アステナHD、3Q営業利益は前年比+40.1%と大幅成長 ファインケミカル事業とHBC・食品事業の好調が寄与
目次
瀬戸口智氏(以下、瀬戸口):代表取締役社長の瀬戸口です。2025年11月期第3四半期の決算についてご説明します。よろしくお願いします。
本日は、エグゼクティブサマリー、決算概況、業績予想・3ヵ年中期経営計画の3つに分けてお話しします。
エクゼクティブサマリー
エクゼクティブサマリーについてご説明します。
2025年11月期第3四半期の実績は、売上高454億7,000万円、営業利益28億円となりました。売上高は前年同期比8.0パーセント増、営業利益は前年同期比40.1パーセント増となり、増収増益を達成しました。主な要因は、ファインケミカル事業における開発受託の好調と、HBC・食品事業における輸入化粧品販売の好調によるものです。
通期の業績予想は、売上高640億円、営業利益31億円を見込んでいます。売上高は前年同期比10.4パーセント増、営業利益は10.1パーセント増を見込み、売上は概ね当初予想どおり、営業利益は業績の伸長により前年同期を上回る見込みです。
また、トピックとして、当社グループでは従業員持株会を通じた「特別奨励金スキーム」を導入しました。これは、従業員の経営参画意識の醸成、グループ一体感の強化、企業価値向上への意欲喚起を目的とし、アステナグループ持株会会員に対して当社株式を付与するものです。
2025年11月期第3四半期 決算概況
2025年11月期第3四半期の決算概況についてご説明します。
売上高は454億7,000万円で、前年同期比8.0パーセント増となりました。営業利益は28億円で、前年同期比40.1パーセント増であり、経常利益は27億1,000万円で前年同期比34.8パーセント増、親会社株主に帰属する四半期純利益は16億3,000万円で前年同期比44.2パーセント増となりました。
また、EBITDAは45億6,000万円で、前年同期比23.2パーセント増となっています。
増収増益の主な要因は、ファインケミカル事業で付加価値の高い品目の受託製造および自社品販売が好調であったこと、そしてHBC・食品事業において輸入化粧品の販売が好調に推移したことによります。
2025年11月期第3四半期 セグメント別業績
続いて、セグメント別業績についてご説明します。
ファインケミカル事業の売上高は171億7,000万円で前年同期比19億6,000万円増、営業利益は10億8,000万円で11億9,000万円増となりました。
HBC・食品事業の売上高は121億4,000万円で前年同期比15億2,000万円増、営業利益は5億4,000万円で1億4,000万円増です。
医薬事業の売上高は93億1,000万円で前年同期比8億5,000万円増、営業利益は8億8,000万円で2億円減少しました。
化学品事業は売上高68億円で前年同期比9億5,000万円減、営業利益は4億1,000万円で2億6,000万円減少しています。
ソーシャルインパクト事業の売上高は3,000万円、営業損失は2億7,000万円となりました。
この結果、ファインケミカル事業およびHBC・食品事業で増収増益となり、グループ全体の業績拡大を牽引しました。
ファインケミカル事業
各セグメントの詳細についてご説明します。ファインケミカル事業は増収増益となりました。
業績のポイントとして、医薬品開発エコシステム部門では、新薬メーカーやベンチャー企業、ジェネリックメーカーへの営業活動を継続し、新規案件の獲得に注力しました。MicroED関連の受注を中心に新規案件が増加し、中分子原薬プロセス開発案件の受注も順調に推移しました。
医薬品原料プラットフォーム部門では、高付加価値品目の販売が提案型販売により堅調に推移しましたが、事業拡大に伴う増員やオフィス移転で費用が増加しました。
また、医薬品CDMO部門では、外用剤製造の2シフト制導入により工場稼働率が上昇しました。市場の新薬開発が活発化したことで、高品質な原薬の需要も増加しています。
HBC・食品事業
HBC・食品事業は増収増益となりました。
業績のポイントとして、食品原料部門では、市場の緩やかな回復の中で「i-Platto(アイプラット)」の登録者数が増加し、高付加価値商品の販売が伸長しました。
化粧品原料部門では、原材料費や人件費の上昇により業績は低調に推移しましたが、企画・インサイドセールス機能の強化により新規顧客獲得が増加しました。それに伴い、積極的な営業展開やM&Aに係るコストが発生しました。
ライフサイエンス部門では、市場縮小の影響を受けつつも、営業リソースの最適化を進めた結果、新規顧客が増加しました。
化粧品製販部門では、韓国コスメ「Torriden」の販売が好調に推移しました。また、化粧品企画開発ソリューションサービスの開始に伴う先行投資が増加しています。
医薬事業
医薬事業は増収減益となりました。
医薬品部門では、選定療養品目となった後発医薬品の販売が好調に推移しました。一方で、薬価改定により一部後発医薬品が先発品と同等以上の薬価となったため、販売は低調に推移しました。また、原料不足による一部製品の製造停止が継続し、研究開発費の前倒しにより販管費が増加しました。
美容医療部門では、医療機関専売化粧品「NAVISION DR」シリーズおよび「illsera」シリーズの認知度向上に伴い、販売が好調に推移しました。
化学品事業
化学品事業は減収減益となりました。
表面処理薬品部門では、市況の回復がみられず業績は横ばいで推移しました。電子部品向け薬品は海外での新規顧客獲得により堅調に推移し、高付加価値製品として「微細配線形成用薬品」「受動部品向けめっき薬品」「半導体電極形成用薬品」の販売促進に注力しました。
表面処理設備部門では、顧客の設備投資が一巡したことで販売が減少しましたが、修理・メンテナンス案件や部品販売に注力した結果、設備以外の販売は過去最高を記録しました。
ソーシャルインパクト事業
ソーシャルインパクト事業は増収減益となりました。
ヘルスケア部門では「農業×ヘルスケア」をコンセプトに「NAIA」ブランド刷新を推進し、将来を見据えた戦略的な先行投資を行った結果、利益が減少しました。また、PR活動への投資を強化し、ブランド認知度の向上に努めています。
地方創生部門では、現地決済型サービス「ふるさとNOW」の導入件数が増加し、売上高・営業利益ともに順調に推移しました。このサービスは全国各地に拡大しており、地域経済の活性化や社会貢献にもつながっています。
2025年11月期通期業績予想・3ヵ年中期経営計画
最後に、通期業績予想および3ヵ年中期経営計画についてご説明します。
2025年11月期の通期業績予想は、売上高640億円、営業利益31億円、ROEは7.0パーセントを見込んでいます。ファインケミカル事業では高付加価値品目の受託・製造が好調に推移する見通しです。HBC・食品事業では輸入化粧品の販売拡大が引き続き業績を牽引する見込みです。
また、2027年11月期を最終年度とする中期経営計画では、売上高700億円、営業利益35億円、ROE8.8パーセントを目標としています。HD体制化以降、構造改革を着実に進めており、ファインケミカル事業では営業・受託体制の見直し、効率化による収益性改善、HBC・食品事業では販路拡大と機動的なM&A、医薬・化学品事業ではニッチ領域における収益安定化を進めています。
私からのご説明は以上です。ご清聴いただきありがとうございました。
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