岡部グループの事業領域
廣渡眞氏(以下、廣渡):岡部の廣渡でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は大変お忙しい中、私どもの決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。また、日頃よりは、弊社が大変お世話になりまして、この場をお借りしまして、厚く御礼申しあげます。
それでは、さっそくではございますが、岡部株式会社2017年12月期決算説明会を開催させていただきます。
まず最初に、当社の事業領域をご説明いたします。
当社はコア事業として、建設関連製品事業および自動車関連製品事業を営んでおります。2つの事業の売上構成比は約98パーセントとなります。
国内・海外売上比率
国内・海外の売上比率は2017年12月期では国内約75パーセント、海外約25パーセントとなっております。今後、さらに海外展開を積極的に推進していきたいと考えております。
本日のアジェンダ
本日はご覧のとおり、大きく分けて3点のトピックについてご説明させていただきます。
2017年連結業績状況サマリー
まずはじめに、2017年12月期通期連結業績概要についてご説明いたします。
2017年の状況をサマリーでお伝えいたします。
プラス要因としては、建設関連製品事業において、構造機材・土木製品を中心に販売が好調に推移したことや、自動車関連製品事業において、欧州における販売が好調であったことが挙げられます。
一方、マイナス要因としましては、建設関連製品事業において、当初の想定と比べ、着工床面積の増加が緩やかだったことや、鋼材価格の上昇が挙げられます。自動車関連製品事業におきましては、鉛価格の上昇や、機械設備の老朽化に伴う関連費用の増加が挙げられます。
2017年 建設着工床面積 推移
建設関連製品事業における事業環境をもう少し詳しくお話しいたします。2017年における建設着工床面積の推移です。
この数値はS造・RC造・SRC造の床面積の合計であり、折れ線グラフは2016年、棒グラフは2017年の数値となっております。見ていただきますとおわかりのとおり、2017年度は前年に比べ若干増加し、前年比103パーセントとなりました。
セグメント別・製品別売上高 【前期比】
業績をセグメント別に見ていただきますと、建設関連製品事業におきましては、売上高は前期に比べ5.6パーセント増加し、504億400万円となりました。自動車関連製品事業におきましては、売上高は前期に比べ4.4パーセント増加し、93億7,000万円となりました。多角化事業におきましては、売上高は前期に比べ12.1パーセント減少し、11億4,200万円となりました。
セグメント別営業利益 【前期比】
次に、セグメント別の営業利益を見ますと、建設関連製品事業におきましては、付加価値の高い構造機材製品が前年を上回って推移したことなどにより、前期に比べ4.2パーセント増加し、41億500万円となりました。
自動車関連製品事業におきましては、前期に比べ25.5パーセント減少し、7億6,100万円となりました。
多角化事業は2,200万円の損失となります。
連結業績概況 【前期比】
この結果、当連結会計年度における売上高609億1,700万円、前期に比べ3.6パーセントの減少、営業利益は48億4,400万円、前期に比べ12.3パーセントの減少、経常利益は50億6,800万円、前期に比べ12.3パーセントの減少、当期純利益は34億8,500万円、前期に比べ55.7パーセントの減少となりました。
なお、当期純利益は大幅に減少しておりますが、前期にはホテル事業譲渡における特別利益を計上しているためであります。
連結業績概況 【前期比】(ホテル事業を除く)
ホテル事業の実績を除いた2016年の実績と2017年の実績を比較した表です。
ご覧のとおり、売上高は5.1パーセントの増加、営業利益は3.6パーセントの減少、経常利益は3.3パーセントの減少となりました。
NEXT100 業績の見通し(修正後)
次に、来期以降の連結業績予想をご説明いたします。
2018年度および2019年度の業績予想につきましては、先ほどご説明いたしましたが、この画面に記載のとおり、2017年の事業環境等の変化を総合的に判断し、修正することといたしました。その修正後の2019年度の見通しにつきましては、売上高650億円、経常利益59億円としております。
2018年度の外部要因見通し
2018年度の業績予想について、詳しくご説明いたします。
こちらは2018年通期の外部要因の見通しですが、プラス要因として、建設市場において、首都圏を中心とした大規模再開発や、「2020年東京オリンピック・パラリンピック」関連工事等により、建設投資は堅調に推移する見通しであります。一方、懸念材料としては、建設関連製品事業における鋼材価格の上昇や、自動車関連製品事業における鉛価格の上昇などが挙げられます。
アクションプラン
このような外部要因等の想定を見まして、建設関連製品事業におきましては、鋼材価格上昇対策と適切な価格展開を図ってまいります。また、提案型営業の強化による需要の取り込みをしっかり行いたいと思います。
自動車関連製品事業では生産設備の更新や効率化、好調が続く欧州におきましては、引き続きシェアの向上を図ってまいります。
2018年度通期連結業績予想
このような経営環境や取り組みを踏まえ、2018年度の連結業績は、売上高630億円前年に比べ3.4パーセントの増加、営業利益は53億円、前年に比べ9.4パーセントの増加、当期純利益は37億円、前年に比べ6.2パーセントの増加となる、増収増益と予想しております。
2018年度通期セグメント別・製品別売上高予想
2018年12月期の売上高予想をセグメント別に見ますと、建設関連製品事業は前年に比べ3.4パーセントの増加となる521億円と予想しております。
自動車関連製品事業は、前年に比べ2.5パーセントの増加となる96億円と予想しております。
多角化事業は画面のとおり(前年比13.8%増の13億円)予想しております。
2018年度通期セグメント別営業利益予想
2018年12月期の営業利益予想をセグメント別に見ますと、建設関連製品事業は前年に比べ4.7パーセントの増加となる43億円と予想しております。
自動車関連製品事業は前年に比べ18.2パーセントの増加となる9億円と予想しております。
多角化事業は画面のとおり予想しております。
この結果、前年と比べ営業利益は9.4パーセントの増加となる53億円と予想しております。
株主還元方針 -配当政策について-
次に、株主還元についてご報告いたします。
当社グループの配当政策は安定的な配当を継続することを基本とし、連結業績を考慮し、合わせて企業体質の強化と将来の事業展開に備えるための内部留保などを勘案して決定する方針を採用しております。
このような基本方針のもと、2018年12月期の配当金額につきましては、普通配当26円を予想しており、2017年の普通配当24円からは2円増配と予定しております。
資産収益性について
次に、当社の資産収益性について、ご説明いたします。
先ほどご説明した業績予想と、予想バランスシートにより計算した2018年12月期のROEは、6.6パーセントと予想しております。今後も成長分野への投資を通じて、財務の健全性を維持しつつ、資産・収益性の持続的な向上を図ってまいります。
中期経営計画「NEXT100 ~Exciting Future~」
次に、中期経営計画である、「NEXT100 ~Exciting Future~」の実行施策についてご説明いたします。なお、先ほどご説明いたしましたとおり、当計画における業績目標は修正いたしましたが、骨子および各施策について大きな変更はございません。
まず始めに、当中期経営計画について簡単にご説明させていただきたいと思います。
概要を表したイメージがご覧の図でございますが、当計画のビジョンは100周年を迎えた当社が、次の100年に向かってグローバルメーカーを目指すというものであります。
NEXT100 ビジョン実現のための3つの柱となる施策
ビジョン実現のための3つの柱として、1、コア事業への経営資源の集中、2、新製品開発強化、3、グローバル展開推進を掲げております。
NEXT100 投資方針について
3つの柱となる施策を具体化する投資として、建設関連製品事業、自動車関連製品事業において、生産・物流拠点整備、技術開発力の強化、企業買収を実施推進中でございます。
NEXT100 進捗状況
(スライドを指しながら)具体的には、ご覧の一覧のとおり、施策を完了・実行中でございます。
建設関連製品事業における施策の実行状況としましては、富士ボルト製作所の発行済全株式の取得、岡部総合実験センターの建設をすでに完了しております。
実行中の施策としましては、北米の生産・物流拠点、久喜工場の生産拠点整備などを実施中であります。
また、自動車関連製品事業において、米国・欧州・中国における生産設備の更新を随時進めております。
(株)富士ボルト製作所の概要
まず、富士ボルト製作所の買収についてご説明いたします。
当社は富士ボルト製作所の発行済全株式を取得し、完全子会社化いたしました。富士ボルト製作所は、連結売上高25億7,700万円、グループ会社としましては富士機材、フジボルトインドネシアがございます。
主力製品は機械式鉄筋継手製品である「FDグリップ」であり、主力工場はインドネシア工場であります。
(株)富士ボルト製作所買収の目的①
次に、当社が富士ボルト製作所を買収した目的についてお話しいたします。
まず市場・製品ラインアップの補完性です。
当社も「C・S‐ジョイント」「OSフープクリップ」など、鉄筋継手製品は保有しているものの、おもに建築市場向けであります。一方、富士ボルト製作所の「FDグリップ」は土木市場に強いことに加え、当社が保有していないモルタルタイプの製品があるため、市場・製品ラインアップの補完が可能になります。
(株)富士ボルト製作所買収の目的②
次に、東南アジアへの拠点進出であります。
当社は日本をおもな市場とし、北米においても拠点を置き、建材の販売を行っておりますが、東南アジアは未進出の地域でありました。
東南アジアは今後のインフラ整備などにより、建設需要が右肩上がりになることが予想されている地域であり、その中でもインドネシアは他国と比べ建設投資額が大きい国であります。
今後はインドネシアを拠点とし、インドネシア国内への販売はもちろん、東南アジアの他国への輸出も行い、東南アジア市場の開拓を進めてまいります。
(株)富士ボルト製作所買収の目的③
最後に技術力の獲得です。
富士ボルト製作所は「FDグリップ」を製造・販売するなど、高い開発力・製造技術を保有しております。
今後は岡部と富士ボルト製作所が保有するノウハウを、製品の開発や製造に活用し、製造・技術開発面でのシナジー効果を追求してまいります。
なお、富士ボルト製作所につきましては、2年後をめどに連結対象とするべく、規模の拡大を図っております。
総合実験センターについて①
次に、2017年12月15日に竣工いたしました総合実験センターについてご説明いたします。
総合実験センターについて②
まず、当実験センターの設備をご紹介いたします。
従来から旧実験センターにて保有しておりました「2軸載加装置」に加え、当社にとって新分野である免震・制震の試験設備として、動的試験設備を導入しております。
そのほかにも業界トップクラスとなる「1000キロニュートン ⻑柱試験機」や、「3000キロニュートン 万能試験機」を導入し、既存製品群の実験をスピーディに行い、品質の向上を図ってまいります。
これらにより、50億円以上の売上増加を目指してまいります。
総合実験センターについて③
(スライドを指しながら)こちらが動的試験設備の写真を拡大したものになります。この写真では、振動台の上に当社の木造戸建向け製品である「ブレスターZ600」を設置した試験体を置いております。
このように地震の揺れを再現して、「ベースパック」および「ブレスターZ600」などの耐震・制震・免震製品の実験を行うことができます。
総合実験センターについて④
(スライドを指しながら)こちらは「2軸載加装置」であり、この装置は非常に強固な反力壁・反力床により支えられている装置となります。この装置は、当社の主力製品である「ベースパック」などの構造機材製品の実験には欠かせないものであります。
総合実験センターでは、実験スペースを大幅に拡大し、製品開発期間の短縮が可能となりました。
総合実験センターについて⑤
(スライドを指しながら)こちらが「1000キロニュートン 長柱試験機」の写真を拡大したものです。首都圏における建設現場は大型化しており、仮設製品においても大型化に対応した製品が要求されております。
この「1000キロニュートン 長柱試験機」では、そのような現場のニーズに合った大型の「ベースマン」や「サポート」等の仮設製品の実験を行うことができます。
総合実験センターについて⑥
(スライドを指しながら)こちらが「3000キロニュートン 万能試験機」の写真を拡大したものになります。大型のベースパックの部材である太径のアンカーボルトや、鉄筋継手などの試験が可能となりました。
総合実験センターについて⑦
(スライドを指しながら)これは、総合実験センターの竣工式の際に実施した公開実験の様子であります。今後もこのように外部の方を招いて実験を行い、大学や他社との共同開発を通じて、人材の交流の場として活用することや、最新鋭の実験設備を教材として社内の人材育成を加速させることなどにより、優秀な人材の確保を図りたいと考えております。
北米の物流拠点の整備(2018年3月竣工予定)①
次に、北米の物流拠点整備についてご説明いたします。
成長を続けるOCM社において、さらに成長するための投資として、物流拠点の整備を行っております。これにより、手狭で実現できなかった商品ラインアップの拡大や、在庫水準の適正化が可能となります。
北米の物流拠点の整備(2018年3月竣工予定)②
この物流拠点により、将来的には売上高100億円を目指してまいります。新物流拠点と合わせて、将来的には生産機能も付加し、メーカーとして事業展開を図ってまいります。
自動車関連製品事業における生産設備更新について
続きまして、自動車関連製品事業における、米国・欧州・中国の生産設備の更新についてご説明いたします。
米国におきましては、老朽化した設備の取り替え、生産ラインの合理化を図り、生産効率の向上を進めてまいります。
受注が好調な欧州におきましては、生産能力拡大のため、新規の生産設備の導入を進めております。
黒字化を目指しております中国におきましても、一部新規受注のめどが立っており、その需要に応えるべく、生産設備の充実を進めております。
これらの効率化、生産能力の整備・拡大により、収益力の強化を図ってまいります。
経営基盤の強化策について
また、ビジョン実現のための3つの柱となる施策と併せまして、経営基盤の4つの強化策にも取り組んでおります。
(スライドを指しながら)画面の右側にありますのは、強化策の1つであります職場環境の改善と業務効率化推進の社内ポスターであり、社内への啓蒙活動に活用しております。
同時に、ITを活用した業務効率化なども進めております。
そのほか、3つの強化策につきましても、プロジェクトを立ち上げて推進しており、経営基盤の強化を推進しております。
わたしからのご説明は以上となりますが、資料の末尾に参考資料としてESGに関する資料をお付けしておりますので、併せてご覧いただければと思います。
本日は誠にありがとうございました。