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岡本修氏:多木化学株式会社、総務人事部部長の岡本修です。2024年12月期の決算説明を行います。スライドに記載のとおり、2024年12月期決算業績概要、セグメント別実績、「中期経営計画2028」進捗と業績予想についての順でご説明します。
令和6年12月期 業績概要(連結)
2024年12月期の連結業績についてご説明します。
売上高は389億1,600万円で、前期比で11.7パーセント増となりました。営業利益は26億6,800万円で、前期比で192.3パーセントの大幅な増加となりました。経常利益も31億6,100万円で、前期比で136.4パーセントと大きく増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は22億9,900万円で、前期比で69.5パーセント増となりました。
また、1株当たりの年間配当金は55円(普通配当50円、記念配当5円)を予定しており、前期に比べて5円の増配となります。
業績の推移(連結)
業績の推移についてご説明します。2020年12月期から2024年12月期の間で、2024年12月期の売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、過去最高益となりました。
令和6年12月期 セグメント売上高(連結)
セグメント別売上高についてご説明します。
アグリ事業の売上高は107億7,900万円で、前期比で7.9パーセント増加しました。化学品事業の売上高は183億2,300万円で、前期比で16.4パーセントの大幅な増加となりました。不動産事業の売上高は13億3,800万円で、前期比で1.4パーセント減少となりました。
子会社である建材事業、石油事業、運輸事業の売上高は、それぞれ建材事業は37億200万円の前期比15.2パーセント増、石油事業は19億5,700万円の前期比0.8パーセント増、運輸事業は28億1,300万円の前期比8.1パーセント増となりました。
連結売上高は389億1,600万円、前期比11.7パーセント増となりました。
令和6年12月期 セグメント利益(連結)
セグメント別利益についてご説明します。
アグリ事業の営業利益は2億3,000万円で、前年の4億2,300万円の営業損失から黒字転換しました。化学品事業の営業利益は20億8,600万円で、前期比41.4パーセント増加しました。不動産事業の営業利益は7億3,600万円で、前期比2.2パーセント増加しました。
建材事業の営業利益は5,400万円で、前年3億1,500万円の営業損失から黒字転換しました。石油事業の営業利益は1,300万円で、前期比19.4パーセント減少しました。運輸事業の営業利益は2億9,600万円で前期比11.7パーセント増加しました。
各セグメントで利益の改善が見られた結果、連結営業利益は26億6,800万円で、前期比192.3パーセントの大幅な増加となりました。
主要経営指標(連結)
主要経営指標についてご説明します。
自己資本当期純利益率(ROE)は6.4パーセントで、前年4.1パーセントから2.3ポイント上昇しました。総資産経常利益率(ROA)は5.8パーセントで、前年2.6パーセントから3.2ポイントと大幅に上昇しました。売上高営業利益率は6.9パーセントで、前年2.6パーセントから4.3ポイントと大幅に上昇しました。
貸借対照表(連結)
連結貸借対照表についてご説明します。
総資産合計は584億200万円で、前期比で71億200万円増加しました。この増加は、流動資産が237億8,400万円から272億7,400万円に増加したことや、有形固定資産が163億8,000万円から169億9,000万円に増加したことによります。一方、無形固定資産は3億2,600万円から2億9,300万円に減少しました。投資その他の資産は108億700万円から138億4,400万円に増加しています。
負債合計については、流動負債が85億300万円から104億8,900万円に増加し、固定負債は88億9,700万円から99億5,400万円に増加しました。これにより、負債合計は204億4,300万円で、前期比で30億4,300万円増加しています。
純資産合計は379億5,900万円で、前期比で40億5,900万円増加しました。自己資本比率は64.9パーセントで、前年同期の65.9パーセントから1.0ポイント低下しましたが、依然として高水準を維持しています。
1株当たり純資産は4,468円46銭で、前期比で473円72銭増加しました。
キャッシュ・フローの状況(連結)
キャッシュ・フローの状況についてご説明します。
営業活動によるキャッシュ・フローは43億4,300万円で、前期16億2,000万円から大幅に増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローはマイナス16億1,300万円で、前期のマイナス16億4,000万円から2,700万円改善しました。財務活動によるキャッシュ・フローはマイナス3億5,200万円で、前期のマイナス11億6,900万円から8億1700万円と大幅に改善しました。現金及び現金同等物の期末残高は74億5,800万円で、前期の50億7,500万円から23億8,300万円増加しました。
キャッシュ・フロー関連指数の推移(連結)
キャッシュ・フロー関連指数の推移についてご説明します。
自己資本比率は64.9パーセントで、前期の65.9パーセントから1.0ポイント低下しましたが、依然として高い水準を維持しています。時価ベースの自己資本比率は50.1パーセントで、前期の53.1パーセントから3.0ポイント低下しました。
キャッシュ・フロー対有利子負債比率は0.6年で、前期の1.6年から1年改善しています。インタレスト・カバレッジ・レシオは347.2倍で、前期の135.6倍から約2.5倍に上昇しました。
配当の状況
配当の状況についてご説明します。
2024年12月期の年間配当金は1株当たり55円を予定しています。内訳は、普通配当が50円、記念配当が5円です。前期の年間配当金は50円であったため、5円の増配予定となります。
また、2025年12月期の年間配当金は1株当たり60円(普通配当60円)で、2024年12月期から5円の増配を予想しています。株主への利益還元により、引き続き、安定した配当の実施を目指していきます。
連結経営指標等の推移
連結経営指標等の推移についてご説明します。
営業利益は26億6,800万円で、前期比17億5,500万円増加となりました。
有形・無形の固定資産の増加額は18億7,800万円で、前期比2億6,800万円減少となりました。
減価償却費は12億4,400万円で、前期比9,700万円増加となりました。
これにより、営業利益とのれんを含む減価償却費の合算であるEBITDAは39億1,200万円で、前期比18億5,300万円増加となりました。
セグメント別実績 –アグリ事業–
セグメント別実績についてご説明します。まずはアグリ事業です。
アグリ事業の売上高は107億7,900万円で、前期比7.9パーセント増加しました。これは、肥料の販売価格が値下がりしたものの、販売数量が回復したことが主な要因です。
また、在庫評価の影響により売上原価率が低下したことで、営業利益は2億3,000万円となり、前期4億2,300万円の営業損失から黒字転換を果たしました。
セグメント別実績 –化学品事業–
化学品事業の売上高は183億2,300万円で、前期比16.4パーセントと大幅な増加となりました。これは、水処理薬剤や機能性材料の販売が好調に推移したことが主な要因です。
水処理薬剤については、超高塩基度ポリ塩化アルミニウムの販売数量が増加し、また、原料価格の上昇に伴う販売価格の是正に努めました。その結果、売上高は119億9,800万円で、前期比11.8パーセントの大幅な増加となりました。
機能性材料については、自動車関連のセラミック繊維向け高塩基性塩化アルミニウムの販売数量が、需要の回復により増加しました。また、スマートフォン向け高純度酸化タンタルの販売数量も好調に推移しました。その結果、機能性材料の売上高は61億6,800万円で、前期比27.9パーセントの大幅な増加となりました。
一方、その他化学品の売上高は1億5,700万円で、前期比19.1パーセント減少しました。
これらの結果、化学品事業全体の営業利益は20億8,600万円で、前期比41.4パーセントの大幅な増加となりました。
セグメント別実績 –不動産事業–
不動産事業の売上高は13億3,800万円で、前期比1.4パーセント減少しました。これは、ショッピングセンターの賃料収入が前期並みで推移したことによるものです。一方で、修繕費が減少したことにより、営業利益は7億3,600万円で、前期比2.2パーセント増加しました。
セグメント別実績 –建材事業/石油事業/運輸事業–
建材事業、石油事業、運輸事業の実績についてご説明します。
まず、建材事業の売上高は37億200万円で、前期比15.2パーセントの大幅な増加となりました。これは、石こうボードの販売数量の増加と販売価格の上昇が主な要因です。その結果、営業利益は5,400万円となり、前期3億1,500万円の営業損失から黒字転換を果たしました。
石油事業については、燃料油の販売数量は減少したものの、販売価格の上昇が寄与し、売上高は19億5,700万円で前期比0.8パーセント増加しました。しかし、洗車等油外収益の減少により、営業利益は1,300万円で前期比19.4パーセント減少しています。
運輸事業では、荷役量は減少したものの、貨物輸送量の増加が寄与し、売上高は28億1,300万円で前期比8.1パーセント増加しました。営業利益は2億9,600万円で、前期比11.7パーセント増加しています。
「中期経営計画2028」基本方針
「中期経営計画2028」の基本方針についてご説明します。基本方針は4つあり、1つ目の「成長事業への積極的投資と新事業の創出」として、ライフサイエンスでは「医療用材料事業の拡大」「コラーゲン事業の確立」「バカマツタケの事業化」を掲げています。
機能性材料では「ナノ材料の拡販」「技術革新による新用途、新商品の開発」「環境配慮型、社会課題解決型製品の新規開発」、M&Aと海外進出では「業務提携による事業拡大」「資本提携による多角化」「海外市場の開拓」に注力します。
2つ目「既存事業の深化による収益力向上」として、アグリ事業の継続力強化では「生産・販売・在庫の最適化」「モーダルシフトの推進」「環境配慮型製品の開発」「アグリ関連新事業への進出」を掲げています。
水処理事業の新展開では、「新高塩基度PACの市場浸透」「新たな環境配慮型凝集剤の開発」「原料の安定調達とコスト削減」を挙げ、不動産事業領域の拡大では、「コンパクトシティ化」「リノベーション事業およびフランチャイズ事業への進出検討」を行います。
「中期経営計画2028」基本方針
3つ目の基本方針「サステナビリティ・トランスフォーメーションの実践」として、気候変動への対応では、「省エネルギーの推進」「再生可能エネルギーの導入」「サプライチェーンを含めた温室効果ガスの削減」「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応」を掲げています。
人的資本経営の推進では、「平等な機会提供と女性活躍の躍進」「個別キャリアパスの構築と成長促進」「継続的スキル開発と最新知識習得のサポート」「円滑なコミュニケーションとフィードバック文化の構築」「従業員エンゲージメントおよび職場環境の向上、健康経営の促進」を行い、DXの推進では「RPAの活用および生成AIの導入による業務効率化」「ITリテラシーの向上」「ICTによる情報発信の多様化」に注力します。
4つ目の「GRCの推進」として、ガバナンス(G)では「取締役会の実効性の向上と独立性の確保」「適時適切な透明性の高い情報開示の徹底」「監査等委員会との連携による監査、監督機能の強化」「ステークホルダーとのコミュニケーションの充実」「地域社会への貢献」を掲げています。
リスク管理(R)では、「リスクマネジメント体制の強化」「定期的なリスクの見直しによるリスクマップの更新に基づく対応」「BCPに基づく事業継続性の強靭化」「情報セキュリティの強化」を行い、コンプライアンス(C)では、「強固なコンプライアンス体制の確立・浸透・強化」「内部統制システムの実効性の向上」「法令、規制変更への迅速な対応」「社内通報制度による問題の早期発見と自浄作用の強化」に注力します。
「中期経営計画2028」進捗について
「中期経営計画2028」の進捗状況についてご説明します。
2024年12月期は、肥料の販売価格が値下がりしたものの、販売数量が回復したことに加え、水処理薬剤の販売増加やスマートフォン向け高純度酸化タンタルの需要が大幅に回復したことなどにより、好調に推移しました。
その結果、当社グループの連結売上高は389億1,600万円、連結営業利益は26億6,800万円、自己資本当期純利益率(ROE)は6.4パーセントとなりました。
「長期ビジョンおよび中期経営計画」につきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。
令和7年12月期 業績予想(連結)
2025年12月期の業績予想についてご説明します。
売上高は410億円、営業利益は13億円、経常利益は18億5,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は16億5,000万円となる見込みです。
質疑応答:今期予想のボトルネックについて
「今期予想について、前期大幅増収増益だったとはいえ、保守的な予想に思えます。今期のボトルネックとなるのは何かありますでしょうか?」というご質問です。
アグリ事業では、「緑の食料システム戦略」に基づく化学肥料の使用量削減や国内未利用資源の活用などがさらに推し進められ、アグリ事業を取り巻く環境は重要な転換点を迎えます。化学品事業の水処理薬剤は、原料高や燃料価格の高騰に伴う物流運賃の上昇などにより厳しい状態が続くものと予想されます。機能性材料は、自動車産業において依然EV化のトレンドが継続しており、またスマートフォンなどの移動体通信の技術革新も予想されます。このような先行き不透明な状況の中、実現可能な業績予想となっています。
質疑応答:収益性の改善要因について
「前期は前々期に比べ収益性がかなり改善したと思いますが、その理由を教えてください。また今期は収益性が落ちることもあわせて、理由を教えてください」というご質問です。
前期は、アグリ事業では肥料の販売価格は値下がりしたものの、販売数量が回復したことにより売上高が増加し、加えて在庫評価の影響により売上原価率が低下したこと、化学品事業では、水処理薬剤の販売数量が増加したことや、原料価格の上昇に伴う販売価格の是正に努めたこと、機能性材料では自動車関連セラミック繊維向け高塩基性塩化アルミニウムの需要回復、スマートフォン向け高純度酸化タンタルの需要が好調であったこと、などにより収益性が改善しました。
来期は原料価格の上昇が見込まれますが、引き続き需要動向を的確に捉えた生産と適切な販売戦略により、収益を確保していきます。
質疑応答:利益率の高い事業と利益率向上施策について
「収益構造の中で最も利益率の高い事業はどれでしょうか? また、利益率向上のための施策は何かありますでしょうか?」というご質問です。
化学品事業の機能性材料は付加価値の高い製品が多く、総じて収益性が高いものとなっています。成長事業に対して、積極的な投資によって事業の早期拡大を実現していきます。メディカル材料、コラーゲン材料は、品質や機能の向上によりライフサイエンス分野への展開を推進します。アルミニウム化合物やナノ材料などの機能性材料は顧客ニーズや技術動向を踏まえ開発と拡販に取り組みます。
質疑応答:高純度酸化タンタルについて
「前期、化学品事業ではスマートフォン向け高純度酸化タンタルの需要増加が業績を押し上げましたが、今後のスマホの出荷台数にも影響はあるものなのでしょうか? 高純度酸化タンタルはどのようなものなのか、どのような役割があるのか教えてください」というご質問です。
高純度酸化タンタルは、特定の周波数だけを通して、他の周波数を取り除くフィルター(SAWフィルター)の原料として使用されています。スマートフォンには欠かせない部品となっていることから機種を問わず、基本的にはスマートフォンの出荷台数に影響を受けます。
質疑応答:中期経営計画からの上振れの可能性について
「中計でROE6.0パーセントを掲げてらっしゃいますが、さらに上振れる可能性はありそうでしょうか?」というご質問です。
今期は肥料の販売価格は値下がりしたものの、販売数量が回復したことに加え、水処理薬剤の増販やスマートフォン向け高純度酸化タンタルの需要が大幅に回復したことなどにより、好調に推移しました。その結果、ROEは6.4パーセントとなりました。来期は原料価格の上昇が見込まれており、今後の業績については依然不透明な状況です。
質疑応答:新規事業について
「新規事業に向けて、お伝えできる範囲で何か取り組まれていることはありますか?」というご質問です。
2025年1月7日に洛東化成工業株式会社の株式を取得しました。同社の株式取得は、当社グループの主要セグメントであるアグリ事業におけるバイオスティミュラントや化学品事業における環境に配慮した水処理薬剤の開発、さらに新たな研究開発において事業シナジーを発揮することが期待されており、長期ビジョンの達成に向けて強力な推進力の一つとなると考えています。
質疑応答:配当方針について
「株主還元に関しまして、何か方針はありますか?」というご質問です。
株主様への利益還元は重要な経営課題として位置づけ、連結配当性向が30パーセント以上となるよう常に意識しています。2025年12月期の配当予想は、2024年12月期の1株あたり55円(予定)から5円増配し、普通配当を60円としました。
今後も安定した配当の継続を基本方針とし、適時適切な自己株式取得も引き続き機動的に実施することで総還元性向を高め、株主様への更なる利益還元に努めていきます。