会計を理解する

かぶ1000氏(以下、かぶ1000):次は、応用編にいきます。応用編は「会計を理解する」。応用なので、少し難しい話になってくると思いますが、みなさん、がんばってついてきてくださるとうれしいです。

カーネル・サンダースみたいなおじいさんいると思いますが、この方がウォーレン・バフェットという有名な方ですね。あるテレビ局の取材をバフェットさんが受ける中で、「若い投資家に何かアドバイスいただけますか」という質問になんて答えたかというと、「まず会計を理解していなければなりません」「我々にとって言葉のようなものです」と答えていたのですが、これは私もそのとおりだと思っています。

やはりその会計がわかっていないと、いわゆる言葉がわからない状態になっているわけです。それだと、投資の成果も含めて、それが良かったか悪かったかも理解できないし、何をもとにして投資したかが、よくわかってこないと思うんですよ。なので、会計を理解したほうがいい。

会計は何かというと、決算短信とか有価証券報告書を見たことある人はいるかな? 見る習慣をつけることは、私はすごく大事だと思うんですよね。有価証券報告書は少しハードルが高いので、まずは決算短信。その中でもその損益計算書と貸借対照表。キャッシュフロー計算書の説明をすると、さらにちょっと時間かかってしまうので、もし興味ある方はこういうのをググっていただければいろいろ出てくると思います。

大事なのは、会社の実態を把握できる唯一の資料です。いわゆる一次情報というもので、私が今日の最初に正しい情報を取るようにしましょうと言ったと思いますが、まさにそれがこういう部分であって、会社が公表する資料をしっかりまず見ることがすごく大事だと思います。

会計のルールは変わることがけっこう多いんですよね。例えば、2年ちょっと前に収益認識基準という会計基準が少し変わりました。それが変わることによって、会社の売上の計上の仕方や会社の利益の計上の仕方がちょっと変わったんですね。そういうので基準が変わることによって、その株に対する評価の基準が変わったりすることがけっこうあるんですよ。簿記の勉強をしたくない人も多いと思いますが、知っておくとやはり、理解がより深まります。簿記3級ぐらいでもぜんぜん僕はいいと思うので、ぜひ、興味があったら勉強してみてください。

下のほうに、勉強したほうが良い資格と書いてあると思います。星3つが簿記で、星2つが中小企業診断士です。中小企業診断士はけっこう難しい資格で、最近有名になった個人投資家で元お笑い芸人の井村さん(井村俊哉氏)は中小企業診断士の資格持っているんですよね。やはりそういう資格持っていると、企業調査は有利なんだなと思います。

販売士をなぜ入れたかというと、やはり最初にどういう会社に投資したほうがいいかという時に、一般消費者に物を売る、ビジネスをする会社であるBtoCの会社から投資対象を選んだほうがわかりやすいと思っているんですね。BtoCの業界で1番関連性が深いという意味で、販売士の資格を持っているといいんじゃないかなと思います。

例えばその商品の陳列だとか、どういうルートで商品を仕入れてるかということを学ぶのですが、陳列の位置ひとつ取っても、売れ筋の位置は決まっているんですよね。目線の高さが売れ筋の位置なので、例えばそういうところによく置いてあるこの商品の売上がいいんだなと、陳列の棚を見るだけでわかるわけです。

そういうことを知っておくと、この企業のこの商品はものすごく売れ筋商品なんだなと、陳列の棚を見ただけでわかるようになるんですね。そういうかたちですぐに判断できるようになると、投資の成果も大きいと思うんですよ。なので、そういうことを知っておくといいんじゃないかなと思います。

あとは、ファイナンシャルプランナーという資格もあります。これは家計簿だとかになってくるので、ちょっと薄いかなと思いますが、やはりお金の仕組みとか、お金をどう使ったほうが効率的なのかというのを知る上ではいいのかなと思います。

本当に価値があるものは何かを知る

次に、いきましょう。これはちょっと、みなさんにもなじみがあることかもしれません。「本当に価値があるものは何かを知る」ですが、今の時代って、株に限らず本当にいろいろなものにいろいろな価格がついています。価値の大元になっているのは何かというと、時間、時期、思考の変化などで、さまざまな要因によって大きく変わるんですよね。

例えば、時間で変わるものが何かというと、骨董品。壺とか、掛け軸とか、骨董品を集めているおじいちゃんと一緒に暮らしている人もいると思います。ワインやウイスキーも時間が経てば経つほど価値が上がってくるので、最近はこういったものも価値があるものに入るようになりました。

次に時期があります。本当にその時その時のものによって変わります。例えば、最近だとコロナがありました。最初の頃、マスクが足らないマスク足らないとすごく話題になって、マスクの値段がすごく高くなったのを記憶してる人はいるかな? 食料なんかもそうですが、例えば、野菜が取れなくなってくると、野菜の値段が高くなったりするじゃないですか。不作の時期とか、需要が爆発的に増えて生産が間に合わなくなる時期は、価格と価値がすごく上がったりすることがあります。

次が嗜好の変化です。「なんでも鑑定団」という番組を見ている人がいるかわかりませんが、そういうところで最近、ブリキのおもちゃとか、現代アートとか、そういうものがすごく高くなっているんですよね。これは何でかというと、やはりそういうものを欲しいと思う人が増えているからなんですよ。

昔は、おもちゃの価値がこんなに上がると思っている人はほとんどいなかったと思いますが、最近はそういうものに対しても、価値があったり、欲しいという人が増えてきたので、物の価値は変わってきているんですね。そういう嗜好の変化もすごく大事かな。そういうのを捉えられるとお金をすごく大きく増やせるチャンスを知ることになるんじゃないかなと思うんです。

その中において、その100年以上にわたって価値が残るものは何なのか。例えばブリキのおもちゃ価値が上がってきたのは本当にここ数十年の話ですよね。100年以上にわたって価値が残ってきて残ってるものが何かというと、例えば土地です。東京の一等地の土地はもう昔からずっと価値があるわけですよ。あとは、貴金属。金とかの値段見ている人はいるかな? 

金って今、1グラム1万円以上するのですが、これも昔に比べるとものすごく高くなってます。宝石は、あまりみなさんはご縁がないと思いますが、もしかしたらダイヤモンドを持っているお母さんもいるかもしれません。物によりますが、ものすごく価値が上がっている宝石もあります。

骨董品。骨董品の中でも、有名な作家さんの骨董品や美術品ですね。例えば絵とか。レオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザの絵なんて、今オークションに出たら何百億という値段がつくと思います。そういうものすごく有名な美術品には価値があるんだよということです。

最近の特徴として、ポケモンカードとか、遊☆戯☆王カードとかで、遊んだことがあるよって人、いますか? いるかな、あまりいないかな。

話者:あります。

かぶ1000:ありますか。そういうカードの中でも、ものすごく価値があるカードが出てきていて、特に、この「カオス・ソルジャー」というステンレスでできたものは、大会で優勝した人がもらえるカードで、本当に珍しいカードなので、こういうカードには10億円の値段がついたことがあるんです。

あとこの「ポケモンイラストレーター」ですか。こういう、普通の人ではちょっと手に入らないカードにオークションで4,200万円の値段がついたり。昔だとちょっと考えられないような値段がつくことがあるんですよ。株よりもこういうカードのことに詳しかったら、もしかしたらこっちの方が儲かるかもしれないぐらいですよね。

僕には年の離れた弟がいるんですけど、弟が「遊戯王で遊びたい、遊びたい」と言うから最初はあまり遊ぶ気がなかったのですが「遊戯王カード」を遊ぶことになって。そこでカードの価値を調べたら、価値が高いものと安いのがあることに気づいて、フリーマーケットとか「メルカリ」とかオークションで売り買いしたこともあったんですけど。

そういうかたちで、こういうカードの値段とか、本質的な価値、どれぐらいで売れるかを知っておく。例えばこのカードが1万円で売れるとわかっていて、5,000円で売っていたら、買って1万円で売ろうとするじゃないですか。

株も共通なところがあって、僕がやってる投資は割安株投資、バリュー株投資といいます。本質的な価値よりも低い価格で取引されている株を買って、適正価格になるのを待って売るというやり方で、まさにそのカードのやり方なんですよ。なので、損する確率がものすごく低い。

そういう意味ですごくいい投資法なのですが、こういったものを応用することによって、株にも転用できるんじゃないかということで、みなさんもぜひ自分の興味があるもので価値があり、今後、価値が出そうだなと思うものを今から仕込んでおく。

私は50歳で、みなさんよりも30歳以上年上ですが、みなさんはまだ若いですから複利の力も活かせますし、こういう未来も、みなさんのほうが見られるので、今後、価値が変わってくるんじゃないかな、と思うものに、株以外でも投資するとおもしろいんじゃないかなと思います。

多面的に見る習慣を身に付けよう

次、いきましょう。次は「多面的に見る習慣を身に付けよう」。ここで大事なポイントは、同じカテゴリーのものを多面的に見ることです。

やはり違ったものだと、違うというふうに見えると思うんですよね。例えばご飯を食べる時、ステーキとパスタだと、ぜんぜんものが違うから違った食べ物だとわかると思いますが、ステーキだったら同じステーキを見るわけです。それによって、ここのステーキにはどういう特徴があるんだとか、このステーキは値段のわりにコスパがいいのかとか、そういうことが見えてくるんですよ。

だから、同じものをいろいろな目線で見るということが、株の世界ではすごく大事なんですよね。例えば、有形資産、無形資産って聞いたことがある人がいるかどうかわからないのですが、有形資産というのは字のとおり有形なので、現金とか土地とか建物とか、そういう目で見える資産です。

一方で無形資産というのは、最近ものすごく重視されていますが、例えば特許権とか商標権とか著作権とか、ソフトウェアの使用権とかいろいろあります。そういうものをどういうふうに資産として見るかというところです。

資産を見る時に、有形なのか無形なのか、無形の中でも何の価値なのかというのをしっかり分類して、それぞれその企業が持っている資産の価値はどうなのかを探っていくのが大事なんですよ。

例えば、みなさんもコカ・コーラという会社をよく知っていると思いますが、あれはバフェットがすごく投資で大きくもうかった会社で、何が強いかというと、無形資産なんですよね。

同じ「コカ・コーラ」というものがスーパーで売っていたとします。「コカ・コーラ」と書いてないものが100円で売っていて、「コカ・コーラ」と書いてあるものが100円で売っていたら、みなさんどっちを買いますか? 同じ値段だったら、ほぼみんな「コカ・コーラ」のほうを買うと思うんですよね。

「コカ・コーラ」って書いていないものが100円、「コカ・コーラ」と書いてあるのが150円だったとしても「コカ・コーラ」と書いてあるものを買う人もいるわけです。

それが商標権の価値です。同じものなのに「コカ・コーラ」という名前が付いただけで付加価値が生まれて高く売れるというのは、無形資産としてすごく価値が高いとなるんですよね。バフェットはそこに目を付けて、投資して大成功しました。

そういうかたちで、その会社が他の企業に比べてどういう有利な資産を持っているかをしっかり見極めておく。これから株式を分析する中で、この会社は割安なのか割高なのかとか、この会社はどれぐらいの価値があるんだろうというのをいろいろ測る時、多面的に見る時に、すごく大事な判断になってくるので、実際にこういうことを見れるようになるといいなと思います。ちょっと難しいですけどね。

具体例を書きました。ちょっとこれは難しいかもしれませんが、昔は記念硬貨という金貨が出ている時代があって、昭和60年には10万円の記念硬貨が出たんですね。発行枚数が1,000万枚なので、ものすごくたくさん作ったんですよ。

10万円の金貨で、発行枚数が1,000万枚で保存状態も悪いから、古銭的な価値という意味ではまったく価値は付きません。ただ、10万円金貨なので10万円としては使えます。銀行に持っていけば10万円と両替はしてくれます。だから、10万円の価値はあります。

なので、表面的に損することはない。だけど、よくよく考えてみると、この10万円金貨には純金が20グラム使ってあります。「希少価値はなくて保存状態もダメだけど、素材の価値で見たらどうなの?」というふうに見たら、今、金の価格は1gで約1万686円(発表当時)なので、実はこの金貨には21万3,000円の価値があるわけです。

なので、「10万円金貨は使わないしボロボロだから、もう要らないや。銀行に持っていこう」という人がいたら、「ちょっと待ってください、おじさん。僕がこれ11万円で買ってあげますから、僕に売ってくれませんか?」と言った瞬間、買った人は21万3,000円の価値の金を手に入れるので、儲かるわけです。

10万円という値段で見ちゃうと10万円しか価値がないのですが、「いや、物の価値で見たら違うんじゃない?」という、見方を変えられるかが大事です。

株でいう有形資産、無形資産にも関係してくるのですが、わかりやすく言うとこういうかたちで、何の価値を重視したら一番そのものの価値がしっかりわかるかというところです。

今回の場合は、その素材の価値が一番あると判断できた。金の価値は、コインが削れていたらちょっと別ですが、曲がっちゃっていても金は金で変わりません。

そうだとすると21万3,000円の価値があって、当時10万円で買ったものが今2倍の価値になっているということがわかるので、そういうかたちで、物事の値段を多面的に見ることは大事かなと思います。

(次回へつづく)