2025年度第1四半期 連結決算要点
小川拓也氏(以下、小川):常務執行役員管理本部長の小川です。みなさま、お忙しい中ご参加いただきありがとうございます。当社第1四半期の決算についてご報告・ご説明します。
まず、連結決算の全体像です。世界的に消費マインドは低調ではありますが、省エネ志向から高付加価値商品が伸びており、売上高は1,027億4,000万円で前期比4.6パーセント増と過去最高のスタートを切ることができました。
次に営業利益ですが、原材料やエネルギー価格の高騰が影響しています。特に人件費や経費面も世界的に上昇傾向にある点については、後ほど詳しくご説明します。それでも営業利益は、前期比11.2パーセント増となりました。利益率は10パーセントに届かない結果となりました。
経常利益については、これまで増益でしたが一転して減益となりました。その理由は為替差損です。昨年は為替差益を計上していましたが、今年は差損となり、減益となりました。
四半期純利益も66億2,000万円で、こちらも減益という結果です。
連結業績推移(第1四半期)
第1四半期の推移についてです。売上は安定しており、緩やかながらも右肩上がりで推移しています。
一方、営業利益は多少の変動があります。2023年度は需給バランスの影響がありました。特に日本で流通在庫が非常に多かったため、売上が伸び悩むスタートとなりました。
しかし、2024年度、2025年度と2期連続で回復しており、営業利益率も上昇している状況です。
2025年度 第1四半期 機器別売上高の内訳
機器別の売上高の結果です。2025年度の結果について、まず「給湯機器」ですが、28億6,000万円の増収となりました。中国以外の給湯器を主力とする国々で非常に好調なスタートを切ったと考えています。
一方で、「厨房機器」は日本ではやや振るわない結果となりました。特に韓国ではライバル企業であるSKマジックから事業を譲り受けた京東ナビエンが厨房分野で攻勢を強めた影響もあり、減収となりました。
「その他」についてはやや増収しています。これは、日本で展開する衣類乾燥機「乾太くん」が該当することや、オーストラリアやアメリカで昨年買収した企業の商品がこの「その他」に含まれていることが要因です。これらが増収を牽引しました。
2025年度 第1四半期 連結セグメント別 損益実績内訳
セグメントの状況になります。主要国については後ほど詳しくお話ししますが、全体感を見ていただくと、日本の利益が減益となり、想定よりも下振れしています。
また、中国では利益こそ一定の成果をあげていますが、特に売上が課題です。昨年市場が大きく落ち込んでいた影響が、2025年度第1四半期も続いているようです。
そのような状況の中で、比較的好調だったのがアメリカとオーストラリアです。これも後ほどご説明します。
2025年度 第1四半期 連結営業利益分析
連結営業利益の増減分析です。ご覧いただくとおわかりのとおり、国内外ともに売上を伸ばすことで利益を押し上げました。ただし、労務費と経費については、国内外の双方で増加が見られ、特に国内において固定費の増加が利益に対してマイナスの影響を与えました。
原材料費については、年間業績予想においては利益を押し下げる要因として織り込まれていましたが、第1四半期の時点ではむしろ落ち着いた推移を見せ、利益にややプラスの影響を与える結果となりました。
一番残念で物足りなかったのが、「原価低減努力 他」です。第1四半期は、通年のなかでウエイトが小さいため、評価が難しいですが、その中でも日本における取り組みが課題となっています。
現在、浴室暖房乾燥機のリコール対応として、5月から社内の人的リソースを300名以上割り当てて対応に当たっています。もちろん、そこで発生する実費については昨年に引当計上しているため、今年の損益に直接的なインパクトはありません。
しかし、300名の社員が通常業務に従事できないことなどから、機会損失的な影響が出た可能性があります。このような要因が物足りなさにつながっています。全体としては、前期比9億8,000万円の増益という結果となりました。
日本 セグメント 2025年度 第1四半期 実績
国ごとのトピックをご説明します。左側がセグメントの結果、右側がこのセグメントを構成する最も主要な法人の結果というかたちで海外も構成しています。このあとは、右側の主要な法人について説明します。
まず、日本セグメントにおいては、リンナイ単体です。市場の状況としては、新設住宅着工戸数が関係法令の改正による反動減で大きく減少しました。これは3月に駆け込み需要があったことを意味し、4月以降にその反動減があったということです。
当社の売上については、補助金効果が寄与しています。「ハイブリッド給湯器」1台当たり15万円という補助金政策が昨年に続き、同じ条件で継続されています。流通事業者と協力した「ハイブリッド給湯器」拡販の種まきが非常に実を結び、ご覧のとおり数量ベースで前年比18パーセントの伸びを達成しました。
しかしながら、利益は減益となりました。先ほどお伝えしたとおり、各種コスト増が最も大きな要因です。さらに、原価低減活動の効果も限定的だったというのが日本の状況です。
日本 トピック 重点商品
トピックについてお話しします。これは昨年から強調している点ですが、日本においては「ハイブリッド給湯器」、それから「エアバブル」、「衣類乾燥機」など、当社が重点商品と定義している商品が、昨年から非常に好調を維持しています。ご覧のとおり、全体売上に占める構成比も上がっています。
これら3品目の重点商品に共通している点は、売上の押し上げ効果だけでなく、非常に付加価値利益が高いため、利益貢献も大きいということです。
この状況は、第1四半期も大きな変化はありません。その効果は一定程度続いています。また、右側の給湯器についてですが、高効率給湯器、いわゆる「ハイブリッド給湯器」や「エコジョーズ」は、賃貸における買い替えに補助金が付いており、その影響もあり、ここ5年で成長率、つまり前年増減率が非常に伸びています。
この数字は2020年度を基準としており、2025年度の第1四半期では60パーセント増となっています。このような状況からも、高効率給湯器の割合が大幅に伸びていることがわかります。
今後、日本において給湯器の高効率化がさらに進むと予測しています。つまり、「エコジョーズ」の比率を上げていくことが、今後の成長の鍵となると考えています。
アメリカ セグメント 2025年度 第1四半期 実績
アメリカについてです。リンナイアメリカの状況は、市場で金利が高止まりしている影響で、住宅市場や消費マインドが低調な状態にあります。そのような中、昨年の第1四半期に新製品として高効率タイプのコンデンシング給湯器を発売し、この製品の好調が続いています。コンデンシング給湯器の販売台数自体はそれほど大きく増加していませんが、ミックス効果、つまり価格効果もあって売上が伸びています。
積極的な販促施策により費用は増加しましたが、ノンコンデンシングとコンデンシングの割合ではコンデンシングが上昇するなどの要因もあり、昨年は利益がイーブンスタートでしたが、今年は4億5,000万円、左側のセグメント全体では5億円というスタートを切ることができました。
アメリカ トピック 関税影響と対応状況
アメリカにおける最大の関心事は関税影響です。それへの対策について、このスライドでご説明します。
まず、いわゆるトランプ関税についてです。鉄鋼・アルミなどの材料には、3月から25パーセントの関税が適用されていましたが、6月中旬から50パーセントに引き上げられました。さらに、銅についても、8月から50パーセントの関税がかけられるようになっています。
いわゆる相互関税と言われるものは、4月から日本において10パーセントの関税が適用されており、さらに先日の報道によると、8月の初めから15パーセントの関税に確定したということです。
当社では、この鉄鋼・アルミの関税分に関して5月にすでに値上げ対応を行いました。特にメインで扱っているノンコンデンシング給湯器については、現地の工場で生産されているため、その材料供給に関税がかかった影響を受け、ノンコンデンシング給湯器の価格を改定しました。
さらに、相互関税の10パーセントに対する対応としては、コンデンシング給湯器を日本で生産し、アメリカへ供給しているため、コンデンシング給湯器の価格を7月より改定しました。
ご覧のとおり、現在、残りの上昇分に関する追加の値上げを検討しており、できるだけ早いタイミングで決定し、追加値上げを行う予定です。この点について、競合他社の動向を注視しながら、慎重に決定していきたいと考えています。
これまでに2回の値上げを行い、さらに追加の値上げを検討中ですので、それに伴い、競争力の低下、すなわちガスのタンクレス給湯器離れが起こらないかという懸念がありますが、すでに発表済みの第1四半期のアメリカの結果や、第2四半期の足元の状況を踏まえると、この値上げによる競争力の低下は見られません。今のところ、順調な傾向が続いていると見ています。
中国 セグメント 2025年度 第1四半期 実績
中国についてです。実際、今期のスタートに当たり、最も懸念していたのは、この中国市場の状況です。補助金効果はあるものの、景気要因による消費マインドの冷え込みが引き続き見られます。この冷え込みは現在も継続しています。
そのような中、上海林内では商品のダウントレードが進んだことに加え、競争環境は激化しています。競合他社による値下げが過去以上のペースで進行しており、状況がさらに厳しさを増しています。このような環境の中、上海林内は販売よりも利益を重視する方針で、市場に対して規律を持って価格対応を実施しています。完全に値下げを行わないわけではありませんが、競合他社ほどではありません。
さらに経費の抑制や、高い利益率を誇る給湯器「プラットフォーム2.0(PF2.0)」の比率を引き上げることで、利益の確保に努めています。このような対応により、第1四半期については利益が小さいながらも、前期比で増益となり、良いスタートを切ることができました。
オーストラリア セグメント 2025年度 第1四半期 実績
オーストラリアについてです。オーストラリアでは非常によい結果を出せたと思います。特に販売に関しては、かなり成果を上げることができました。
これを最も牽引したのは、従来から説明しているように、ガス市場が厳しい状況の中で、ヒートポンプ式給湯器の伸長や、昨年8月に買収し連結参入したスマートエナジーという会社の効果などがあったことです。これにより販売が大きく伸び、利益もこれに追随しました。ただし、利益率は低い状況です。
韓国 セグメント 2025年度 第1四半期 実績
韓国についてです。韓国市場は依然として新築を中心に低調であり、ボイラー市場も厳しい状況が続いています。しかし、リンナイコリアでは長らく苦戦を強いられていたボイラーにおいて、この第1四半期に反転攻勢を図ることができました。実際にシェアも上昇しています。
一方で、ガスコンロについては、先ほどご説明したとおり、想定内でしたが「ナビエンマジック」の攻勢がありました。昨年は同社に隙があったため、私たちがシェアを大きく伸ばすことができましたが、当然ながら「ナビエンマジック」が攻勢をかけると、私たちのガスコンロシェアはやや下がる状況です。これは電気製品についても同様です。
価格改定などがあり、厳しい市場の中でなんとか増収増益というスタートを切ることができました。
インドネシア セグメント 2025年度 第1四半期 実績
インドネシアについてです。現地経済が急激に落ち込む中で、主力商品であるテーブルコンロは数量が減少し、若干の影響が出ています。しかし、ビルトインコンロやレンジフードについては、中長期的にインドネシアでの成長余地が期待される中で、第1四半期にはまずまずの成果として高付加価値商品を伸ばすことができました。
減収となったものの、価格改定や商品ミックスの改善によって増益を確保できました。また、利益率が21パーセントと高いことが、連結業績利益を大いに牽引していると言えるかと思います。
連結業績予想の進捗
全体的に、第1四半期の連結結果は、売上・利益ともに順調なスタートを切りました。ほぼ計画どおりに進捗できたと思います。そのため、現時点では上期および通期の業績予想に変更はありません。
私からの説明は以上です。ありがとうございました。
質疑応答:日本セグメントにおけるリコール対応について
質問者:先ほど日本セグメントにおける浴室暖房乾燥機のリコール対応についてお話がありましたが、こちらについて予想外に人員を投入しなければならなかったのかどうか、教えてください。
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