しています。医療分野については、厳しいマーケット環境の中でお客さまへのご説明に一定の時間を要しましたが、ここにきて順調に増加し、成長フェーズに入ったと考えています。
家賃についてですが、当社はラクーンレント社(以下、RR社)をM&Aし、子会社化しました。この子会社化により、当社の連結売上から最終利益まで順調に貢献しています。当社の特徴として、厳格な審査を行うことで滞納発生率を抑制し、高水準での回収を実現しています。これらが、営業利益を安定して確保できている要因と考えています。
売上高の四半期推移

売上高の四半期推移です。昨年の第2四半期と今年の第2四半期を比較すると、このような成長を見せています。ソリューション事業については、一時ご提供していたソリューション商品が保証商品へと切り替わってきています。そのため、ソリューション部分は若干減少傾向にありますが、商品が切り替わっているだけであり、全体としては伸びています。
このソリューション事業の項目に「家賃保証システム 地銀モデル」と記載されていますが、これらは新規導入された新しい項目ですので、簡単にご説明します。
地銀各社は業態の裾野を広げている中で、もともと取引のある不動産管理会社さまやオーナーさまといった取引先とのつながりをベースに、家賃債務保証の商品展開をご希望されています。当社はこのソリューションとして、自社が持つ保証のノウハウと仕組みを提供することで、地銀各社が別会社を通じて展開できるかたちを整えています。
すでに2行が導入しており、今期新たに2行が新規導入されたことで、合計で4行の地方銀行が保証事業に参入しています。なお、当社がコンペティターとなるわけではなく、家賃保証のノウハウを提供し、最初にコンサルタントフィーとして一定のフィーをいただき、その後は役務を継続して提供していくということです。そのため、「コンペティター」というよりは「パートナー」というかたちになります。
ソリューション事業の一環としてこれらの事業が含まれていますので、引き続きご注目いただければと思います。
保証事業においては、家賃保証に加え、更新料など新規分野も着実に増加しています。また、医療費用は前年同期比141.6パーセント増、介護関連は前年同期比155.4パーセント増と、順調に成長を始めています。ぜひこちらもご注目ください。
営業利益の四半期推移

営業利益に関してですが、四半期で比較すると、当社の家賃保証事業が非常に順調に推移しています。ここに記載のとおり、M&Aにより当社の子会社となったRR社とPRL社を一体化し、現在はPRL社として運営しています。
一時期、PRL社の債権回収体制が十分ではない時期もありましたが、厳格な審査と回収スキルの向上、特に厳格な審査の結果、既存の入居者の質が向上したことが大きな要因と考えています。この2社を統合したことで、現在はしっかりと利益に貢献する存在となっています。
営業利益の増減分析

営業利益の増減分析についてですが、特筆すべき点は、真ん中の貸倒引当金が減少していることです。本来であれば売上が伸びて保有金額が増えれば、貸倒引当金もそれに伴い多少増加するものですが、実際には貸倒引当金が減っています。
当社の場合、安定的に回収が進んでおり、先ほど前のページでご説明したPRL社の債権状況が改善したことで、貸倒引当金および保証履行引当金をマイナスで計上できる状況になっています。これが最終的に損益計算書(P/L)にプラスに作用していることは間違いありません。
家賃分野|保有件数の四半期推移

家賃分野の保有件数ですが、ご覧のとおり確実に増加しています。ソリューション商品が減少し保証商品が増加している状況についてご説明します。
前回および前々回もお伝えしましたが、以前はソリューション商品としてご提供していた商品が、現在は保証料の金額が高い保証商品へと移行しています。そのためソリューション商品の数の減少に伴って、保証商品の契約数が増加しています。結果として、保有件数全体が右肩上がりに増加しています。
新分野|医療費用保証の四半期売上推移

医療費用保証についてです。ご覧のとおり、売上は前年同期比で1.4倍となっています。現在、239の医療機関からご用命をいただいており、継続率も約95パーセントと高い評価を受け、右肩上がりで増加しています。
また、連帯保証人向けの「スマホス」という商品と、その下に医療費用保証付きの「入院セット」という商品がありますが、現状では病院が入院患者へのサービスの一環として保証料を負担して保証を提供する「スマホス」が主流となっています。
これからも8,000以上の病院があるため、そのうちの1割から2割を増やすことを目標に、医療費用保証の普及に努めていきたいと考えています。
新分野|介護費用保証の四半期売上推移

こちらは介護費用保証で、115の介護事業者さまにご契約いただいています。その他商品は、先ほど医療の場面でも触れましたように、任意で加入いただく商品やレンタルセットといった細かな商品となっています。
当社が医療や介護ジャンルの事業を始めた当初に使用していた商材ですが、現在は傷害保険付き介護費用保証がメインの商材となっています。
第1四半期と第2四半期の状況を見ても急激に売上が伸びており、お問い合わせが非常に増加しています。そのため、逆に人員が不足しないように、リソースを適切に配置しながら、今後もさらなる成長を目指していきたいと考えている商材です。
その他財務データ(貸借対照表)

その他の財務諸表です。ご覧のとおり、現金も着実に増加しています。これまでどおり、借入や有利子負債は現時点でありません。翌月以降の収益となる前受収益も前年同期比で11.6パーセント増加しており、引き続き安定的に運営しています。
全体計画サマリと進捗

会社計画です。今期の着地予定としては、売上高が120億円、営業利益が26億円です。2025年9月の実績と進捗率を見ると、順調に推移していると考えています。
通期においても進捗率48.8パーセントと順調に推移していると考えています。そのため、第3四半期から通期の発表に際して、計画されている120億円の売上高と、26億円の営業利益についてはしっかりと達成し、引き続きみなさまから信頼いただけるよう努めていきます。
左上に記載していますとおり「プライム市場への再上場」という目標に向けて、現在さまざまな準備を進めている状況です。当社が直面している課題としては、流通比率、流通株式時価総額、そして売買代金の時価総額250億円の部分が挙げられます。
これらを着実に達成し、一つひとつ積み重ねていくことで、「プライム市場への再上場」を確実なものにしていきたいと考えています。その進捗や動きについては、今後のIRや発表の場でみなさまにお伝えしていく予定です。
売上高の年間推移と計画

年間売上高の推移と計画についてです。総合保証サービス会社として、家賃を中心に、居住用・事業用家賃、医療・介護、養育費などを戦略的に広げていく方針に変わりはありません。引き続き進捗にご注目いただければと思います。
売上高の年間計画 (詳細)

売上高の年間計画ですが、昨年の実績と比べて全体のボリュームが変わっています。今年はポートフォリオにおいて医療、介護、養育費の割合が昨年以上に増加しており、家賃は引き続きしっかりと伸ばしていきます。同時に、医療・介護分野も成長させ、当社の第2、第3の柱となりつつあることをご理解いただければと思います。
営業利益の増減分析 (計画)

営業利益の増減分析の計画の内訳です。先ほどお見せした第2四半期の内容と大きな変化はないかと思いますが、しっかりと利益を生み出す体制を整え、今期の営業利益26億円を確実に達成することにコミットしたいと考えています。
配当の年間推移と計画

株主還元は株主のみなさまにとって非常に重要な点であり、当社にとっても重要視している事項です。公言しているとおり、配当性向60パーセントを目指す計画で、現在2026年3月期は50.5パーセントを達成し、お約束を守っているつもりです。
金額で申し上げると、現在の配当金は1株当たり35円です。このペースで進め、来期は中期経営計画の最終年度になりますが、その際には配当性向60パーセントを念頭に置いています。金額ベースでは47円を想定しています。
実数字を表現するのは珍しいのではないかというお話もありますが、「これであればしっかりと実現できるだろうな」もしくは「これ以上を目指して事業を営んでいきたい」と考えているので、こうした実額も含めた上で、みなさまにご報告を申し上げています。
ご説明は以上です。このあとは追加資料をご参考にしていただければと思います。ぜひご関心を持ってご覧いただければと思います。
質疑応答:営業利益の大幅成長の要因について

司会者:「営業利益が大幅に成長していますが、この要因は何でしょうか?」というご質問です。
桑原:おかげさまでトップラインについては、先ほどご説明したとおり順調に推移しており、これが1つの要因です。
もう1つの大きな要因は、貸倒引当金の減少です。申し上げたとおり、PRL社、RR社、あるいは当社そのものにおいても、回収がしっかりと行われており、貸倒引当金の対象がトップラインと比較して大幅に伸びていないため、これがPLに直接影響を与えた部分です。良い意味での影響ということで、営業利益が大幅に増加した要因だと考えています。
質疑応答:医療・介護分野のビジネスモデルと今後の成長について

司会者:「医療・介護、ともに極めて順調に見えますが、今後もこの成長が続くのでしょうか? 事業を推進する上で、目下感じている懸念点はありますか?」というご質問です。
桑原:医療と介護はビジネスモデルが異なりますが、簡単にイメージしていただくと、介護については家賃保証に近い仕組みとなっています。
入居者の方々に保証料をご負担いただき、その保証料をお預かりします。そして、滞納などが生じた場合に当社が保証します。
ただし、家賃と異なる点として、家賃の場合は「入居してから退去まで」といったお約束がありますが、介護の場合は施設ごとに異なります。また、入居後に上限が設けられていますので、貸倒引当金の立て方や事案解決のタイミングが異なるなど、家賃保証よりもさらにわかりやすい仕組みになっていると考えています。
一方、医療については保証料をご負担するのが病院であり、保証料の算出に実績を基にした計算が用いられています。そのため、滞納が減ると翌年の保証料が下がる仕組みです。
滞納が減少することは病院にとっては良いことではありますが、保証料としては一時的に減少する可能性があります。ただ、滞納が毎年30パーセントずつ減少し続けるかというと、そういうわけではありません。
現在、保証料の下げ止まりがほぼ見られており、ここからは医療分野において積み重ねの数字が見込める状況です。そのため、増収につながる可能性があると考えています。
質疑応答:地銀による家賃保証ビジネスとシステム提供の取り組みについて
司会者:「地銀モデルの収益構造を教えてほしいです。売上はイニシャル、ランニングともに発生するのでしょうか?」というご質問です。
桑原:先ほどもご説明の中で触れましたが、地方銀行が新たなビジネスとして、グループ会社や子会社として保証会社を設立されることがあります。もともと銀行はリスクを取ることに関して非常に熟練していますが、家賃保証というかたちになると、やや異なる部分もあります。
「そこについて一緒に組んでやりませんか?」というお話をいただいた中で、当社が保証会社として留意すべき点や、システムの提供についてご説明しました。
地銀のみなさまにおかれましても、これまでの銀行モデルとはまったく異なる家賃保証事業を始めることとなると、システムの構築から立ち上げる必要があり、かなりの金額が必要になると考えられます。
当社もそうした経験をしています。そのため、当社のシステムを提供するかたちで、例えばお貸し出しやOEM提供を行うことで、比較的リーズナブルな金額で事業をスタートすることができます。また、審査の提供や当社が保有する役務の提供を通じてランニングコストとして費用をいただくかたちが1つのモデルとなります。
さらに、導入時にはシステムの提供やノウハウの一部を提供し、イニシャル費用として一定のご負担をお願いしています。
現在、先ほど申し上げた4行と提携を進めており、このモデルに非常に関心をお持ちいただいている地銀のみなさまも多くいらっしゃることをお伝えします。
質疑応答:中期計画の進捗と今後の展望について

司会者:「今年度の業績は順調に推移しているように見えます。一方で、第3次中計最終年度の計画達成にはもう少し成長が必要であるように感じますが、この進捗はいかがでしょうか? また、次の3ヶ年計画はどのように考えていますか?」というご質問です。
桑原:進捗状況については、決して楽な道のりではないと思います。現時点での進捗から得られた感触としては、売上高150億円と営業利益30億円は達成できるとお伝えしてよいかと思います。
いろいろな部分を積算していただくと、「もしかすると少し足りないかもしれない」というご指摘があるかもしれません。しかし、詳細はさておき、今期、そして来期が中期経営計画の最終年度となりますが、売上高150億円と営業利益30億円は我々の視野に十分入っているとお伝えしたいと考えています。
次の3ヶ年計画については、来年の、なるべく早い段階でみなさまにお示しできるよう準備を進め、これまで以上の成長率をお示しできるよう努めたいと考えています。
質疑応答:貸倒引当金の引当率について
司会者:「貸倒引当金の設定方針について、立替金残高54.1億円に対する引当率が約50パーセントと高い水準ですが、この引当率の算定根拠や設定に関するルールがあれば、教えてください」というご質問です。
太田博之氏(以下、太田):貸倒引当金の設定方法について、社内でルールを定めており、累積滞納数が一定の月数を超えたものについては、基本的に100パーセントを引き当てる方針を取っています。
一定の月数とは3ヶ月超です。当社では過去の回収活動の中で、3ヶ月超を超えたものについて基本的に回収が困難と判断し、その事案は裁判手続きとして弁護士に移管します。その後、強制執行断行といった裁判手続きに入るため、3ヶ月超については100パーセントを引き当てています。
また、すでに退去されている方については滞納額が確定しているため、月数に関係なく100パーセントを引き当てています。一方で、立替が1ヶ月から3ヶ月目までの方については、過去の実績率を基に回収が見込まれない金額を計上しています。
ご質問の貸倒引当金に関してですが、負債の中に保証履行引当金を積んでおり、これは将来的に発生する可能性のある立替分について引当金を設定しています。
裁判手続きを行うと、事案解決までに数ヶ月を要するため、その分についての引当を計上しています。
質疑応答:立替金の回収実績と残高の回収見通しについて
司会者:「立替金の回収実績について、貸倒引当率が約50パーセントですが、そのうちの最終的な回収実績はどの程度でしょうか? また、引当金を控除した実質的な立替金残高約26億円は、今後の回収見通しとして全額回収可能と見込んでいるのでしょうか?」というご質問です。
太田:結論から申し上げると、引当を計上していない分については回収可能と判断しています。立替金の中には、当社が事前立替と呼ぶ商品があります。これは、弊社が収納代行を行い、実際の家賃を引き落とした上で、入金が翌月になる場合でも、管理会社さまやオーナーさまに当社が100パーセントいったん支払うという仕組みになっています。
この事前立替に関しては、サイトの関係で一時的に当社が立替を行うものであり、滞納ではありません。その分が50億円の中に含まれており、目安として15億円から20億円程度、月によりばらつきはありますが、計上されています。
一部の医療や介護、高額家賃商品の一部には保険をかけており、保険金でカバーされるものも含まれています。そのため、ネットの26億円については全額回収可能であると判断し、処理しています。
質疑応答:保証事業の今後について

司会者:「保証事業の成長戦略について、今期もソリューションサービスからの切り替えが保有契約数の増加に寄与していると拝見しました。この切り替えによるストックが将来的に一巡した場合、その後の保証事業の成長ドライバーとしてどのような新規顧客開拓戦略をお考えでしょうか?」というご質問です。
桑原:切り替えは現在も続いており、完全にゼロになるまで、このプロセスは継続していく見込みです。
ただし、切り替えが進む一方で、保証が減少するわけではありません。保証業務においては、新規の取引も増加しており、家賃、医療・介護、さらには新規取引先も順調に増加しています。そのため、保証事業は引き続き成長ドライバーとなっています。
その点も含めて、現在の成長率はおおむね維持しつつ、会社として成長していけるのではないかと考えています。
太田:成長ドライバーに関して、家賃に関連する部分では、メインのお客さまの切替により増加している状況です。当社は保証商品の内容をカスタマイズし、大手管理会社さま向けにサービスを提供しています。
大手管理会社さまは、現在も管理戸数を伸ばしている段階にあります。したがって、大手管理戸数の成長と当社サービスのさらなる磨き込みにより、切替が完了した後も、2桁成長を目指していきたいと考えています。
質疑応答:プライム市場への再上場計画について
司会者:「プライム再上場について、現時点で何か具体的な施策は考えていますか? また、すでに着手していることがあれば、教えてください」というご質問です。
桑原:プライム市場への再上場は考えています。具体策として、まず株価が重要になります。また、流通株式比率ですが、これは私どもや既存の株主さまとの関係の中で、規定の35パーセントを超える比率を達成できれば、クリアできると思います。そのために、着実に議論や検討を進める必要があります。
事業を成長させ、みなさまからのご信頼をいただき、株価を評価していただくことが大事だと考えています。
現時点では、具体的に進めている事項を明確にお伝えする段階ではありませんが、再上場を目指していることは申し上げられます。そのため、タイミングを見て、流通株式比率や具体的な作業について、証券会社さまへの相談を検討していきます。
質疑応答:競合他社との差別化について
司会者:「家賃債務保証の市場には、ジェイリースさまなど多くの競合他社が存在します。その中で、不動産管理会社や代理店が、他社ではなく御社を選定する決め手、差別化要因は何でしょうか?」というご質問です。
桑原:正直申し上げて、各社さんはあまり商品の差別化をされていないように思います。ただ、その中でも各社にはそれぞれ特色があるのではないかと考えています。
当社の特色を申し上げるとすれば、創業当時から審査の厳格化に取り組んできたことです。その結果として貸倒引当金が比較的安定していると考えています。当社では、審査を厳格に行うことで、優良な入居者さまでお部屋を満室にするという方針を創業当初から掲げてきました。
こうした理念や方向性をご評価いただいている管理会社さまとお取引をすることで、当社の経営方針をご理解いただけるパートナーとともに業務を進めています。この経営方針こそが正しいのではないかとの信念を持って取り組んでいます。
その結果、比較的地域でNo.1の管理会社さまや全国規模の大手管理会社さまといった、経営においてご理解をいただける企業から「君たちの言っていることは正しいと思うよ」といった高い評価をいただいています。これが当社の成績や業績を支える大きな理由だと考えています。そのため、引き続きこの方針を基本としたいと考えています。
ただし、現場ではさまざまな競争があるため、お客さまのご要望に応えられるよう、手数料率や審査のスピード、さらに回収におけるコンプライアンスの徹底にも取り組んでいます。これらを理解いただいた管理会社さまと業務委託契約を締結することが、当社のやり方だと考えています。
質疑応答:地銀との提携について
司会者:「地銀との提携とは、主に住宅家賃開拓のことでしょうか? すでに市場の75パーセントほどが、何らかの保証会社を使っているという認識なのですが、現在、地銀は何パーセントほどシェアを保有しているのでしょうか?」というご質問です。
桑原:地銀さまとの提携については、私の説明が足りなかったかもしれませんが、おっしゃるとおり住宅の家賃債務保証に関する取り組みです。
地銀に関心を持たれた理由ですが、銀行として地元の不動産管理会社や家主の方々に資金提供や費用面での支援を行っているケースが多いことが挙げられます。地銀からアプローチすると、比較的話を聞いてもらいやすい状況にあります。
「Aという地銀さんがA保証という家賃債務保証を始めたから、他の会社さんもあると思うけども、うちともお付き合いしてくれませんか?」などのお話をすることで、管理会社との間で「別の意味でのお付き合いもあるのでお付き合いしましょう」というかたちで、業務委託契約を比較的スムーズに締結できる関係性を築けるということです。
私たちは現在、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の拠点を有しているのみですが、地銀さんとの提携により、あえて当社が直接支店を展開しなくても、地域の管理会社さんと地銀さんとの関係を通じて契約をお預かりすることが可能となっています。これにより、非常に効率的な提携ができていると考えています。
今後、地銀さんからご要望をいただければ、当社としてそのニーズに合ったサービスをご提供し、一緒に家賃債務保証の商品を普及していきたいと考えています。
「現在、地銀は何パーセントほどのシェアを保有しているのでしょうか?」とのことですが、現時点では4行との提携に留まっており、まだ大きく数字に表れる段階ではありません。しかし、一緒に取り組む中で感じたのは、「地銀さんの力ってすごいな」ということです。地域ごとの密着度や周囲への影響力の強さを非常に実感し始めたところです。
新着ログ
「その他金融業」のログ





