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岡田義也氏(以下、岡田):代表取締役社長の岡田です。本日はお忙しい中、私どもの決算説明会にお集まりいただき誠にありがとうございます。

本日は、2024年5月9日に発表した2024年3月期業績、中期経営計画「KBKプラスワン2025」の見直しと取組に関する報告、2025年3月期業績見通し、配当政策についてご説明します。よろしくお願いします。

それでは、本決算の具体的な内容について、担当取締役の苫米地よりご説明します。

2024年3月期業績(1/8)

苫米地信輝氏:私から、当グループ2024年3月期業績についてご説明します。まずは、こちらのスライドをご覧ください。また、決算短信、決算説明会補足資料も併せてご覧ください。

当グループの2024年3月期業績は、中国での事業などに一部伸び悩みが見られるものの、産業設備関連部門では、海外プラント向け機器事業が好調を維持し、産業素材関連部門では、炭素繊維複合材料関連事業が堅調に推移しました。

また、近年好調を維持している機械部品関連部門のねじ関連事業は、建設機械向けを中心に引き続き増収となりました。

この結果、売上高は前年同期比で10億300万円増加の436億6,000万円となり、売上総利益は前年同期比で2億1,300万円増加の91億1,500万円となりました。行動制限の緩和により営業活動が活発化したことから、販売費および一般管理費が前年同期比で1億200万円増加したものの、売上総利益の増加により、営業利益は前年同期比で1億1,100万円増加の11億1,200万円となりました。

経常利益は、為替予約の時価評価にて発生した為替差損などにより、前年同期比で3,600万円減少の14億8,700万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度に計上した特別損失が減少したことなどにより、前年同期比で1億3,900万円増加の11億5,600万円となりました。

2024年3月期業績(2/8)

事業セグメントの業績についてご説明します。まずは、産業設備関連部門です。

同部門は、国内外の基幹産業向け各種機器・設備や地震計を取り扱う産業インフラ関連事業と、海洋資源等の探査・掘削、洋上風力発電・航空宇宙分野や自動車向け計測・検査装置を扱う資源・計測機関連事業から成り立っています。

2024年3月期業績(3/8)

産業インフラ関連事業では、国内の鉄鋼メーカーおよび化学プラント向けの機器や設備の事業に回復の傾向が見られ、また、海外プラント向け機器事業も、前年度から引き続き好調を維持しました。

資源・計測機関連事業では、海洋探査をはじめとする資源開発機器事業が堅調に推移しました。この結果、産業設備関連部門全体は、前年度に比べ増収増益となりました。

2024年3月期業績(4/8)

産業素材関連部門についてご説明します。同部門は、国内や海外向けの自動車部品用樹脂・塗料、炭素繊維および関連複合材料を主に扱う機能素材関連事業と、食品業界向け資材・設備やバイオプラスチックなど、環境保全商材を扱う生活・環境関連事業から成り立っています。

2024年3月期業績(5/8)

機能素材関連事業では、海外向けを中心に、炭素繊維複合材料関連事業が堅調に推移しました。自動車部品用樹脂・塗料事業は、米国では好調だった一方で、中国向けは日系自動車メーカーの落ち込みなどから低調に推移しました。

生活・環境関連事業では、食品業界向け資材事業など一部事業に持ち直しの兆しがあるものの、本格化には至らず低調に推移しました。この結果、産業素材関連部門全体は、売上高・売上総利益ともに前年度とほぼ同水準となりました。

2024年3月期業績(6/8)

機械部品関連部門についてご説明します。同部門は、子会社であるヱトー株式会社のねじ関連事業が主力となっています。同じく子会社のサンコースプリング株式会社のばね関連事業と合わせて、2つの事業から成り立っています。

ヱトーは、精密な工業用ファスナーをはじめとする各種金属部品、成形品を、車両、産業機械、建設機械や住宅設備向けに販売し、日本をはじめ、北米、中国、東南アジアなどグローバルに展開しています。

なお、同部門における事業の内容をより明確にするため、以後、ねじ関連事業を「精密ファスナー関連事業」、ばね関連事業を「特殊スプリング関連事業」という名称でご説明します。

2024年3月期業績(7/8)

精密ファスナー関連事業は、建設機械向けが好調を維持し、また車両向けが回復するなど、前年度に引き続き全般的に堅調に推移しました。一方、特殊スプリング関連事業は、定荷重ばねの自動車産業向けおよび中国向け特需が一服したことなどにより低迷しました。

この結果、機械部品関連部門全体としては、精密ファスナー関連事業が牽引し、増収増益となりました。

2024年3月期業績(8/8)

事業セグメント別合計数値については、スライドに記載のとおりです。全体としては、産業設備関連部門は回復傾向にあり、機械部品関連部門は前年同様、収益に大きく貢献しました。

「KBKプラスワン2025」の見直しと取組

岡田:それでは私から、先日発表した当社グループの中期経営計画「KBKプラスワン2025」の数値目標の見直しと、各種施策の取組状況についてご説明します。

「KBKプラスワン2025」では、重点施策を3つに定めています。数値目標の見直しは行ったものの、本計画中においては引き続き、これらの重点施策を中心に各種施策に取り組んでいく方針です。

「KBKプラスワン2025」の修正内容と背景

はじめに、「数値目標の見直し」について、その背景とともにご説明します。

「KBKプラスワン2025」では、2022年3月期から2024年3月期までを、事業環境の変化に対応するための「変革期 Phase I」として位置づけ、当グループは事業部門の再編など、事業ポートフォリオの最適化を図り、新規事業開拓や開発投資などを計画的に実行し、新規事業分野へリソースを投入するなど、目標の達成に向けてさまざまな施策を進めてきました。

その結果、2024年3月期は、受注動向が着実に上振れるなど、収益改善への成果が現れてきています。

一方、ウクライナ情勢によるロシア事業の消失、中国経済の落ち込みなどマイナス要素も影響し、2024年3月期の経常利益は14億8,700万円という結果になりました。

また、新規事業の本格化や、M&Aをはじめとする成長投資の遅れなどの要因も加わり、営業利益は着実に伸びているものの、中期経営計画の最終年度となる2026年3月期の目標値と、実際の予想値に乖離が生じる結果となりました。   以上のような事業環境と施策の進捗状況を踏まえ、中期経営計画の最終年度となる2026年3月期の数値目標を、スライドにお示ししたとおり、見直すこととしました。なお、中期経営計画「KBKプラスワン2025」で数値目標の1つとして掲げた、「M&A等投資枠として計画期間5年間で総額50億円」の設定はそのまま継続し、引き続き成長投資による企業価値の向上に取り組んでいきます。

株主価値に資する資本政策の実行

中期経営計画の重点施策となる、「株主価値に資する資本政策の実行」についてご説明します。なお、配当方針については後半にご説明します。

当社では、「資本コストや株価を意識した経営の実現」に向けて、常に執行状況の評価を行い、中期経営計画に基づいた方針・取組を継続的に議論しています。経常利益の成長はもとより、「ROEが株主資本コストを上回ること」を追求することで、資本収益性や資本コスト、すなわち株価を重視した経営に努めています。

現時点における当社指標は、スライドに記載のとおりです。   中期経営計画最終年度のROEは、当初の目標には届かないものの、各種施策の実行により、2020年3月期から着実に増加しています。当社は中期経営計画で掲げた事業投資による企業価値の向上に取り組み、また、積極的かつ高い水準の株主還元を維持・継続することで、PBRの改善にも努めていきます。

セグメント別重点戦略の進捗と今後の方向性(1/3)

各セグメントの重点戦略の進捗と成果を振り返りながら、2025年3月期からの2年間の方向性についてご説明します。中期経営計画「KBKプラスワン2025」では、事業環境の変化に対応する2024年3月期までをPhase Iの「変革期」、それを基にした2026年3月期までをPhase IIの「発展期」としています。

最初に、産業設備関連部門についてご説明します。同部門は、Phase Iにおいて6つの重点戦略を掲げました。各戦略とも、確実な進捗と一定の成果を上げたものの、市場の状況や技術開発の進捗などの理由により、当初の目標達成までには至っていません。

特に、Phase IIの戦略として掲げた「未来型輸送機器へのソリューション提供」については、計画策定時に想定した商材が開発途上であることを踏まえ、他の戦略に統合し継続していこうと考えています。一方、洋上風力・自動運転・EV向け試験装置・海外プラントの事業領域は、計画どおり残り2年で引き続き戦略を推し進め、収益に貢献させていきます。  

セグメント別重点戦略の進捗と今後の方向性(2/3)

産業素材関連部門についてご説明します。同部門は、Phase Iにおいて4つの重点戦略を掲げました。

製品素材の開発状況に歩調を合わせ、一定の成果を上げることができましたが、想定よりも技術開発が遅れているため、衛生管理関連事業は、「先進材料によるエネルギー効率化」の戦略と統合し、「植物・自然由来材料の活用」および「生分解材料・添加剤等の開発材料ビジネスの展開」を新たな戦略とします。

産業素材関連部門は、Phase IIにおいてこれらの重点戦略を展開し、サステナブルな社会実現に向けて邁進していきます。

セグメント別重点戦略の進捗と今後の方向性(3/3)

機械部品関連部門についてご説明します。同部門は、Phase Iにおいて3つの重点戦略を掲げ、好調な事業環境のもと、着実な成果を上げることができました。

DXを活用した自動化設備、EV関連事業の受注拡大については継続し、Phase IIとして掲げた3つの戦略をスライドに記載しているかたちに発展させ、4つの戦略で、収益のさらなる拡大を目指していきます。

新分野における事業展開と投資の実行(1/5)

中期経営計画の重点施策の1つである、「新分野における事業展開」の具体的な進捗状況についてご説明します。

当社グループの子会社である株式会社TWD Japanは、洋上風力発電の大型風車を建設する際に使用する、特殊大型設備の設計および製作を担っています。国内プロジェクトの建設の遅れから、当初の事業計画と乖離が生じているものの、2024年3月期においては再エネ海域利用法ラウンド2や港湾プロジェクトに係る引き合いを多数受けており、すでに複数の概念設計などを受注しています。

また、2025年3月期には、ラウンド2およびラウンド3に係るフィージビリティスタディや機器の設計等、ゼネコン・マリコンから引き合いを多く受けています。このように、国内における複数の大規模計画を見据えた基本設計など、受注も増えてきており、当事業は中期経営計画最終年度の2026年3月期に、売上高5億円を目指していきます。  

新分野における事業展開と投資の実行(2/5)

産業向けDX、IoT分野における、特殊車両向け自動運転システムの開発進捗状況についてご説明します。

同事業では、鉄鋼メーカーなど大規模な製造工場の構内や、鉱山での搬送・物流分野において、自動運転試験システムのトップサプライヤーである英国のAB Dynamicsグループと協業し、既存の特殊大型車両に追設することができる自動運転機器を開発しています。

すでに国内での実証デモを複数回実施しており、開発は順調に進んでいます。しかしながら、顧客側の車両の都合などにより、プロジェクト自体は総じて遅れ気味であり、受注は中期経営計画最終年度までずれ込む可能性があります。

一方、デモ運転の結果を受け、すでに複数の顧客からの引き合いがあるなど、潜在ユーザーの導入の動きは活発化しており、3年以内に事業を本格化させる予定で進めています。

新分野における事業展開と投資の実行(3/5)

バイオプロダクツ分野の新規事業として、プラスチックに生分解機能を与える「生分解促進添加剤」と「再生可能資源由来の原料を使用したマスバランス式のバイオポリプロピレン」の市場開拓に注力しています。製品の性能評価に時間を要することから、事業の本格化には至っていませんが、用途開発をはじめ、顧客による実証実験は進んでいます。

生分解効果やCO2削減効果への期待から、今月5月に大阪で開催された展示会では、大きな反響をいただいています。これらバイオプロダクツ分野については、3年以内に事業を本格化させ、収益への貢献を目指すとともに、環境に配慮した社会貢献を可能とする商材として育成していきます。

以上のとおり、新分野における事業展開は、事業の本格化が当初計画から遅れていますが、成長投資およびサステナブルな社会実現の一環として、引き続き注力していきます。

新分野における事業展開と投資の実行(4/5)

当社グループの海外事業の展開状況についてご紹介します。当社グループは2024年4月、インド現地法人に第3の営業拠点を設立しました。同現地法人は、2008年にチェンナイ市を本拠地として設立し、2019年には日系メーカーと共同でテクニカルセンターも開設しています。2011年にはグルガオン市にも事務所を設置しています。

当社は経済成長が期待されるインド市場において、さらなる事業展開を図るため、2024年4月1日付で新たにアーメダバードに営業拠点を設立しました。主力商品である産業用連続フィーダーや潤滑剤等化学品事業、自動車部品などの取扱アイテムを強みに、日系自動車産業向けに留まらず、現地企業への事業拡大を図っていく計画です。今後は精密ファスナー関連事業でのインド市場開拓にも努めていきます。

新分野における事業展開と投資の実行(5/5)

当社グループ米国現地法人の新規事業の取組についてご説明します。当現地法人は1956年の設立以来、その時代ごとの顧客ニーズに合わせ、重工業向け設備から航空宇宙、資源開発分野の最新技術や高機能製品といった新技術、商材を発掘し、国内市場に提供してきました。

また、米国に進出している顧客のサプライチェーンを支援するため、当社のグローバルな調達力や在庫管理を通して、安定供給を図る事業も展開しています。

近年は新たな試みとして、商品の提供だけではなく米国の日系企業に対し、より付加価値の高いサービスを提供するソリューション提案を重ね、新たな商流の構築や、米国進出を図る小規模ながら技術力のある日本メーカーとともに、積極的な顧客開発を展開するなど、新たな事業の創出を図ってきました。

その一例として、技術力のある機能性素材メーカーである株式会社西田技研の米国法人・NASCA Elastomersとの協業が、好調な米国経済を背景に自動車産業向けビジネスの新たな収益の柱として成長しつつあります。

当現地法人は、これらの収益の柱をさらに強固にするため、2022年に本拠地をニューヨークから自動車産業の中心地の1つであり、多くの日系企業が進出するインディアナポリスに移転させました。今後も当グループの強みを活かした提案力とサポート力で、北米を中心とした新たな市場の開拓を着実に進めていきます。

ただいま紹介したもの以外の新規事業や既存事業においても、機動的に経営資源を投入し、収益拡大のためのさまざまな施策を確実に進めていきます。

2025年3月期業績見通し(1/5)

2025年3月期の通期業績見通しについてご説明します。2025年3月期の連結業績予想は、5月9日に発表したとおり、売上高455億円、営業利益12億円、経常利益15億円、親会社株主に帰属する当期純利益12億円を見込んでいます。販管費は、社員の待遇改善を図るための人件費などが増える見込みです。

2025年3月期業績見通し(2/5)

2025年3月期の業績見通しについて、セグメント別にご説明します。まずは、産業設備関連部門です。産業インフラ関連事業は、受注増を背景に基幹産業向け機器・設備事業の回復傾向が続くものと見ており、海外プラント向け機器事業も堅調に推移する見通しです。

また、地震・振動計事業も今年度は売上が伸びる見込みです。資源・計測機関連事業は、今年度は風力発電向け鳥類調査用レーダーシステムや自動車向け計測・検査装置事業が安定的に推移し、業績に貢献すると見込んでいます。

以上のことから、産業設備関連部門全体としては、前年度に比べ増収増益となる見込みです。

2025年3月期業績見通し(3/5)

産業素材関連部門についてご説明します。機能素材関連事業は、炭素繊維・複合材料関連事業が、航空機業界の復調により引き続き堅調に推移する見通しです。

また、自動車部品用樹脂・塗料事業も米国向け事業を中心に、底堅く推移すると見ています。生活・環境関連事業は、食品向け資材事業について、為替の影響を最小限に抑え、復調した需要を的確に捉えることにより、当事業の回復を見込んでいます。

以上のことから、産業素材関連部門全体としては、前年度に比べ増収増益となる見込みです。

2025年3月期業績見通し(4/5)

機械部品関連部門についてご説明します。精密ファスナー関連事業は、産業機械向けにおいて中国の設備投資の低迷が懸念され、建設機械向けもやや減速傾向にありますが、車両向けが米国および東南アジア向けを中心に引き続き堅調に推移する見込みです。

一方、特殊スプリング関連事業は、今年度もやや厳しい状況が続くと見ていますが、海外向けや医療・コンビニ向けなど新市場の開拓や販売価格の調整など、収益力の回復に注力していきます。

主力の精密ファスナー関連事業が好調なことから、機械部品関連部門全体としては前年度並みに高水準の収益を維持する見込みです。

2025年3月期業績見通し(5/5)

セグメント別合計数値はスライドに記載のとおり、今年度も産業設備関連部門の伸びが大きく期待できます。機械部品関連部門も引き続き、収益に大きく貢献する見通しです。

配当政策

当社の配当方針についてご説明します。当社は、株主のみなさまへの継続的な成果の還元と、企業価値の持続的向上を実現するため、適正な資本政策のもと、将来の事業展開と財務状況、収益動向などを総合的に勘案した配当を実施することを、利益配分の基本方針としています。

2022年3月期から2024年3月期の3年間は、株価を意識して資本効率性を高めるために、計画どおり配当性向100パーセントの株主還元を実行しています。2025年3月期以降も高水準の株主還元を引き続き維持しつつ、より多くの経営資源を事業の拡大と新たな成長機会の創出に投入することで、収益基盤をさらに強固なものとします。

これらの方針を踏まえ、2025年3月期の年間配当は1株あたり70円を予定しており、2026年3月期の年間配当は1株あたり70円を下限とする方針です。

岡田氏からのご挨拶

当グループの決算説明、中期経営計画における施策の取組状況、今年度の業績見通しおよび配当についてご説明しました。当社は今後もアナリストのみなさま、投資家のみなさまに対し、適時かつ的確な情報の開示を目指し、IR活動を通じて社業の状況をお伝えしていく所存です。ご清聴ありがとうございました。