【QAあり】三機サービス、新中計「人の三機」3ヶ年で売上高成長約1.6倍目指す 初年度1Qは堅調推移
会社概要

北越達男氏(以下、北越):みなさまこんばんは。株式会社三機サービス代表取締役社長の北越です。当社は1977年7月に、兵庫県姫路市にて創業しました。今期で49期目を迎えています。
事業内容は、空調機器のメンテナンスのみならず、設計・施工・保守管理も手掛け、前期の売上高が連結で206億円に到達しました。また、サービスの対象は、空調機器だけではありません。電気・厨房・給排水衛生設備など、幅広い分野にわたっています。
企業理念としてミッションに掲げているのは、「空間インフラのもっと快適、ずっと安心を提供すること」です。この思いを胸に、事業を展開しています。
会社概要

北越:当社は主に3つの事業を展開しています。1つ目はパナソニック社製の業務用・大型空調機器を中心に、メーカーや機種を限定せずにメンテナンスを行う「メンテナンスサービス事業」です。
2つ目は小売業などの全国展開しているお客さまに対して空調機器のみならず、さまざまな設備のメンテナンスを一括して担う「トータルメンテナンス事業」です。
3つ目の「新規事業」では、省エネ工事といった、環境改善を中心に手掛ける「設備・環境ソリューション事業」などを展開しています。
こんなところに三機サービス

北越:みなさまの中には、当社がどのようなお客さまにサービスを提供しているのか、あまりピンとこない方も多いかと思います。スライドに記載した業界のすべてに、当社のお客さまがいらっしゃいます。
スーパーマーケットやコンビニエンスストアに代表される小売業界、ファストフード店や居酒屋などの飲食業界、病院や学校といった福祉施設や教育機関、さらに空港などの公共施設や行政機関に至るまで、多種多様なお客さまからご愛顧をいただいています。
当社のサービスはみなさまの暮らしに深く関係し、日々の快適さや安心を支えています。
当社の市場

北越:当社の市場についてご説明します。先ほどもお話ししたように、当社の主要なお客さまは、飲食、スーパーやコンビニ、学校、病院といった、みなさまの身近にある、生活になくてはならない業界や施設が多いです。
一般に生活インフラとも呼ばれる業界にお客さまが多いことは、当社の特徴の1つです。空調機器が建屋に存在するという条件は、あらゆる業界で普遍的であることから、今後も需要が絶えることはないと考えています。
また、近年は当社が環境事業を推進しているとおり、設備の管理に省エネの要素が深く関わっています。このことから、当社の事業は安定的であるとともに、まだまだ拡大の余地が残されています。
実際に、昨年度までの前中期経営計画の3年間は、年平均で毎期20パーセントの売上成長を達成しています。
業界の課題

北越:このメンテナンス業界には、ある特徴があります。それは、「地域に根ざした規模の小さい企業が、日本全国に無数に存在している」ということです。
それぞれの企業は、独自の経験に基づいてメンテナンスを行っているため、サービス品質や価格にばらつきが生じやすいという課題があります。
このような状況は、全国規模で展開されている企業、例えばコンビニエンスストアや飲食店にとって、安定的に事業を行う上で大きな障害になり得ます。加えて、少子高齢化に伴う労働力不足が進む中、質の高いメンテナンスを継続的に提供できるサービスの担い手を確保することが、今後ますます難しくなると懸念されます。
次のスライドからは、この社会的とも言える課題に対し、当社がどのように取り組んでいるのかご説明します。
当社の社会的役割

北越:まず、当社は専門のサービスチームを有し、全国16拠点で質の高いサービスを提供しています。加えて、他の独立系メンテナンス企業などと協力し、パートナーネットワークを構築しており、47都道府県のすべてで活動実績があります。
また、人手不足に対する懸念の解消に向け、メンテナンスを行うサービスエンジニアを、新卒・経験者を問わず、積極的に採用しています。
このような取り組みにより、お客さまが長期間にわたり、安心してビジネスに集中していただけるよう、日本全国でサポート体制を確立しています。
成長の軌跡

北越:過去10年間における、当社の成長の軌跡をご説明します。当社は10年前の2015年、東京証券取引所のJASDAQに新規上場し、現在はスタンダード市場に上場しています。
スライドのグラフは上場から前期までの連結売上高の推移を表しています。上場当時の2015年5月期の売上高は58億9,700万円でしたが、着実に成長を重ね、2025年5月期には約3.5倍の206億3,600万円に到達しました。
特に前中期経営計画の3年間では、売上高が約1.8倍に拡大しています。
また、今期より始まった新中期経営計画の3年間では、最終年度となる2028年5月期の売上高目標を326億円とし、前期2025年5月期比で約1.6倍の成長を計画しています。新しい中期経営計画の内容は、後ほどご説明します。
メンテナンスサービス事業

司会者:ここからは、それぞれの事業の概要と強みをご紹介します。あわせて当社の業界の中で競合と呼ばれる、他社との比較についてもお話しします。
北越:まず、メンテナンスサービス事業についてご説明します。この事業には、メーカーさまの指定代理店として空調機器のメンテナンスを行う業務委託案件と、メンテナンスサービスを自社で直接請け負う自社案件があります。
業務委託案件について、当社はパナソニックグループの指定代理店として創業し、成長を重ねてきました。現在では、当社調べではありますが、同社の指定代理店の中で最大シェアを誇っています。これは、当社の技術力が評価されている結果だと考えています。
また、当社は業務委託案件で培った技術を、他メーカーの空調機器にも展開しています。特定メーカーに依存しない独立系企業として、幅広い製品への対応が可能です。
メンテナンスサービス事業の強み

北越:メンテナンスサービス事業には、3つの強みがあります。
1つ目は、先ほどお伝えしたとおり、独立系企業として高い技術力を活かし、多くのメーカー製品に対応できる点です。
2つ目は、300名を超える自社のサービスエンジニアが在籍しているということです。当社単体の社員数約600名のうち、この技術職が社員のおよそ半数を占めています。
この体制により、現場で迅速かつ柔軟な対応を発揮しています。
3つ目の強みは、設備の設計・施工からメンテナンスまでを一貫して提供できることです。
循環型ビジネスモデル

北越:当社はこれまで指定代理店として、修理や維持管理といったメンテナンス業務から事業を展開してきました。一方で、近年では建築・建設の起点となる工事にも着手しています。省エネ関連の案件では、設計から関わるケースも増えてきました。
このような取り組みの結果、現在では設備のメンテナンスにとどまらず、さまざまなフェーズでワンストップのサービスを提供する循環型ビジネスモデルを構築しています。
顧客からお任せいただいているメンテナンスをきっかけに、新たな設備の導入や、その後のメンテナンスの受注につなげていく、このような持続的なビジネスの枠組みを確立しています。
メンテナンスサービス事業の強み

北越:独立系会社としてのマルチメーカー対応、多数の自社エンジニアによる迅速かつ高度な現場力、一貫したサービス提供という、3つの強みを組み合わせることで、付加価値の高いサービスを実現しています。
当社独自のサービスにより、お客さまにとってのスイッチングコスト、つまり他社への乗り換えコストが高まる仕組みを確立しています。
また、この強みを発揮するために、サービスの多くを自社で賄うこの事業では、現場で技術を発揮するサービスエンジニアこそが大切な資本であり、事業を推進する上で欠かせない存在となっています。
そこで当社は、前中期経営計画にて採用強化に注力し、事業を拡大しています。あわせて人的資本の拡充にも取り組みました。
社員数の推移

北越:サービスエンジニアをはじめとした採用強化の実績についてご説明します。スライドのグラフは、前中期経営計画3年間の社員数の推移を示しています。
直近の3年間における、採用強化や人的資本拡充といった地道な取り組みにより、企業価値が向上し、社員数も年々増え続けています。
年々採用は厳しさを増す情勢ですが、働きやすい環境、そして自己成長をサポートする会社風土を前面に打ち出すことにより、円滑な人財採用を実現しています。これからも、すべての人々にとって魅力的な環境の創造に全力で取り組んでいきます。
人的資本への取り組み

北越:人的資本への取り組みについては、2022年に私、北越をCHO・健康管理最高責任者とし、健康経営に着手しました。
地道な取り組みの結果、一昨年には経済産業省より「健康経営優良法人」の認定を、さらに昨年と本年においては「健康経営優良法人/ホワイト500」に2年連続で認定をいただきました。経済産業省による健康経営度調査における、大企業部門の上位500法人を「ホワイト500」と呼びます。
加えて本年は、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する「健康経営銘柄」にも初めて選定されました。これからも、すべての人々にとって魅力的な環境の創造に全力で取り組んでいきます。
大型空調案件の受注

北越:先ほどお話しした循環型ビジネスモデルと人員体制強化により、当社が大型案件の獲得に至った事例をご説明します。
すでに今年2月、東京証券取引所を通じて開示したとおり、大阪府枚方市より、小中学校におけるDBO事業を受注しました。本事業は、当社における史上最大の受注金額として約81億円を見込んでいます。
本件は、空調設備の大規模な入替工事はもちろん、その後15年間にわたって維持・管理を担う長期プロジェクトです。
内製でメンテナンスを提供できるという当社の強みをご評価いただくことで、落札・契約に至ったものと考えています。
本事業を通して技術力の向上を図るとともに、付加価値の源泉である「ヒト」への投資を継続し、さらなる案件獲得に努めていきます。
トータルメンテナンス事業

北越:当社事業のもう1つの柱である、トータルメンテナンス事業をご紹介します。この事業では、小売業など全国規模で多くの店舗を展開されている企業に対し、サービスを提供しています。
空調機器のみならず、電気・厨房・給排水衛生設備など、さまざまな設備のメンテナンスを一括して請け負います。お客さまの設備にトラブルが発生した場合、コールセンターなどを通じて当社が連絡を受け、メンテナンスサービスを手配します。
しかし、ここで対応するのは当社のサービスチームだけではありません。日本全国に存在するパートナー企業がスピーディに対応します。お客さまに、「もっと快適、ずっと安心」をお届けします。
トータルメンテナンス事業の強み

北越:トータルメンテナンス事業の特徴は2つです。1つ目は、全国規模のパートナー網です。自社のサービス部隊に加え、広範なネットワークの中から協力企業を厳選し、質の高いサービスを提供しています。
2つ目に、東日本と西日本、それぞれに設置しているコールセンターです。24時間体制で運営し、迅速な対応を可能にしています。
このように、お客さまが抱えるトラブルに対し、日本全国どこへでも、ワンストップでメンテナンスを提供できることが、この事業の優位性です。
競合他社との比較

北越:当社の競争環境についてお話しします。設備メンテナンス業界の企業は、スライドで示したように大きく3つの系統に分類されます。
1つ目は左上の円、メーカー子会社のグループです。メンテナンスを行う対象は、特定メーカーの製品に限られます。2つ目は右上の円、大手小売系などにおけるグループの傘下に属し、主に自社グループ内の企業を顧客としています。
3つ目は下の独立系で、当社はこちらに属しています。特定のメーカーやグループに関係なく、メンテナンスを行います。
この独立系グループにおいて、競合としてよく取り上げられるA社やB社と、当社との違いをご説明します。
競合他社との比較(独立系企業)

北越:当社とA社、B社の特徴を表に整理しました。企業名の右に前期売上高、その右に顧客・領域、さらに右にサービス提供方法という項目があります。
顧客・領域の一部において、当社とA社とは競合しています。飲食業と小売業がその例です。しかし、それぞれ優位性を持つ顧客が異なっており、競合しない領域も存在しています。
当社は、パナソニックグループ系の指定業者であること、また、空調ノウハウから生まれた省エネ化において、独自の強みがあります。
また、ビルの管理業務も行うB社は、A社以上に競合の度合いが低いです。
サービス提供方法においては、当社とB社は、自社部隊と協力会社を組み合わせたサービスを提供しています。一方、A社は100パーセントが外注です。
すでにお伝えしたとおり、メンテナンス業界のパートナー企業は、比較的地場の中小企業が多いです。
そのため、長期間にわたる大規模案件への対応については、自社チームを抱えているほうが優位であると考えます。
このように、競合とされる他社との比較について、当社が顧客ターゲットやサービスの提供方法といった面で特色があることが、おわかりいただけるかと思います。
「ビジョン2030」について

司会者:ここからは今年発表した中期経営計画をもとに、当社の成長戦略をご説明します。
北越:当社は今年7月に、今期2026年5月期から2028年5月期までの3年間を対象にした中期経営計画のテーマに「人の三機」を掲げ、「ビジョン2030」実現に向けた成長加速を発表しました。
本計画の策定にあたり、当社が2030年に目指す姿として、「安心・快適な空間のインフラを技術・データ・ITでプロデュース(クリエイト)する会社」を掲げました。
具体的には、事業を通じて環境負荷軽減を実現し、地域の未来に貢献する会社、ならびにお客さまの課題解決に際し、創業より培ってきた高い技術力とITの力で、一歩先行くご提案ができる会社であることを追求しています。
お客さまの一歩先の提案をすることが、当社の成長できるポイントでもあり、競合他社との差別化を図れる要素であると考えています。
「ビジョン2030」実現に向けたステップ

北越:「ビジョン2030」の実現に向け、当社は2023年5月期より始まる3つのステップを定めています。
その第一歩が、前中期経営計画の3年間です。この期間を基盤強化期と定義し、当社の価値基盤であるサービス品質と技術力の向上に取り組みました。この基盤強化期での足固めを踏まえ、本中期経営計画での3年間を「成長加速期」と位置づけています。
さらにこの先、2029年5月期以降は投資の成果を本格的に刈り取る「成果収穫期」と位置づけ、収益構造の転換と企業価値の飛躍的向上を目指します。
「中期経営計画 2026-2028」のテーマ

北越:本計画では、人的資本をはじめとするさまざまな資源への投資を強化し、「人財価値の最大化」と「事業拡大」の両立を目指します。
中期経営計画のテーマとして「人の三機」を掲げ、社長の私自らが人財育成の陣頭指揮をとることとしました。詳細はこの後、ご説明します。
財務目標①売上高、営業利益・営業利益率

北越:本計画の売上高、営業利益および営業利益率の目標をご紹介します。
スライドは売上高目標に関するものです。昨年度の実績である206億3,600万円に対し、本計画の目標値として、1年目を233億200万円、2年目を286億5,000万円、3年目を326億5,000万円と設定しています。
財務目標①売上高、営業利益・営業利益率

北越:スライドは棒グラフが営業利益、折れ線グラフが営業利益率を示しています。営業利益は、昨年度の実績10億2,000万円に対し、本計画1年目を11億3,000万円、2年目を17億円、最終年度を22億円と設定しています。
営業利益率は、それぞれ4.8パーセント、5.9パーセント、6.7パーセントとなっています。
なお、本目標は売上高・営業利益ともに、新たなM&Aなどによる成長を除いた数値であることをお含みおきください。
財務目標②事業部別売上高・ストック売上高

北越:2つ目の財務目標である、事業部別の売上高とストック案件による売上高をご説明します。
スライドは事業部別の売上高を示し、左が昨年度の実績、右が本中期経営計画最終年度の目標です。
緑色のメンテナンスサービス事業および環境事業は、昨年度の売上高93億5,900万円に対し、2028年5月期目標が153億7,900万円、青色のトータルメンテナンス事業は、実績81億200万円に対し、目標値を136億2,000万円と設定しています。
グレーのその他子会社などについては、31億7,500万円の実績に対し、36億5,000万円を計画しています。このように、すべての事業において拡大を図ります。
財務目標②事業部別売上高・ストック売上高

北越:ストック案件による売上高の計画についてご説明します。ストック案件とは、定期的な点検や清掃、定期メンテナンスによる事前修理など、継続した収益を期待できる案件を指しています。
メンテナンス契約などは、安定的な収益が期待できることから、本中期経営計画ではストック案件の獲得に一層注力します。
スライドのグラフでは、青色のストック売上高について目標値を設定しています。設備入れ替え工事など、単発で発生するグレーのフロー案件の売上高とは区別しています。
一番左の昨年度の実績は112億4,200万円でした。一番右の本中期経営計画最終年度は197億3,800万円を目標としています。今後も収益基盤の強化に邁進します。
「中期経営計画 2026-2028」の戦略

北越:本中期経営計画における戦略をご紹介します。計画で掲げている戦略はスライドの5つです。「人財育成の強化」「事業規模の拡大強化」「提案営業力の高度化」「DX推進による収益性向上」「資本効率重視の経営の実現」となっています。
今回は、人財育成の強化、DX推進による収益性向上、資本効率重視の経営の実現に加え、重点施策である「配当方針」についてご説明します。
戦略①:人財育成の強化

北越:第1の戦略として、人財育成の強化についてお話しします。この戦略は、今回の中期経営計画で最重要項目に位置づけています。
先ほど、当社の強みについてご説明しましたが、前中期経営計画では人を付加価値の源泉とし、採用や育成の強化に取り組んだ結果、事業拡大に至りました。本中期経営計画の3年間でも、「人が育つことで、サービスが育ち、会社が成長する」という成長原則に立ち、人事戦略を展開します。今後も人財に重点を置いた戦略を構築し、人員基盤のさらなる強化に邁進します。
さらに、本中期経営計画で注力するのは、「育成・活用・定着」といった一連のプロセスを強化する「人財活用」です。
戦略①:人財育成の強化

北越:この人財活用のうち、まず育成については、今期から社員を育成する部門を新たに立ち上げました。私が責任者となり、教育投資額として年間1億円の予算を確保しました。全社一丸となって育成をリードします。
これまで一部の技術やスキルについて、教育や伝承が各部門や現場に任されがちになっていました。しかし、今後はこの部署が中心となり、育成の仕組みを統合・整備していきます。
これにより、社員を育成する部門と管理部門、事業部門とが一体となり、全社規模で人財育成を加速させます。
今期は「1年で2年分育てる」をテーマに掲げ、入社2年目から3年目までの若手社員が、より幅広いケースで現場を担えるよう、研修メニューを強化します。
次に、活用については、タレントマネジメントシステムを導入します。各々のスキルやキャリアへの志向性を見える化することで、より効率的、かつ適切な人財活用を実現します。さらに、個人の希望に沿ったキャリアパスをサポートします。
加えて、定着に向けては、職場環境の向上や社員のエンゲージメントのさらなる向上に努めます。
このように育成・活用・定着のプロセスをより強化することで、サービス品質の向上と企業成長の好循環を確立します。
戦略④: DX推進による収益性向上

北越:第4の戦略であるDX推進による収益性向上についてご紹介します。この戦略は、「タブレット受付アプリの導入拡大」「DX人財の育成推進」「業務効率化ツールの全社展開」を中心としています。
戦略④: DX推進による収益性向上

北越:このスライドでは、DX推進に向けた当社の取り組みの1つである「タブレット受付アプリ」についてご紹介します。このアプリは、お客さまがメンテナンスの依頼を簡単に行えるサービスです。
これまではコールセンターなどを通じてトラブルを受け付けていましたが、お客さまが架電してから当社で電話を受け、対応業者を選定するまでに一定のリードタイムが発生していました。
そこで、このアプリを通じてご連絡いただくことで、パートナー企業への依頼までの時間を短縮しました。また、修繕箇所の写真を添付できるため、お客さまが口頭でご説明する手間を軽減させることができます。
このアプリはさまざまな業種のお客さま約260店舗に導入済みです。
現在、お客さまの利用実態に合わせて機能の追加を行っており、顧客接点強化の中核となるツールとして展開を進めていきます。
戦略④: DX推進による収益性向上

北越:DX人財の育成推進については、DXリテラシーの底上げと対応力向上を目的に、昨年度から社内研修に着手しています。今後も教育・研修体制を強化していく方針です。
また、業務効率化ツールの全社展開によって、社員が定型業務に対する時間や労力を削減し、それらをコア業務に費やせるよう促進します。
以上の施策を通じて、業務効率化を進めることで、事業成長に伴う販管費の増加を抑制しつつ、顧客満足度を向上させ、収益性の強化を目指します。
戦略⑤:資本効率重視の経営の実現

北越:第5の戦略である資本効率重視の経営の実現についてご説明します。本中期経営計画では、これまでに積み重ねてきた資本の効果的な投下を重要課題の1つとしています。
株主のみなさまのご期待に応える資本効率性を実現すべく、この3年間でROE(自己資本当期純利益率)は18パーセントを目標とします。
昨年度のROEは15.3パーセントですが、今後、安定的に15パーセント以上を確保できるよう努めます。
戦略⑤:資本効率重視の経営の実現

北越:こちらのスライドでは、先ほどの目標を踏まえて策定した、この3年間における各施策へのキャッシュアウトの合計額を表しています。成長投資に約15億円投下します。内訳は、研修施設の改修や新規採用など、人財教育への投資に約5億円、M&AやDX推進といったその他成長投資に約10億円です。
また、これらを勘案した結果、株主還元には約9億円の割り当てを想定しています。詳細は次のスライドでご説明します。
重点施策:配当方針

北越:株主還元に関連して、配当方針をご説明します。スライドのグラフは、直近5年間における当社の配当実績と今後の目標です。棒グラフで示した1株当たり配当額について、緑色の特別配当分を除く青色の部分は、前中期経営計画より毎年着実に引き上げを行ってきました。
本中期経営計画においても、安定的かつ持続的な配当を基本方針とし、予期している業績の向上に合わせ、段階的に配当水準の引き上げを目指します。
また、目標として、配当性向30パーセントとDOE(株主資本配当率)3.0パーセントを組み合わせ、株主のみなさまへの適切な利益還元を実施します。
数値目標【連結ベース】

司会者:ここからは、今期第1四半期の業績とトピックをご説明します。
北越:あらためて、今期の計画目標をご紹介します。売上高は前期比プラス27億円の233億円、営業利益は前期比プラス1.1億円の11億3,000万円、営業利益率は昨年度の4.9パーセントからほぼ横ばいの4.8パーセントと設定しています。
2026年5月期第1四半期 連結決算概要/財務情報

北越:こちらのスライドは、今期第1四半期における連結業績を表しています。当期は、各業界における大手顧客を中心に受注件数が好調に推移したことから、売上高は59億5,600万円、売上総利益は11億4,400万円と、どちらも前年同期より約44パーセント増となりました。
また、期間内の営業利益は1億9,500万円、当期純利益は1億2,900万円を計上しました。これらの成績は、第1四半期としてはいずれも過去最高です。
第1四半期連結業績 対計画進捗率

北越:こちらのスライドは、今期と前期における第1四半期時点での業績進捗率の比較です。進捗率はそれぞれ通年の計画目標に対するもので、円グラフの薄い水色がその年の計画目標、濃い青色が第1四半期の実績を示しています。
2026年5月期は、売上高・営業利益ともに前年同期よりも進捗度合いが大きいことがわかります。しかし、今回の中期経営計画で掲げた施策はまだ着手したばかりであり、利益率向上の余地が大きく残されていると考えています。
第2四半期以降も、引き続き社員一丸となり、さらなる成長に向け邁進していきます。
なお、当社の会計方針において、グループ各社の単体決算は開示していません。何卒ご理解ください。
2026年5月期第1四半期 連結決算概要

北越:連結営業利益の増減分析についてご説明します。第1四半期は、メンテナンスサービス事業、トータルメンテナンス事業ともに売上高が成長し、売上総利益は前年同期より計3億5,100万円増加しました。このうち、ストック案件による増加額は1億6,100万円、フロー案件による増加額は1億9,000万円を計上しています。
経費に関しては、採用活動を中心とした人的資本の拡充に伴うものが3,800万円増加しました。ただし、これは当社の事業をこなす上で必要なものです。
その他、目立った経費は発生しませんでした。この結果、1億9,500万円の営業利益を確保できています。
今期のトピック:育成専門部署の始動

北越:今期のトピックとして、育成専門部署の活動状況をお伝えします。先ほどお伝えしたとおり、今期から社員を育成する部門を立ち上げました。研修メニュー強化の一環として、若手サービスエンジニアのメンテナンス技術を高める取り組みを進めています。
その中でも特徴的なのが、吸収式冷凍機という大型空調機のメンテナンススキルを習得する「レベルアップ研修」です。
研修の対象としているメンテナンス業務では、専門機器の点検だけではなく、お客さまへのヒアリングを通じた異常原因の特定から、修繕、試運転まで一連の対応力が求められます。通常、「一連の業務を一人でこなせるようになるには3年かかる」と言われています。そのため、この間は先輩社員が若手に付き添ってサポートする必要があります。
今回の研修強化により、若手が早い段階で自立して業務をこなせるように、スキルの平準化、底上げを図っています。若手の独り立ちが早まるだけでなく、先輩社員の負担が軽減し、他の案件への稼働率向上が期待できます。
今お話しした内容以外にも、今期は本社に併設している研修センターを改修し、引き合いの多いコンビニの店舗を模した仮想環境を再現しています。サービスエンジニアをはじめとし、さまざまな職種や階層に向けた研修を整備していますので、今後もこうした育成の進捗をみなさまにお伝えしていければと思います。
株主還元方針

司会者:当社の株主還元方針をご説明します。
北越:先ほどご説明したとおり、配当方針としては安定的かつ持続的な利益還元を目指しています。2026年5月期は、普通配当額を1株当たり28円にすることを目標としています。
株主優待制度

北越:株主優待制度については、2026年5月末分から「長期保有優遇制度」を導入しています。これまでは当社株式を100株以上お持ちの株主さまに対し、一律で「QUOカード」1,000円分を贈呈していたところ、2026年5月末日の権利確定日から新制度を適用します。
株式を3年以上、継続保有いただいた方には、100株以上200株未満所有で「QUOカード」2,000円分、500株以上所有で「QUOカード」8,000円分を贈呈します。今後も株主さまからのご支援を賜れる制度運営に励んでいきます。
ご説明は以上です。長時間のご清聴、誠にありがとうございました。
お知らせ:公式YouTubeチャンネル

司会者:最後にお知らせですが、先月、当社公式YouTubeチャンネルを開設しました。チャンネルでは、当社代表取締役社長の北越や専務取締役の川﨑が、当社の成長にかける思いをお話しするなど、今後も投資家のみなさまに向けたコンテンツを発信していきます。
ぜひ三機サービスでチャンネル名をご検索いただき、ご視聴・ご登録をお願いします。
【三機サービス公式YouTubeチャンネル(リンクはこちらです)】
質疑応答:自社に対する認識について
司会者:「御社のイメージとして、成長というよりは堅実・安定という印象を受けます。御社自身の認識はいかがでしょうか?」というご質問です。
北越:ご指摘のとおり、当社は安定的な収益基盤を持つメンテナンス事業を起点として、ビジネスを展開してきました。
また、創業以来、赤字を出さずに着実に売上を伸ばしてきたことから、堅実な印象をお持ちいただくのは自然なことかと思っています。
一方で、メンテナンス業界のビジネス環境としては、夏の猛暑により空調の重要性が非常にフォーカスされたり、建物ならびに設備の老朽化により、修繕などの入れ替えニーズが高まったりと、追い風が吹いてきていると思っています。
しかし、業界では労働力不足という課題を抱えています。
当社はこの環境を機会と捉えており、強みを発揮しつつ、さらなる成長の余地が十分にあると認識しています。それゆえ、現在の中期経営計画では人財育成の強化を最重要戦略として掲げ、持続的な成長を目指して取り組んでいこうと考えています。
質疑応答:枚方市の大型案件の進捗について
司会者:「前回の決算時にご説明があった、枚方市の小・中学校の空調入れ替えに伴う大型案件について、進捗状況はいかがでしょうか?」というご質問です。
北越:計画どおりに進捗しています。3年間にわたる工事となりますが、今年度の第1期はほぼ完了しています。この分の売上についてはすでに計上されており、コスト面でも当初の想定から大きな乖離はありませんでした。
今後は、第1期の工事の評価と振り返りを踏まえ、自社のサービスエンジニアの育成強化を通じて内製化をさらに進めていき、利益率の向上・改善を図っていこうと考えています。
質疑応答:事業環境の変化や懸念点について
司会者:「枚方市の大型案件の獲得後、事業環境や案件打診に変化はありましたか? また、このような環境で事業のリスクとなりうる懸念点はありますか?」というご質問です。
北越:枚方市の案件に限らず、設備更新の案件というのは、実績が毎年積み上がっていくにつれて、業界内での当社の認知度が高まりつつあるかと考えています。
実際に学校や病院といったお客さまから、いろいろな案件で当社に直接お声がけをいただく機会が増えてきていますし、そのような機会が増えたことで受注の機会も広がっていると実感しています。
また、リスク要素としては、目下の最重要戦略である人財育成が計画よりも進捗しなかった場合、案件に対応しきれないことが想定されます。したがって、この分野については、私が責任者として育成部署を率いていますので、成長の足を引っ張らないように取り組んでいきたいと思っています。
質疑応答:トータルメンテナンス事業の需要について
司会者:「『会社四季報』では『トータルメンテナンス事業はコンビニや外食向けが伸長』とありますが、これは新規出店需要でしょうか? それとも他社からの乗り換え需要ですか?」というご質問です。
北越:新規に店舗を出店した場合のサービスを請け負う場合と、既存店舗からの需要のどちらもあります。例えば、お客さまとの契約が「エリアごとに一括してメンテナンスを請け負う」という内容であれば、そのエリアに出店した新店舗についても当社がサービスを担うことが非常に多くなります。
一方、既存店舗については、専門のスタッフを抱えていながらも、社員の高齢化や業務の属人化といった課題から、当社にアウトソーシングする場合があります。
また、すでに他社を利用していて当社へ切り替えるお客さまも比較的多くいます。
当社の強みについて、全国規模のパートナーネットワークはもちろんですが、作業自体をパートナー企業に任せきりにするのではなく、自社での進捗管理を交えて、時には社員も現場に訪問しています。
このような全国での対応力と、パートナー企業と協力した品質管理の体制が、お客さまから高くご評価いただいているところが強みだと認識しています。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日登壇者に回答いただきましたのでご紹介します。多くの質問の中から一部を抜粋し、重複する内容はまとめて掲載しています。また、個別具体的な内容については、掲載・回答を控えています。ご理解のほどお願いします。
<質問1>
質問:本編スライド「競合他社との比較(独立系企業)」について、A社はパートナー企業のみ、御社は自社スタッフも交えてのサービス提供とご説明いただきました。それぞれのメリットやデメリットについてもう少し詳しく聞かせてください。
回答:A社のようにパートナー企業のみでサービスを提供する形態は、限られた人数で案件を回していくことに特化しており、経営の観点からは資本効率が高いことが特長だと考えます。A社がパートナー企業の管理に集中しているのに対し、当社は創業からメンテナンスに従事し、「質の高いサービスを自らの手で提供したい」という思いから、自社サービスエンジニアの採用数を増やし、育成にも力を入れてきました。
近年では、メンテナンスで培った空調機器に関するノウハウを応用し、設備の入れ替え工事や省エネ案件も手掛けています。このような経緯から、当社は、メンテナンスのみならず、設備入れ替えなどの工事を含む大規模案件において、内製により一定の収益を継続的に確保できることが、ビジネス上のメリットだと考えます。(※当回答は株式会社三機サービスの独自見解にもとづきます)
<質問2>
質問:2026年5月期第1四半期の決算において、前年同期の営業利益・経常利益・純利益は赤字でしたが、今期は黒字に転換しています。これはどのような要因によるものでしょうか? 前期の第1四半期の業績が低調に見えますが、その理由を教えてください。また、第1四半期の業績は期初の想定どおりでしょうか?
回答:まず、前期第1四半期の業績について、ご説明します。
当社事業には季節性があり、毎期第1四半期は業績が出にくい傾向にあります。第1四半期(6月から8月)と第3四半期(12月から2月)は空調が本格稼働します。そのため、第1四半期と第3四半期は空調機を停止して行う必要のある付加価値の高い案件は少ない傾向となり、その代わり第2四半期と第4四半期に集中します。前期第1四半期もその傾向にあったため、すでに公表している業績結果となりました。
一方、今期第1四半期においては、今回の中計に盛り込んでいるとおり、今期より着工した枚方市の学校空調入れ替え案件の初年度売上が計上されました。また、前期受注した空調入れ替え工事が完工できたことも売上の伸びに寄与しました。トータルメンテナンス事業においても、受注案件を着実に増やし、売上ともに収益性の向上に至ったことで前期を上回る結果を残せました。これらの業績はおおよそ想定どおりの結果です。
<質問3>
質問:今後データセンターの空調メンテナンスにかかる事業は需要があると思いますが、そのような事業に参入される計画はありますか?
回答:データセンター向けの空調メンテナンスについては、現時点では当社において案件が具体化したことがないのが実状です。
この分野は、万が一空調に異常が発生すると大きな影響が生じかねないため、初期設計や施工を担ったメーカーやサブコンが一貫して保守まで手がけるケースが多く、当社のようなメンテナンス業者が新規に入り込むハードルは現時点では高いと考えています。
ただし、当社としては引き続き市場動向を注視し、既存顧客の施設対応や技術蓄積を通じて、将来的な参入機会があれば検討していく考えです。
新着ログ
「サービス業」のログ





