2019年3月期第2四半期連結損益概要

日覺昭廣氏:これより、2019年3月期第2四半期累計決算の概要と、2019年3月期業績見通しについてご説明を申し上げます。目次に沿ってご説明をいたします。

始めに、2019年3月期第2四半期累計決算の概要です。当第2四半期累計期間の売上高は、1兆1,912億円と、前年同期比で13.6パーセントの増収となりました。

一方で、営業利益は777億円と、0.5パーセントの減益となりました。また、経常利益は774億円と0.8パーセントの増益、四半期純利益は485億円と2.1パーセントの増益となりました。なお、第2四半期累計期間の売上高、経常利益は過去最高となりました。

営業外収支

営業外収益は、受取利息および配当金、持分法による投資利益の増加を主因に17億円増加しました。

一方で、営業外費用は支払利息とフィルム関連の休止設備費用の増加を主因に、7億円増加しました。当第2四半期累計期間の営業外収支はマイナス3億円と、前年同期比で10億円改善しました。

特別損益

当第2四半期累計期間の特別利益は7億円と前年同期並みでした。特別損失は41億円と、環境対策費の減少を主因に5億円改善しました。以上の結果、ネット特別損益はマイナス34億円となり、前年同期比で5億円改善しました。

資産・負債・純資産、フリー・キャッシュ・フロー

9月末の資産合計は2兆8,347億円と、買収したTenCate社のれんの無形固定資産の増加や、受取手形および売掛金等流動資産の増加を主因に、前期末比で2,588億円増加しました。なお、TenCate社の取得原価の配分は現時点で確定していないため、買収価格から該社の純資産を引いた1,161億円を暫定的にのれんとして計上しています。

負債合計は1兆5,955億円と、7月に発行した普通社債など有利子負債が増加したことを主因に、1,892億円増加しました。

純資産合計は1兆2,388億円と、純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、696億円増加しました。

自己資本は1兆1,567億円、有利子負債残高は9,963億円となり、D/Eレシオは0.86となりました。

第2四半期累計期間のキャッシュ・フローの状況についてです。営業キャッシュ・フローは増加しましたが、TenCate社の買収を主因とした投資キャッシュ・フローの増加により、フリー・キャッシュ・フローはマイナス1,284億円となりました。

設備投資額・減価償却費・研究開発費

設備投資額は663億円と、前年同期比で36億円減少しました。おもな設備投資案件は記載のとおりです。減価償却費は501億円と、34億円増加しました。研究開発費は332億円と、20億円増加しました。

営業利益増減要因分析

グラフは、当第2四半期累計期間の連結営業利益が、前年同期に比べて4億円減益となった要因を分析したものです。数量差は拡販に伴う生産量・販売量の増加によってプラス195億円となりました。

また、原料価格上昇に対する販売価格の転嫁を進めましたが、原料価格の上昇基調が継続したため、価格差はマイナス115億円となりました。

費用差他は、拡販に伴う費用や研究開発費等の増加により、営業費が増加したことが主因で、マイナス87億円となりました。

セグメント別売上高・営業利益

セグメント別売上高と営業利益の実績を示しました。

セグメント別業績(繊維)

第2四半期累計期間のセグメント別の状況をご説明します。最初は繊維です。繊維セグメントの売上高は5,031億円、前年同期比19パーセントの増収。営業利益は418億円、17.5パーセントの増益となりました。全般的に原料価格高騰の影響を受けましたが、拡販とコストダウンの推進によりカバーしました。

衣料用途では、糸綿、テキスタイル、製品一貫型ビジネスを推進しました。昨シーズンの厳冬により、秋冬用商品の流通在庫が一掃されたことから、縫製品やテキスタイルの出荷が拡大しました。

産業用途では、エアバッグ用テキスタイルなどの自動車関連用途が総じて堅調に推移しました。

セグメント別業績(機能化成品)

機能化成品セグメントです。売上高は4,350億円、前年同期比11.3パーセントの増収。営業利益は358億円、0.3パーセントの増益となりました。全般的に原料価格高騰の影響や、開発費等の営業費の増加がありましたが、樹脂、ケミカル、フィルム等の拡販でカバーしました。

樹脂事業は、ABS樹脂やPPS樹脂などを拡販するとともに、原料価格上昇に対する価格転嫁を推進しました。ケミカル事業は基礎原料の市況が改善し、ファインケミカル製品も堅調に推移しました。

フィルム事業は、リチウムイオン二次電池向けバッテリーセパレータフィルムや、MLCC離型用フィルムなどが堅調に推移しました。

電子情報材料事業は、有機EL関連材料の需要鈍化の影響を受けましたが、韓国子会社の回路材料が堅調に推移しました。

セグメント別業績(炭素繊維複合材料)

炭素繊維複合材料セグメントです。売上高は965億円、前年同期比13.7パーセントの増収。営業利益は60億円と43パーセントの減益となりました。

航空機用途や一般産業用途を中心に、販売数量は増加しました。一方、原料価格の上昇や競合激化の影響を受けました。また、海外のコンポジット子会社で新規案件立ち上げに伴う費用の増加がありました。

さらに、営業利益の修正の減益は、TenCate社の株式取得に関連する費用が発生したことや、航空機用途の下期に向けた増販計画に沿ったグループ会社間での取引に係る未実現利益が増加したこと等が要因です。

航空宇宙用途は、航空機向けサプライチェーンでの在庫調整が完了したことを受け、需要はおおむね堅調に推移しました。

スポーツ用途は自転車、ゴルフ、ラケット、ホッケー向け等の需要がいずれも回復基調であり、高付加価値品を中心に拡販を進めました。

一般産業用途は、圧縮天然ガスタンクや風力発電翼などの環境エネルギー関連向けを中心に、全体として需要が回復傾向となりました。また、パソコン筐体や燃料電池車用電極機材用のコンポジットの出荷は、引き続き堅調に推移しました。

セグメント別業績(環境・エンジニアリング)

環境・エンジニアリングセグメントです。売上高は1,214億円、前年同期比5.4パーセントの増収。営業利益は57億円と16.4パーセントの減益となりました。

水処理事業は、国内外で逆浸透膜などの需要がおおむね堅調に推移しました。国内子会社では、商事子会社の取扱高が増加しましたが、エンジニアリング子会社のプラント工事やエレクトロニクス関連装置の出荷が減少しました。

セグメント別業績(ライフサイエンス)

ライフサイエンスセグメントです。売上高は263億円、前年同期比0.2パーセントの増収。営業利益は7億円と51.1パーセントの減益となりました。

医薬事業は、「ドルナー®」が海外向けに数量を拡大したものの、国内では後発医薬品や薬価改定の影響を受けました。「レミッチ®」は後発医薬品発売の影響を受けました。

医療機器事業は、「ダイアライザー」が国内における保険償還価格引き下げと原料価格上昇の影響を受けましたが、国内外で堅調に数量を伸ばしました。また、透析装置も数量を拡大しました。

また、営業利益の修正が減益になっていますが、これはグループ会社間の取引に係る未実現利益の実現額が減少したことが主因です。

主要子会社・地域の収益状況

主要子会社・地域の収益状況を示しております。東レインターナショナルは、繊維を中心に堅調に推移しました。

東レエンジニアリングは、前年同期に集中したプラント工事や、液晶カラーフィルタ製造装置の出荷が減少しました。海外子会社は、全般的に原料価格高騰の影響を受けました。

東南アジアの子会社では、繊維事業は一部の子会社は低調に推移したものの、衛生材料向けPPスパンボンド等は堅調に推移しました。機能化成品事業では、ABS樹脂や自動車向け樹脂コンパウンド等が堅調に推移しました。

中国の子会社では、繊維事業は縫製品や医療用テキスタイルの拡販および高付加価値化により総じて堅調に推移しました。機能化成品事業では、樹脂コンパウンド事業は拡販と原料価格上昇に対する価格転嫁を推進しました。その他の事業では、水処理事業が拡販を進めました。

韓国子会社では、繊維事業は国内市場の低迷と競争激化等の影響を受けたものの、輸出事業での拡販を進めるとともに、原料価格上昇に対する価格転嫁とコストダウンを推進しました。機能化成品事業は、回路材料の拡販を進めました。

セグメント別営業利益1Q vs 2Q比較

第1四半期と第2四半期の営業利益を比較しています。連結営業利益は、339億円から438億円と、99億円の増益となりました。その改善幅99億円をセグメント別にブレイクダウンし、要因を表の右側に示しています。

2019年3月期連結業績見通し

2019年3月期連結業績見通しにつきましては、第2四半期累計期間の業績動向に加え、事業環境の変化等を踏まえ、8月6日に公表した業績見通しのうち、売上高は据え置き、営業利益を1,600億円、経常利益を1,550億円に変更しました。当期純利益は下期に特別利益の発生を見込んでおり、見通しを据え置きました。なお、10月以降の為替レートは1ドル110円を前提としています。

セグメント別連結業績見通し

2019年3月期の連結業績見通しをセグメント別に示しました。上段に売上高、下段に営業利益、右端に前回見通しとの差異を示しました。

セグメント別営業利益見通しの前回との差異

炭素繊維複合材料の営業利益見通しを修正したおもな要因は、海外のコンポジット子会社で立ち上げている新規案件の生産安定化に時間を要しており、関連費用が増加する見通しとなったことです。

ご説明は以上です。どうもありがとうございました。