【QAあり】RS Technologies、売上高・営業利益は前年比2桁成長 新規事業RSPDHも業績拡大に貢献
目次
方永義氏(以下、方):代表取締役社長の方永義です。本日は当社の2025年12月期第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日、私からみなさまに特にお伝えしたいことは2点ありまして、1つは上期の各セグメントの事業は順調に進捗したということ、2つめは、M&Aにより取得した新規事業は着実に歩みを進めているということです。
詳しい決算概況は取締役上席執行役員の遠藤からご説明します。
遠藤智氏(以下、遠藤):遠藤です。本日はご参加いただきありがとうございます。私から、決算概況をご説明した後、みなさまからのご質問にお答えしますので、ご不明な点は後ほどご質問ください。
上期業績サマリー
まず、上期の業績サマリーです。
売上高は前年同期比26.4パーセント増の379億9,900万円、営業利益は16.8パーセント増の71億300万円、経常利益は9.4パーセント減の71億5,700万円、親会社に帰属する中間純利益は0.9パーセント減の38億円となりました。
ウェーハ再生事業の事業環境は、半導体市場の成長を背景に三本木工場、台湾工場ともに良好で、増産後も常にフル稼働で操業している状況です。中期経営計画達成に向けても順調に進捗しました。
プライムウェーハ事業も、増産設備投資により主力商品である8インチウェーハの出荷数量が増加しました。シリコン部材の需要状況も回復基調となっており、ウェーハとシリコン部材ともに高水準の営業利益率を維持することができました。
下期からも8インチウェーハ、それからシリコン部材の製造、販売を強化し更なる成長を目指したいと考えています。
半導体関連装置・部材等事業は、構成としてDGテクノロジーズと商社ビジネス、それから新規事業のLEシステムとRSPDHが含まれています。今期より当社グループとして連結となったRSPDHが、当セグメント増収増益の主な要因となりました。
既存事業であるDGテクノロジーズ、商社ビジネスに関しては、計画通りに推移しました。LEシステムにおいては、下期からはウォーターバッテリー、いわゆるバナジウムレドックスフロー用電解液事業のみならず、トータルエネルギーソリューション事業として、蓄電池事業、電力コンサルにも注力していく計画です。
米国関税影響について
米国の関税影響についてですが、現時点では連結の業績、中期経営計画への影響は極めて軽微であると考えています。
まず再生ウェーハについては、現在は関税対象外ですので、影響はありません。もし今後対象となった場合も、米国への出荷はセグメント全体の4パーセント程度であることから影響は軽微です。
プライムウェーハ事業のウェーハについては、製造販売、それから原材料の調達まで基本的に中国国内で完結していますので、影響はありません。シリコン部材については、今後米国向けの営業活動に一部支障が発生する可能性はありますが、中期経営計画への影響はありません。
半導体製造装置・部材等事業の商社ビジネス、LEシステムのバナジウムレドックスフロー用電解液も同様に、今後の営業活動に一部支障が発生する可能性はありますが、中期経営計画への影響はありません。RSPDHは、副資材に一部米国製を使用していますが、影響は極めて軽微です。
2025年12月期第2四半期 決算概況
当第2四半期の決算の概況です。
売上高、営業利益は前年同期から2桁成長で上期を終えることができました。営業外損益の補足として、補助金収入は、毎期計上されている中国政府からプライムウェーハ事業のGRITEKへの補助金です。
為替変動としては、前年同期比14億8,100万円減となりました。当社グループでは適正レートでの為替予約を実施し為替リスクを最小化させる取り組みを行っていますが、第2四半期は、米ドルに対しニュー台湾ドル高も影響し、このような結果となりました。
また、営業外費用に計上されている持分法による投資損失ですが、中国における12インチ事業は現在事業成長のための投資フェーズであることから、損失額が増加しました。加えて、今年1月に当該事業への設備投資用途として、中国子会社GRITEKを通した増資を実施しました。これにより当社持分比率が上昇したことも、損失取込み額増加に影響しています。
投資フェーズではあるものの、事業進捗としては、資料の46ページのとおり、着実に前進しています。
2025年12月期第2四半期 セグメント動向
セグメント動向です。
ウェーハ再生事業は、前年同期比で売上高21.2パーセント増、営業利益12.1パーセント増となりました。前年同期比では、主に増産設備投資による出荷数量の増加が業績に貢献しました。
一方、営業利益率は2.9ポイント減となりました。これは、第1四半期に続き、原価率の高い販売ウェーハの比率が上昇したことが影響しています。
プライムウェーハ事業は、前年同期比で売上高1.1パーセント減、営業利益5.6パーセント増となりました。増産投資により8インチウェーハの生産・出荷数量は増加しましたが、中国8インチ市況の影響を受けて単価が減少しましたので、プライムウェーハの売上高としては前年同期比ほぼ横ばいで着地しました。
一方、シリコン部材に関しては、前年末の在庫調整からは回復基調となりましたが、若干前年には届かなかったことが売上高1.1パーセント減につながりました。
半導体関連装置・部材等事業は、今期よりRSPDHの売上高が加わり前年同期比で増収増益となりました。また、LEシステムが第1四半期に計上したスペインの蓄電所向けのバナジウムレドックスフロー用電解液の売上高も含まれています。
2025年12月期第2四半期 セグメント別動向 四半期実績グラフ
セグメント別の四半期動向です。
ウェーハ再生事業は、堅調に推移しています。例年通り第2四半期は工場の稼働を止めた大型メンテナンスを行いましたので、そのコストとして数千万円が第1四半期比で増加となっています。今期の増産設備は、一部上期から稼働していますが、下期からフル稼働となりますので、更なる生産能力増強を見込んでいます。
次にプライムウェーハ事業についてですが、こちらの増産設備に関しても、一部上期から稼働をしていますが、本格稼働は下期からとなります。市場の需要動向に合わせた新製品の開発にも取り組んでいますので、さらなる生産数量増加を目指していきます。
営業利益率に関しては、第1四半期から1.3ポイント上昇しました。これは、生産性向上、原材料の調達戦略、それから営業利益率の高いシリコン部材の比率が上がったことに起因します。
半導体関連装置・部材等事業では、新規事業RSPDHの光ピックアップモジュールを期初計画より前倒しで生産、出荷できたことが要因で、売上高は前四半期比で26億円増となりました。
既存事業である商社ビジネスは仕入れと販売のタイミングにより四半期ごとで波はあるものの、通期見通しでは計画通りの推移となりました。DGテクノロジーズは、半導体市況およびエッチング装置市況の回復に連動し、前年同期を上回る成長となっています。
貸借対照表/キャッシュ・フロー
貸借対照表とキャッシュフローです。
純資産は、為替等の影響により前年期末比31億円減の1,324億円となりました。今年1月の持分法適用子会社SGRSへの増資約79億円が、貸借対照表の投資その他資産と、キャッシュフローの投資活動によるキャッシュフローに影響しています。
第2四半期の決算説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:中期経営計画における各セグメントの進捗状況について
司会者:「中期経営計画における各セグメントの進捗状況を教えてください」というご質問です。
遠藤:中期経営計画のセグメントごとの内訳は開示していませんが、上半期のそれぞれの事業環境は悪くありませんでした。計画比ではプライムウェーハ事業が若干弱かったものの、その分をRSPDHの業績拡大でカバーした状況です。
質疑応答:再生ウェーハ増産設備投資の状況について
司会者:「再生ウェーハについて、2025年の増産設備投資の状況を教えてください」というご質問です。
遠藤:2025年は三本木工場と台湾工場でそれぞれ月産2万枚の生産能力増強を公表しています。台湾工場はすでに第2四半期から増産を完了しており、三本木工場は下期から増産設備が本格稼働となります。
この増産投資により、三本木工場では月産34万枚、台湾工場では月産29万枚の能力を持つことになります。
質疑応答:再生ウェーハ事業の事業環境について
司会者:「再生ウェーハ事業について、中長期的な事業環境はどうでしょうか?」というご質問です。
遠藤:現時点での事業環境は非常に良く、この良好な状況は継続すると見ています。背景としては、半導体市場の成長、特に国内外の半導体工場新設、AI対応等半導体製造の技術革新、新製造装置の導入が追い風となっていきます。このような需要に対応するため、2027年からは三本木の第7工場、台湾の第2工場を稼働させ生産能力を増強する計画を公表しました。
質疑応答:半導体関連装置・部材等事業の営業利益率について
司会者:「半導体関連装置・部材等事業の営業利益率が、第1四半期と比べて9.9ポイント増加した要因を教えてください」というご質問です。
河路将人氏(以下、河路):財務経理部長の河路から回答します。当期の営業利益率が改善した要因としては、今期から当社グループに加わったRSPDHの光ピックアップモジュールの生産と出荷を前倒しで行ったことで、生産効率が上がり営業利益率上昇に影響しています。
質疑応答:再生ウェーハと販売ウェーハの営業利益率について
司会者:「ウェーハ再生事業の利益率が低下傾向にあり、第2四半期のウェーハ再生事業の利益率は直近数年の四半期実績の中でも低い水準となっています。販売ウェーハの売上高比率の増加も要因とのことですが、こうした傾向は今後も続くのでしょうか?」というご質問です。
遠藤:これは再生ウェーハと販売ウェーハで分けて考える必要があると思います。まず、再生ウェーハの営業利益率は安定して高い水準を維持しています。原価率の高い販売ウェーハが増えたことで、セグメント全体の営業利益率は若干下がっていますが、これはニーズに応えた結果です。
この状況はしばらく継続すると思いますが、原価率の高い販売ウェーハの割合が大きく増えることはあまり考えていません。
質疑応答:プライムウェーハ事業への補助金継続見込みについて
司会者:「プライムウェーハ事業への補助金はいつまで見込むことができるのでしょうか? また、金額は今後どのように変化するのか、あるいは変化しないのか、する場合は何により変動するのかを教えてください」とのご質問です。
河路:補助金については種類や内容によって異なるため、一概にお伝えすることはできません。しかし、現時点では継続的に見込んでいます。
金額の変動については中国政府の方針に左右されるため、具体的な見込みをお伝えすることは難しい状況です。ただし、しばらくは同程度の金額が見込まれると考えています。
質疑応答:プライムウェーハの競争環境と需要見通しについて
司会者:「プライムウェーハの競争環境と需要の見通しを教えてください」というご質問です。
方:今期の中国マーケットの競争環境は、前年より激化しています。しかし、当社の主力製品であるパワー半導体用をメインとした8インチウェーハの落ち込みはあまりないと理解しています。
環境変化の激しい12インチウェーハに関しては慎重に設備投資をしており、現在の生産能力は11万枚であるため、大きな損失には至っていません。
質疑応答:RSPDHの進捗状況について
司会者:「新事業であるRSPDHについて、アップデートをうかがいたいです」というご質問です。
方:RSPDHについて、今年は100億円ほどの売上を達成できる見込みです。来期以降は事業内容を大きく変更し、現時点では車載カメラモジュール事業をメインとする計画を進めています。また、中国におけるパートナーシップを結ぶパートナーも探しているところです。
現段階で開示できる情報はありませんが、開示できる状態になりましたら速やかにみなさまにお知らせし、来期のデータを共有します。
質疑応答:LEシステムの進捗状況について
司会者:「LEシステムの進捗状況について教えてください」というご質問です。
方:バナジウムレドックスフロー用電解液の生産を続けながら、電気料金最適化コンサルティングや蓄電池事業などにも注力しており、これらも順調に進捗しています。
質疑応答:LEシステムにおける中国での工場建設計画について
司会者:「LEシステムについて、電解液工場の中国への進出はいつ頃になりそうですか?」というご質問です。
方:すでに発表していた中国での工場建設については、山東省の徳州市にある当社の子会社GRITEKのそばに徳州工場の建設が決定しており、今のところ予定どおり進めています。
質疑応答:12インチウェーハ事業の戦略と増資理由について
司会者:「12インチウェーハ事業の戦略と、持分比率を引き上げた背景について教えてください」というご質問です。
遠藤:持分法適用子会社SGRSの12インチウェーハ事業に関するご質問だと理解しています。
当社は5、6、8インチウェーハから量産してきた強みがあり、8インチでのパワー半導体用ウェーハの実績をベースに、まずは12インチのパワー半導体用ウェーハ(IGBT等)を製品化しています。これを基にメモリやロジック向けのボリュームゾーンへ進出する戦略です。2027年頃から中国国内で12インチ市場が本格的に立ち上がると考えており、そのタイミングに合わせて設備投資を行います。
方:当初はリスクを抑えて比率を調整していましたが、SGRSの品質が安定してきたため、リスクが低いと判断し増資を実行しました。今後もマーケットと対話しながら、30万枚の設備投資に合わせて比率を上げていくことも検討しています。
質疑応答:中国における再生ウェーハ事業の進捗状況について
司会者:「中国における再生ウェーハ事業の進捗状況を教えてください。また、ユーザーは中国ローカルメーカーなのか、中国進出の欧米メーカー向けなのかも知りたいです」というご質問です。
遠藤:現在の中国において、再生ウェーハの市場は徐々に広がっています。当社と同様の再生メーカーも設備投資を進めている状況で、2027年頃には市場が拡大すると考えています。そのタイミングを見据えて当社も設備投資を行い、中国の需要を取り込んでいく方針です。
中国の再生ウェーハ事業のユーザーについては、基本的には中国のローカルメーカーになります。現在、ほぼ100パーセントが中国国内の半導体顧客向けとなっていると考えています。
質疑応答:中国における12インチプライムウェーハの市況感について
司会者:「中国における12インチプライムウェーハの市況感について教えてください」というご質問です。
遠藤:非常に加速的に立ち上がっている状況だと思います。中国の方針として地産地消を目指しており、いずれは中国産のプライムウェーハが優先的に使われるようになると思います。
2027年頃には中国の市況がさらに拡大すると考えていますので、当社もそれに向けて、量産化をさらに拡大する計画をしています。
質疑応答:中国子会社からの配当頻度について
司会者:「中国子会社からの配当が定期的にあると前回の説明会でうかがいましたが、今期もあるのでしょうか?」というご質問です。
河路:中国子会社からは基本的に年2回の配当があり、この第2四半期では今期1回目の配当を受け取りました。
質疑応答:M&A戦略について
司会者:「M&Aの今後の方針について教えてください」というご質問です。
方:当社はM&Aを通じて成長してきた会社であり、今後もM&Aを武器に成長していきたいと考えています。メインの方向性としては、半導体関連メーカーや最近買収したLEシステムのような新エネルギー関連会社などが対象です。
こうした分野でM&Aのチャンスがあれば、積極的に取り組んでいきたいと思っています。
質疑応答:サクセッションプランについて
司会者:「方社長のリーダーシップはすばらしいですが、サクセッションプランがもしあれば教えていただけますか?」というご質問です。
方:2022年に若手育成プランを策定し、これまでより若い世代を役員として抜擢いたしました。
今日隣にいる河路と遠藤は、ふだんから私に同行し、中国や台湾、欧米のマーケットを一緒に見て回りながら社長業を勉強してもらっています。他にも当社には、日本や中国だけでなくグローバルに活躍できる社員が複数おり、彼らが事業を推進しています。
基幹事業であるウェーハ再生事業およびプライムウェーハ事業に関しては、隣にいる遠藤がメインで担当しています。また、RSPDHやLEシステムに関しても、それぞれ役員を派遣してしっかりと管理を行っています。
そのような意味で、当社にはすでに次世代リーダーにふさわしい人材が多くいると考えています。
質疑応答:プライムウェーハ事業の営業利益率が高い要因について
司会者:「プライムウェーハ事業の営業利益率が高い要因の1つに『生産性の向上』が挙げられていますが、具体的な内容について教えてください」というご質問です。
遠藤:過剰投資をせずタイムリーな投資ができていることで、設備は常に高い稼働率を維持しています。また、継続的なコスト削減施策や、原材料調達戦略、中国国内の優遇政策の活用も営業利益率向上に貢献しています。
質疑応答:配当方針について
司会者:「配当方針について教えてください」というご質問です。
方:毎期の業績に応じての判断にはなりますが、増配を継続し今後も株主さまへの還元に努めたいと考えています。しかし当社は成長フェーズであることから、現在は資金を配当以外にも設備投資やM&Aに使用し成長につなげたいと考えています。将来的な目標にはなりますが、配当性向30パーセントを達成したいと考えています。
質疑応答:M&Aのグローバル展開について
司会者:「M&Aについて、今後も中国市場を中心に考えていますか?」というご質問です。
方:中国市場だけでなく、日本もメインに考えていますし、欧米等も検討しグローバルな展開をしていきたいと考えています。
質疑応答:株価に対する見解について
司会者:「株価の見方や、株価対策について考えていることがあれば教えてください」というご質問です。
方:私自身も現在の株価に決して満足しているわけではありません。会社の代表として、IR活動などを通じて、実績が株価に反映されるよう日々努力を続けています。今後も同様の努力を続け、みなさまにご満足いただけるような活動をしていきます。
新着ログ
「金属製品」のログ