2016年連結業績状況サマリー

廣瀬眞氏:岡部の廣瀬です。どうぞよろしくお願いいたします。本日は大変お忙しい中、私どもの決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

まず、初めに2016年12月期連結業績概要について説明いたします。プラス要因としては、建設関連製品において、米国の建設資材商品の販売を担当しているOCM社の販売が引き続き伸長したことや、自動車関連製品事業において、欧州の生産ラインを増強し販売が好調であったことがあげられます。

マイナス要因としては、売上構成比の大きい国内の建設関連製品事業において、工事着工の進捗に遅れがあったことや、自動車関連製品事業において北米が暖冬だったことにより主力製品のバッテリー端子の需要が低調であったことがあげられます。

連結業績概況【前期比】

この結果、当連結会計年度における売上高は631億9,000万円、前期比8.4パーセントの減少、営業利益は55億2,700万円、前期比12.6パーセントの減少、経常利益は57億8,000万円、前期比11.6パーセントの減少、当期純利益は78億6,100万円、前期比85.7パーセントの増加となりました。

当期純利益につきましては、ホテル事業の売却に伴う特別利益を計上した結果、前期と比べ大幅な増加となりました。セグメント別の業績については、末尾の資料をご覧ください。

前中期経営計画の振り返り

次に前中期経営計画の進捗と成果を説明いたします。

前中期経営計画である「ミライ計画」は、2017年に経常利益100億円達成という目標を掲げて2014年からスタートいたしました。ビジョンとして、ご覧のようなミライを支える新工場建設、新製品開発、新分野開拓という施策に取り組んできました。

前中期経営計画の振り返り(業績面)

業績面の進捗について説明いたします。まず2014年を初年度として、同年度には過去最高益となりましたが、2015年以降、国内建設需要が伸びない状況が想定以上に続きました。

また中国経済の減速の影響を受けて、自動車関連製品の中国工場の本格稼働が遅れたことなどから、業績の下方修正を余儀なくされました。

このような中で、2017年に経常利益100億円という目標の達成は誠に遺憾ながら難しい状況となっています。ただ、一方で海外の北米分野においては大きく成長することができました。

前中期経営計画の振り返り(施策・投資面)

施策投資面について説明いたします。新製品開発については、ベースパックの改良タイプを導入するなど計画どおり実施しました。

投資面では、国内において茨城工場がすでに完成し、2017年末には総合実験センターが完成予定となっています。また、海外におきましては、成長著しい北米建材の物流倉庫拡大に着手しており、2017年末には完成予定です。

なお、具体的に計画したことではございませんが、長年の経営課題であったホテル事業につきましては昨年9月に売却し、コア事業へより一層集中できる体制を整えました。

中期経営計画2017-2019 NEXT100

新たな中期経営計画はこのように事業環境等の変化、並びに新前中期経営計画の進捗状況を踏まえて策定し、「NEXT100」と名付けました。

この計画の狙いは次の100年の成長のための基礎を構築するというものです。中期経営計画の概要をイメージしたものがこの図となります。

NEXT100 長期ビジョン(将来像)

将来的に経常利益100億円という目標に再チャレンジするための基礎を構築してまいります。まず、当社が長期的に追い求めるビジョン、すなわち将来像を明確にしました。

将来像は安全と安心の提供を通じて社会に貢献するという経営理念を世界で実践するグローバルメーカーです。メーカーとして技術力をキーワードに、既存のコア事業領域の中で成長していきたいと考えています。

組織風土については、「ワクワクする会社」という表現を用いておりますが、これは新しいことに挑戦できる社風をさらに広めていくことや、より働きやすい職場環境を整えることを意味しています。

また、長期的な経営目標としましては売上高1,000億円、経常利益100億円、ROE10パーセントを目指してまいります。

NEXT100 3つの柱

このような将来像の実現に向けて今回の計画では、3つの柱となる施策と経営基盤強化の各施策を定めました。

施策の1つ目は、コア事業への経営資源の集中です。自動車関連製品事業は、今まで準コア事業という位置づけでしたが、本年度より建設関連製品事業と同様にコア事業と位置付けて強化してまいります。

このコア事業にホテル売却資金などを原資とし、経営資源を集中していきます。M&Aもこの領域で実現をはかります。

その他の事業の位置付けについて少し説明いたします。当社の100年という歴史を振り返ると、製品開発や新分野での挑戦の連続でした。現在の海洋事業はまさに挑戦から生まれたものであり、岡部らしさを表すものです。

よって今後も新しい領域で当社の経営理念に合致する事業については、一定の規律の下で引き続き積極的に取り組んでいきたいと思います。

このような意味から、海洋事業を今までのその他の事業という名称を改めて多角化事業として取り組んでいきたいと思います。

次に2つ目の柱は、新製品開発強化です。各事業領域で成長分野の製品開発に取り組みます。

3つ目の柱は、グローバル展開の推進です。建設関連、自動車関連、多角化の各事業において海外展開をさらに積極的に推進し、経常利益の海外比率40パーセントを目指していきたいと思います。

NEXT100 経営基盤強化

今説明した3つの施策は、経営基盤を強化しなければ実行できません。そこでご覧のような経営基盤強化策を取っていきたいと思います。

とくに多様な人材の獲得並びに育成が重要と考えています。またITの促進については、IoTなどを活用した生産部門における工場のライン自動化、物流部門あるいは営業部門の業務効率化等にも取り組み、職場環境の改善を図ってまいります。

NEXT100 事業別の戦略

次に事業別の施策について説明いたします。

国内においては首都圏を中心にご覧のような大型の建設需要が見込まれます。また建物の安全性・安心感に対するニーズと建設現場の作業員の高齢化等による人手不足などの構造的な問題は今後も継続するものと思われます。

このような想定のもと、製品分野別にラインナップの拡充並びに製品開発強化等を図り、市場シェアの拡大を図ってまいります。

さらにIT活用をさらに進めて顧客サービスの向上と業務効率化に努めて参ります。また製品開発方針は、ご覧のように計画しており、製品開発の中心となる岡部総合実験センターについては、今年度中に完成する予定です。

これにより元来得意分野であった、耐震に加えて制振・免震分野の新製品開発を強化してまいります。

続きまして、建設関連費用の海外における施策についてです。米国においてはトランプ政権の下、積極的なインフラ整備も期待されるなど建設需要は顕著に推移することを想定しています。

また、アセアンなども人口増に加えて、インフラ整備の遅れなどが顕著であり建設需要が伸びていくことを想定しています。

このような想定の中で、米国においてはすでに物流拠点の拡大計画を進めており、工事は2017年末に完成予定です。

また合わせて自社工場の建設、または現地メーカーのM&Aにより米国内における仮設・型枠製品のメーカーとして事業を拡大していきたいと考えています。これにより売上高を中長期的に100億円まで引き上げてまいります。

また中国においては上海の拠点をベースに事業機会を模索してまいりましたが、やや日系ゼネコンの撤退もあり、苦戦しています。今後、成長できる可能性のあるアセアンにおいて本格な事業展開につなげていきたいと考えています。

続きまして自動車関連製品事業についてです。自動車市場については、ご覧のような主な成長が予測されています。

地域的には、アジア、主に中国、東南アジア、南アジアで堅調に推移することが期待されます。当社グループは自動車関連製品の売上高100億円の達成と世界一のバッテリー端子メーカーになることを目標に掲げ、その実現のためにここに掲げる施策を実施してまいります。

とくに生産拠点の整備につきましては、昨年のイタリアの生産設備を増強して業績向上につなげておりますが、米国においても機械設備の更新における生産効率の向上を図ってまいります。

次に多角化事業につきましては、岡部らしく挑戦を続けていく方針はお伝えしましたが、具体的な施策はご覧のとおりとなっています。

とくに魚礁については、海外でも引き合いが増えており、今後さらに積極的に推進していきたいと考えています。

NEXT100 設備投資・研究開発費

事業例の戦略として、これまでご説明してきた研究開発の投資額として3年間で170億円を想定しています。

NEXT100 企業買収方針

また企業買収につきましては、コア事業である建設関連製品事業並びに自動車関連製品事業において随時検討してまいります。

とくに建設関連製品事業については、国内外問わず広めに対処法を考えていきたいと思います。当社と相乗効果のある企業買収について事業展開を加速してまいりたいと思います。以上の計画により、中期の業績目標はこちらのとおり計画しています。

NEXT100 3ヵ年業績目標

3年後の2019年には経常利益70億円を達成したいと考えています。なお、M&Aを実施した場合の損益はこの計画には含めておりません。

NEXT100 セグメント別業績目標

なおセグメント別の計画はご覧のとおりです。

NEXT100 株主還元方針-配当政策について-

次に株主還元について説明いたします。当社グループの配当政策は、安定的な配当を継続することを基本とし連結業績を考慮し合わせて企業体質の強化と将来の事業展開に備えるための内部留保の充実などを勘案して決定する方針を採用しています。

このような基本方針の下、2017年12月期の配当金額につきましては、普通配当24円に加え、100周年の記念配当としまして中間3円、期末3円、年間6円の記念配当を実施し年間配当は30円となる見通しです。

NEXT100 株主還元方針-自己株式取得-

次に自己株式の取得につきまして過去の実績はご覧のとおりとなっており、適宜実施してまいりました。

今後も株価の水準と機動的な資本施策、遂行の必要性財務体質への影響等を考慮した上で総合的に判断した上で適宜実行していきたいと思います。私からのご説明は以上となります。