2025年3月期 第1四半期 実績

石田由次氏(以下、石田):代表取締役副社長の石田です。本日はどうぞよろしくお願いします。私からは2025年3月期第1四半期の決算ならびに状況についてご説明します。

まず、2025年3月期第1四半期の実績です。売上高は前期比51億円増の536億円、営業利益は前期比32億円増の56億円、親会社当期純利益は前期比9億円増の36億円となっています。

5月に公表した上期の業績見込みに対する進捗率は、売上高が53パーセント、営業利益が102パーセント、親会社当期純利益が103パーセントで、営業利益以下の利益項目は上期見込みを第1四半期で達成することができました。

2025年3月期 第1四半期 実績 セグメント別

セグメント別の状況です。売上高は、モビリティ&イメージング事業領域が前期比36億円増の229億円、ファインケミカルズ事業領域は前期比22億円増の162億円、ライフサイエンス事業領域は前期比8億円減の146億円となりました。

5月に公表した上期の見込みに対し、進捗率はそれぞれ53パーセント、57パーセント、48パーセント、全体で53パーセントと堅調に推移しています。

部門営業利益は、モビリティ&イメージング事業領域が前期比22億円増の37億円、ファインケミカルズ事業領域が前期比12億円増の24億円、ライフサイエンス事業領域は前年並みの16億円でした。5月に発表した上期の業績見込みに対し、進捗率はそれぞれ79パーセント、79パーセント、74パーセントと好調に推移しました。

2025年3月期 第1四半期 実績 サブセグメント別

サブセグメント別の状況です。モビリティ&イメージング事業領域のセイフティシステムズ事業の売上高は、中国の前期比42.7パーセント増を中心に、事業全体で前期比20.4パーセント増と好調に推移しています。また、ポラテクノ事業も前期比13.9パーセントの増収です。

ファインケミカルズ事業領域においては機能性材料、色素材料の2事業で前期比20パーセント以上の増収となっています。触媒事業は出荷時期のずれがあり、前期比26.8パーセントの減収となりました。

ライフサイエンス事業領域においては、主力である医薬事業領域の営業本部が前期比2.6パーセントの増収となっています。一方で、原薬・国際・診断薬事業は前期比マイナス44.8パーセント、アグロ事業は前期比マイナス9.9パーセントとなっています。

上期の業績見込みに対する進捗率は、モビリティ&イメージング事業領域のセイフティシステムズ事業で53パーセント、ポラテクノ事業で54パーセント、ファインケミカルズ事業領域の機能性材料事業が58パーセント、色素材料事業が59パーセントと堅調に推移しました。

また、ライフサイエンス事業領域においては医薬事業の営業本部で進捗率が50パーセントと堅調に推移しています。

2025年3月期 上期・通期 業績予想

今回見直しを実施した上期および通期の業績予想です。上期の見通しは、売上高が64億円増の1,084億円で、営業利益が36億円増の90億円、親会社当期純利益が11億円増の45億円となっています。

通期の見通しは、売上高が5月公表値5.1パーセント増の108億円増収で2,208億円、営業利益は44.8パーセント増の56億円増益で181億円、当期純利益は33.3パーセント増の30億円増益で120億円となります。

為替レートについて、上期は1USドル155円、下期は150円のレートを使用しています。

2025年3月期 上期・通期 業績予想 セグメント別

上期および通期のセグメント別の業績見込みです。モビリティ&イメージング事業領域は、上期に32億円、通期で59億円増収し、通期売上高929億円を見込んでいます。

ファインケミカルズ事業領域は上期に29億円、通期で46億円増収し、通期売上高636億円、ライフサイエンス事業領域は上期に3億円、通期で4億円増収し、通期売上高643億円を見込んでいます。

モビリティ&イメージング事業領域の部門営業利益は、上期に21億円、通期で29億円増益し、通期営業利益122億円を見込んでいます。ファインケミカルズ事業領域は上期に12億円、通期で24億円増益し、通期営業利益84億円を見込んでいます。

ライフサイエンス事業領域においては、上期に2億円、通期で2億円増益し、通期営業利益68億円を見込んでいます。モビリティ&イメージング事業領域およびファインケミカルズ事業領域で年初見通しよりも大きな増収増益を想定しています。

2025年3月期 上期業績予想 サブセグメント別

サブセグメント別の状況です。売上高の上期の見通しについて、モビリティ&イメージング事業領域のセイフティシステムズ事業は年初見込みに対し7.7パーセント増の357億円を見込んでいます。ポラテクノ事業は年初見込みに対し6.6パーセント増の105億円を見込んでいます。

ファインケミカルズ事業領域の機能性材料事業は、年初見込みに対し14.3パーセント増の166億円、色素材料事業は11.9パーセント増の124億円となる見込みです。触媒事業は約5億円の出荷が下期にずれ込む見込みで、上期は17.9パーセントの減収となっています。

ライフサイエンス事業領域の医薬事業は、年初見込みに対し1.3パーセント増の258億円、アグロ事業は年初見込みに対し0.2パーセント増の39億円となっています。

第1四半期の進捗率が医薬事業の原薬・国際・診断薬部門とアグロ事業で50パーセントに届きませんでしたが、上期全体の見通しでは医薬事業およびアグロ事業についても年初見込みを達成する見込みです。

通期業績予想修正の要因(利益面)

通期業績予想修正の要因について利益面でご説明します。モビリティ&イメージング事業領域では、通期部門営業利益が29億円、31.8パーセントの増益となります。

この要因として、自動車市況の堅調を維持しており、セイフティシステムズ事業の自動車安全部品、ポラテクノ事業の車載用部材が堅調に推移していることが挙げられます。また、ポラテクノ事業については製品構成の変化や生産効率の改善等により収益力が改善しています。

ただ、下期はセイフティシステムズ事業において、中国、マレーシア等で投資した拠点のライン稼働に向け、償却費や労務費の負担が増えると考えています。

ファインケミカルズ事業領域は、通期部門営業利益が40.2パーセント増益の24億円となります。半導体関連の市況の回復に伴い工場の稼働率も改善し、エポキシ樹脂、半導体製造用装置などが利益の柱となっています。

インクジェットプリンタ関連製品について、コンシューマ用向けは流通上の在庫調整が進み、在庫が解消され、堅調に推移しています。また、産業用インクジェットも堅調を維持しています。触媒事業については、アクリル酸の市況軟化に伴う顧客の稼働率の低下が一部見られ、受注時期ずれのリスクがあると考えています。

ライフサイエンス事業領域については、通期部門営業利益で3.5パーセント増益の2億円を見込んでいます。したがって、おおむね年初見込みどおりの推移になると考えています。

また、第1四半期は為替レートの差異による影響が利益レベルで約6億円ありました。

モビリティ&イメージング事業領域

モビリティ&イメージング事業領域です。第1四半期は、セイフティシステムズ事業においては、国内事業で型式認証不正問題等により特に軽自動車への影響があり、業績はやや低調でした。

海外事業については、ASEAN地域で自動車ローンの審査厳格化などの影響が一部あったものの、総じて堅調な需要で推移しています。これにより、事業領域全体で大幅な増収となっています。

ポラテクノ事業においては、X線用部材で一部中国市場での減速がありましたが、他市場でカバーしています。光学フィルムにおいては、ヘッドアップディスプレイ向けの出荷が拡大し増収となっています。

利益面では、売上の増加による利益額の増加と、一部製品の価格改定の効果がありました。第2四半期の見通しについては、セイフティシステムズ事業は堅調、ポラテクノ事業の光学部品も堅調、精密部品については横ばいになると考えています。

ファインケミカルズ事業領域

ファインケミカルズ事業領域です。機能性材料事業は半導体関連部材の基板用エポキシ樹脂が回復基調です。また、コンシューマインクジェット用色素、産業用インクジェットともに堅調に推移しています。

触媒事業については、アクリル酸の市況悪化に伴う触媒交換の先送りがあり、やや低調に推移しています。利益面においては、機能性材料事業、色素材料事業の売上高の増加による利益額の増加により、利益が拡大しています。

第2四半期の見通しについては、半導体関連で高純度なエポキシ樹脂が堅調に推移していきます。半導体製造装置についてはさらに伸長するものと考えています。

ディスプレイ関係のUV硬化型樹脂については第1四半期の堅調を維持し横ばい、デジタル印刷市場においては、コンシューマインクジェット用色素および産業用インクジェットインク、それぞれ横ばいになると見ています。

ライフサイエンス事業領域

ライフサイエンス事業領域です。医薬事業については薬価改定の影響を数量増でカバーし、第1四半期はほぼ前年並みに推移しました。ただ、原薬・国際・診断薬は出荷の後ろ倒しがあり、第1四半期としては減収となっています。

バイオシミラー関係の「ベバシズマブBS」は市場浸透し、シェアを13パーセント獲得しています。また、「アダリムマブBS」については順調な滑り出しとなっています。ジェネリック抗がん薬の「ダサチニブ錠」は1月に先発品との適応症の違いが解消され、GE化が加速されています。

アグロ事業は国内については安定していましたが、海外において一部顧客での在庫調整があり、後ろ倒しとなっています。利益については前年並みを確保しました。

第2四半期の見通しでは、ジェネリック抗がん薬は横ばい、新薬については堅調に推移すると考えています。バイオシミラーについては「ベバシズマブBS」「アダリムマブBS」の市場浸透で堅調に推移する見込みです。そして、アグロ事業は、海外売上が第2四半期で回復すると考えています。

ライフサイエンス事業領域は部門営業利益が第1四半期の16億円に対し、第2四半期は8億円と減少していますが、こちらは第2四半期に試験研究費の支出があると考えているためです。

開発パイプラインの状況【2024年7月31日 現在】

医薬における開発パイプラインの状況です。現在、「Buparlisib(ブパルリシブ)」「Taletrectinib(タレトレクチニブ)」「アラグリオ」「VECanDx(ベカンデックス)」のそれぞれが順調に推移しているところです。

2025年3月期 第1四半期 財政状態

バランスシートの状況です。今回は有形固定資産がプラス64億円と、積極的な設備投資による有形資産増が発生しています。

また、自己資本がプラス51億円増えています。この内訳として「その他包括利益の累計額」のプラス57億円のうち、為替換算調整勘定が52億円ほど増えている状況です。つまり、円安の影響により、自己資本が増えています。

2025年3月期 第1四半期 研究開発費・設備投資・減価償却費

研究開発費・設備投資・減価償却費の状況です。第1四半期は研究開発費が32億円、設備投資が52億円、減価償却費が33億円となりました。

設備投資581億円の計画に対して52億円は進捗が少ないように見えますが、こちらは設備の発注実績です。したがって、投資の意思決定は順調に推移していると考えています。

2025年3月期 サステナビリティトピックス

サステナビリティ関係のトピックスです。4月にカーボンニュートラルに向けての中期環境目標を改定しました。「2度シナリオ」から「1.5度シナリオ」に変更し、温暖効果ガス排出量のScope1、Scope2を2030年度までに46パーセント削減していきます。

また、MSCIのESG Ratingにおいて、初めて「AA」を獲得することができました。

そして、7月に日本化薬サステナビリティWebサイトを更新しています。もしお時間があればご参照ください。

質疑応答:ポラテクノ事業の製品構成の変化とヘッドアップディスプレイの戦略について

質問者:モビリティ&イメージング事業のうち、ポラテクノ事業に関するご質問です。資料8ページに「製品構成変化」という記載があります。こちらを具体的にご説明いただけますか?

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