投資の入り口はFX 初めての株式投資はゼミの授業

ーーまずは、Kenさんの自己紹介を簡単にお願いします。

Ken氏(以下、Ken):1UP投資部屋のKenと申します。2024年で投資を始めて7年目ぐらいになります。もともとFXから始めていて、表に出ている人たちの中でFXから株は少ない感じがしているので、比較的珍しいかなと思います。

投資を始めた一番大きなきっかけはアベノミクスでした。高校生ぐらいの時にテレビ局が新橋でインタビューをしているのを見たんですね。「株価は上がっているけど、給料上がっていますか?」みたいなインタビューで「いや、実際はあまり上がっていないです」と答えているサラリーマンの方がすごく多くて。

ーーその当時、Kenさんは何歳ですか? 

Ken:当時、高3ぐらいだったと思います。16、17歳ぐらい。東日本大震災の時、高1だったので、たぶん2012年、2013年とか、それぐらいですね。

当時は円安・株高だったので、FXをやるか株をやらないと、ちょっと突き抜けたお金持ちにはなれないのかなというところで投資に興味を持ちました。

家庭の事情がちょっといろいろあって……単純に自分が勉強不足だったというのもあるんですけど(笑)、私は大学に3年遅れて入学していて、入学して最初に『東大院生が考えたスマートフォンFX』という本を立ち読みして、スマホでFXできるならやってみようというところでFXから始めたんですね。もう大学入ってすぐ、5月か6月ぐらいにはやっていたと思います。

ーーそれが初めての投資ですか?

Ken:初めての投資です。

ーー家族が株をやっていたとか、金融商品を環境の中で感じることや経験がそれまであったんですか? 

Ken:完全にゼロですね。両親もやっていないですし、父方の祖父母といる時間がけっこう長かったんですけど……祖父母も定期預金だけで投資はやっていなかったので、もうまったくです。

ただ、大学で最初にできた友だちが、FXとかをやりたいタイプの子で、当時は仮想通貨とかも徐々に流行っていて、ビットコインとかをちょっとやっていたりしていたので、それで「みんなでやるか」じゃないですけど、そういうノリ的なのはあったのかなとは思いますね。

友だちは仮想通貨をやっていたんですが、最初は訳もわからずやっていたので、もう負けまくりの状況で(笑)。勝てるまではいかなくても、ようやくやり方が身についたかなぐらいのところで、資金を何回もショートさせていたんです。

いよいよどうしようかなという時に、トランプの大統領選があったんですね。運の要素がけっこう大きかったと思うんですけど、ドル円ロングで入れていたので、損が出た分ぐらいはちょっと取り戻せたんです。

そこからまた投資をやっていこうとしている間に大学2年になって、夏明けから大学のゼミの選択をしないといけなくなり、投資をやっている土田ゼミに入りました。株を取引していないと単位もらえないゼミだったので、「じゃあ、株をやるか」というところで口座を開いたのが、株の最初ですね。

ーーじゃあ、大学2年生の時に初めて株をやったんですか?

Ken:はい、そうですね。株に関しては、もう訳もわからず。チャートとかは見られるようになっていたんですが、当時はバリュー株みたいなものをずっと学んでいました。

ーーじゃあ、投資の入り口はFXで、どちらかというと短期で見ていたんですか?

Ken:はい、そうですね。

ーー投資を始めた入り口は「儲かるんだったら」みたいな感じなんですかね?

Ken:そうですね。ただ、僕は経済学部だったんですけど、FXの勉強をしていたおかげで、最初、学年で1位になれたんですよ。その経済学部の学科の中でですけど。

それで、返さなくていい奨学金みたいなものをもらえたので、それも全部投資に突っ込んでいましたね。

ーー(笑)。すごいですね。じゃあ、そこから株をずっとやっている感じですか?

Ken:はい、そうですね。そこからずっとやっています。最初は、FXと株のどちらもやっていたんですけど、2018年か2019年ぐらいから、FXはボラティリティがまったくなくなってきちゃったんですよ。ドル円とかも本当に動かなくなっちゃって、値幅もなくて。

今だと、10円とかすぐ動きますけど、当時は年間で10円動くかどうかというレベルだったんです。私は、俗に言うトレンドフォローという、勝率はそんな高くないけれどトレンドが出た時強いという手法でずっとやっていたので、それだとトレンドが出ないよねということで、もうFXはやめようとなって、どんどんFXを減らしていって株にシフトしていった感じです。

投資手法として、安ければなんでも買うタイプ

ーー今のKenさんの株の投資手法やルールをざっくりおうかがいしたいです。

Ken:基本的に今はロングしかやりませんというところと、投資期間で言うと半年から3年ぐらいを見ています。利益に関しては、1.5倍以上が取れそうな銘柄に入っています。

基本的に、ファンダメンタルズ分析をして、決算とか、なにかのゆがみとか、あとは、まだ世の中が気づいていないことをちょっと先回りして取りにいく感じです。ただ、バリュー投資もグロース投資もなんでもやるので、安ければなんでも買うタイプですね。

ーーロングにはどう行き着いたんですか? 大学生の時も、もともと安い株を買っていたんですか?

Ken:そうですね。大学の教授が、「ザ・バフェット投資」みたいな、安いものを買って放置すれば儲かるというタイプの方だったんです。当時はバリュー系の投資はそんなに流行っていなかったんですけど、私の株の入り口がそこからだったので。

ただ、今ほどぜんぜんレベルは高くなくて、最初はPBRが0.5倍ぐらいのよくわからない銘柄を買って放置するみたいなことをやっていましたね。

ーーそうなんですね。最終的に勝っている方って、やはりそのスタイルの方が多いですよね。

Ken:確かに、そうですよね。安さの重要性って、もちろん安いから利益を狙えるというところもあると思うんですけど、やはり下値の堅さにけっこうつながってくるのかなと思っています。

特に専業の人とか、ある程度収益が大きくなっている人だと、勝ちももちろん大事ですが、大負けした時の痛みがすごく大きいと思っていて。

安さにこだわることによって、実はリスクも減らせていると思います。

いまだに持っている銘柄はデクセリアルズ株式会社

ーー手法がロングである中で、Kenさんが長く持っている銘柄は何ですか? 

Ken:今までで一番長かったのは、Appleですね。Appleショックがあったと思うんですけど、そこから持っていて、3年、4年ぐらいです。Appleが当時、日本円で時価総80兆円ぐらいだったのは覚えているんですけど、そこから3倍以上になって、2023年に売りました。

次に長いので言えるところは、デクセリアルズ(デクセリアルズ株式会社)という元ソニー系の会社で、それは持って2年ちょっとになっています。

長い銘柄は意外と少ないですね。1年ぐらいのものは多いんですけど、やはりマーケットが急激に反応する時があって、2年とか3年というカタリストを見ていても、それを急速に織り込んで自分の水準まで来ちゃう時があるんです。その場合、もっと安い株が買えるので売却することが最近多いです。

そういうモメンタムが乗っている時って、わりと短期な人たちが相場を作っているので、自分の目標株価にいくまでに、あと20パーセントとか、数字にこだわるよりも、期間利益にこだわってもいいのかなというところで、1.7倍とか1.8倍とかで売っちゃうこともけっこうあります。

ーじゃあ、大学のゼミでの学びが、今けっこう活きているんでしょうか?

Ken:そうですね。当時のゼミもそうですし、最初に読まされたのが、バフェット系の本だったのでそれもあります。

あとは、やはり井村さん(井村俊哉氏)とも一緒に仕事をしていたので、そこで似た手法になってきているというのはありますね。

井村さんは本当に集中投資なんですが、僕の手法は井村さんより分析をちょっと浅くさせて、その分分散させるのにけっこう近いのかなと思いますね。

彼は2倍を目指しているんですけど、僕は1.5倍ぐらいのほうがいいのかなと思っていて。前までは2倍にすごくこだわっていたんですけど、最近は、短期的になにかモメンタムが入って上がる時に、わざわざ2倍にこだわりすぎるのはどうかというところで、1.5倍まで下げています。それによって、少しですけどいい感触はありますね。パフォーマンスがちょっとずつ良くなっています。

株を始めた頃はTwitterの煽り銘柄を買っていた

ーーKenさんの投資スタイルを聞いていると、あまり大事故はしないのかなとは思うんですけど、今まで「これ、やっちゃったな」みたいなことってありますか? 

Ken:最初は、それこそTwitter(現X)の煽り銘柄を買っていました。買って、(株価が)半分になったりして、「この人はどう言っているかな?」とその人のツイートを追っていって……大丈夫って言っているのに下がっているから、これはヤバいんじゃないかと、半値で損切りしたこともあります。

あとは、すごく大きな事故まではいかないんですけど、スタイルとしてまずかったなと思った時もあります。やはり最初は、いろいろな銘柄を少しずつ買っちゃっていたんですね。そうすると、分析や管理がおろそかになって、結果的にパフォーマンスが上がらないというのがありました。今だと、最大でも20銘柄以内ぐらいに抑えるようにして、ある程度洗練されたものにしていくことでだいぶ良くなりましたね。

ーー全体だと、どれぐらい見ていますか?

Ken:しっかり見ているのは、200銘柄……関連とかも入れると300銘柄ぐらいは見ているのかな。

ーー200、300銘柄のうち、持っているのはどのくらいですか?

Ken:そのうちの1割以内ぐらい。ただ、けっこう入れ替わりもあります。その300銘柄って、めちゃめちゃ強固なものではなくて、出たり入ったりするもので、「最近ここ安いよね」となった時に調べたりします。

直近グロースが弱くて、PERが35倍とかだったのが、20倍前半とかに落ちてきているからもう1回調べ直そうというところで見るものもあります。

(次回へつづく)