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植原大祐氏:株式会社ダイレクトマーケティングミックス代表執行役社長CEOの植原です。3月31日に発表した中長期経営ビジョン、「DmMiX Vision 500」についてご説明します。

本日のアジェンダです。「DmMiX Vision 500」の概要、当社のビジネスモデルと強み、注力ドメインの戦略および目標の順にお話しします。最初に、「DmMiX Vision 500」の概要についてです。

DmMiX Vision 500

当社では、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け、上場10年目の節目となる2030年12月期を最終年度とする中長期経営ビジョン「DmMiX Vision 500」を策定しました。

「DmMiX Vision 500」では、2030年12月期に売上収益500億円、営業利益50億円の達成を目標とします。具体的な取り組みについては、後ほどご説明します。

DmMiXグループとは

ダイレクトマーケティングミックスグループのビジネスモデルと強みについてです。改めて当社のビジネスモデルと強みについてご説明します。

ダイレクトマーケティングミックスは、2007年に前身となる会社を創業しました。人材不足、営業パフォーマンスの向上といった企業が直面している、自社だけでは解決の難しい課題に対して、高い営業力とマーケティング力を武器に課題解決を行い、クライアント企業の収益最大化を実現する「営業ソリューションプロバイダー」として、トップライン向上に貢献しています。

営業・マーケティングのプロフェッショナル集団

当社は創業来、アウトバウンドコールを核とする「ダイレクトマーケティング」を中心に営業ソリューションを提供し、クライアント企業に代わりエンドユーザーとの接点を担っています。エンドユーザーとの直接対話により真のニーズをあぶり出し、顧客生涯価値を高めることで、クライアント企業の収益最大化にコミットしています。

近年では、従来の事務処理を中心に行うインバウンドコールセンターについてはAI化が進展する中、人による付加価値の高い対応が求められる領域をターゲット市場としています。また、クライアントのニーズが多様化する中で、営業・マーケティング戦略の策定などのコンサル業務から付随するバックオフィス業務まで、幅広くBPOサービスを提供しています。

DmMiXが果たしてきた役割

当社は足元、通信インフラセクター、とりわけモバイルキャリア市場とともに企業成長を遂げてきました。

スマホの普及期においては、モバイルキャリア各社は新規ユーザーの獲得を狙い、対面型のショップを中心とした販売チャネル展開を行っていました。その後、普及の一巡に伴い、新規ユーザーの獲得余地が限定的となる中、狙いは既存ユーザーへのアップセルやクロスセルによるARPUの向上、ユーザーのロイヤル化による離脱抑止へ移行し、企業が既存ユーザーに能動的にアプローチする必要が生じ、既存ユーザーへ効率的にアプローチする手段としてアウトバウンドコールによる営業が重視され、その結果当社の業容が急速に拡大してきました。

この業容拡大の中で、当社はセールス・マーケティングに関する莫大なデータやノウハウを蓄積してきました。これらのデータやノウハウは、当社の競争優位性の源泉となっています。

市場の成熟とともに、アウトバウンドコールでしかアクセスできない受動的なユーザーが増加しています。こうした傾向は通信インフラセクターにとどまらず、他の業種にも広がりを見せています。当社はこれまで培ってきたデータとノウハウを最大限に活用し、このような領域におけるクライアント企業の課題解決に貢献しています。

DmMiXの圧倒的なプレゼンス

当社は創業来、一貫してアウトバウンドコールセンターを運営しています。年間発信数8,000万コール以上、1日あたりの常時アウトバウンド人員数2,500人以上、年間採用人数8,500人以上と、国内で比較対象のない圧倒的な実績を積み上げ、営業・マーケティング市場においてユニークな地位を確立しています。

この実績からもたらされる圧倒的な営業ノウハウ、事業スケール、人材採用力が当社の強みの源泉であると考えています。

アウトバウンドの競争優位性

祖業であるアウトバウンド領域においては、属人性の高い営業プロセスを標準化することで、ダイレクトマーケティングミックスグループとして独自の「売れる仕組み」を確立してきました。この「高い生産性」と「高品質」を両立した「売れる仕組み」を支えているのが、スライドにお示ししている3つのコアコンピタンスです。コアコンピタンスの詳細についてはAppendixをご参照ください。

クライアントからの圧倒的な支持

アウトバウンド領域における圧倒的な成果と高い営業品質が高く評価され、当社は、年間約30社の新規クライアント獲得、契約継続率95パーセントと、クライアントから圧倒的な支持を得ています。近年では、通信およびインフラ以外の顧客開拓が進み、新規領域は着実に増加傾向となっています。

現状の事業ドメイン

スライドは現状の事業ドメインをお示ししています。祖業であるアウトバウンドに加えて、クライアントニーズの多様化により、2020年以降急速にハイブリッド、DXフルフィルメントのドメインが業容拡大しています。

詳細は後ほどご説明しますが、ハイブリッド、DXフルフィルメントは、高付加価値のアウトバウンド領域を含めた幅広い領域を捉えたもので、高付加価値業務を維持しつつ、業容の拡大を見込むことができる今後有望な分野と考えています。

「DmMiX Vision 500」では、売上全体の約8割を占める、アウトバウンド、ハイブリッド、DXフルフィルメントの3つを注力ドメインとして定め、各ドメインにおける事業戦略についても後述しますが、2026年12月期を目途に当該戦略を実行することにより、収益力向上や財務体質強化を図り、当社グループの企業価値向上に取り組んでいきます。

急速に広がるハイブリッド市場

ハイブリッド市場の成長ポテンシャルについてご説明します。従来はスライド左側の図のように、販売チャネルとカスタマーサポートチャネルが明確に区分され、その中で我々はコール市場を中心にその役割を果たしてきました。このためアウトバウンドコール市場が我々の主戦場でした。

しかし、これからの時代は顧客導線が多様化・複雑化していく中で、企業は統合的なチャネル運用と分散する収益機会を漏れなく捉えていくことが求められます。よって、ショップやECサイトといった販売チャネルのみならず、インバウンドセンターやチャット、SNSなど、従来販売機能を持ってこなかったすべてのチャネルに我々が持つ「売れる仕組み」が求められることになります。このためハイブリッド市場は、今まで我々のターゲットとならなかった既存のチャネルを取り込むかたちで急速な成長を見せています。

ハイブリッド業務の成長余地

こちらのスライドでは、ハイブリッド業務の成長余地を図示しています。

ハイブリッド業務の成長ドライバーは大きく2つあります。1つ目は、顧客接点の多様化の中で発展したWebやSNSといった非コールチャネルの収益化、ならびに省人化が進むShopチャネルにおけるオンライン接客を通じた収益強化です。2つ目は、インバウンドコールセンターのプロフィットセンター化です。

事務処理が中心のインバウンドセンターはAI化による効率化が急速に進んでいくと言われていますが、当社も同様に考えています。他方で、インバウンドコールで接点を持ったユーザーにおいても、先ほどご説明したとおり、新たな収益機会として捉えることができる顧客導線の設計が進んでおり、それらの収益機会を捕捉するためには、人と人とのコミュニケーションが不可欠となるため、当社のハイブリッドセンターのターゲットとする市場に変化しつつあります。

当社は創業来、付加価値の高いアウトバウンドコールに特化してきましたが、世の中のニーズが変化する中で、今後は事業ポートフォリオそのものが大きく変容していくと見込んでいます。

ハイブリッド業務事例①:インバウンドセンターのプロフィットセンター化

ハイブリッド業務の具体的な事例をご紹介します。

1つ目は、インバウンドセンターのプロフィットセンター化です。問い合わせ窓口など、従来は販売を行わなかったチャネルにおいても、商機を見いだし、アップセル、クロスセルを行うことでプロフィットセンター化を進める動きが拡大しています。当初はスライドのStep1でお示ししているように、クライアントのインバウンドセンターから当社コミュニケーターへトスアップするかたちで業務を受託していましたが、近年ではStep2のように、より効率的なインバウンドセンター一括受託のニーズが増加しています。

当社コミュニケーターが受電し、問い合わせ対応完了後にアップセル・クロスセルのセールスを実施することで、クライアントは自社コミュニケーターでは実現できない「売れるコールセンター」を構築することが可能となります。

ハイブリッド業務事例②:店舗・窓口のオンライン接客

2つ目の事例は、オンライン接客についてです。

近年のサービスの複雑化により、店舗スタッフでは対応が難しい商材が増加しており、また国内人口の減少や合理化の推進もあり、携帯電話のショップや銀行など、リアルの店舗の統廃合が進み、これに代わるかたちで、ショップにおけるオンラインでの接客支援やECサイトでのオンライン接客が拡大しています。スライドに示した図は、ショップの省人化を背景としたショップでのオンライン接客のイメージです。

また、ECサイトの事例になりますが、ECサイトを訪れたお客さまの中には、ネットでの手続きは難しい、あるいはスタッフに相談に乗ってもらいながら考えたいという方が多くいらっしゃいます。そこで、当社コミュニケーターがオンライン上でお客さまと直接、かつ双方向のコミュニケーションをとることで、従来の接客手法では提供できない高い付加価値を提供しています。

最近では、「ビデオ通話で相談」といった選択肢を選ぶことで、オペレーターと直接会話をすることができるケースも見られたことがあるかもしれません。当社ではこのようなウェブ上でのオンライン接客をハイブリッド業務として担っています。当社のオペレーターは、幅広い商品知識と専門性、そして高いコミュニケーションスキルを兼ね備えており、オンライン接客のメリットも活かしながら応対スピードや品質向上など、従来の店舗接客では提供できなかった付加価値を提供しています。

今後人手不足とオンライン化がさらに進展する中で、より一層拡大を目指していけるものと考えています。

DXフルフィルメントとは

DXフルフィルメントについてご説明します。DXフルフィルメントは、当社が定義した新しい市場です。

人的リソースが限定的なデジタル事業者に代わり、事務作業・人材供給などのバックヤード業務から、営業・マーケティング、日々のオペレーションまでを一貫して担っています。特に近年ではスタートアップ企業からのニーズが高く、取引が急増しています。

新規デジタルサービスの事業者においては、営業・マーケティングのノウハウがないことや、業務量の急激な増減への対応など多くの課題があるため、このような人的リソースが必要なオペレーションはアウトソースを前提とし事業設計を行う場合が多くなっています。

ここで我々が人的リソースの必要な業務を一括受託することで、クライアントはコア業務に集中し、我々が持つオペレーショナル・エクセレンスによって、サービスの価値を高めることができます。そして、デジタル事業者の発展に伴い、当社の事業領域も拡大しています。

DXフルフィルメント事例①:ライドシェアサービス

DXフルフィルメントの具体的な事例についてご紹介します。1つ目は、ライドシェアサービスです。新しいビジネスの立ち上げには様々なプロセスが必要であり、ライドシェアサービスにおいては、ドライバーなどの人材供給から運行準備、日々のオペレーション管理と、非常に多くのプロセスが必要となります。

ライドシェアサービスなど新しいサービスを展開する企業の多くは、サービス開発に特化していますが、営業やマーケティングには不慣れで、経営資源はかけたくないという悩みを抱えています。そこで、当社がユーザー獲得など営業・マーケティングの根本部分のみならず、そこで培ったオペレーションの強みを活かし、ビジネスの立ち上げから運用にいたるまで、特に人の介在が必要なプロセスをすべて引き受けています。

これにより、ライドシェア事業者は、アイデアの創造やソフトウェア・パッケージ開発によるサービス向上に専念することができます。そして、実際のビジネスの立ち上げには当社がワンストップで対応し、それぞれの役割分担の中で自社の強みを活かすことで、新しいサービスの社会実装を実現しています。

DXフルフィルメント事例②:QRコード決済(金融サービス)

2つ目の事例は、QRコード決済です。金融商材をはじめとするデジタルサービスは、顧客獲得だけでなく、その後のカスタマーサービスや本人確認といった事務処理も重要な要素となります。当社は、顧客接点からバックオフィスまで、シームレスな連携による効率的なオペレーションにより顧客満足度の向上と事業拡大に貢献しています。

注力ドメイン別 売上推移:アウトバウンド

注力ドメインの戦略および目標についてお話しします。

注力ドメイン別の売上推移についてです。アウトバウンドは引き続き主軸として期待されるものの、ハイブリッド化やDXフルフィルメント事業が領域拡大するため、売上収益CAGRで5.9パーセントと緩やかな成長を目指します。

通信キャリアにおける金融セクターとの連携の動きや、電力、ガスなど、戦略領域や非通信領域の商材開拓が具体化した際は高成長が期待されますが、現行計画には含んでいないため、実現すればアップサイドになってくるものと考えています。

注力ドメイン別 売上推移:ハイブリッド

ハイブリッドの売上推移についてです。こちらは、先ほどご説明しましたとおり、あらゆる顧客接点チャネルの統合的運用、従来コストセンターとして捉えられていたインバウンドコールセンターのプロフィット化の背景から最も成長を期待するドメインです。

今後の商材拡大・チャネル拡張を見据え、ソリューションラインナップを拡充し、成長を加速させることで、売上収益CAGRにおいて通信およびインフラで2桁成長、その他セクターで20パーセント超の成長、ハイブリッド全体で約17パーセント成長を目指します。

注力ドメイン別 売上推移:DXフルフィルメント

DXフルフィルメントの売上推移についてです。金融決済、本人確認、モビリティなど、既存DXサービスの順調な拡張により、売上収益CAGR14.5パーセントと引き続き高い売上成長を見込んでいます。

将来性のある新規DXサービスにおいて、サービス拡大期の需要を一手に担うべく、企画段階から関与するための情報収集や、ネットワーク構築を進めていきます。

ドメイン/セクター別の業績動向

各ドメイン、セクターごとの2026年12月期の売上目標を、2024年12月期の実績と比較してお示ししています。

2026年12月期における注力ドメインの売上収益は、アウトバウンド87億円、ハイブリッド92億円、DXフルフィルメント30億円を計画し、これらの達成を通じてさらなる収益基盤の強化と企業価値の向上を目指していきます。

公共セクターを中心としているインバウンドについては、引き続き中期的には弱気に見ており、オンサイト、リサーチ・その他については横ばいの推移を想定しています。

Vision 500 定量サマリ

「DmMiX Vision 500」の定量サマリです。冒頭で掲げたとおり、2030年12月期には、売上収益500億円、営業利益50億円を目指します。そして、その過程である2026年12月期においては売上収益270億円、営業利益23億円を目指します。

株主還元政策においては、2026年12月期に配当性向30パーセント程度となる配当12.0円前後の実現を目指します。「DmMiX Vision 500」の最終年度となる2030年12月期には配当性向40パーセント超を目指し、ROEとしては15.0パーセントから20.0パーセントの水準を目指していきます。

以上をもって、中長期経営ビジョン「DmMiX Vision 500」のご説明を終了します。