株式会社INFORICHにエントリーした理由

ーー今まで一番儲かったとか、印象深い銘柄はありますか?

Ken氏(以下、Ken):2021年か2022年は海運株が良かったですね。あとは、やはり資源株。それこそ三井松島(三井松島ホールディングス株式会社)とかも取れたので、それが良かったです。海運株、資源株に関しては、もうマクロな変化ですね。2023年だとINFORICH(株式会社INFORICH)が取れました。

マーケットって継続性を株価に織り込むのがすごく苦手だと思っているんです。一時的にいいのはわかったけれど、PERが低い面があるということは、結局継続が織り込めていないということなので、そこに対して自分的にもう少し継続するんじゃないかと見立てを立てて、賭けるという投資をしています。2024年だと似たようなアイデアで、伊勢化学(伊勢化学工業株式会社)とかが2.5倍ぐらい出たので、そういうのは得意だと思います。

INFORICHに関しては、ロックアップが外れた後にかなり売られていたので、そこでいろいろ分析しました。どちらかいうと、マーケットはたぶん流行らないだろうという目線でいたんですが、そこと実際のユーザーとのギャップを理解して取りにいった感じですね。

ーーINFORICHの件で言うと、確かに「そこって流行るの?」「シェアは広がっていくの?」というところで確信が持てないから、私はエントリーができなかったんです。Kenさんがエントリーできたポイントは何だったんですか?

Ken:実際に「ChargeSPOT」を周りで使っている人が何人かいて、その中でもやはり女性の声がけっこう大きかったんです。私は男性なのでやはり男性目線で見ていたんですけど、女性ってファッションや見た目を重視して小さなバックを使っている方が最近多いのかなと思っていて。

となると、値段を高く払っても、オシャレの邪魔にならないほうを選ぶ人がすごく多いという仮説を作ることができる。ちょっと飛躍しすぎかもしれませんが、仮にデートとか遊びに行く時に、汗をかくぐらいだったら、タクシーに乗るというのに近い選択肢だと思っているんです。

なおかつ、その時はコロナの第何波みたいなところで、人流が完全には戻っていなかったんですけど、テーマパークとか、そういうところの数字も戻ってきていた。

あとは、「Twitter(※現「X」)」もそうなんですけど、特に、「インスタ」「TikTok」が流行っている中で人流が回復すれば、とにかく動画や写真を撮るのが圧倒的に増えてきて、電池の消費量が増える中で、「ChargeSPOT」の需要が急激に増えるだろうなというのは、自分の中であったんです。それとほぼ同じタイミングで価格改定があったんですよね。

価格改定の発表があった時に、時間の閾値が出てきたんです。それは、回転数が高いテーマパークとかのChargeSPOTをより回転良くしようというもので、例えば3時間以内だったらいくらというモデルだと、3時間以内に返せばいいやという感じになるんですけど、確かその時に1時間とか1時間半とかというモデルが出たんですよね。

「1時間半で返さなきゃ」「充電が終わったら返そう」みたいになってどんどん回転数が良くなるという仕組みが同時に出てきたので、これは明らかに安いだろうというところで投資しました。

当時投資した時は、時価総額100億円あるかないかぐらいでした。結局は需要さえあれば面を押さえたほうが強いビジネスなので、あれだけの面を押さえているというところの評価を含めると、100億円は安いなと思いました。

もちろん業績も見ていたんですけど、ちょっと俯瞰して、そもそもの「ビジネスにおいて何が重要なんだっけ?」ということも考えるようにしているので、ある程度の時間を使って面を急激に伸ばして押さえているというところで評価も入っている感じです。

利益確定と損切りのタイミングの決め方

ーー利益の確定のタイミングはどう決めていますか? 具体的にパーセントまで決めているとかあるのでしょうか? 損切りも、ストーリーが崩れてからの損切りなのか、これぐらい値下がりしたからもう売る、みたいな感じなのか。

Ken:利益は目安で作っているんですけど、損切りのところは作っていません。利益確定に関しては、ストーリーが崩れたなとか、仮にグロース投資であれば業績のモメンタムがたぶんこれでちょっと落ちたなとか、次はもしかしたら弱いかもしれないとか、そういうところでするようにしています。

なので、ある程度水準訂正が進んでいくか、自分が思っていたのと違うなというところで利益確定することが多いですね。

「(利益を)2倍取りたい」「1.5倍取りたい」とは言っても、仮に10銘柄ぐらいに入るとしたら、たぶんそのうち1.5倍以上いくのは、3割ぐらいの感じがしますね。もちろんマーケットの状況にもよりますけれど。

残りは、途中で間違っていたとかで損切りする場合もありますし、2、30パーセントで利益確定しちゃう場合もあります。その3銘柄のうち、1銘柄が2倍以上になる感じですね。

Ken氏が考える“いい企業”の条件

ーー投資家サイドとして、「こういう企業はいいよね」という条件はありますか? 

Ken:情報開示の量が多いところと、投資家とのコミュニケーションを積極的に取っているところが、こちらからしたら、ある意味ロットを入れられる企業になるんですよね。

なんでロットを入れられるかというと、そういう企業の場合、自分が思っている業績のイメージと、会社側の実際に出てくる業績とかのずれが、少なくなるからです。逆にそういうコミュニケーションが取れなかったり、開示をあまりしない企業だと、実は自分の知らないことがけっこうあって、それを解消する術もあまりなかったりするんですよね。

それだと中小型株の場合、駄目だった時に本当にとんでもないことになっちゃうので、やはりしっかりコミュニケーションを取れて、いろいろな情報を開示してくれているところは、ロットが入りやすいです。

僕はそこでけっこうフィルターをかけています。すごく入れても15パーセントとかなんですけど、やはり10パーセント前後からは、ある程度しっかり情報開示をしていて投資家のほうを向いている企業というのが、まず1個の条件になりますね。

先ほどの失敗談なんですが、明らかに安い企業だったんですけど、投資家のほうをまったく向いてくれていなかったんですね。改善するかと思って1年半ぐらい待っていたんですけど改善が見られなくて、結局20パーセントぐらいの損切りで終わったんです。

僕からしたら、20パーセントで済んだというのもあるんですけど、1年半かけたので、やはりそういうところだと今後も厳しいなというところで、ここでフィルターはかけています。

ーーこれからIRに力を入れていくという意図があってログミーに新規で掲載していく企業もいるのですが、これを1つのわかりやすい会社の変化として見ることはできるのでしょうか?

Ken:そこは、めちゃめちゃあると思いますね。すごくリアルな話をすると、IRに力を入れている企業さんって、IRの担当者がなんらかの理由で代わったとか、新しく外から来て入ったからというパターンと、経営陣が株価に不満を持っていて、「IR、なんとかせい」となったパターンの2パターンがけっこう多いのかなって思うんです。

後者だと、経営陣が株価を「安い」と思っていて、会社全体の1個の課題になっていたりする。結局マーケットに対する認識と実情の乖離が経営陣側から生まれているということなので、意外と取れる銘柄が多いんですよ。

(次回へつづく)