2018年12月期決算説明会

佐藤龍二氏(以下、佐藤):佐藤でございます。本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、平素はご高配を賜り、重ねて感謝申し上げます。

本日は、昨年度の決算報告、ならびに、中期事業構想を、次なる中期事業構想へと1年前倒しで進めてまいりますので、そちらの説明をさせていただきます。まずは当社の村井より、昨年度の決算報告についてご説明いたします。よろしくお願いいたします。

村井正浩氏:私より、2018年度決算の結果について説明させていただきます。まず、お手元にお配りした商品についてご紹介します。みなさまご存知かと思いますが、プレミアムブランド「オージュア」に新しいラインが入りました。

いい方はよくないのかもしれませんが、ハイエイジング毛、要するにエイジング毛の中でも、さらに厳しい状態に対応する製品になっています。もちろん、美容室ではそのような説明はしませんが、女性のみなさまに使っていただけるようなラインとして、期待しているものでございます。

「オージュア」については、前年度も非常に好調でしたが、今年度もこのラインを加えることによって、さらに加速するのではないかと考えております。

決算期の変更について

それでは、2018年の決算について、簡単にご説明します。2017年度は、決算の期間がややイレギュラーでした。スライドの2ページに、そのことについて書いてあります。本日のご説明では、日本・海外とも、前年度の数字を12ヶ月に調整したもの使っているというところだけ、ご了解いただきたいなと思います。

連結 経営成績

全体の業績についてです。先ほど申し上げたプレミアムブランドをはじめとして、ヘアケア用剤が非常に順調でした。一昨年度(2017年度)に発売されたファッションカラー「アディクシー」も非常に順調で、大きく伸びました。

これらの効果もあり、売上・利益とも2桁成長を達成いたしました。私どもの決算で、2桁成長はおそらく2005年度以来ではないかと思います。それくらい、数字的には非常によかった年だったと思います。

連結 部門別売上高 [ヘアケア用剤部門]

部門別でいいますと、繰り返しになりますが、ヘアケア用剤が非常に順調です。

ブランド別情報 オージュア

ミルボンの主力ブランドである「オージュア」は、(販売高が)67億円を超えるような水準になっており、前期比で30パーセント近い伸長をしているということで、これが全体をけん引していることは間違いないかと思います。

ブランド別情報 プレミアムブランド “milbon”

海外への展開もしている「milbon」、通称グローバルミルボンですが、こちらも(販売高が)前期比で40パーセント以上の伸び率を示しています。窓口軒数も順調に伸びており、国内・海外とも順調にいっているのではないかと評価しております。

連結 部門別売上高 [染毛剤部門]

そして染毛剤部門は、ご覧いただくとわかるように、先ほども申し上げた「アディクシー」(の販売高)が前期比で50パーセント以上と、大きな伸びを示しています。

ただ、染毛剤部門全体としては、(販売高が前期比で)8.3パーセントの増加となりました。我々としてはわかっていたことなのですけれども、グレイカラーの新製品の投入が遅れているということもあり、横ばいとなりました。

ブランド別情報 ヴィラロドラ ①

オーガニックブランドの「ヴィラロドラ」は、引き続き順調に伸びております。ブランドとしては、(販売高が前期比で)15.1パーセントの伸び率となりました。

ブランド別情報 ヴィラロドラ ②

とくにこの「ヴィラロドラ カラー」が、(販売高が前期比で)18.3パーセント増となり、順調に伸長しております。

連結 損益計算書等

損益計算書です。前期と比べて、それほど大きな差は見て取れないのですけれども、売上原価が比率としてはやや下がっているということがおわかりになるかもしれません。

(旧)「オージュア」の返品調整引当金戻入を実施しましたので、このあたりの特別要因がある程度効いているかなと(思います)。通期になりますと、さすがに影響は和らいできています。これは第1四半期で行っているものなので、そういう関係もあります。

連結 設備投資等の推移

続いて、設備投資等の推移です。2018年度に計画していた設備投資を少し延期しました。福岡支店(の移設増強)を計画にあげていましたが、いまのところの予定としては、2020年度に移設増強を行うことになりました。

マーケット関連資料&フィールドパーソンの推移

フィールドパーソンの推移です。1人あたりの生産性が、日本では非常に高くなっているといえますけれども、逆にいうと、1人あたり(の生産性)の水準が高いというのは、いいことばかりではないかなと……サービスを行き渡らせるということなどでは、必ずしも1人あたり(の生産性)が上がるのがいいこととはいい切れませんが、現実としては、(日本では)1人あたりの売上高が1億1,000万円になっています。

国別の状況

国別の状況です。こちらは、決算期がイレギュラーなことも関係があるので、次のページで説明したいと思います。

海外子会社の状況 ①

こちら(スライドの表)は、1月から12月という期間に置きなおして、その期間の現地通貨で比べたものになります。数字はご覧いただければわかると思いますけれども、ミルボンUSAも(前年同期比で)9.0パーセントの伸びで、ミルボン上海にいたっては(前年同期比で)30.3パーセント増という高い成長を示しています。

海外子会社の状況 ②

韓国(ミルボンコリア)は、ミルボン上海と並んで高い伸びを示していたのですけれども、(競合他社から)安いヘアカラーが出たことで、いくらか厳しい状況になっていました。終わってみると、前年度(と同等)の水準はなんとか確保したということで、逆にこれからいろんな面が楽しみになってくるかなと思います。

ミルボンタイランドは、まだ数字が小さく、前期実績を少し割っていますが、まだまだこれから市場を作っていくというような状況ですので、これからに期待していただきたいなと思います。

ざっとですが、私からの説明は以上で終わりにしたいと思います。

Ⅰ.前中期事業構想(2015-2018)総括①

佐藤:それでは私から、まずは中期事業構想について、そして最後に2019年度のポイントについてご説明させていただきます。今年度は、中期事業構想の説明のために、通常よりもちょっと時間をいただきますので、ぜひ最後まで聞いていただけると幸いに思います。よろしくお願いいたします。

まず、前中期事業構想の総括です。2018年度の実績は、先ほど村井から報告させていただいたとおりです。

前中期事業構想は、当初は2019年末までの5ヶ年で350億円という目標を立てておりました。その後、営業利益60億円という修正目標を出させていただいておりましたが、2018年度に売上高が351億円を超え、利益も62億6,000万円となり、いずれも1年前倒しで目標をクリアいたしました。そこで、いろいろ考えた末に、本年度から新たな中期に入りたいということになりました。

中身を見てみますと、とくにこの4ヶ年の中期の中では、国内市場のシェアの拡大が順調に進み、ここ(スライド)にもあるとおり、(2014-2018年度の)平均伸び率で7.2パーセントとなりました。

海外は、達成率が81.7パーセントとありますが、もちろん1年前倒しした影響がありますので、今年度まで含めれば90パーセント台になろうかと思います。(2014-2018年度の平均)伸び率は19.4パーセント、アベレージで約2割ということで、(国内と比べると)やはり海外のほうが大きい伸長をさせていただいているのは事実であります。

純利益が(達成率)116.8パーセントと大きくなっておりますが、これは政策保有株式の売却をしたためです。

Ⅰ.前中期事業構想(2015-2018)総括②

この4ヶ年を振り返ってみますと、一番大きい投資は、みなさまご存知のとおり、50数億円かけて行ったゆめが丘工場の統合、そして新工場(開設)です。国内では、こちら(スライド)にありますように、銀座から始まり、熊本。岡山、静岡など(に拠点を開設しました)。

海外では、フィリピンやシンガポール(に拠点を開設しました)。また、韓国、中国の子会社が新たな拠点を作ったほか、将来を見越してヨーロッパ向けにドイツに拠点を開設いたしました。

このような拠点開設・移転の取り組みのほか、一昨年末(2017年末)には本社を(東京へ)移転しました。また、この中期には、今後の人材・将来のリーダーを育てていくということで、秋採用をスタートしたり、「ミルボン大学」という次のリーダー候補生を育てていく活動も行ってきました。

そしてもう1つ、後ほどまた少しお話をしますが、株式会社コーセーさまとの新たな事業として、化粧品事業を始めることになりました。KMCという合弁会社を立ち上げ、この中期からいよいよスタートいたします。

「ミルボンを知ってもらおう」「製品ブランドを知ってもらおう」ということで、少しずつではありますが、この数余年間にわたって、ブランディングを強化してきました。

Ⅱ.新中期事業構想を迎えるにあたって①

時代の流れやサロンの環境が変化する中で、どうするかということを悩みましたが、「タイミングはここかな」ということで、この2019年度から、新たな中期事業構想をスタートすることにいたしました。

新たな中期事業構想をスタートするにあたって、当社で検討いたしましたのは、まず1つは、世界やグローバル市場、または日本市場におけるトレンドです。

まず、世界においては、4つのインパクトがあるといわれています。1つは、経済の重心の移動と多様化です。これはどういうことかというと、世界では今後、「都市」といわれる部分が、新興国を中心に次々と生まれてくるといわれています。新興国の中からそういった「都市」が生まれることで、今後、新たな消費活動が生まれてくるのではないか(と考えています)。

次に、グローバル市場の流れですが、従来の先進国から新興国へ向けた流れだけではなく、新興国から新興国など、(市場の流れが)複雑化しています。そんな中、とくにアジアについて見ると、数年後にはRCEP加盟国で世界の貿易額の50パーセントを超えるだろうといわれています。今後、アジアは我々にとっても大きな市場になっていきますので、そうした意味で1つの(重要な)流れかなと思っています。

また3つ目が世界規模の高齢化。そして大事な4つ目が、AIや3D、5Gといった技術革新スピードと普及スピードの加速化です。これによって何が起こっているかというと、業界などの垣根を超えてつながっていく、垣根が低くなっていく……このような流れが、世界で、また日本でも、起こってきているのではなかろうかと我々は捉えています。

そうした中で、日本のトレンドで見ますと、1つ目は少子高齢化が進んでいるいうこと。そして2つ目には、世界と同じように、都市部・中心部へ人口や生活インフラが集まってくるということです。コンパクトシティという言葉もございますが、今後、この流れがますます加速していくのではないか(と考えています)。

3つ目に、生産性向上への流れです。昨今、外国人就労の問題もありますが、若い人、次の世代をどのように確保し、生産性に結びつけていくか……働き方改革もございますが、最終的にはどのように生産性に結び付けていくかという流れ。

そして、最後は世界のトレンドの4つ目とリンクしますが、新たなビジネスモデル台頭の流れということで、こちらもご存知のように、さまざまなものづくり企業とIT企業が提携をしていく……そのような流れが、いま日本でも起こってきています。

Ⅱ.新中期事業構想を迎えるにあたって②

このような大きな時代の流れにプラスして、美容市場はどうかといいますと、美容市場にもさまざまなことが起きており、大きく4つの課題がございます。

1つ目は、美容師の平均勤続年数です。産業全体では12年といわれていますが、理美容業界では、1つのお店に約6~7年就業するというデータがあります。(産業全体の)平均と比べると半分しかなく、定着がなかなか難しいということです。

2つ目に、美容師数の推移です。美容師の国家試験合格者数が、2005年では約3万人でしたが、2017年では約2万人と、約6割の1万8,000人強くらいになってきています。美容室においても、今後成長していこうとされるサロンほど、若手をどう採っていくかということで、若手人材の採用難が大きな課題となってきます。

一方、見方を変えると、従業美容師数は、2005年から2017年までの間に約42万人から約51万人に増えているという現実もございます。そんな中で、サロンからすると、どのように生産性を上げていくかということが1つの大きなポイントだと思っております。

Ⅱ.新中期事業構想を迎えるにあたって③

そして3つ目に、サロンにおける働き方の多様化です。美容室ではどうしても、アシスタント・スタイリストになってそのお店にずっと残るか、独立するかという二者択一になりますが、ここから働き方を変えていかないと、今後の人たちが続かなくなってきます。

先ほどの1つ目の(勤続年数の)ことともつながっておりますが、一般的なサロンで選択肢の幅への対応が遅れたがゆえに、異業種から面貸や業務委託サロンが台頭してきているという側面もあります。

ただ、いま「一般的」といういい方をしましたが、そういうサロンの中でも組織的なサロンでは、さまざまな働き方の改革に取り組み、会社としてのあり方が変わられてきているのも事実です。

そして4つ目に、社会保険、残業代、労務・福利厚生費。隣の美容室と競争する時代ではなくて、やっぱりその街の普通の会社と比べてどうかというところの競争関係がないと、若い人たちが入ってきません。

そうなってくると、初任給の引き上げ(が必要です)。かといって、初任給だけ引き上げるわけにはいきませんから、人件費の総合的な見直しを迫られるということで、経営コストを増加させる要因がかなり増えてきています。今後どうあるべきかということが問われてくる時代に入ったのかなと思います。

Ⅱ.新中期事業構想を迎えるにあたって④

美容市場だけをまとめますと、いま問われているのは、やはり1つは、いかに雇用力を高めるかという経営力です。「美容室だから」ということではなく、地域の優良企業と同じ環境を作っていかないと、若い人たちは美容室に入ってこない時代になってきています。

それから、ヘアデザインはもちろん大事なのですが、やはりこれだけ少子高齢化すると、ヘアデザインだけでなく、その根底となる髪そのものの悩み(が増えてきます)。顧客力に対応したマーケティング力といった新しい価値観が求められてきているのではないかと思います。

そんな中で、これまでのデザイナー(美容師)1人の力から、組織としての力が問われる時代に入ってきたのではないかと、我々はとらえております。それが2つ目の大きなポイントです。

Ⅱ.新中期事業構想を迎えるにあたって⑤

世界・日本のトレンド、我々の事業である美容市場の流れ……ここに加えて、3つ目としまして、これは私以上にみなさま方がよくご存知だと思いますけれども、企業の社会的責任の潮流です。メセナ活動から始まり、CSR、CSV……私は、このCSVという考え方が出てきたあたりから、大きく流れが変わったと捉えております。

本業を通してどのように社会的な貢献をしていくかというように、SDGs貢献企業としてのあり方が問われる時代。また、お客さまたちも、社会に対する倫理観というのが少しずつ芽生え、高まってくる時代に入ったのではないかと(思います)。我々としてどう対応していくべきかということを考えていかなくてはならないのかなと捉えております。

Ⅱ.新中期事業構想を迎えるにあたって⑥

世界の4つのインパクト、日本の美容市場の現状、企業の社会的責任の潮流等、諸々の背景を考えまして、新たな時代に入っていく流れになったのかなと捉え、2019年度から新たな中期事業構想を策定させていただきました。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)①

中期ビジョンですが、まずは、先ほどから説明させていただいておりますように、いままでの美容業界の視点から、本質的な社会・顧客視点へということです。

この社会視点というのは、今後は地域の中で、美容室同士の競争ではなく、地域の企業との競争になってくるということで、社会的視野を持たなくてはならなくなってくるということ。また、社会視点ということを大きくしていくと、先ほどのCSVやSDGsにもつながってきます。

そこにプラスして、顧客視点……この顧客視点というのは、日本もですが、世界的な流れとして、これだけデジタル化が進んでくると、どう顧客に寄り添っていくか、どう顧客にカスタマイズしていくかという顧客視点が問われる時代に入ってきたのではなかろうかと思います。そこで我々は、日本発信の美容文化をもとに、新たな美容産業の、発展というよりも創造へ、転換・追求をしていきたいと思っております。

こうしたことから、中期ビジョンを「本質的な社会・顧客視点での“プロフェッショナル価値”を生み出すグローバルメーカーとしての企業体を創出し、アジアNo.1、世界ベスト5の確立」とし、この中期で目指してまいります。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)②

我々には、「ミルボンWAY」なるミルボンパーソンとしての指針があります。その指針の中に、長期ビジョンとして、ミルボンのグローバルビジョンというものがあります。

このグローバルビジョンというのは、ミルボンが将来どうありたいかということを指針としたものです。そして、このビジョンを体現したときに、どのように社会の役に立つのかというところを表しているのが、ビジョンに対する大義です。

その大義の中に、(以前から)社会的価値と経済的価値の融合ということを入れておりました。今回、そこの文言を少し新しくして、「ミルボンWAY」を土台とした「グローバルビジョンロードマップ」というものを作成いたしました。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)③

(「グローバルビジョンロードマップ」には)2つの視点があり、1つは「社会・顧客視点による革新の連続を創造する企業へ」。もう1つは、「SDGs貢献企業へ」ということで、我々なりに、本業を通してできる活動に取り組み、それにより持続的成長を実現し、社会への貢献によって信頼される企業になっていきたいと(考えております)。

我々は、「ミルボンWAY」を土台として、グローバルビジョン・中期ビジョンを上段に掲げ、それをつなぐビジネスモデル(を展開し)、また、本業を通してどのように我々が社会に貢献していけるかを、次期中期に向けて、今中期からスタートしていきます。そして、長期的にこうしていきたいというビジョンに分けて、「事業の永続性」という捉え方で、SDGs17の項目から戦略的に絞り込んで、我々が貢献できる内容を組み込んでいます。

今中期は、まず社内でSDGs推進委員会を立ち上げ、我々の各部署でどういうことに貢献できるかということを一つひとつ具体的にしていき、それを実践していこうとしています。この流れを時系列で示し、我々が目指すビジョンと重ね合わせ、ロードマップとしております。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)④

連結売上目標は、2023年度までに485億円としています。2021年度から収益認識基準が適用されるということで、我々の中期事業構想の途中で変わるかたちになりますので、この機会に収益認識基準に直すことにいたしました。こちらの売上目標や、これから私が申し上げる数字は、すべて「収益認識基準に関する会計基準」等を適用して目標の設定をさせていただいております。

昨年度までの売上基準でいくと、連結売上目標の485億円は、500億円を少し超えるぐらいとイメージしていただいたらいいかなと思います。収益認識基準でいえば、485億円ぐらいになるということです。国内売上が400億円、海外売上が85億円、海外売上比率が17.5パーセントという目標を立てさせていただいております。

海外売上比率があまり伸びないのは、国内で化粧品事業が始まるためです。この中期では、まず国内で化粧品事業の土台を作りたいということで、国内での化粧品売上がふくらんでいきます。海外でのヘア事業の伸び率は高いのですが、(国内の)化粧品が入ってくるために、売上比率でいうとそこまで大きく伸びるわけではないということで、ご理解いただければと思います。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑤

次に、グローバルポジションです。富士経済の調査によれば、(2018年度は)総売上で換算した(弊社の)日本シェアは約20パーセントということですが、これをこの5年で約25パーセントまで引き上げていきたいと(考えています)。

また、Klineの調査によれば、アジアにおける現在の我々のシェアは約11パーセントです。ただ、この11パーセントはかなり日本に偏っています。より確固たるアジアでのシェアを作っていきたいということで、(2023年度の目標を)14パーセントとします。(現在も)No.1はNo.1ですが、やはりアジア全体を網羅していきたいと(思います)。

そして世界シェアでは、(2018年度の3パーセントから、2023年度目標の)4パーセントになると、(スライドの)右の表にありますように、世界ランキングで5位以内に入ってくるのではないかと捉えております。

もちろんこれには他社の伸び率も関係しますので、一概にはいえませんけれども、485億円を達成していくと、うまくいけば世界4位あるいは5位以内に入ってくるのではなかろうかと思っております。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑥

具体的な施策ですが、日本市場政策としては、先ほどから申し上げておりますように、まずサロンの経営課題の解決です。

この10年間、ミルボンはサロンに向けて、「CHALLENGE80」という、(サロンスタッフ)1人あたりの売上高80万円を目指すことをサポートする政策を展開をしておりましたが、いまの経営課題を考えると、80万円では心もとなくなってきます。しかも、10年前からすると、1人あたり売上高が80万円を超えているサロンがすでに4倍近くになってきています。

そこで、次のステージ「NEXT100」へということで、「LIFETIME BEAUTY INNOVATION for NEXT100」として、今後は1人あたり売上高を100万円にしていくために、サロンに向けてさまざまな施策を打っていきたいと思っています。こちらの施策を大きくまとめたのが、その(スライドの)文言であります。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑦

日本市場の5つの施策をご説明します。1つ目の施策は、サロンの生産性向上をどう支援していくかということです。

1つは、我々のメーカーとしての製品開発です。これは「R&D VISION 2028」ということで、(次期中期事業構想の)さらに5年後を視野に入れた研究開発のビジョンを策定しております。これに向けて、顧客視点の強化、最先端の技術、また、ただいま基礎研究にかなり力を入れておりますので、そちらと合わせて高付加価値製品づくりに取り組んでいきます。

そして2つ目に、フィールドパーソン体制です。従来は、俗にいわれる営業担当と教育担当として、FS(フィールドセールス)とFE(フィールドエデュケーター)という職種がございました。

今後はそこに化粧品の教育担当が加わり、1つのサロンにFSE(フィールドサロンエデュケーター)、FCE(フィールドコスメティクスエデュケーター)、そしてFMS(フィールドマーケティングセールス)といわれる3つの職種の方たちが関わって、さまざまなサポートをしていくという新たな体制になります。化粧品事業(の開始)とともに、本年度からフィールドパーソン体制の進化を図っていきたいと考えています。

また、我々はどちらかというと、夜間臨店をよく行っていました。夜、サロンの営業が終わられてからを中心に、いろいろな教育活動をしてきましたが、今年度からは夜間臨店を必要最低限にしていきます。また、スタジオの整備も進んでおりますし、動画も約200コンテンツ作らせていただいております。

サロンにおいて、労務問題(の解決)が必須となっていますので、今後は、スタジオ教育、動画教育、または昼間の入店教育ということで、我々の活動のあり方を変えていきたいと思っています。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑧

そんな中、本年度はまず松山にスタジオを新設する予定です。また、日本海側では新潟に1つ(拠点スタジオが)要るかなということと、鹿児島まで伸ばしていこうということで、エリアを拡大していきます。

(拠点スタジオ設置の)目安としているのは、ある程度の(規模の)政令都市や、そういった都市部の人口集中箇所ということもありますし、フィールドパーソンが車で長時間走るようなことはできるだけやめようということで、そういうところにはきちんと拠点を作るということを、現在進めております。

そしてもう1つが、徹底した首都圏エリアの充実です。現在、首都圏に(拠点スタジオが)4ヶ所ございますが、今後は渋谷、藤沢、千葉に開設して首都圏7拠点体制を作り、圧倒的な首都圏の強化を進めていきます。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑨

2つ目の施策は、BtoBtoCのリアルコミュニケーション力強化支援です。やはりサロンというのは、単に物を売るだけではありません。施策2と施策3の両方に関係しますが、コミュニケーションと一口にいっても、リアルコミュニケーションとデジタルコミュニケーションの2つがあります。

サロンからお客さまへのリアルコミュニケーションの強化という意味では、MCM(ミルボンカウンセリングメソッド)によるカウンセリング技術の向上を図っていきます。ヘアからスキンまでのトータルなカウンセリング技術を構築していくということです。

3つ目の施策のデジタルコミュニケーションでは、化粧品事業を1つのきっかけとしまして、ミルボン公式のECサイトを立ち上げます。このECサイトは、美容室来店顧客専用です。不特定多数に売るものではなく、あくまでも来店されたお客さまに、カウンセリング対面販売によってECサイトを使っていただきたいと考えています。

リピートする際に、わざわざ美容室まで行くのはやはり大変だよねという声を受けて、それをちゃんとサポートするようなサイトを立ち上げていきます。これにより、サロンも我々も、リピートのお客さまを逃すということが少なくなるようにしていきたいと考えています。

そしてこのシステムは、単に利益をサロンにわたすわけではなく、美容室も売上計上できるシステムになっておりますので、サロンにとっても店販という新たな収益増が見込まれます。

さらに、Webカウンセリングやデジタル診断システムなど、デジタルのサロンにおける仕組みを構築していきたいと思っています。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑩

4つ目の施策は化粧品事業です。こちらは、株式会社コーセーさまを新しいパートナーとして進めていきます。教育活動に対する価値の共有、基礎化粧品中心に高付加価値へのこだわり、社風や戦略面の親和性。また、事業領域がヘアとスキン、プロとパブリックということで、シナジー効果がお互いにプラスになるのではないかと考え、株式会社コーセーさまとタッグを組むことといたしました。

いよいよこの(2019年)4月から、プロ専用・美容室専売の化粧品事業をスタートをさせていただきます。先ほどお話ししたECサイトも、化粧品事業とあわせてスタートさせていただくものです。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑪

なぜ化粧品かというと、もうこれは、これからの日本の人口動態を見たときに(ヘア事業だけでは厳しいということ)。もちろん1つには、2010年から始めておりますグローバルビジョンもあり、今後は海外展開も進めてまいります。

ただ、私は2002年頃から、ヘアだけじゃなくて、将来化粧品をやろうと考えておりました。そして、そのビジョンが明確になったのが2014年頃で、ここにきてやっと実現する体制ができてきたと捉えています。

要は、短期的に考えて化粧品をやろうということではなくて、長期の中で将来を見越して、化粧品事業をミルボンのもう1つの柱としていきたいということです。顔は1つなので、髪だけ見ることも、顔だけ見ることもありません。髪と顔をあわせた、総合的な女性の綺麗を作っていきたい(と考えております)。

また、日本の化粧品市場(規模)は、これまで(パブリック・プロ合計で)1.6兆円といわれていましたけれども、昨今はもう1.7兆円ほどです。そんな中で、仮にですが、サロンを通じて(弊社の化粧品販売が)トータル10パーセント(のシェア)となったら、1,600~1,700億円のマーケットができます。1,600~1,700億円というのは、現在の(サロン用化粧品)市場と同規模になります。そうなってくると、いまの(サロン用化粧品)市場が倍になるということです。

私は、それだけの可能性があるのではないかと捉えています。ただ、お客さまが美容室で買う心理であるとか、美容師さんの化粧品を扱う心理といったところにハードルとがありますので、こういうことに真摯に向き合って、教育活動を行っていきたいと思っています。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑫

そんな中で、(2019年)3月に新しい専売化粧品の発表会をさせていただきます。とくに教育支援体制は、ミルボンではFCEを20名……こちらは今後、毎年増やしていきます。そして、代理店にはアンバサダー。このやり方は、「オージュア」で学んだ1つの成功モデルを化粧品というかたちに変え、サロンの中でどう展開するかということを考えたものです。

今中期の中では、1つの目標として、まずは50億円の売上を作りたいと考えています。こちらの50億円を達成しますと、(スライドの)表にありますように、(美容室流通化粧品)業界の中で一番になれます。

その次に、100億円を目指したいと考えています。すると、化粧品ブランドとして社会的に認知されてくる。そしてさらにその上へ……というように、事業として今後進めてまいりたいと思います。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑬

化粧品事業、また店販へ力を入れていくためには、やはりブランドをどう認知してもらうかということ(が重要になります)。そこで、5つ目の施策として、さまざまなブランディング(を推進します)。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑭

Webマガジンや公式SNS、そして動画プロモーションです。YouTubeを使った動画プロモーションは、すでに300万回以上視聴していただいています。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑮

また、ブランディングの推進として、東京八重洲口で駅ジャックを実施しています。今年(2019年)からは、福岡、名古屋でも実施しており、徐々にこちらを広げていきたいと思っております。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑯

2019年度のポイントは、「ライフタイムビューティーサロン」創造のために、美容師さん達にどのように「ライフタイムビューティパートナー」になっていただくかということです。

また、サロンさまからすると、「雇用力」「顧客力」をどのように高めるかということで、ここ(スライド)に書いてあるように、「雇用力」では人が育つ環境、働き続けられる環境、働きがいのある環境。また、「顧客力」では、美容年齢の幅、価値観の幅、提案の幅。

こういったことをさまざま取り揃え、(スライドの)下部に活動例を書いておりますが、さまざまな方向からサロンさまをサポートし、お客さまと本当の意味で寄り添える「ライフタイムビューティパートナー」の育成を進めてまいります。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑰

新商品については、先ほど村井から「染毛剤で白髪染めのタイミングが遅れた」という話がありましたが、今年度は「シーディル」という2剤式の新たな白髪染めと、「ルドレス」というグレイカラー用ヘアマニキュアを発売します。

また「シーディル・インターバルリケア」という商品は、Tゾーンだけを染めるものです。わざわざサロンまで来てもらうのではなく……サロンできちんと白髪染めしても、2週間くらいでまた出てきますので、お客さまに自分でやってもらうものをセットにする。これにより、サロンカラーを楽しんでいただけるようになります。

グレイカラーをターゲットにした「生涯サロンカラー顧客創り」というテーマのもと、これら3つの新製品を出すことによって、このグレイカラー市場を……先ほどの報告にもありましたように、ファッションカラーは「アディクシー」が順調にきていますので、今年はさらにグレイカラーの強化をしたいと考えています。

また、ヘアケア用剤では、先ほどの「オージュア」の追加。それから「milbon」でも新製品等を出させていただこうと思っています。以上が国内のポイントになります。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑱

次に、中期の国際市場政策です。大きく3つの柱があります。まず、スピード感のあるリージョン別成長戦略の推進の1つとして、グローバル戦略を担う国際企画部門をスタートさせました。こちらは、東京へ移転した本社内で、すでに始動しております。

海外事業を今後さらに加速していくために、いままで個別に動いていたものを国際企画部門というかたちでまとめ、さまざまな地域にあわせた企画を、現地とコミュニケーションしながらサポートしていく。そして、新たにそのグランドデザインを描いていきたいと考えております。

もう1つが、いま市場で活動している弊社の教育営業の「質」をどう高めていくかということと、いま海外で展開している代理店セールスの「量」です。現在、弊社の代理店セールスといわれる方は合計で約500名いらっしゃいますが、これを倍の1,000名にしていきたいと考えています。

1名のセールスパーソンさんがだいたいどのくらいのサロンをサポートできるかということを計算していくと、だいたい倍になれば、このくらいの規模感のサロンのサポートができるよね、そしたらこの目標も十分クリアしていくよね、ということで(目標を設定しました)。このためには、代理店の成長はもちろん、新規の代理店、新エリア(が必要になります)。

そして3つ目に、エリアマーケティングの強化および収益性を高めるビジネスの強化に取り組んでまいります。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑲

そして、現地化をより推進していきます。1つは人材の現地化です。私どもはもともと、1エリアに1人か2人位しか日本人は送りません。そうした中、ミルボンコリアにはもう日本人がおらず、全員現地社員となっています。

ミルボン上海は、現在、3拠点すべてにおいて支店長が現地社員です。トルコの駐在員事務所も……トルコだけは、経済環境上、いろいろな意味がありますが、こちらも責任者は現地社員となっています。

できるだけ現地の方たちを登用し、マネジメントしていただき、また勉強していただきたいとういうことで、できるだけ現地化を推進しています。

また、組織の現地化としては、直近ではベトナムでミルボンベトナムを(現地)法人化いたしました。また、マレーシア、そしてシンガポールと、次々に土台ができ始めたところです。(現地)法人化することによって、より現地に根ざした展開をしていきたいと考えています。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)⑳

また、この中期でのポイントですが、まずアジアリージョンは、一言でいうと中国の成長の継続性です。

この数年、(中国では)毎年120~130パーセント成長させていただいております。この120パーセントは、今後も続くものという手応えを十分感じております。ポイントになるのは、どう供給するか……販売の市場を作る心配よりも、どう供給していくかということです。

日本やタイから(輸入したり)、または中国で作る、つまり中国のための中国工場ということも視野に入れて、供給体制の強化を図ってきたいと思います。そうすることによって、中国の成長バックボーンをきちんと作りたいと考えています。そして、韓国では新たな成長戦略の構築です。(海外子会社の中では)まだまだ韓国が一番ボリュームがあります。

そして、欧米リージョンでは、いよいよ欧米専用のヘアカラー(を発売します)。弊社は、アジアにおいてはヘアカラーをベースにヘアケアを投入し、成長させてきましたが、アメリカにおいては、やっと自社開発ができました。

今年(2019年)の夏に第1弾、来年(2020年)にまた第2弾というかたちで、新たな欧米向けのヘアカラー「ソフィストーン」というブランドを投入していきます。このブランドは、アメリカ、ヨーロッパ、そしてトルコをターゲットにし、ここに向けて販売していく新たなヘアカラーとして開発しました。

これがうまく着地しますと、今後のアメリカ展開、あるいはヘアケアでも手応えを感じているヨーロッパ展開の大きな後押しになるのではないかと考えております。

新規展開国については、最終的にどうするかはまだ決めておりませんが、そろそろインドを視野に入れていきたいと考えております。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)㉑

最後に、中期の財務目標です。売上高が485億円、そして営業利益が88億円というようなかたちで進めていきたいと考えています。こちらは、すでに収益認識基準にさせていただいています。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)㉒

次に、国別の目標でございます。日本、アメリカ、中国、韓国。そして新たにタイ、マレーシア、ベトナム……それぞれ、平均成長率、つまり成長目標と、為替レートを(スライドに)記載しております。これらの合算が485億円になります。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)㉓

財務戦略としては、営業活動によるキャッシュフローは、5年間の中期の中で、大体260億円以上が資金として必要になってくるのではないかと思っています。

前中期では、成長投資98億円、株主さま還元58億円、財務基盤の維持24億円というかたちでバランスをとらせていただきました。今中期では、成長投資120億円、株主さま還元100億円、財務基盤の維持40億円という目安で、(営業)キャッシュフローを進めていきたいと考えています。

また、資本効率は、ROE14パーセント以上を目指してまいります。昨年度(2018年度)もすでに14パーセントですが、これは先ほどお話ししたとおり、政策株を売却したためで、それを除くと実質13パーセントほどで、2017年度と同程度になります。これを超えて、14パーセント以上を目指していきたいなと考えております。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)㉔

2019年度目標は、売上高が366億円で、(前期比で)8.0パーセント増。営業利益が68億4,000万円で、(前期比で)9.3パーセントとなっています。親会社に帰属する当期純利益だけは、先ほどの政策株式売却の件の影響で少し下がりますが、売上・営業利益ともに成長できるのではないかと思っております。

また、こちら(スライド)には、今期投資する設備投資の主な項目も記載させていただいております。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)㉕

次に、部門別の売上高です。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)㉖

そして、主力になってきたプレミアムブランドです。サロンの窓口軒数と販売高の目標をこちら(スライド)に載せております。プレミアムブランドは、以前まではプレミアムブランドとしての契約サロン数を載せておりましたが、海外と(国内を)同じようにするために、実働可能な、要するにリピートがちゃんときている(サロンの窓口軒数を載せています)。

一度導入しても、やはり(リピートは)なかなか難しいというサロンもございます。そういうところは入れ替えをしていったり、なくしたりしていったりと整理をしております。そのため、数字は若干下がっていますが、プレミアムブランド、とくに「オージュア」は、軒数を追うのではなく、中身をきちんとしていこうということで(取り組んでいます)。

「milbon」は、海外もあわせて窓口軒数を増やしていこうという方針で、こちらの目標を出させていただいております。

Ⅲ. 新中期事業構想(2019-2023)㉗

そして最後の最後になりましたが、株主還元についてです。総会決議とはなりますが、2018年度は(期末配当を)30円にさせていただいて、トータル54円としたいと思います。

2019年度の予想としては、この(2018年度の中間配当)24円と(期末配当)30円をベースに、(中間配当)27円、(期末配当)27円の54円というかたちで、株主さまに対しても、きちんと還元してまいりたいと考えております。

以上が、中期事業構想のポイントと2019年度のポイントのご説明になります。ご清聴、どうもありがとうございました。