目次

岡田義也氏(以下、岡田):代表取締役社長 社長執行役員の岡田です。本日はお忙しい中、私どもの決算説明会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。

まず、11月8日に発表した2025年3月期中間期の業績についてご報告し、次に中期経営計画の取組に関して、新たに実行したM&Aを中心にご説明します。その後、2025年3月期の業績見通し、配当政策という順でご説明しますので、よろしくお願いします。

それでは、進行年度の中間期決算の具体的な内容について、担当取締役の八田からご説明します。

2025年3月期中間期の連結損益計算書

八田忠道氏:取締役執行役員の八田です。私からは、当グループの2025年3月期中間期の業績についてご説明します。スライドとともに、当社ホームページに掲載している決算短信ならびに決算説明会補足資料も併せてご覧ください。

産業設備関連部門は、国内外の重化学工業向け設備事業を中心として、全般的に順調に推移しました。産業素材関連部門では、北米向け自動車部品用樹脂・塗料事業が堅調に推移しています。機械部品関連部門は、精密ファスナー(ねじ類)関連事業が減速したものの、特殊スプリング関連事業の収益性が改善しました。

この結果、売上高は前年同期比で11億1,400万円増の212億7,700万円となり、売上総利益も前年同期比で6億2,600万円増の48億6,300万円となっています。

また、今後の成長に向け、人的資本への投資や、次世代商材および事業展開に向けた開発投資を行った結果、販売費および一般管理費が前年同期比で1億6,900万円増加しました。しかし、産業設備関連部門の収益拡大などを背景に、営業利益は前年同期比4億5,700万円増の7億9,600万円となっています。

経常利益については、為替差損が発生したものの、営業利益が増加したことにより、前年同期比3億6,800万円増の10億2,000万円となりました。親会社株主に帰属する中間利益については、前年同期比3億200万円増の7億6,700万円となっています。

2025年3月期中間期の業績に関する報告

各業績の過去5ヶ年の推移は、スライドのグラフをご覧ください。

2025年3月期中間期の連結貸借対照表

連結貸借対照表についてご説明します。当グループの中間期末における総資産は、前年度末に比べ14億300万円増加し、510億5,000万円となりました。その主な要因は、営業債権や棚卸資産の増加によるものです。

純資産については、前年度末に比べ6億5,000万円増加し、263億4,100万円となりました。これは株主資本に大きな変動はないものの、円安による為替換算調整勘定が増加したこと等によるものです。

2025年3月期中間期の連結キャッシュフロー計算書

キャッシュフローの状況についてご説明します。営業活動によるキャッシュフローは、2億6,100万円の収入となりました。棚卸資産は増加したものの、好調な税引前当期利益や債権債務差がプラスとなったこと等が寄与しています。

財務活動によるキャッシュフローは、10億5,500万円の支出となりました。その主な要因は、有利子負債の返済および配当金の支払いによるものです。

2025年3月期中間期の業績に関する報告

事業セグメント別の業績についてご説明します。まずは産業設備関連部門です。

産業インフラ関連事業については、国内の鉄鋼メーカーおよび化学プラント向けの機器・設備事業が昨年度から回復し始め、この中間期は堅調に推移しました。また、海外プラント向け機器事業も、東南アジア地域の肥料工場向けに日系大手メーカー製圧縮機の案件などがあり、前年度から引き続き好調を維持しています。

資源・計測機関連事業においては、海洋探査をはじめとする資源開発機器事業、および防衛関連事業がともに堅調に推移しました。この結果、産業設備関連部門全体は、前年同期比で増収増益となり、特に利益は4億1,200万円増の2億9,500万円と大幅に増加しています。

2025年3月期中間期の業績に関する報告

産業素材関連部門についてご説明します。機能素材関連事業は、自動車部品用樹脂・塗料事業において、中国の日系自動車向けが低調となったものの、北米向けは好調に推移しました。生活・環境関連事業においては、ハム・ソーセージの成型用人工ケーシングなど、食品業界向け資材が為替の影響で低調に推移したものの、産業素材関連部門全体では前年同期比で増収増益となりました。

2025年3月期中間期の業績に関する報告

機械部品関連部門についてご説明します。精密ファスナー(ねじ類)関連事業は、産業機械向けが中国の景気の落ち込み等の影響を受けたものの、前年同期並みに推移しました。

特殊スプリング関連事業においては、構造改革および販売価格の是正など、継続して対策を講じたことにより、収益性が改善しました。この結果、機械部品関連部門全体としては減収となったものの、セグメント利益は前年同期と同規模に推移し、引き続き当グループの収益に貢献しています。

2025年3月期中間期の業績

こちらのスライドには、事業セグメント別の合計数値を記載していますので、併せてご覧ください。産業設備関連部門は全体的に好調であり、機械部品関連部門も前年同様、高い水準で業績に寄与しています。

「KBK プラスワン 2025」の取組

岡田:当グループの中期経営計画「KBK プラスワン 2025」における重点施策のうち、サステナブルな社会を実現するための新分野における事業展開と投資実行において、Phase1で未達だった「新たな価値創造を生み出すM&A」の実施状況を中心にご説明します。

新たな価値創造を生み出すM&Aと事業投資の実行

当グループは、8月30日に公表したとおり、2件のM&Aを実施しました。産業素材関連部門には、10月1日付で株式会社三幸商会が当社の子会社として加わり、機械部品関連部門には、11月1日付で株式会社ウエルストンがヱトーの子会社としてグループ入りしました。

新たな価値創造を生み出すM&Aと事業投資の実行

まず、三幸商会についてご説明します。三幸商会は名古屋市に本社を置く、主に合成樹脂や関連機器などを扱う専門商社です。設立は1957年で、中京地区に事業基盤を持つ大手企業の多くを顧客に持ち、その中でもグローバルに展開する顧客の海外進出を機に、同社も東アジア・東南アジアなどの海外に事業を展開しています。

顧客の事業分野は、電化製品、産業機械、自動車部品など多岐にわたっており、素材の開発から生産の技術支援まで、幅広い提案を通してモノ作りをサポートしています。また、素材分野の専門商社として蓄積したノウハウを活かして、セラミックスやサーメットなどの溶射材事業にも参入し、最近では国内外の半導体産業の伸張とともに事業規模も拡大しています。

新たな価値創造を生み出すM&Aと事業投資の実行

三幸商会は、顧客の海外生産を支えるために現地に拠点を設け、幅広く材料供給の事業を展開しています。これまでに、上海、香港、タイ、ベトナムに現地法人を構えていますが、10月25日付でフィリピンのマニラにも駐在員事務所を設立しました。

一方、極東貿易グループも、これらの地域にすでに拠点を設けており、三幸商会のネットワークとの相互活用により、ASEAN地区での当グループの事業拡大に取組んでいきます。三幸商会においては、北米、欧州、インドなど、当グループの海外ネットワークや国内ネットワークの活用、当グループが持つ優良顧客への展開など、新しい地域や業界へのアプローチにより、業績拡大を図っていきます。

今回、三幸商会をグループ化したもう1つの狙いとして、当グループの産業素材関連部門の強化があります。同部門は、特に海外における事業が強みですが、昨今、中国事業が落ち込み、他の事業部門に比べ収益の成長が遅れています。三幸商会の事業がコアとして加わることで事業基盤が強化され、事業ポートフォリオの見直しも含めた成長戦略の実現が加速し、業績に寄与するものと見ています。

新たな価値創造を生み出すM&Aと事業投資の実行

次に、ウエルストンについてご説明します。ウエルストンは、主に船舶補修部品の輸出や国内卸しを行う専門商社です。2002年の設立以来、20年を超える業界での実績があり、国内外に幅広い仕入先と、東南アジアを中心とした40ヶ国を超える国々に約600社の海外顧客を有しています。

外航船および、その搭載機器のメンテナンス需要は、国際間の海上輸送が継続・伸張していく限り、増加していくことは明確です。また、常に移動する船舶のメンテナンス需要の把握や、メンテナンス部品の供給ルートは特殊であり、長年の経験と独自の海外ネットワークから、タイムリーな対応によって高い顧客満足度を得ています。今後もウエルストンは安定的に高収益を生む事業として期待しています。

新たな価値創造を生み出すM&Aと事業投資の実行

一方、ヱトーは、ウエルストンの子会社化による新たな市場獲得で事業を多角化し、収益基盤の強化を図っていきます。ウエルストンにおいては、当グループ傘下となって信用力を獲得するとともに、多岐にわたる取引先、商品の管理ノウハウや海外ネットワークも活用して顧客対応強化を図りつつ、いまだ開拓余地の大きい、世界の船舶補修部品市場における優位性を構築していく考えです。

「KBK プラスワン2025」の取組

今回、中期経営計画で掲げた重点施策の「新たな価値創造を生み出すM&A」を実行しました。今後も当グループは、積極的かつ機動的な成長投資の継続とともに、事業ポートフォリオの最適化を推進することで、グループ全体の収益力強化を図っていきます。

また、持続的成長を実現するため、グローバルな事業環境の変化に対しても迅速かつ柔軟に対応する体制を整えていきます。国内外で事業を展開する顧客に対して、幅広い商材と長年培ってきた知見を駆使し、多様なニーズに応えるソリューションの提供により、価値創造に貢献します。

新分野における事業展開と投資の実行

中期経営計画の重点施策の1つである「新分野における事業展開」の具体的な進捗状況についてご説明します。当グループの子会社である株式会社TWD Japanは、洋上風力の風車を建設する際に使用する特殊大型設備の設計・製作を担っています。11月8日に発表したとおり、11月25日に株式を追加取得し、完全子会社化します。

今後成長する洋上風力発電の市場に対し、より機動力の高い事業運営に取組み、事業の拡大を加速させていきます。再エネ海域利用法の各ラウンドに対する同社の状況については、ラウンド2ですでに複数の概念設計を受注しており、大型治具などの機器製作の受注も目指して取組んでいます。

今後、発電事業者が決定されるラウンド3、ラウンド4においても、ラウンド2同様、設計および機器の供給を目指して各種提案を準備しています。当事業は、2026年3月期に売上高3億円程度、その後もラウンドの計画の進捗に伴って高い成長を見込んでいます。

新分野における事業展開と投資の実行

そのほか、新分野における事業展開の具体的な取組として、「地震・振動計事業」では現在、次世代機の開発投資を行っており、来年度にプロトタイプが完成予定です。

また、新規事業の注力分野と位置付ける産業向けDX・IoT分野では、「特殊大型車両用の自動運転システム」のデモ機を製作して、潜在顧客に対して提案を続けています。バイオプロダクツ分野においては、「生分解促進添加剤」や「マスバランス式バイオポリプロピレン」の販売の本格化に向け、客先での実証実験などに注力しています。

これらの事業投資の進捗、また資本政策、人材育成など重点施策の進捗については参考資料として決算説明会資料の末尾に掲載していますので、後ほどご覧いただければと思います。

中期経営計画の目標達成について

当グループは、本年5月に中期経営計画の数値目標の見直しを行いました。既存の事業が堅調に推移する見込みであることに加え、今回新たに加わったグループ会社2社の業績寄与などを見込むと、継続的に計画している人的資本投資や成長投資を実行しつつも、来期の経常利益目標は概ね達成できると見ています。

2025年3月期業績見通し

2025年3月期の通期業績見通しについてご説明します。まず、先ほどお伝えした2件のM&Aによる今期の業績への影響については、ただいま精査中であり、開示すべき事項が生じた場合には速やかにお知らせします。

2025年3月期の連結業績予想は期初に発表したものから変更はなく、売上高455億円、営業利益12億円、経常利益15億円、親会社株主に帰属する当期純利益12億円としています。

2025年3月期業績見通し

こちらのスライドには、見通しを含めた各業績の推移を示していますのでご覧ください。

2025年3月期業績見通し

2025年3月期の業績見通しをセグメント別にご説明します。まずは産業設備関連部門についてです。

産業インフラ関連事業および資源・計測機関連事業ともに、下期に予定していた大型案件が上期に計上されたため、下期においては減速すると予想しています。一方、国内基幹産業向け機器設備事業や海外プラント向け設備事業が堅調に推移する見通しであることから、産業設備関連部門全体としては、前年度に比べ増収増益となる見込みです。

2025年3月期業績見通し

産業素材関連部門についてご説明します。機能素材関連事業において、海外向け炭素繊維複合材料関連事業は底堅く推移する見通しですが、上期に好調だった自動車部品用樹脂・塗料などの北米向け事業が減速し、下期はやや落ち込む見通しです。

また、生活・環境関連事業は、食品業界向け資材などの事業が、円安影響の継続によって、利益率の回復に時間がかかる見込みとなっています。以上のことから、産業素材関連部門全体としては前年度に比べ増収となるものの、セグメント利益は減少する見込みです。

2025年3月期業績見通し

機械部品関連部門についてご説明します。精密ファスナー(ねじ類)関連事業は、中国経済の低迷により、産業機械向けで一部減速傾向が継続するものの、北米・ASEAN向けは堅調に推移すると見ています。また、昨年好調だった建設機械向けは、顧客の減産傾向が続く一方、半導体製造設備などのエレクトロニクス向けは上向き傾向にあります。

特殊スプリング関連事業については、コンビニの陳列棚向けなどを中心に、新しい市場の開拓や販売価格の調整など、引き続き収益力の回復に注力していきます。以上のことから、機械部品関連部門全体としては前年度と同規模並みに推移し、セグメント利益はわずかながら減益となるものの、引き続き当グループの業績に大きく寄与する見込みです。

2025年3月期業績見通し

各セグメント利益の通期見通しの合計については、スライドに記載のとおりです。部門別で見ると、機械部品関連部門が引き続き収益に大きく貢献し、前年度と比較すると、産業設備関連部門が伸張する見通しです。しかし、M&Aにかかった費用など、財務的な影響を考慮すると期初の計画値から変更はないと予想しています。

配当政策

最後に、配当方針についてご説明します。当社は株主のみなさまへの継続的な成果の還元と企業価値の持続的向上を実現するため、適正な資本政策の下、将来の事業展開と財務状況、収益動向などを総合的に勘案した配当を実施することを、利益配分の基本方針としています。

2025年3月期以降も高水準の株主還元を維持し、一方で、より多くの経営資源を事業の拡大と新たな成長機会の創出に投入することで、収益基盤をさらに強固なものにしたいと考えています。

この方針に基づき、中間配当は1株当たり35円として実施します。期末配当も1株当たり35円とし、年間配当金は期初に発表したとおり、70円を予定しています。また、2026年3月期の年間配当は1株当たり70円を下限とする方針です。

以上、グループの決算説明、中期経営計画における施策の取組状況、そして今年度の業績見通し、および配当についてご説明しました。当社は今後もアナリストや投資家のみなさまに対し、適時かつ的確な情報の開示を目指し、IR活動を通して社業の状況をお伝えしていく所存です。ご清聴ありがとうございました。