要約損益計算書(連結)

木谷高明氏:ブシロード代表取締役社長の木谷です。2025年6月期通期決算の概要と中期ビジョンについてご説明します。

まず、前期の業績についてご説明します。第4四半期の売上高は168億300万円で、前年同期比33億9,900万円の増加でした。営業利益は19億8,900万円で、前年同期比11億7,700万円の増加となっています。親会社株主に帰属する四半期純利益は17億2,400万円で、前年同期比8億9,300万円の増加となりました。

通期の売上高は561億7,500万円、営業利益は48億6,800万円となりました。「TCGユニット」「ライブエンタメユニット」「MDユニット」が四半期・通期ともに過去最高の売上を記録し、連結でも四半期・通期いずれも過去最高の売上高と営業利益を達成しました。

四半期 連結業績推移-販売管理費

こちらは販管費の推移です。TCGやMDの販売に伴う荷造運賃の増加や、昇給および決算賞与の支給に伴う人件費の増加などにより、販管費が増加しました。

TCGユニット 2025年6月期第4四半期トピックス・今後の展開

各事業の詳細についてご説明します。まずは、TCGユニットについてです。TCGユニットは、第4四半期および通期ともに過去最高の売上となりました。

第4四半期には、『ヴァイスシュヴァルツ』の新ブランドである『ヴァイスシュヴァルツロゼ』を発売しました。これにより、『ヴァイスシュヴァルツ』は『ヴァイスシュヴァルツ日本語版』『ヴァイスシュヴァルツ英語版』『ヴァイスシュヴァルツ簡体字版』『ヴァイスシュヴァルツブラウ』『ヴァイスシュヴァルツロゼ』の他言語も含めた5ブランドでの展開となりました(一部商品、その他の言語展開あり)。

7月には『ゴジラ カードゲーム』の日本語版と英語版の同時発売を行い、さらに『hololive OFFICIAL CARD GAME』の英語版を販売しました。一部、前期の6月に売上が計上されています。

また、前々期から前期にかけて約50億円超のグループ全体でのカードゲームの売上増がありましたが、今期は地固めの年になると考えています。

前期には、10月に『五等分の花嫁 カードゲーム』、2月に『ラブライブ!シリーズ オフィシャルカードゲーム』を発売し、運営タイトルは合計11タイトルにまで拡大しました。多くのカードゲームを開発・販売・運営しています。

本年度(FY26)は売上を維持しつつ、ここまでリリースしたタイトルを成長させ、来期に向けた成長のための地固めの期になると考えています。

コンテンツユニット 2025年6月期第4四半期トピックス・今後の展開

コンテンツユニットについてお話しします。第4四半期には、コンソールゲーム5タイトルをリリースしました。通期では合計9タイトルをリリースしましたが、全体的に想定していた売上には達しませんでした。

また、今期に入り、7月に『HUNTER×HUNTER NEN×IMPACT』が発売され、10月にはフランス・ニースで開催される世界最大級の格闘ゲーム大会「EVO FRANCE 2025」のメイン種目に採用されました。

ライブエンタメユニット 2025年6月期第4四半期トピックス・今後の展開

ライブエンタメユニットについてお話しします。四半期および通期で過去最高の売上を記録しました。特に第4四半期では、「MyGO!!!!!×Ave Mujica 合同ライブ」が開催され、『バンドリ!』史上最大の動員数を達成しました。

また、実演バンドが7つに増加したため、毎月のように国内外でライブを開催しています。今期は、さらに海外でのライブ開催に一層力を入れる予定です。

MDユニット 2025年6月期第4四半期トピックス・今後の展開

MDユニットについてお話しします。四半期および通期で過去最高の売上を達成しました。第4四半期は、「MyGO!!!!!×Ave Mujica 合同ライブ」に合わせてライブグッズが好調だったことが要因です。また、新たにプライズ事業やイベントストア事業にも今後力を入れていきます。さらに、フィギュアブランドの「PalVerse」も現在成長しています。

四半期 セグメント別売上高・営業利益推移 ~スポーツ事業~

スポーツユニットについてお話しします。まず、新日本プロレスですが、現在、世代交代が盛んに進んでいます。新しいスターが出てくる可能性はかなり高いと考えています。

また、来年1月4日に東京ドーム大会で大型新人のウルフアロン選手がデビューします。現在、観客動員数は横ばい状態ですが、来年1月4日のイベントをきっかけにさらなる成長を期待しています。

次に、スターダムについてですが、4月の横浜アリーナ大会でスターダム史上最大の観客動員数である7,500人を記録しました。世代交代が進み、新たなスターが生まれたことで、観客動員が今後増加すると予想されます。収益も大きく伸ばしていくと考えています。以上が各事業の概況です。

2026年6月期 業績予想

それでは、2026年6月期の通期業績予想についてお話しします。2026年6月期は、売上高560億円、営業利益45億円、経常利益46億円、親会社株主に帰属する当期純利益27億円と予想しています。

収益はほぼ横ばいの見通しですが、前期の大きな成長を踏まえ、各ユニットでしっかりと足元を固め、来期のさらなる飛躍に向けた踊り場の期と位置づけています。

株式分割

株式分割および株主還元についてご説明します。弊社は、2025年10月1日を効力発生日として、最終の株主名簿に記録された株主が所有する普通株式1株につき2株の割合で分割することを決定しました。

2026年6月期 配当予想(増配予想)

2026年6月期の配当予想は、株式分割後の換算で1株あたり2.5円としており、2025年6月期からの増配を見込んでいます。

当社グループのミッション

弊社の中期ビジョンについてお話しします。弊社はIPデベロッパーとして、世界に新しいエンタテインメント体験を提供してきました。

IP創出を連携力とスピード感を持って推進し、エンタテインメント体験へと昇華させていくことが、弊社の強みであると考えています。

中期ビジョン 2030

この考え方をもとに、今回「中期ビジョン2030」を設定しました。「中期ビジョン2030」では、「ライブミックスエンタテインメントとグローバルスケールの加速」を目指します。特に、次の3つを明確なビジョンとして掲げます。

ビジョン1

1つ目は、「自社IPの活性化および新規IPの創出」です。弊社は『カードファイト!! ヴァンガード』『バンドリ!』、さらに『新日本プロレス』や『スターダム』も1つのIPと考えています。加えて、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』といった有力なIPを複数保有しており、これをさらに大きな柱として成長させたいと考えています。

また、これらのIPだけに依存することなく、継続的に大型IPの立ち上げを進めたいと考えています。IPの立ち上げは簡単ではありませんが、先ほど挙げた5つのIPに関わった人材の中から若手プロデューサーを選び、新しいIP創出のプロジェクトチームに徐々に移行させながら、新たなIP創出を目指していきます。

また、角度を変えて、出版による多点数のIP開発もそろそろ軌道に乗りつつあります。2年前に新設したブシロードワークスの出版事業では、現在刊行点数の増加に注力しています。加えて、これまで多くのアニメ製作委員会に参加して培ったノウハウを活用し、出版起点のIP開発も徐々に強化していきます。

ビジョン2

2つ目は、「カードゲーム世界一を目指す」です。「世界一」といってもさまざまな基準がありますが、弊社はすでに11タイトルを運営しており、運営タイトル数ではすでに世界一であると考えています。

ただ、すべての面で世界一を目指したいと考えています。そのために、より多くのプレイヤーに遊んでもらえるカードゲームを創出します。また、より大きな売上を生み出せるカードゲームを成長させます。そして、世界で最もカードゲームで喜んでもらえるメーカーを目指します。このように、すべての面で世界一を目指していきたいと考えています。

現在は、自社の基幹タイトルである『ヴァイスシュヴァルツ』と『カードファイト!! ヴァンガード』を中心に展開していますが、協業を含む新規タイトルを今後も増やしながら、カードゲームのメガパブリッシャーを目指したいと考えています。

ビジョン3

3つ目は、「海外進出を加速する」です。現在、重点地域としては日本以外では東アジアと北米を重視しています。世界には約200ヶ国がありますが、その中でも東アジアと北米は非常に大きなマーケットです。まずはここに注力しつつ、他の地域にも展開を広げていきたいと考えています。2030年の国内と海外の売上比率は50対50を目指しています。

また、「Bushiroad EXPO」という名称で海外イベントを多数開催しており、TCG、アニメ、ゲーム、音楽ライブ、舞台、MD、プロレスなど、ブシロードコンテンツの集合体を世界中のお客さまに直接ご覧いただいています。この展示会「Bushiroad EXPO」は、今後もマーケティングの要として注力していきます。

ビジョン1~3の下支え

これら3つのビジョンを下支えとなっている考え方は、より多くの体験を提供することです。現在、グループ会社が主催する有料ライブイベントの動員数は約72万人ですが、2030年には150万人を目指します。

2030年の到達イメージ

以上のビジョンをもとに、2030年の到達イメージを売上高1,000億円から1,200億円、営業利益120億円から150億円と定めました。

これを達成するために、より多くの体験を世界中のお客さまに届けることを目指します。ライブイベント動員数150万人、TCGプレイヤーの「ブシナビ」等の登録数50万人、そして海外売上高比率50パーセントを達成することで、このビジョンに少しでも近づけるよう取り組んでいきたいと考えています。

定量目標:財務方針

その他の定量目標として、財務方針を発表します。弊社では、成長性と健全性のバランスを意識しながら付加価値の高い事業ポートフォリオへのシフトや業務効率化を進めることで、1人当たりの営業利益は1,000万円から1,500万円を目指しています。また、ROEについては、年度ごとの事業環境による変動はあるものの、平均して10パーセント以上を維持することを目標としています。

さらに、健全性の指標としての自己資本比率については、借入金の削減を進めつつ、60パーセントから70パーセントを維持していきたいと考えています。

また、株主還元に関しては、配当性向10パーセント以上を維持していくことを考えています。

キャピタルアロケーションに関する方針

また、キャピタルアロケーションに関する方針は、スライドに記載のとおりです。まず、IP投資では、大型IPを2030年までに少なくとも3本は立ち上げる方針です。そのうち2本はすでに計画中です。

出版による多点数開発でボラティリティの適正化を進めるとともに、委員会などへの参加ノウハウを活かし、他社と連携しながら出版IPの立ち上げを進めていきます。これらIP投資に関して、アニメにおける投資額については100億円規模を目安として考えています。

事業拡大の段階に合わせて、必要に応じてM&Aや事業投資を実施しますが、これまでのように、カードゲームの開発会社への出資やアニメスタジオへの出資、カードゲームの製造工場の子会社化といったかたちで、事業を補完する範囲で行っていきたいと考えています。

また、100パーセント子会社化にはこだわらず、マイノリティ出資も含め、柔軟な事業活動における業務提携を検討していきます。

株主還元については、中長期的な企業価値の向上を前提とし、配当性向10パーセント以上を目安にして、安定的な還元を継続していきます。

最後にあらためてお伝えしますが、ブシロードの成長はIPの開発と成長にあると考えています。したがって、IP投資を最も重要視しています。以上が、中期ビジョンの説明です。

新ユニット編成について

最後に、今期以降の業務運営の効率化を図るため、組織内ユニット編成の見直しを実施します。2026年6月期以降の体制は、「ブシロードユニット」「BIユニット」「ライブエンタメユニット」「MDユニット」「メディアコンテンツユニット」「スポーツユニット」の6つのユニットで進めていきます。

TCG事業とデジタルゲーム事業の売上については、引き続き開示を行う予定です。よろしくお願いします。

質疑応答:中期ビジョンにおける売上高と営業利益の数値の根拠や前提条件について

「中期ビジョンについて、2030年の到達イメージを売上高1,000億円から1,200億円、営業利益120億円から150億円とした根拠や前提条件はありますか?」というご質問です。

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