MISSION
間地寛氏(以下、間地):代表取締役社長の間地です。それでは、2025年6月期中間期の決算説明を始めます。
初めて参加する方もいらっしゃると思いますので、当社の事業内容を少しお話ししてから決算内容に移ります。
物流業界は今、大変革期を迎えています。当社は「物流業界の変革期を人とデジタルの力で改善する」ことをミッションに掲げ、特に物流事業者の安全活動を支援するコンサルティング事業を展開しています。
会社概要 / 1:経営理念
会社概要です。社是に「ひとりひとりの輝きが明日(アス)の未来を開(ア)ける」とあります。株式会社アスアという社名は、その中の「明日を開ける」が由来となっています。
会社概要 / 2:会社概要
当社は1994年7月に設立され、今年で30周年を迎えます。2024年12月末時点の従業員数は133名です。
会社概要 / 3:沿革
沿革です。当社は、私が26歳の時に自宅のある愛知県春日井市で起業しました。ガス漏れ警報器の取り付け事業からスタートし、その事業が電話回線をつなげる事業に変わっていった時に、通信ネットワークソリューション事業を開始しています。
その後、1998年にトラックの燃費を改善する商品の開発・販売を開始しました。ただし実際に測定してみると、その製品の効果よりも、ドライバーの方々の意識が変わり、安全運転や燃費活動に関する意欲が高まることで、燃費が上がることが非常によくわかりました。その時からコンサルティング事業に転換し、現在の物流のコンサルティング事業をスタートしています。
その後、エビデンスをしっかりと取っていくため、スライド右側のグラフに示しているように、燃費が上がると交通事故が低減することを記した論文を初めて発表しました。これをきっかけに、国土交通省、経済産業省、環境省、東京都トラック協会の事業を受託するようになり、事業が広がっていったという背景があります。
また、2014年には「国連エコドライブカンファレンス」を当社が代表発起人となり開催しました。このカンファレンスをきっかけにトヨタ自動車との取引が始まり、現在のCRMイノベーション事業につながっています。
会社概要 / 4:セグメント別実績及び事業内容
セグメント別の実績をご説明します。現在、当社にはコンサルティング事業、CRMイノベーション事業、通信ネットワークソリューション事業の3つの事業があります。
売上構成を見ると、全体の52パーセントをコンサルティング事業が占めており、主力サービスとなっています。
会社概要 / 5:売上高・営業利益の推移
売上高と営業利益の推移です。前期は売上高が13億6,300万円、営業利益が1億6,400万円という結果でした。今期は売上高14億3,100万円、営業利益2億500万を目指して取り組んでいる状況です。
会社概要 / 6:コンサルティング事業 契約社数推移
コンサルティング事業における契約社数の推移です。2024年12月末時点の契約社数は1,369社となりました。2024年6月末の実績が1,286社でしたので、そこから83社の増加で半期を終えている状況です。
会社概要 / 7:当社の収益構造
当社の収益構造です。物流事業者および一般企業にサービスを提供して費用を受け取っている、BtoBの事業となっています。
事業の特徴・強み / コンサルティング事業
当社の強みと特徴を3つのセグメントに分けてお話しします。まずはコンサルティング事業です。コンサルティング事業には、「TRYESサポート(トライエスサポート)」と「TRYESレポート(トライエスレポート)」の2つのサービスがあります。
1つ目の「TRYESサポート」は、対面型のコンサルティングサービスです。運送会社の現場にコンサルタントのメンバーが訪問し、燃費データを活用しながら短時間で効果的な安全活動をアウトソースで行うサービスです。
運送事業者は、ドライバーが一堂に集まることが難しい業界です。当社のメンバーが24時間のうち8時間滞在し、ドライバーの方々と対面でのミーティングを行いながら、ドライバーの悩みごとや改善ポイントなどをうかがい、改善を促進していく事業を展開しています。
車両保有台数が50台規模の場合、初年度の年間費用は約300万円となっています。管理者を1人雇うことを考えると、非常にリーズナブルな価格です。
2つ目の「TRYESレポート」は、「TRYESサポート」のサービス内で使用している教育教材をWeb上で提供するサービスです。こちらはコロナ禍でスタートしたサービスですが、現在も伸びている事業となります。
50人規模の場合、初年度の年間費用は22万4,000円です。これは「TRYESサポート」の10分の1程度のため、非常に参加しやすく、購入しやすいサービスとなっています。
事業の特徴・強み / コンサルティング事業(TRYESサポート①)
当社は「TRYESサポート」のサービスを約25年提供してきました。その中で培ってきた燃費データベース、事故データベースを保有していることが1つの強みになっています。
燃費データベースに関しては、約4,000万レコードのデータを保有しています。いろいろな事業者のトラックの車種、架装区分、走行区分などによって、燃費の偏差値を算出できる仕組みを設けており、事業者のポテンシャルを可視化できる仕組みがあります。
一方、事故データベースに関しては、軽微な事故から重大事故まで約4万件の事故情報を保有しています。運送事業者の場合、業種によって事故の発生率がかなり異なるため、「その事業者において、事故の発生可能性がどの程度あるか」をしっかりと把握しながらアドバイスできるところがポイントとなっています。
このように客観的なデータを基に、スライド右側に記載のように、当社のコンサルタントメンバーが現場に訪問し、ドライバーの方々と「いかに燃費を高めていくのか」「安全活動に資する取り組みを行っていくのか」を個別にミーティングしていきます。
過去25年間で同様のサービスを実施している会社になかなか出会うことがなく、相見積りにもなったこともありません。このようなところが当社の特徴かつ強みとなっています。
事業の特徴・強み / コンサルティング事業(TRYESサポート②)
当社のコンサルティングサービスである「TRYESサポート」の実施件数は年々右肩上がりで伸びています。さらにスライド中央に記載のとおり、月間の平均解約率は0.42パーセントと非常に低い水準を保っています。
また、売上はすべてストック型のため、売上と利益が年々積み上がっていくサービスとなっています。
事業の特徴・強み / コンサルティング事業(TRYESレポート①)
「TRYESレポート」についてです。このサービスは、コロナ禍の2020年に開始しました。スライド左側に示している、先ほどお話しした「TRYESサポート」では、経営者ミーティング、管理者ミーティング、ドライバーミーティング、教材開発、データ管理・BPOという5つのサービスを提供しています。
しかし、コロナ禍において「ドライバーミーティングのために会社に来るのは控えてほしい」と要請される事態がありました。その時に、私たちの保有資産を見直すと1,000点を超える教材があったため、これをリファインしてWeb上で提供するという新しいサービスを始めました。それが「TRYESレポート」です。
事業の特徴・強み / コンサルティング事業(TRYESレポート②)
「TRYESレポート」の利用シーンです。スライドに記載のとおり、乗務前の点呼時、安全会議やミーティング、個別指導、荷待ちの時間など、さまざまな時に活用できます。この利用シーンの幅広さを背景に、年々契約社数が伸び、前期末は444社まで増加しました。今年は624社まで増やす計画を立てています。
事業の特徴・強み / CRMイノベーション事業①
CRMイノベーション事業についてです。こちらはコンサルティング事業から派生した事業で、スライド左側に記載のとおり、これまでにお話しした燃費データベース・事故データベースに加え、アドバイス手法に関してもデータベース化しています。これらを活用し、「ASUA Knowledge Messaging System(A-KMS)」を作り上げています。
このシステムに、スライド左下の赤色の自動車のところに記載しているコネクティッドカーデータを流し込むことで、その人に合った「One to One」のメッセージを生成することができるシステムとなっています。
このシステムでは、「どう伝えると行動をもっと継続してもらえる確率が高まるか?」という観点でメッセージを作り上げています。
事業の特徴・強み / CRMイノベーション事業②
現在「AーKMS」のサービスが非常に伸びています。具体的には、トヨタ自動車株式会社の「エコ・安全運転メッセージ」、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の「安全運転支援メッセージ」、そしてトヨタモビリティパーツ株式会社の「AI車検見積購買アシストメッセージ」で使われています。
事業の特徴・強み / 通信ネットワークソリューション事業
通信ネットワークソリューション事業は、創業当初からの祖業です。現在、東海地区を中心に約3,000社のユーザーが存在しています。ビジネスフォン、複合機、ネットワーク環境等の提供により、非常に安定的に伸びている状況です。
2025年6月期中間期 決算ハイライト①
2025年6月期中間期の決算情報についてご説明します。売上高は前年同期比プラス10.7パーセントの6億9,700万円、営業利益は前年同期比プラス73パーセントの7,300万円、経常利益は前年同期比プラス24.1パーセントの5,200万円となっています。売上高、営業利益ともに、中間期としては過去最高値を更新しました。
2025年6月期中間期 決算ハイライト②(前期対比)
決算情報の詳細です。売上高、営業利益は先ほどお伝えしたとおりです。中間純利益は、前年同期比マイナス15.1パーセントと微減となりました。
これは上場に伴う税率の変更において、繰延税金資産の取崩しを行ったことで、法人税等調整額が一時的に増加していることが要因です。年間で考えると通常どおりとなるため、一時的なものだとご理解ください。
2025年6月期中間期 決算ハイライト③(予算対比)
予算対比です。前年同期と比較すると、売上高はプラス3.1パーセント、営業利益はプラス7.0パーセント、経常利益はプラス2.4パーセントとなっています。中間純利益はマイナス29.9パーセントで、理由は先ほどお伝えしたとおりです。
2025年6月期中間期 決算ハイライト④(セグメント別)
セグメント別の状況です。コンサルティング事業は、売上高が前年同期比プラス8.3パーセント、営業利益は前年同期比プラス9.9パーセントと順調に伸びています。
CRMイノベーション事業は、メッセージングサービスに特化し、モビリティ領域を拡大させていきます。システム開発は可能な限り縮小していく方針です。
しかし、残っているシステム開発案件で納品のずれが少しあり、売上高は前年同期比マイナス9.1パーセントとなっています。ただし、利益率は上昇しており、営業利益は前年同期比プラス3.0パーセントで着地しました。
通信ネットワークソリューション事業は、上場の1つの効果として信用度が向上したこともあり、売上高は前年同期比プラス30.6パーセント、営業利益は前年同期比プラス52.0パーセントと、順調に伸びている状況です。
経営指標(KPI)の進捗
KPIの進捗状況です。当社では、経営指標として3つのKPIを設定しています。1つ目の「TRYESサポート」の年間実施件数は中間期で1,355件と、計画どおり順調に伸びています。
2つ目の「TRYESレポート」の期末契約社数も527社と、当初掲げた予算どおりに推移しています。3つ目の「TRYESレポート」の期末登録人数は1万7,475人で、こちらも順調に伸びている状況です。
2025年6月期中間期 財務の状況
財務の状況です。上場による効果もあり、自己資本比率は前期末の49パーセントから68.1パーセントに上昇しており、非常に安定した経営が可能となっています。
キャッシュフロー計算書
利益も伸びており、キャッシュフローも非常に安定しています。今後については、上場時に掲げた投資に1つずつ取り組んでいく計画です。
2025年6月期通期計画
通期計画についてです。売上高、営業利益ともに、当初の予想どおり過去最高を見込んでいます。
成長戦略 / 物流業界の市場環境①
今後の成長戦略についてです。まず、当社の事業拡大の背景には2024年問題があります。この問題は昨年から始まっていますが、いまだすべての事業者が対応できているわけではありません。そのため、2024年問題への対応が引き続き必要とされています。
また、2024年問題の解決に向けて、今年4月から新物流2法が制定される予定です。この法令への対応は物流業界の大きな課題ですが、同時に当社の伸びに関わる市場背景の1つとなっています。
2024年問題の具体的な内容は、時間外労働時間を年間960時間に制限するというものです。一般企業ではすでに720時間に制限されていることを考えると、物流業界においてドライバー1人あたりの労働時間は確実に短縮され、運べる荷物量の減少という大きな課題に直面することになります。
このような中で制定される新物流2法では、荷待ち時間の短縮、荷役時間の改善、多重下請け構造の見直し、積載効率の向上が求められています。さらに、安全面に関しても法定12項目で定められ、その遵守が必須となっています。
これらの規制により業務負担が増え、運送事業者の管理者である運行管理者は、安全活動にまで手が回らない状況に陥っています。
この背景には、スライド左側の円グラフが示すとおり、全国約6万3,000社の運送事業者の99パーセントが保有車両100台以下の規模で、そのうち86パーセントが30台以下の事業者であるという実態があります。特に中小事業者では、法的背景により安全活動が疎かになるという課題が生じています。
成長戦略 / 物流業界の市場環境②
そのような中で、安全活動に関してアウトソースしていく動きが増えてきています。スライド左側の表に記載のとおり、運行管理者は採用から運行管理、車両管理、営業活動、そして安全活動まで取り組まなければなりません。この安全活動を当社にアウトソースすることで、管理者の労働時間やコストを削減できます。
さらに副次的効果として、法令遵守、燃費向上、事故低減、離職防止といったメリットもあるため、当社への受注が広がっているという背景があります。
成長戦略 / 1:TRYESサポートの更なる拡大
その中で「TRYESサポート」のさらなる拡大として、当社は上場を機に営業エリアを拡大し、特に2024年問題等で人手不足に直面している大手・準大手の物流事業者をターゲットとした営業活動を展開しています。この営業活動では、保険会社やパートナーを積極的に活用していきます。
さらに、スライド左側の4点目に記載のとおり、今年4月には「関西物流展」にも出展予定です。この機会を通じて、当社の活動をさらに広げていく計画です。
成長戦略 / 2:TRYESレポートの普及拡大
「TRYESレポート」の普及拡大に向けても、同様に大手戦略で取り組んでいます。特にコンテンツ開発での差別化に重きを置き、展開を進めているところです。
成長戦略 / 2:TRYESレポートの普及拡大
「TRYESレポート」の契約社数については、今年度は624社まで、来年度は1,000社まで広げていく計画で準備を進めています。
成長戦略 / コンサルティング事業
成長戦略として、プレスリリースの内容についてお話しします。今回、運転を科学する株式会社ディ・クリエイトとの業務提携を発表しました。ディ・クリエイト社は、ドライブレコーダーの映像を活用した安全活動の情報提供を行っています。
当社は現場に向かうコンサルティングに取り組んでいますが、ディ・クリエイト社と提携することで、教材をより良くできるのではないかと考えました。今後、私たちの現場におけるレベルを上げていくことができると考えています。
成長戦略 / 3:CRMイノベーション事業のモビリティ領域での更なる拡大
CRMイノベーション事業の成長戦略です。先ほど少しお話しした「AI整備見積購買アシストメッセージ」が非常に伸びています。今後もこちらに注力して取り組んでいきたいと思います。
成長戦略 / CRMイノベーション事業
昨年11月の第1四半期の決算期には、トヨタモビリティパーツ社への「AI車検購買見積アシストメッセージ」の提供に加え、積載効率を可視化するシステムが成功したことをお伝えしました。こちらの情報が大変好評であったことから、2月13日にもう1つプレスリリースを発表しました。
ウイングアーク1st社、当社、traevo社の3社は、新物流2法における物資の流通の効率化に関する法対応支援で連携しました。ウイングアーク1st社はプライム上場企業であり、現在物流会社の伝票データを電子化するサービスを行っています。
先ほど少しお伝えしましたが、新物流2法は積載効率向上の目標値が初めて示された法律となっています。これまで積載効率は39パーセントと言われていましたが、令和10年までに全体の積載効率を44パーセントに、一部の特定荷主と言われる年間9万トン以上の物流のある荷主は50パーセントまで高めることが目標値として提示されました。
しかし、多くの事業者では、なかなか積載効率まで把握できていない実態があります。来年4月からは罰則規定も設けられる可能性があり、この1年間は積載効率をどのように可視化し、改善していくのかがかなり大きな課題になってくると思います。
そのような意味で、ウイングアーク1st社の伝票を電子化するサービスと、traevo社のデジタコデータを連携するサービスのデータに基づき、当社が積載効率の自動的な計算とCO2排出量の可視化を行う仕組みを作ることになりました。今後、このような点でも成長が見込めると考えています。
成長戦略 / 中長期戦略
当社としては、「TRYESサポート」および「TRYESレポート」の普及拡大、そしてCRMイノベーション事業のモビリティ領域におけるさらなる拡大をベースとして、中期の成長戦略としたいと思っています。
以上で、当社の説明を終わります。
質疑応答:ウイングアーク1st社との協業の展望について
司会者:「ウイングアーク1st社との協業について、今後の展望を含めてもう少し詳しく教えてください」というご質問です。
既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。