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三井物産株式会社8031

東証プライム

卸売業

※当記事は速報版です。スライド情報は割愛している他、数値などに誤りが含まれる可能性がございます。正確な情報は決算短信・決算説明資料などの正式な開示資料、または追って公開予定の確定版記事にてご確認ください。

ご挨拶

社長の堀です。本日は、お忙しい中ご参加いただき、誠に有難うございます。

まず私から、中期経営計画の進捗状況についてご説明します。その後、経理部長の栗原より、経営成績の詳細についてご説明します。

26/3期上半期総括と下半期取組み

初めに、当上半期の総括と、下半期の取組みについてお話しします。

上半期実績は、基礎営業キャッシュ・フロー、当期利益ともに、事業計画対比55%と順調に進捗しました。事業計画策定時には、米国関税やそれに伴うマクロ経済の不確実性に対して一定の保守性を織り込んでいましたが、上半期における米国関税による直接的な影響は限定的でした。

ミドルゲームの推進により基礎収益力は着実に伸長しており、長期的な収益基盤の拡充に向け、Rhodes Ridge鉄鉱石やRuwais LNG、Blue Point低炭素アンモニアなどの、厳選した成長投資も着実に推進しました。

また、損失が継続していたMainstream案件は、開発計画の絞り込みに伴う減損処理を行い、会計上の投融資簿価を圧縮しました。

これら上半期の進捗と下半期の最新見通しを踏まえ、通期基礎営業キャッシュ・フロー予想を800億円、通期利益予想を500億円、それぞれ上方修正します。そしてこれに留まらず、更なるアップサイドの実現を目指します。

また、マネジメント・アロケーションを成長投資と株主還元に全額配分し、新たに2,000億円の自己株式取得を決定しました。現中経期間中の成長投資は合計2.5兆円を見込み、株主還元は合計1.6兆円を見込みます。

下半期も、地政学的リスクや金融情勢を踏まえた統合的なリスク管理を徹底しながら、残る課題案件に対して、改善に向けた対応を推進し、ROEの向上に向けて基礎収益力の更なる拡大に取り組んでいきます。

経営成績サマリー

当上半期の経営成績サマリーについてご説明します。

基礎営業キャッシュ・フローは前年同期比896億円減少の4,485億円、上半期利益は前年同期比119億円増益の4,237億円となりました。ともに事業計画に対して順調に進捗しています。

基礎営業キャッシュ・フローが前年同期比減少となった主な要因は、前年同期に24年3月期分の大口LNG配当金を期ズレで入金した反動であり、その影響を除けば前年同期と同水準と評価しています。

上半期の力強い進捗と下半期の堅調継続見通しを踏まえ、上方修正を決定しました。事業計画対比で、通期予想を、基礎営業キャッシュ・フローは800億円増加の9,000億円、当期利益は500億円増加の8,200億円とします。先ほど申し上げた通り、これに留まらず、更なるアップサイドの実現を目指し、中経期間の最後まで、ストロングフィニッシュで走り切りたいと思います。

堅調なキャッシュ・フローとそのアロケーション見直しを踏まえて、2026年3月19日を期限とする2,000億円の自己株式取得を決定しました。継続的な一株当たりの価値向上に資すべく、2026年3月末までに、今回取得する全株を消却します。

2026年3月期事業計画に対する進捗率と年間予想(基礎営業キャッシュ・フロー)

基礎営業キャッシュ・フローの年間予想をご説明します。

金属資源の豪州鉄鉱石Rhodes Ridgeに関連する投資金利の資産化や関連会社配当、エネルギーのLNG関連、機械・インフラの関連会社配当の増加など、各セグメントの強い進捗と見通しを踏まえ、全社で800億円上方修正し、年間予想を9,000億円とします。

2026年3月期事業計画に対する進捗率と年間予想(当期/上半期利益)

当期利益の年間予想も、金属資源、エネルギー、機械・インフラの強い進捗と見通しを踏まえ、通期業績予想を事業計画から500億円上方修正し、8,200億円とします。

米州・米国における事業展開

米国の関税や政策変更などの影響についてアップデートします。

当社の米州事業の上半期の当期利益は約1,700億円となりました。その中の米国事業利益は約1,100億円となり、米国内完結型、輸出型、輸入・販売型の3つの事業形態に分けると、上半期実績も国内完結型の利益割合が引き続き最も大きく、関税の直接的な影響は限定的でした。下半期においても、事業環境の変化への感度を一層高め、必要に応じ機動的に対策を講じてまいります。

キャッシュ・フロー・アロケーション見通し

現中経期間中のキャッシュ・インは本年5月の事業計画公表時の4兆3,700億円から600億円拡大し、4兆4,300億円を見込みます。

マネジメント・アロケーションは4,000億円から4,600億円に拡大し、手元の投資案件パイプライン及び資本効率向上を勘案の上、成長投資に2,600億円、株主還元に2,000億円を配分しました。これにより、現中経期間中のマネジメント・アロケーションは全額配分したことになりますが、引き続き機動的に設定していきます。

キャッシュ・フロー・アロケーション実績

キャッシュ・フロー・アロケーションの上半期実績についてご説明します。

上半期は、LNG事業への成長投資、欧州タンクターミナル事業ITC Antwerpの完全子会社化、低炭素アンモニアBlue Pointへの段階的な投資の実行など、攻め筋に沿った成長投資を行いました。また、上場株式の売却を含む資産リサイクルも着実に進めています。

なお、上半期実績には入っていませんが、10月に入り、Rhodes Ridge鉄鉱石権益の取得に関し、一部資金拠出を開始しています。

キャッシュ・インは、基礎営業キャッシュ・フロー4,490億円と、資産リサイクル1,130億円を合わせて、5,620億円となりました。

キャッシュ・アウトは、投融資3,390億円と、株主還元1,590億円を合わせて、4,980億円となりました。

新規案件の収益貢献開始時期

現中経期間中に実行した成長投資のうち、早期に収益貢献を開始した案件の多くが更に収益力を伸ばしており、基礎収益力を底上げしています。

今期の具体的な進捗としては、豪州天然ガス事業Waitsiaが近日中の商業生産開始を予定しています。台湾洋上風力も、順次操業が始まり収益貢献を開始、2026年中の全基商業運転に向けて予算内、工期通りに進捗しています。また、インドのブロイラー事業Snehaも収益貢献を開始しました。

長期的な収益基盤拡充に向けた成長投資も、着実に進捗しています。10月にはRhodes Ridge鉄鉱石事業のための一部資金拠出を実行、近日中に40%権益取得完了を見込んでおり、2030年までの生産開始に向けて順調に進捗しています。 米国テキサス州におけるシェールガス上流事業Tatonkaは、年内の生産開始を予定しています。良好な生産性が期待され、2027年3月期からの収益貢献開始を見込みます。

現中経期間中の2.5兆円の成長投資は、当社の収益基盤の厚みを飛躍的に押し上げるものです。これらの案件の着実な進捗は、当社の収益力を格段に高め、市況変動を吸収し、より高い次元で勝負できる競争力の源泉となります。2027年3月期以降も、投資規律を徹底しながら、豊富な投資パイプラインの中から厳選された新たな成長投資を実行することで、収益基盤を更に強化します。競争力のある様々な優良資産を基盤として、当社キャッシュ創出力の大きな向上を実現していきます。

基礎収益力拡大の進捗状況

基礎収益力拡大の進捗についてご説明します。

中経公表時点における商品価格・為替の前提で、当期利益から一過性要因等を除いた金額を基礎収益力として算定しています。中経3年間で1,700億円の基礎収益力拡大を目指しており、内訳は多少の入り繰りがありますが、合計では達成に向けて順調に進捗しています。

既存事業強化では、モビリティ、化学品、次世代・機能推進などでミドルゲームを着実に推進し、中経期間累計目標の700億円を超える約750億円の基礎収益力拡大を見込んでいます。

効率化・ターンアラウンドでは、コーヒートレーディングなど現在も取組みを継続している事業がありますが、複数関係会社での赤字事業からの撤退や業績改善などを進め、目標通りの約400億円の基礎収益力拡大を見込んでいます。

新規事業については、前期に投資した米国トラックオークションやエクアドルのエビ養殖などが通年で業績貢献することに加え、今期から台湾洋上風力、インドのブロイラーなど複数案件が新たに収益貢献を開始しており、中経期間累計で600億円の目標に対し、約550億円の基礎収益力拡大を見込みます。

株主還元方針

株主還元方針についてご説明します。

既にお話しした通り、堅調なキャッシュ・フローを受け、2026年3月19日を期限とする2,000億円の自己株式取得を決定しました。これにより、現中経期間中の基礎営業キャッシュ・フローに対する株主還元の割合は54%を超える見通しです。

現中経以降も累進配当を継続し、今後も拡大する基礎営業キャッシュ・フローの再現性の高い部分からの継続的な配当増加、及び商品市況や資産リサイクルから得られる追加的キャッシュ・フローを源泉とした機動的な自己株式取得とその消却を継続する考えです。これにより、継続的に一株当たりの価値を向上させてまいります。

以上で、私からの説明を終わらせていただきます。 続いて、経理部長の栗原より、経営成績の詳細をご説明します。

基礎営業キャッシュ・フロー(実績)セグメント別前年同期比 増減要因

経理部長の栗原です。それでは、経営成績の詳細についてご説明します。

先ず、基礎営業キャッシュ・フローの前年同期比増減について、セグメント別にご説明します。

当上半期の基礎営業キャッシュ・フローは、前年同期比896億円減少の4,485億円の獲得となりました。

金属資源では、原料炭・鉄鉱石価格下落を主因に、299億円減少の1,622億円の獲得となりました。

エネルギーでは、前年同期に24年3月期分のLNG配当金を期ズレで入金したことの反動を主因に、837億円減少の1,008億円の獲得となりました。

機械・インフラでは、前年同期における資産リサイクルに伴う税金の反動を主因に、218億円増加の956億円の獲得となりました。

化学品では、海外事業に関わる引当金取崩益、欧州農薬事業における需要の増加を主因に、127億円増加の552億円の獲得となりました。

鉄鋼製品では、トレーディング、関連会社からの配当を主因に、50億円増加の65億円の獲得となりました。

生活産業では、「その他、調整・消去」とのセグメントをまたぐ取引、コーヒートレーディングの減益を主因に、194億円減少の50億円の支出となりました。

次世代・機能推進では、8億円減少の195億円の獲得となりました。

その他の要因として、生活産業とのセグメントをまたぐ取引を主因に47億円増加の137億円の獲得となりました。

上半期利益(実績)セグメント別前年同期比 増減要因

次に、上半期利益の前年同期比増減についてセグメント別にご説明します。

当上半期利益は、前年同期比119億円増益の4,237億円となりました。

金属資源では、原料炭・鉄鉱石価格下落を主因に、472億円減益の1,143億円の利益となりました。

エネルギーでは、石油トレーディング不調の一方で、LNG関連やガス価格の上昇を主因に、376億円増益の1,029億円の利益となりました。

機械・インフラでは、FireflyのIPOに伴うFVTPL評価益や、自動車・IPPの増益がありましたが、前年同期における資産リサイクル益の反動やMainstreamの一過性損失を主因に、462億円減益の1,020億円の利益となりました。

化学品では、ITC Antwerpの公正価値評価益、前年同期における減損損失の反動を主因に、214億円増益の435億円の利益となりました。

鉄鋼製品では、前年同期における資産リサイクル益の反動の一方、トレーディングを主因に、40億円増益の113億円の利益となりました。

生活産業では、コーヒートレーディング減益の一方、資産リサイクル益を主因に8億円増益の208億円の利益となりました。

次世代・機能推進では、FVTPLの公正価値評価益を主因に、73億円増益の253億円の利益となりました。

その他の要因として、前年同期の退職給付制度改定の反動を主因に342億円増益の36億円の利益となりました。

上半期利益(前年同期比)要素別増減分析

ここでは、当上半期利益を前年同期と比較し、その増減を要素別にまとめています。

「基礎収益力」は、石油トレーディングやコーヒートレーディングの減益はありましたが、LNG関連、IPP、自動車、鉄鋼製品の増益を主因に、合計880億円の増益となりました。特に、大口のLNG配当金が今年度は第2四半期に利益計上されたことが大きな増益要因となっています。

「資源コスト・数量」は、銅事業におけるコスト増や数量減を主因に、120億円の減益となりました。

「市況」は、原油・ガスで40億円の増益となりましたが、原料炭や鉄鉱石の価格下落により金属資源で200億円の減益となり、全体で160億円の減益となりました。

「為替」は、円高を主因として170億円の減益となりました。この結果、「市況・為替」は330億円の減益となりました。

「資産リサイクル」は、前年同期反動を主因に550億円の減益となりました。

「評価性/一過性要因」は、Mainstreamの一過性損失はありましたが、前年同期反動やITC Antwerpの評価益を主因に240億円の増益となりました。

通期業績予想(事業計画比) 要素別増減分析

ここでは、通期業績予想を事業計画と比較し、その増減を要素別にまとめています。

「基礎収益力」は、コーヒートレーディング、化学品、石油トレーディングの減益などはありましたが、LNG関連、豪州鉄鉱石Rhodes Ridgeに関連する投資金利の資産化や、自動車などの増益、FVTPLなどを主因に、100億円の増益を見込みます。

「資源コスト・数量」は、エネルギー上流事業における償却費改善や鉄鉱石事業における数量増などを主因に、120億円の増益を見込みます。

「市況・為替」は、鉄鉱石・銅・原料炭の価格上昇に加え、円安の影響により、380億円の増益を見込みます。

「資産リサイクル」は、上半期に海外流通の一部事業や、国内流通固定資産などを売却しました。下半期も複数の資産リサイクルを見込んでおり、計画数値に変更はありません。

「評価性・一過性要因」は、Mainstreamの一過性損失を主因に100億円の減益を見込みます。

なお、JA三井リースが先日発表した、同グループ会社における債権回収リスクに関連し、約30億円のマイナスインパクトを当社年間予想に織り込んでいます。

通期業績予想(前期比) 要素別増減分析

ここでは、通期業績予想を前年通期実績と比較し、その増減を要素別にまとめています。詳細説明は割愛いたしますが、必要に応じ参考にしていただければと思います。

2025年9月期末 バランスシート

当上半期末のバランスシートについてご説明します。

ネット有利子負債は25年3月末と同額の3兆3,000億円となりました。一方、株主資本は25年3月末と比較して、0.5兆円増加の8兆円となりました。この結果、ネットDERは0.42倍となりました。

以上をもちまして、私の説明を終わります。

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