会社概要

広木太氏:みなさま、こんにちは。株式会社BeeX代表取締役社長の広木です。本日は、2025年2月期通期決算についてご説明します。

まずは会社概要です。当社は2016年3月に創業し、クラウド関連の導入・保守・管理事業およびソフトウェア開発を行っている会社になります。2025年2月時点で従業員数は184名です。クラウドを専業にしているところが、第1の特徴になります。

BeeXのマルチクラウド対応力

我々がクラウドの中で、どのようなサービスを取り扱っているかについてご紹介します。1つ目が「Amazon Web Services」で、通称「AWS」と呼ばれています。2つ目は、Microsoftが提供している「Microsoft Azure」、3つ目はGoogleが提供している「Google Cloud」です。

クラウド市場において、これら3つが非常に高い成長率およびシェアを持っています。第2の特徴として、我々はマルチクラウド対応のインテグレータとして、これら3つに対応している点があげられます。

加えて、SAP認定サービスパートナーであることも特徴の1つになります。SAPはドイツのERPパッケージベンダーで、多くの大企業で採用されています。そのような関係もあり、我々のお客さまは大企業が中心となっています。大企業を中心とした顧客基盤を持っているところが、第3の特徴になります。

事業内容

「AWS」「Microsoft Azure」「Google Cloud」を使ってどのような事業を行っているのかについて、ご説明します。我々の事業は3つあります。

1つ目はクラウドインテグレーションです。クラウド導入のコンサルティングから構築、既存システムのクラウド移行、クラウドに最適化されたアプリケーション開発などをクラウドを専門としてシステムインテグレーションを行っています。

2つ目はクラウドライセンスリセールで、「AWS」「Microsoft Azure」「Google Cloud」の販売を行っています。ライセンスの販売と言っても一過性のビジネスではなく、毎月の利用状況に応じて請求し、支払いをしていただくというものになります。

3つ目はマネージドサービスプロバイダーで、運用・保守を行います。クラウド上に作ったシステムを24時間365日監視し、障害対応やクラウドの拡張などを月額の課金で行っています。

今お伝えした3つの事業をさらに2つに大別すると、フロー型とストック型に分けられます。クラウドインテグレーションはフロー型のビジネスで、お客さまのご要望をいただきシステムの構築を行い、その対価をいただいています。

クラウドライセンスリセールとマネージドサービスプロバイダーはストック型のビジネスで、お客さまの利用状況に応じて、毎月請求し、支払いをしていただいています。我々は、このフロー型とストック型のビジネスを組み合わせることにより、安定した収入と利益を得ながら新しいビジネスにチャレンジしています。これらを両立できるところが、我々の強みだと考えています。

代表導入事例

2025年2月期のトピックスを2つご紹介します。

1つ目のトピックスは代表導入事例の紹介となります。多くのお客さまに採用していただいていますが、その中でも代表的な事例を3つご紹介したいと思います。

まずは、YKKさまの事例です。こちらは従来、オンプレミスで動いていたSAPシステムをクラウドに上げるという事例になります。非常に短期間で行うことができ、また、導入後はシステムの安定性、パフォーマンスの改善、コストの削減に寄与しました。

続いて、ローランドさまの事例です。こちらも同じくSAPになるのですが、この後お話ししますSAPの新しいバージョンである「SAP S/4HANA」にコンバージョンし、クラウド化した事例になります。

3つ目は日本経済新聞社さまの事例です。日本経済新聞社さまのBtoBサービスの開発を、お客さまとコラボレーションするかたちで行いました。クラウドネイティブのアプリケーションをアジャイル型で開発したという事例になります。

我々はこのような大企業さまを中心に、今年も多くの実績を獲得することができました。

安全かつ効率的な生成AI活用支援サービスを提供開始

2つ目のトピックスは、新たに追加した生成AI活用支援サービスの提供開始についてです。生成AIに関しては、さまざまな企業さまでお使いいただいていますが、どのように活用したらよいかわからないといったお客さまが多いのが現状です。なおかつ、セキュリティを担保しながら活用していくことが重要になります。

我々は、セキュリティを担保しながら生成AIを活用していただく環境の構築や、生成AI活用のユースケースをテンプレート化したサンプルアプリケーションを提供し、生成AIサービスの早期立ち上げを支援しています。お客さまにいち早く利用していただくことで、AIの利便性を実際に体感していただけます。

環境構築から実際の利用まで、伴走型で支援するのが特徴であり、現在多くの引き合いをいただいています。

KPIハイライト

通期決算の概要についてご説明します。

まず、KPIハイライトです。全体売上高は前期比20.2パーセント増の92億5,500万円、全体営業利益は前期比9.6パーセント増の6億5,600万円となり、今期も継続した力強い成長ができたと考えています。

業績サマリ 前期比較

今ご説明したことを可視化したのが、こちらのスライドに記載されているグラフです。売上高は前期比20.2パーセント増、売上総利益は13.1パーセント増、営業利益は9.6パーセント増、経常利益は9.4パーセント増、純利益は13.3パーセント増と、前期に比べて大きく成長できているのが見て取れると思います。

サービス別売上高

サービス別の売上高についてご説明します。グラフのオレンジ色の点線で囲ったところがストック型ビジネス、その上のオレンジ色のところがクラウドインテグレーションのフロー型ビジネスになります。

ストック型ビジネスの売上が継続的に伸びていることが見て取れると思います。また、2024年2月期と2025年2月期のフロー型ビジネスを比較しても、大きく伸びています。

クラウドライセンスリセール売上の推移

クラウドライセンスリセール売上の推移のグラフです。第1四半期から第4四半期にかけて非常に力強く伸びています。特に第4四半期に関しては、大型ライセンスリセール案件の獲得などもあり、大きく伸びました。また、継続的に伸びていることが見て取れると思います。

クラウドライセンスリセールビジネスアカウント数推移

その売上を支える、クラウドライセンスリセールビジネスアカウント数推移のグラフです。ビジネスアカウント数というのは、お客さまの数ではなく契約数になります。こちらに関しても第1四半期から第4四半期にかけて大きく伸びています。特に第4四半期においては、第3四半期の601件から700件と大きく伸びていることが見て取れると思います。

このように、クラウドライセンスリセールビジネスは、売上・アカウントともに今期も力強く伸ばすことができました。また、ストック型のビジネスになりますので、来期以降も継続して伸ばしていけると考えています。

マネージドサービスプロバイダー売上、ユーザー数の推移

マネージドサービスプロバイダー売上と、ユーザー数の推移のグラフです。こちらに関してもストック型のビジネスになりますので、継続的にしっかりと伸ばすことができています。

クラウドインテグレーション受注件数・四半期売上高の推移

最後に、クラウドインテグレーションの受注件数と四半期売上高の推移のグラフです。こちらは受注件数になりますので、どうしても1件当たりの売上が大きいものと小さいものに分かれるため、わかりづらいグラフにはなりますが、2025年2月期も安定した受注ができていることがおわかりいただけると思います。

このようにストック型ビジネスは非常にお客さまも増え、ライセンスも増えて、来期以降も伸ばしていけることが見て取れるかと思いますし、クラウドインテグレーションに関してもしっかりと受注できていることがわかるかと思います。

2026年2月期 連結業績予想

2026年2月期の連結業績予想です。この後お伝えしますが、スカイ365というクラウドMSP事業を専業に行っている会社を連結子会社化しています。2026年2月期の予想に関しては、これを連結した数字となっています。2025年2月期は当社単体となっており、増減率は参考値として示しています。

2026年2月期連結の売上高は114億1,300万円を予想しています。前期比の単体実績増減率は23.3パーセント増となっています。営業利益は7億3,900万円、増減率12.7パーセント増です。経常利益は7億4,800万円、増減率11.1パーセント増を予想しています。

2026年2月期 連結業績予想

過去からの推移を示したグラフです。売上高・経常利益ともに継続的に力強く伸びていることが見て取れると思います。

MSP専業会社スカイ365との連携によりMSP事業拡大

先ほどお伝えしたMSP専業会社、スカイ365について少し触れたいと思います。今期の業績予想の大きなトピックスとなりますが、2025年4月にクラウドのMSPを専業で提供しているスカイ365の子会社化を行っています。クラウドMSP専業会社を子会社化する事により、当社が行っていたMSPのサービスを強化・発展させ、ビジネスを拡大していきます。

2026年2月期 主なポイント(売上)

売上のポイントについてお伝えします。クラウドインテグレーションに関しては、SAPシステムのS/4HANA化の案件の獲得、業務システムを中心としたクラウドマイグレーションとモダナイゼーション案件の獲得、内製化支援を軸にしたクラウド利活用の推進などの案件の拡大を継続して行っていきます。

クラウドライセンスリセールに関しては、ライセンスリセール専門組織を今期より新たに設立しています。これにより、ライセンスリセール売上、アカウント数の拡大を行っていきたいと考えています。

2026年2月期 主なポイント(費用)

費用のポイントです。まずMSPサービスに関して、スカイ365を連結子会社化することによって新たなサービスの開発・拡大に推進していこうと考えています。その他、マーケティングや人材にも、成長のために継続的に投資していくことを予定しています。

中期経営計画の売上高目標

最後に成長戦略についてお伝えします。まず、中期経営計画の売上高目標です。先ほどご紹介した2026年2月期予想に加え、2028年2月期の目標を設定しています。3年後となる2028年2月期は、160億円から170億円の売上を目標としています。

SAPシステムのクラウド化・S/4HANA化支援

ここからは、その3年後の売上高を目指すための成長戦略について3つほどお伝えします。

まずは、基幹システムのクラウド化/モダナイズ化です。こちらは我々の最大のコア事業となっています。現在使われているSAPシステム「SAP ERP 6.0」という製品の標準サポートが2027年、延長サポートが2030年で終了することが予告されています。

このような背景もあり、今、大企業で使われている従来型の「SAP ERP 6.0」を、「SAP S/4HANA」という新しいバージョンに上げるというのが、ある意味社会課題として起きています。我々は、このS/4HANA化、およびそれに伴うクラウド化を引き続き支援していきます。

重要なのは、S/4HANA化して終わりではなく、その後、企業のDX推進のために、さまざまな拡張が必要になることです。データ利活用の推進、昨今はAIの活用など、S/4HANA化して終わりではなく、その後の継続的な支援にも力を入れていきます。

さらにS/4HANA自体にもマイナーバージョンがあり、2年に1回新しいバージョンがリリースされ、5年から7年で保守が終了することになっています。S/4HANAに上げた後のアップグレードも継続的に支援していきます。

このように、S/4HANA化、それに伴うクラウド化、S/4HANA化後のDXのための拡張、S/4HANAのアップグレードなどは、さまざまなステージのお客さまがいるため、そのステージに合わせて継続的に支援していきます。

企業のDX推進を伴走型で支援

続いて、デジタルトランスフォーメーションについてお伝えします。我々は企業のDX推進について、伴走型で支援していくことが特に大事だと考えています。

DXというのは、何かITツールを入れて終わりではなく、継続的にさまざまなシステム拡張・改善・改革、あるいはお客さまの文化の改善、内製化の支援など、多岐にわたる支援が必要だと思っています。

我々は、DXにはデータ駆動型に企業を変革することが重要と考え、伴走型支援として、企業のデータ活用の支援を行っています。先ほどお話ししたSAPシステムのデータ分析はもちろん、マーケティングデータや工場のIoTのデータを集約して横断的に分析・活用を継続的に支援する取り組みです。

またAIの導入・活用の支援、システムアーキテクチャの設計のコンサルティングや、CCoEと呼ばれるクラウドを活用するためのお客さまの組織作りの活用推進なども、伴走型で支援を行ってきました。

昨年度もこのような伴走支援サービスの拡大を行ってきましたが、今年度もより拡大・強化し、お客さまが自走できるような継続的な支援を行っていきたいと考えています。

マルチクラウド対応マネージドサービス

最後に、マルチクラウドリセール/MSPについてお伝えします。先ほどからお伝えしているストック型ビジネスが我々の売上のコアとなっており、その継続的な拡大が重要と考えています。

ライセンスリセールの拡大

ライセンスリセールに関して、従来我々が得意としていたモデルは、SAPシステムを中心とした基幹システムをクラウドへマイグレーションし、その結果、クラウドのライセンスリセールを獲得するというビジネスモデルでした。

これが我々のコアとなっていましたが、それだけでなく、先ほどお伝えしたDX推進・内製化の拡大によってさまざまなクラウドサービスを活用することでクラウドライセンリセールを拡大していくこと、また、新たな販路として公共部門やSMBエリアなどの、我々が今まで手掛けていなかった顧客層にも、クラウド専用の販売組織を新たに組織化して販路拡大を行っていくことを予定しています。

マネージドサービスの推進

さらにストックからマネージドサービスになりますが、スカイ365との連携を強化し、我々が得意としてきた従来型の運用・監視だけでなく、セキュリティサービス、ゼロトラストネットワークと呼ばれる新しいネットワークの構築と、それに伴う運用保守などセキュリティ運用サービスを広げていきます。

さらにオブザーバビリティ・FinOps・伴走支援サービスという、クラウド上で複雑化されたシステムを継続的に最適化するサービスを提供していきます。また、今までお客さまが行っていたIT業務をAIを活用して当社が巻き取るアウトソーシングサービスなどの分野のビジネスを拡大していきます。

これらMSPサービスを拡大・推進することにより、ストックサービスの拡大に今後も取り組んでいく予定です。

Our Vision

以上、3つの成長戦略をお伝えしました。我々が従来行っているSAPシステムのモダナイゼーションと、スカイ365と連携したMSPの拡大を通じて、企業のクラウド活用の推進、デジタル化の推進をともに行っていきたいと考えています。投資家のみなさまにも、ぜひ引き続き応援いただければと思っています。